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第18話
しおりを挟むレベッカを送り届け、家に帰宅した私は早速明日の服の支度を始めることにした。
ご令嬢の屋敷に行くんだから、やっぱりドレスを着ないと。
ドレス系は新しく作らないとないわね。
「よし。今日は徹夜ね」
前世ではどれほど残業やらしてきたと思っているの。服作りのための徹夜だったらなんてことないわ。
目立たないように色味は抑えて。でも貴族の娘に見えるように多少の華やかさは必要。このバランスと気を付けながらデザインしないとね。
ついでにウィッグも用意しましょう。こんなこともあろうかと色んな素材で試して人工毛を作っておいたのよ。この世界の素材で作るのは大変だったわ。だから結果的にノヴァの毛を使うことにしたのよ。
やっぱ素人に人口の毛を作るのは無理だった。どうにか出来ないかしらと悩みながらノヴァの毛をブラッシングしてるときに気付いてしまったの。これは使える、と。
さすがは聖獣の毛。毛並みは勿論最高だし、抜けた後もサラッサラでしっかり保管すれば長持ちする。染色しても痛まないし、もうこれ以上ない最高の素材なのよ。
聖獣にも換毛期があるみたいで、夏と冬にメッチャ抜けるのよね。おかげで色んな種類のウィッグを作れちゃう。まぁロングヘア―のウィッグを作るのにはちょっと苦労したけど。
「色はどうしようかしら。やっぱベルのイメージから遠いものが良いわよね」
だってバレたくないし。
どうせならガラッとイメージの変わるようにしたいわね。最近は潜入のために男装をしてきたから、たまにはドレスで女の子らしい格好もしておかないとね。
「やっぱ好きなことしてるときはテンション上がるわねぇ」
ああ。趣味に時間をさけるってなんて幸せなの。最近は妹のストーカー、じゃなくて警護で忙しかったからね。
それにしてもレベッカがちょろい、じゃなくて素直で良かったわ。あんなにあっさりと味方になってくれるとは思ってなかったもの。やっぱり、顔かしら。この世界でも顔が良ければ許されちゃうのかしら。
私も前世で顔が良かったらもっと違った人生を送れていたのかな。
なんて、今そんなこと考えたって仕方ないのよ。今が幸せならそれでいい。
「そうだ。メイクで印象を柔らかくした方が良いかしら」
レベッカの友人なんだから、あの子の雰囲気にちょっと寄せた方が良いわよね。
この世界の人はあまり化粧をする習慣がないみたいだから、ガチメイクで顔を変えられることも知らない。なんて都合がいいのかしら。
いつかコスプレをするためにメイクをメチャクチャ勉強したのよ。この世界でもメイク道具を一通り作ったし、潜入捜査に必要なものは揃っているわ。
「ふふふっ、楽しいわ!」
前世でフルメイクなんてしたのはいつが最後だったかしら。仕事で忙しくて最低限の化粧しか出来なかったものね。
腕が鳴るわ。
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