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タール村編
アジトへの潜入
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「ここか……」
アジトの洞窟は大した苦労も無く見つけることができた。
というのも、男の示した方向へと進んでみれば、異様な存在感を放つ洞窟が目に入ったからだ。
「ここにエマ達が……」
男の情報が正しければ、ここに攫われた子供たちは連れてこられ、監禁されているということになる。
突然このような事態に巻き込まれたエマたちの気持ちを考えると、彰は怒りでどうにかなりそうだった。
「ッ……待ってろよ、すぐに助けてやるからな」
心を決める。
突入するは盗賊の根城、中で待ち受ける驚異の程は不明。
ならば、必要以上に備えておくに越したことはない。
彰は全身、否、その周囲へと意識を拡張させ、術の発動を意識する。
(特性付与―――≪透明化≫)
直後、彰の体は他者の視界、その一切に捉われなくなる。
そこに居るのに、誰にも見えない。
それこそが≪透明化≫の能力。
と言っても、正確には彰の体の周囲の空気へと干渉し、その屈折率を変化させることで彰の姿を捉えられなくしているだけのハリボテだ。
声を出せば聞こえてしまうし、足音すらも隠せない。
されど、彰の体そのものではなく、その周囲へと干渉する術である以上、その消費体力は馬鹿にならない。
実際、燃費はかなり悪く、あまり長時間の使用はできない術であった。
「……よし、いくか」
時間に余裕はない。
焦らず、されど行動は迅速に。
彰は努めて冷静であるよう心掛ける。
そうして、彰は自分が透明になったのを確認すると、洞窟の中へと足を踏み入れた。
(洞窟の中だから真っ暗かと思ってたが、意外と明るいな……まぁ、真っ暗じゃアジトとしては使い物にならないだろうし当然っちゃ当然か……)
洞窟の中は思っていたより明るい。
恐らくあの男達―――盗賊達が使いやすいように明かりを取り付けたのだろう。
ところどころに古いランプのようなものがぶら下げられ、それらが暗い洞窟をほんのりと照らしている。
彰としては進みやすくて助かっていた。
別に明かりがなくてもやりようはあるが、策を弄する必要がないのであれば、それに越したことはない。
警戒を怠ることなく、可能な限り迅速に足音へと注意を配りながら洞窟を進む。
(ん? これは……声? 数は……、一人じゃないな、複数人か。
内容は……ダメだ。もう少し近づかないとわからないか……)
かなり奥まで来た時、彰の耳に男達の話し声のようなものが聞こえてきた。
まだ、内容まではわからないが、その数は決して少なくはない。
彰はさらに会話の内容を探るべく、よりいっそうの注意をしながら近づいていく。
どうやら少し先には開けた空間があるようだ。
おそらくそこが彼らの普段の生活スペースなのだろう。
中をのぞく、空間の大きさはかなりのものだ。
(思ってたよりもかなり大規模な賊だな……これは簡単には行かなそうだ。
さて、いったい何を話してやがる?)
開けたスペースで百人近い男たちが上機嫌で会話をしている。
彰は彼らの会話に聞き耳を立てた。
『ガハハッ、今回も大量じゃねーか。こりゃ当分遊んで暮らせるなぁ~お前ら』
『そうっすねお頭、王都で捕まえたガキと今回のガキ、全部売っ払ったらいくらになることやら……夢が広がるっすね!』
『こりゃあれっすよ、ここにいるみんなが遊びまわってもおつりが来るぐらいっすよ』
『お頭、こんだけいるならちょっとつまみ食いしちゃってもいいんじゃないっすか?』
『ガハハッ、なんだ、遊びたいのかよ、やっぱてめーそう言う趣味か』
『お頭もでしょ?』
『ガハハッ、まあ違ぇねぇ。そもそもここにいる奴らはそういう変態の集まりなんだがなぁ?』
『『『『ガハハハハハハハハッ』』』』
(こいつら……ッ……)
ふざけた会話の内容に腸が煮えくり返りそうになる。
だが、ここで感情に任せて暴れてはエマ達に危険が及ぶ可能性がある。
今優先すべきはエマ達の救出だ。
こんな奴らにいちいち腹を立てている場合ではない。
彰はエマ達の安全を確保した後に、男たちを殴り飛ばすことを心に誓いながら先を急ごうとするが、そこで、先に男たちの方に動きがあった。
『ガハハッ、まぁどうせあの豚のように肥えた変態どもに玩具として弄ばれた挙句、壊されちまう運命だ。
壊される前に少しくらい楽しんでも問題あるまい。
……よし! じゃあ今日捕まえた奴を何人か好きにしていいぞお前ら!
オイそこのお前、何人か適当に連れてこい。
もし抵抗するようなら殴るでも何でもして大人しくさせろ』
『流石お頭! 太っ腹でさぁ~今適当に連れてきやす』
と、お頭という男に指名された一人が奥に向かって歩いて行く。
(しめた……奴についていけばみんなの居場所がわかるかもしれない)
話の内容は最低最悪だが、状況自体は好都合だ。
彰は音をたてないように細心の注意を払いながら広場を抜けると、さらに深部へと向かう男の後をついていく。
そうして男の後をつけること数十分。
広間からしばらく言ったところに鉄格子を無理矢理はめ込んだような檻が見てとれた。
恐らくあの中に攫った子供達を監禁しているのだろう。
男は檻の前に止まると、品定めするように内部を見回し始めた。
どうやら広間へと連れていく子供を選別しているらしい。
彰も足音に注意しながら距離を詰め、中を覗く。
(いた、エマにクリス、それにタール村の皆もちゃんといるな。
それとあれは……ほかのところで攫われた子供達か?
一応みんな無事みたいだが……あまりいい状況とは言えないな……)
みんな一様に怯えた目をしている。
きっと怖ろしい目にあってきたのだろう。
それでも、タール村の子達はまだましな方だ。
他から攫われてきたであろう子供たちの目は希望を失い、絶望に染め上げられていた。
彼らはもう諦めていているのだ。
救いなど来ない。元の場所にはもう帰れない。
それを既に受け入れてしまっている。
彰はこの瞬間、彼らも一緒に助けることを心に決めた。
その間もまだ男は品定めを続けていた。
「ヘッヘッヘ、あいつとあいつとあいつ、それからあいつかな?
おっあいつもいいなぁ~ヒヒヒ」
「おじさん、私達をどうする気なの!」
と意志の強そうな女の子が声を張り上げた。間違いないエマだ。
エマは男からみんなを守ろうと、強い決意の籠った目で男を睨みつけていた。
(立派にお姉さんやってるじゃないか、後で褒めてやらないとな……)
彰はそんなエマのいつものどこか抜けているようなのとは違う一面を見て驚きと共に感心する。
同時に、盗賊団への怒りをより大きくした。
エマの足が震えていたからだ。
エマは最年長とは言ってもまだ幼い子供。
この状況で怖くないはずがない。
今も迫りくる恐怖を必死に耐えているのだろう。
出来ることならば、今すぐにでも彼女を助け出してあげたい。
だが、そうもいかないのが現状だ。
(行きたいのは山々だが、このままじゃ檻の開け方が分からない。
こじ開けてもいいが何か細工をされている可能性を考えると迂闊なことはできないか……くそ……ッ)
結局のところ、彰に出来ることは男が檻を開けるまで、ただ黙して待つことのみであった。
男は気丈に振る舞うエマを見つけると、まるで“いいものをみつけたぞ”とでもいうかのように欲望に満ちた笑みを浮かべた。
「……へぇ、こいつは上玉じゃねぇか。
無理に虚勢を張って気丈に振る舞ってるのがさらに高得点だ。
こういうやつを屈服させて、絶望させるのが一番滾っちまうんだよなぁ……ひひひ。
決めた、こいつも連れていこう。
嬢ちゃんは一体どんな悲鳴を上げてくれるのかねぇ……凄く楽しみだ」」
「ねぇ、私の質問に答えてよッ!!」
「うるせえぇぇッ!! 黙りやがれってんだッ!!
んなに騒がなくてもすぐに嫌でもわかるんだからよぉ?
ま、その時に嬢ちゃんが自我を保てているかどうかは知ったこっちゃねぇけどなぁ」
「ひッ……いや、嫌だよ……パパ、ママ、アキラお兄ちゃん……誰か助けて……」
恫喝する男の声に、エマの中で恐怖心が勝り、弱音が漏れる。
エマを情けないなどということはできない。彼女はこれでも立派に戦った。
あの歳の女の子がここまで気丈に振る舞っていたことが既に異常だったのだ。
エマは充分戦ったのだ。
エマの頬を涙が伝う。
男はそれを見て、いっそう笑みを深くする。
彰はそれをただ見ていることしかできない。
そんな無力な自分が腹立たしくて仕方がなかった。
(ごめん、ごめんなエマ……あと少し、もう少しだけでいいから、頑張ってくれ……ッ)
彰はただ黙して状況を見守る。
そして、遂に男が動いた。
懐から鍵の束のようなものを取り出すと、それを檻の扉部分についている穴に差し込み捻る。
ガチャリ、という音が洞窟に響いた。
―――それが合図だった。
「ひひひ、さて、さっさと連れていくとしますかねぇ?」
男がそう言って厭らしい笑みを浮かべながら檻を開けた瞬間、彰は一足で男との距離を詰める。
ここで男に叫ばれ、仲間を呼ばれるわけにはいかない。
それでは子供達に危険が及ぶ可能性がある。
つまり、今必要なのは迅速に、気づく間もなく男を無力化する、そんな手段。
右手に意識を集中、心中にて発動させる。
(―――属性付与――≪雷≫)
彰の手に雷電が迸る。
消費体力の関係から、同時に二つの術を発動できない付与術の特性上、引き換えに≪透明化≫が解けたがもはやそんなことは関係がない。
例え姿が見えるようになろうとも、見られる前に倒せばいいというだけの話。
だが、流石に気配に気付いたのか、男が後ろ振り向き、彰に気付くと、大声を上げようとする。
―――だが、遅い。
「ッ!? なんだてめ―――――」
「―――黙って寝てろ」
彰は男が言い切る前に雷電を纏った手で触れる。
男は感電し、ビクビクと痙攣するように体を震わせると、気絶した。
≪雷属性≫を付与されたものは、そのものに電気的特性を纏う。
言わば、今の彰の右腕はもはや人間スタンガンと言っても過言ではない。
であれば、それに触られた男が気絶するのは必然であった。
そこで、エマの声がかかった。
既に≪透明化≫が解けているのだから、エマ達にも自分の姿は見えている。
「……アキラお兄ちゃん? ほ、本当に……アキラお兄ちゃんなの……?」
「ああ、エマ。よく頑張ったな。もう大丈夫だ。
―――助けに来たぞ」
努めて優しく声をかける。
それでも、まだ事態を飲み込めていない様子のエマ。
しかし、徐々にそれを現実だと認識し始めると、先程とは意味の異なる涙が両の目から溢れだした。
思わず大声を出しそうになるエマに彰は諭すように声をかける。
「ああ、だめだエマ。大声は無しだ。気持ちはわかるが抑えてくれ。
今叫んだら他の奴らに気づかれちまう。わかるな?」
「ッ……(コクン)」
エマは慌てて声を押し殺すと、涙を流しながらも頷いてくれた。
彰はその姿に“流石、強い子だ”と言うと、エマを抱きしめ、頭を撫でてやる。
そして、彰は他の子供達にも目をやると、同じように静かにするようにお願いした。
最初こそみんな戸惑っていたものの、助けたが来たのだと、そう理解すると、みんな一様に涙を流していた。
「やれやれ……あんまり時間もないんだけどなぁ、こりゃ少し落ち着くのを待つしかないかな? ははは……」
子供達が皆そろって号泣する姿を、彰は苦笑交じりに見つめ続けるのであった
◆◆◆◆
助けが来たことを知って安心したのか皆が泣き出してしまったため、彰は声だけは押さえるように言うと、全員が泣き止むのを待ちながらこれからどうするか考えていた。
ここまで極力慎重にやって来たからまだばれていないが子供達が檻からいなくなっていることはじきにばれるだろう。
部下が戻ってこないのを怪訝に思ったトップが誰かをよこすのも時間の問題だ。
「さて、どうしようか……」
ぱっと頭に浮かぶ方法は三つ、まず一つ目は彰が全員に≪透明化≫を掛ける手だ。
これはここに来るまで彰が考えていた手でもある。
元々タール村の子供だけですらそれなりにギリギリ体力が持つかどうかだったのだ。
ところがここにはそれ以外の子供もいる。
これではここにいる全員を助け出す前に彰の体力が尽きてしまうだろう。
次に二つ目が、彰自身が囮になる手だ。
しかしこれもあの広間にいるのが全員とは限らず、外から戻ってくる奴がいた場合また捕まってしまう可能性があるのでこれも確実とは言い難い。
となると、残された方法は一つしかない。
「正面突破しかないか……」
彰はいろいろ考えた結果、そうつぶやく。
そう、最後の策とは皆にはここに隠れていてもらい、彰が広間の盗賊団を全員ぶっ潰してから子供達と一緒に脱出するというただの正面突破だ。
しかしはっきり言ってこれが一番彰から見て成功率が高い。
彰にはあの程度の奴らなら何人いようとどうにかできる自信があったし、何より小細工を即座に考え付くほど彰の頭は良くない。
バカには良くも悪くもぴったりの作戦だった。
「―――みんな、聞いてくれ」
彰が子供達にそう呼びかけると子供達は期待を込めた目で皆彰を見つめる。
「いろいろ考えたがやはりこの人数であの広間を抜けるのはどう考えても無理だ。
とてもじゃないが、現実的とは言えない」
彰がそう言うと子供達はまた絶望に包まれる。
特にタール村以外の子達は酷いものだ。
彼らは助けに来た彰との面識がない。
だから自分たちを見捨てて、彰との面識のある人だけを助けるのではないか、と。
そんな考えが脳裏をよぎってしまう。
しかし彰がその次に告げた言葉は子供達の予想の“いい意味で”裏切った。
「だから皆は少しの間、ここで待っててくれ、その間に―――俺があいつらをぶっ潰してくる」
この言葉に子供達全員が驚く、それもそうだろう。
彼らはここに入れられる前にちゃんと広間を見て、そこに百人近い男たちがいたのを見ているのだ。
百対一、普通に考えればどう考えても勝ち目はない。
その気持ちは彰の戦う姿を何度も見たことがないタール村の者達も同じであった。
「そんなの無理だよ……相手は百人くらいいるんだよ?
いくらアキラお兄ちゃんでも勝てっこないよ……。
何か別の方法を―――」
「エマ、お願いだ。俺を信じてくれ。
俺はあんな奴らには絶対負けない。
あの程度の奴らが十人いようが百人いようが俺の敵じゃない。
これが一番確実な手なんだ」
「でも……」
それきり考え込むエマ。
その様子を見ながら、彰を知らない子供達は更に不安になる。
『この人は私達を見捨てて逃げてしまうのではないのか?』
そんな考えが子供たちの頭を過る。
場を重い沈黙が包む。
だが、それを最初に破ったのはエマだった。
「……わかった、待ってるよ。だってあたしアキラお兄ちゃんのこと信じてるもん!」
その姿を見て残りの子供達も腹を決めたらしく、次々と『わたしも!』『ぼくも!』というような声が上がった。
そしてその反応に彰は安心する。
彰は内心自分の言うことを子供たちが信じてくれるか不安だったのだ。
もしも信じてもらえなかった場合、子供達が一人で自分だけでも逃げようとしてしまうかもしれなかった。
そうなっていたらもしかしたら犠牲者が出ていた可能性もある。
しかし子供達は自分を信じてくれた。
なら、自分もその信頼に全力で答えて見せよう。
「じゃあちょっと行ってくる……っと、その前にだ」
彰はそういうとクリスのもとへと歩いていく。
クリスは盗賊達に激しく抵抗したため、体中ボロボロだった。
あちこち怪我や青痣だらけ、顔は殴られたのかボコボコに晴れている。
痛々しい怪我の数々は彼がどれほど身を挺して時間を稼いだのかを示していた。
「クリス……お前、ボロボロじゃないか……それ、痛むだろう」
「ア、アキラ兄ちゃん、俺のことは、いいんだ。
それよりも、アリスは……アリスは、無事、なのか?」
「アリスなら大丈夫だ。今頃村の皆にこのことを伝えてくれてると思う。
クリス、お前のおかげだ。胸を張れ、誇っていいぞ」
「へ、えへへ、そうか、無事なんだな……良かったよ」
「ああ、そうだ。だから今は自分の心配を先にしろ。
お前にはその義務がある」
「き、気にすんなって……こ、こんなの、男の勲章、ってやつだよ……。
アキラ兄ちゃんは早く、あいつらを……」
「いいから、バカ言ってないでもうちょっとこっちに来い」
彰がそう言うとクリスがだるそうに彰の近くに寄ってくる。
話すのすらやっとの状態、こんなの状態のクリスを放置して行ける筈がなかった。
「な、なんだよ、アキラ兄ちゃん、は、早く行かないと……あいつら、来ちゃうぞ?」
「わかってるからちょっと待て」
彰はクリスを諫めると、痛々しい姿のクリスの頬に優しく触れる。
それでも、クリスは少し痛みを堪えるような顔をした。
それ程の重症。子供相手にここまでのことをする者達にふつふつと怒りがこみあげてくるが、今は目の前の怪我人を何とかするのが先だ。
彰は手のひらから触れた頬へと力を流すように術を発動させる。
(特性付与―――≪治癒力強化≫)
彰の術がクリスの全身を巡る。
すると、あれほど酷かったクリスの傷が時を巻き戻すかのようにみるみる治っていく。
気が付けば、クリスの怪我は殆ど完治していた。
「ッ!?……え、嘘だろ、痛くない、治ってるっ!!
すげぇ、これ魔法か? アキラ兄ちゃん」
「魔法?うんまぁ似たようなもんだよ。
正確にはクリスの元々持ってる怪我を治す力を強めてるんだけどな」
「なんだかよくわからないけどすげぇよっ!!
ありがとう、アキラ兄ちゃんっ!!」
「ああ、もう出来るだけ無茶するなよ?」
「それは無理な相談だよ!
なんたって、男は無茶する生き物だからね!!」
「はは、そうだな、違いない」
二人はそうして軽く笑いあう。
どうやら、この二人は根本が少し似てるらしい。
クリスが男を見せたのだ。
ならば、次は自分が男を見せる番だろう。
彰はそう決意すると立ちあがった。
「んじゃ今度こそ行ってくる。
みんなもう少しだけ、俺を信じて待っていてくれ。
―――必ず、戻ってくる」
彰はそう告げると彰の心配をする子供達を背に広間へと向かって行った。
アジトの洞窟は大した苦労も無く見つけることができた。
というのも、男の示した方向へと進んでみれば、異様な存在感を放つ洞窟が目に入ったからだ。
「ここにエマ達が……」
男の情報が正しければ、ここに攫われた子供たちは連れてこられ、監禁されているということになる。
突然このような事態に巻き込まれたエマたちの気持ちを考えると、彰は怒りでどうにかなりそうだった。
「ッ……待ってろよ、すぐに助けてやるからな」
心を決める。
突入するは盗賊の根城、中で待ち受ける驚異の程は不明。
ならば、必要以上に備えておくに越したことはない。
彰は全身、否、その周囲へと意識を拡張させ、術の発動を意識する。
(特性付与―――≪透明化≫)
直後、彰の体は他者の視界、その一切に捉われなくなる。
そこに居るのに、誰にも見えない。
それこそが≪透明化≫の能力。
と言っても、正確には彰の体の周囲の空気へと干渉し、その屈折率を変化させることで彰の姿を捉えられなくしているだけのハリボテだ。
声を出せば聞こえてしまうし、足音すらも隠せない。
されど、彰の体そのものではなく、その周囲へと干渉する術である以上、その消費体力は馬鹿にならない。
実際、燃費はかなり悪く、あまり長時間の使用はできない術であった。
「……よし、いくか」
時間に余裕はない。
焦らず、されど行動は迅速に。
彰は努めて冷静であるよう心掛ける。
そうして、彰は自分が透明になったのを確認すると、洞窟の中へと足を踏み入れた。
(洞窟の中だから真っ暗かと思ってたが、意外と明るいな……まぁ、真っ暗じゃアジトとしては使い物にならないだろうし当然っちゃ当然か……)
洞窟の中は思っていたより明るい。
恐らくあの男達―――盗賊達が使いやすいように明かりを取り付けたのだろう。
ところどころに古いランプのようなものがぶら下げられ、それらが暗い洞窟をほんのりと照らしている。
彰としては進みやすくて助かっていた。
別に明かりがなくてもやりようはあるが、策を弄する必要がないのであれば、それに越したことはない。
警戒を怠ることなく、可能な限り迅速に足音へと注意を配りながら洞窟を進む。
(ん? これは……声? 数は……、一人じゃないな、複数人か。
内容は……ダメだ。もう少し近づかないとわからないか……)
かなり奥まで来た時、彰の耳に男達の話し声のようなものが聞こえてきた。
まだ、内容まではわからないが、その数は決して少なくはない。
彰はさらに会話の内容を探るべく、よりいっそうの注意をしながら近づいていく。
どうやら少し先には開けた空間があるようだ。
おそらくそこが彼らの普段の生活スペースなのだろう。
中をのぞく、空間の大きさはかなりのものだ。
(思ってたよりもかなり大規模な賊だな……これは簡単には行かなそうだ。
さて、いったい何を話してやがる?)
開けたスペースで百人近い男たちが上機嫌で会話をしている。
彰は彼らの会話に聞き耳を立てた。
『ガハハッ、今回も大量じゃねーか。こりゃ当分遊んで暮らせるなぁ~お前ら』
『そうっすねお頭、王都で捕まえたガキと今回のガキ、全部売っ払ったらいくらになることやら……夢が広がるっすね!』
『こりゃあれっすよ、ここにいるみんなが遊びまわってもおつりが来るぐらいっすよ』
『お頭、こんだけいるならちょっとつまみ食いしちゃってもいいんじゃないっすか?』
『ガハハッ、なんだ、遊びたいのかよ、やっぱてめーそう言う趣味か』
『お頭もでしょ?』
『ガハハッ、まあ違ぇねぇ。そもそもここにいる奴らはそういう変態の集まりなんだがなぁ?』
『『『『ガハハハハハハハハッ』』』』
(こいつら……ッ……)
ふざけた会話の内容に腸が煮えくり返りそうになる。
だが、ここで感情に任せて暴れてはエマ達に危険が及ぶ可能性がある。
今優先すべきはエマ達の救出だ。
こんな奴らにいちいち腹を立てている場合ではない。
彰はエマ達の安全を確保した後に、男たちを殴り飛ばすことを心に誓いながら先を急ごうとするが、そこで、先に男たちの方に動きがあった。
『ガハハッ、まぁどうせあの豚のように肥えた変態どもに玩具として弄ばれた挙句、壊されちまう運命だ。
壊される前に少しくらい楽しんでも問題あるまい。
……よし! じゃあ今日捕まえた奴を何人か好きにしていいぞお前ら!
オイそこのお前、何人か適当に連れてこい。
もし抵抗するようなら殴るでも何でもして大人しくさせろ』
『流石お頭! 太っ腹でさぁ~今適当に連れてきやす』
と、お頭という男に指名された一人が奥に向かって歩いて行く。
(しめた……奴についていけばみんなの居場所がわかるかもしれない)
話の内容は最低最悪だが、状況自体は好都合だ。
彰は音をたてないように細心の注意を払いながら広場を抜けると、さらに深部へと向かう男の後をついていく。
そうして男の後をつけること数十分。
広間からしばらく言ったところに鉄格子を無理矢理はめ込んだような檻が見てとれた。
恐らくあの中に攫った子供達を監禁しているのだろう。
男は檻の前に止まると、品定めするように内部を見回し始めた。
どうやら広間へと連れていく子供を選別しているらしい。
彰も足音に注意しながら距離を詰め、中を覗く。
(いた、エマにクリス、それにタール村の皆もちゃんといるな。
それとあれは……ほかのところで攫われた子供達か?
一応みんな無事みたいだが……あまりいい状況とは言えないな……)
みんな一様に怯えた目をしている。
きっと怖ろしい目にあってきたのだろう。
それでも、タール村の子達はまだましな方だ。
他から攫われてきたであろう子供たちの目は希望を失い、絶望に染め上げられていた。
彼らはもう諦めていているのだ。
救いなど来ない。元の場所にはもう帰れない。
それを既に受け入れてしまっている。
彰はこの瞬間、彼らも一緒に助けることを心に決めた。
その間もまだ男は品定めを続けていた。
「ヘッヘッヘ、あいつとあいつとあいつ、それからあいつかな?
おっあいつもいいなぁ~ヒヒヒ」
「おじさん、私達をどうする気なの!」
と意志の強そうな女の子が声を張り上げた。間違いないエマだ。
エマは男からみんなを守ろうと、強い決意の籠った目で男を睨みつけていた。
(立派にお姉さんやってるじゃないか、後で褒めてやらないとな……)
彰はそんなエマのいつものどこか抜けているようなのとは違う一面を見て驚きと共に感心する。
同時に、盗賊団への怒りをより大きくした。
エマの足が震えていたからだ。
エマは最年長とは言ってもまだ幼い子供。
この状況で怖くないはずがない。
今も迫りくる恐怖を必死に耐えているのだろう。
出来ることならば、今すぐにでも彼女を助け出してあげたい。
だが、そうもいかないのが現状だ。
(行きたいのは山々だが、このままじゃ檻の開け方が分からない。
こじ開けてもいいが何か細工をされている可能性を考えると迂闊なことはできないか……くそ……ッ)
結局のところ、彰に出来ることは男が檻を開けるまで、ただ黙して待つことのみであった。
男は気丈に振る舞うエマを見つけると、まるで“いいものをみつけたぞ”とでもいうかのように欲望に満ちた笑みを浮かべた。
「……へぇ、こいつは上玉じゃねぇか。
無理に虚勢を張って気丈に振る舞ってるのがさらに高得点だ。
こういうやつを屈服させて、絶望させるのが一番滾っちまうんだよなぁ……ひひひ。
決めた、こいつも連れていこう。
嬢ちゃんは一体どんな悲鳴を上げてくれるのかねぇ……凄く楽しみだ」」
「ねぇ、私の質問に答えてよッ!!」
「うるせえぇぇッ!! 黙りやがれってんだッ!!
んなに騒がなくてもすぐに嫌でもわかるんだからよぉ?
ま、その時に嬢ちゃんが自我を保てているかどうかは知ったこっちゃねぇけどなぁ」
「ひッ……いや、嫌だよ……パパ、ママ、アキラお兄ちゃん……誰か助けて……」
恫喝する男の声に、エマの中で恐怖心が勝り、弱音が漏れる。
エマを情けないなどということはできない。彼女はこれでも立派に戦った。
あの歳の女の子がここまで気丈に振る舞っていたことが既に異常だったのだ。
エマは充分戦ったのだ。
エマの頬を涙が伝う。
男はそれを見て、いっそう笑みを深くする。
彰はそれをただ見ていることしかできない。
そんな無力な自分が腹立たしくて仕方がなかった。
(ごめん、ごめんなエマ……あと少し、もう少しだけでいいから、頑張ってくれ……ッ)
彰はただ黙して状況を見守る。
そして、遂に男が動いた。
懐から鍵の束のようなものを取り出すと、それを檻の扉部分についている穴に差し込み捻る。
ガチャリ、という音が洞窟に響いた。
―――それが合図だった。
「ひひひ、さて、さっさと連れていくとしますかねぇ?」
男がそう言って厭らしい笑みを浮かべながら檻を開けた瞬間、彰は一足で男との距離を詰める。
ここで男に叫ばれ、仲間を呼ばれるわけにはいかない。
それでは子供達に危険が及ぶ可能性がある。
つまり、今必要なのは迅速に、気づく間もなく男を無力化する、そんな手段。
右手に意識を集中、心中にて発動させる。
(―――属性付与――≪雷≫)
彰の手に雷電が迸る。
消費体力の関係から、同時に二つの術を発動できない付与術の特性上、引き換えに≪透明化≫が解けたがもはやそんなことは関係がない。
例え姿が見えるようになろうとも、見られる前に倒せばいいというだけの話。
だが、流石に気配に気付いたのか、男が後ろ振り向き、彰に気付くと、大声を上げようとする。
―――だが、遅い。
「ッ!? なんだてめ―――――」
「―――黙って寝てろ」
彰は男が言い切る前に雷電を纏った手で触れる。
男は感電し、ビクビクと痙攣するように体を震わせると、気絶した。
≪雷属性≫を付与されたものは、そのものに電気的特性を纏う。
言わば、今の彰の右腕はもはや人間スタンガンと言っても過言ではない。
であれば、それに触られた男が気絶するのは必然であった。
そこで、エマの声がかかった。
既に≪透明化≫が解けているのだから、エマ達にも自分の姿は見えている。
「……アキラお兄ちゃん? ほ、本当に……アキラお兄ちゃんなの……?」
「ああ、エマ。よく頑張ったな。もう大丈夫だ。
―――助けに来たぞ」
努めて優しく声をかける。
それでも、まだ事態を飲み込めていない様子のエマ。
しかし、徐々にそれを現実だと認識し始めると、先程とは意味の異なる涙が両の目から溢れだした。
思わず大声を出しそうになるエマに彰は諭すように声をかける。
「ああ、だめだエマ。大声は無しだ。気持ちはわかるが抑えてくれ。
今叫んだら他の奴らに気づかれちまう。わかるな?」
「ッ……(コクン)」
エマは慌てて声を押し殺すと、涙を流しながらも頷いてくれた。
彰はその姿に“流石、強い子だ”と言うと、エマを抱きしめ、頭を撫でてやる。
そして、彰は他の子供達にも目をやると、同じように静かにするようにお願いした。
最初こそみんな戸惑っていたものの、助けたが来たのだと、そう理解すると、みんな一様に涙を流していた。
「やれやれ……あんまり時間もないんだけどなぁ、こりゃ少し落ち着くのを待つしかないかな? ははは……」
子供達が皆そろって号泣する姿を、彰は苦笑交じりに見つめ続けるのであった
◆◆◆◆
助けが来たことを知って安心したのか皆が泣き出してしまったため、彰は声だけは押さえるように言うと、全員が泣き止むのを待ちながらこれからどうするか考えていた。
ここまで極力慎重にやって来たからまだばれていないが子供達が檻からいなくなっていることはじきにばれるだろう。
部下が戻ってこないのを怪訝に思ったトップが誰かをよこすのも時間の問題だ。
「さて、どうしようか……」
ぱっと頭に浮かぶ方法は三つ、まず一つ目は彰が全員に≪透明化≫を掛ける手だ。
これはここに来るまで彰が考えていた手でもある。
元々タール村の子供だけですらそれなりにギリギリ体力が持つかどうかだったのだ。
ところがここにはそれ以外の子供もいる。
これではここにいる全員を助け出す前に彰の体力が尽きてしまうだろう。
次に二つ目が、彰自身が囮になる手だ。
しかしこれもあの広間にいるのが全員とは限らず、外から戻ってくる奴がいた場合また捕まってしまう可能性があるのでこれも確実とは言い難い。
となると、残された方法は一つしかない。
「正面突破しかないか……」
彰はいろいろ考えた結果、そうつぶやく。
そう、最後の策とは皆にはここに隠れていてもらい、彰が広間の盗賊団を全員ぶっ潰してから子供達と一緒に脱出するというただの正面突破だ。
しかしはっきり言ってこれが一番彰から見て成功率が高い。
彰にはあの程度の奴らなら何人いようとどうにかできる自信があったし、何より小細工を即座に考え付くほど彰の頭は良くない。
バカには良くも悪くもぴったりの作戦だった。
「―――みんな、聞いてくれ」
彰が子供達にそう呼びかけると子供達は期待を込めた目で皆彰を見つめる。
「いろいろ考えたがやはりこの人数であの広間を抜けるのはどう考えても無理だ。
とてもじゃないが、現実的とは言えない」
彰がそう言うと子供達はまた絶望に包まれる。
特にタール村以外の子達は酷いものだ。
彼らは助けに来た彰との面識がない。
だから自分たちを見捨てて、彰との面識のある人だけを助けるのではないか、と。
そんな考えが脳裏をよぎってしまう。
しかし彰がその次に告げた言葉は子供達の予想の“いい意味で”裏切った。
「だから皆は少しの間、ここで待っててくれ、その間に―――俺があいつらをぶっ潰してくる」
この言葉に子供達全員が驚く、それもそうだろう。
彼らはここに入れられる前にちゃんと広間を見て、そこに百人近い男たちがいたのを見ているのだ。
百対一、普通に考えればどう考えても勝ち目はない。
その気持ちは彰の戦う姿を何度も見たことがないタール村の者達も同じであった。
「そんなの無理だよ……相手は百人くらいいるんだよ?
いくらアキラお兄ちゃんでも勝てっこないよ……。
何か別の方法を―――」
「エマ、お願いだ。俺を信じてくれ。
俺はあんな奴らには絶対負けない。
あの程度の奴らが十人いようが百人いようが俺の敵じゃない。
これが一番確実な手なんだ」
「でも……」
それきり考え込むエマ。
その様子を見ながら、彰を知らない子供達は更に不安になる。
『この人は私達を見捨てて逃げてしまうのではないのか?』
そんな考えが子供たちの頭を過る。
場を重い沈黙が包む。
だが、それを最初に破ったのはエマだった。
「……わかった、待ってるよ。だってあたしアキラお兄ちゃんのこと信じてるもん!」
その姿を見て残りの子供達も腹を決めたらしく、次々と『わたしも!』『ぼくも!』というような声が上がった。
そしてその反応に彰は安心する。
彰は内心自分の言うことを子供たちが信じてくれるか不安だったのだ。
もしも信じてもらえなかった場合、子供達が一人で自分だけでも逃げようとしてしまうかもしれなかった。
そうなっていたらもしかしたら犠牲者が出ていた可能性もある。
しかし子供達は自分を信じてくれた。
なら、自分もその信頼に全力で答えて見せよう。
「じゃあちょっと行ってくる……っと、その前にだ」
彰はそういうとクリスのもとへと歩いていく。
クリスは盗賊達に激しく抵抗したため、体中ボロボロだった。
あちこち怪我や青痣だらけ、顔は殴られたのかボコボコに晴れている。
痛々しい怪我の数々は彼がどれほど身を挺して時間を稼いだのかを示していた。
「クリス……お前、ボロボロじゃないか……それ、痛むだろう」
「ア、アキラ兄ちゃん、俺のことは、いいんだ。
それよりも、アリスは……アリスは、無事、なのか?」
「アリスなら大丈夫だ。今頃村の皆にこのことを伝えてくれてると思う。
クリス、お前のおかげだ。胸を張れ、誇っていいぞ」
「へ、えへへ、そうか、無事なんだな……良かったよ」
「ああ、そうだ。だから今は自分の心配を先にしろ。
お前にはその義務がある」
「き、気にすんなって……こ、こんなの、男の勲章、ってやつだよ……。
アキラ兄ちゃんは早く、あいつらを……」
「いいから、バカ言ってないでもうちょっとこっちに来い」
彰がそう言うとクリスがだるそうに彰の近くに寄ってくる。
話すのすらやっとの状態、こんなの状態のクリスを放置して行ける筈がなかった。
「な、なんだよ、アキラ兄ちゃん、は、早く行かないと……あいつら、来ちゃうぞ?」
「わかってるからちょっと待て」
彰はクリスを諫めると、痛々しい姿のクリスの頬に優しく触れる。
それでも、クリスは少し痛みを堪えるような顔をした。
それ程の重症。子供相手にここまでのことをする者達にふつふつと怒りがこみあげてくるが、今は目の前の怪我人を何とかするのが先だ。
彰は手のひらから触れた頬へと力を流すように術を発動させる。
(特性付与―――≪治癒力強化≫)
彰の術がクリスの全身を巡る。
すると、あれほど酷かったクリスの傷が時を巻き戻すかのようにみるみる治っていく。
気が付けば、クリスの怪我は殆ど完治していた。
「ッ!?……え、嘘だろ、痛くない、治ってるっ!!
すげぇ、これ魔法か? アキラ兄ちゃん」
「魔法?うんまぁ似たようなもんだよ。
正確にはクリスの元々持ってる怪我を治す力を強めてるんだけどな」
「なんだかよくわからないけどすげぇよっ!!
ありがとう、アキラ兄ちゃんっ!!」
「ああ、もう出来るだけ無茶するなよ?」
「それは無理な相談だよ!
なんたって、男は無茶する生き物だからね!!」
「はは、そうだな、違いない」
二人はそうして軽く笑いあう。
どうやら、この二人は根本が少し似てるらしい。
クリスが男を見せたのだ。
ならば、次は自分が男を見せる番だろう。
彰はそう決意すると立ちあがった。
「んじゃ今度こそ行ってくる。
みんなもう少しだけ、俺を信じて待っていてくれ。
―――必ず、戻ってくる」
彰はそう告げると彰の心配をする子供達を背に広間へと向かって行った。
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