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第二部
第5話 【溶け合う力】※
しおりを挟む全身が、体の奥から焼けるように熱い。
これが勇者の魔力なのか。
熱くて、頭がおかしくなりそうだ。
「れ、ん。れん、れん……!」
「伊織……」
このままじゃ何も手に付かない。
早くこの熱をどうにかしてほしい。
俺は上に覆い被さる蓮の首に腕を絡め、自分から唇を重ねる。
「何だろう、常に伊織と繋がってるような感じがして俺もドキドキしてきた」
「俺なんて、ドキドキしすぎて死にそうだ……」
「死なれたら困るよ」
蓮の手が俺の服を脱がす。
くそ。服を脱ぐ時間すら惜しい。
この熱を。この火照りを早くどうにかしてくれ。一分一秒も無駄にしたくない。
早く。早く。
「れん、はやく……」
「煽らないでよ」
自分でも抑えきれないくらいに体が興奮状態にある。こんな状態じゃ魔法の制御も出来やしない。
俺は手を伸ばし、蓮のモノに触れる。ズボンの上から分かるくらい、コイツも興奮してるみたいだ。
いつもと違って体格差がある。そのせいで上手く触れない。
小さくなった手でどうにか蓮のベルトを外して、指先で蓮のモノを弄った。先の方を触るとビクビク震える。
「あんまり煽らないでって……」
「お前こそ、焦らすなよ」
「そんなことしてないよ」
蓮が俺の体を起こし、四つん這いにさせた。
ズボンを下ろされ、既に蓮を受け入れる準備が出来てるそこに熱い塊が宛てがう。
蓮が腰を動かせば、ほんの少しの圧迫感を得ながらも熱いものが俺のナカを満たしていく。
「あ、あっあぁぁぁ!」
「っ、メッチャ絞まる……動かすよ」
「う、んっ!」
蓮が俺の腰を掴んで、激しい律動を繰り返す。
後ろからってメチャクチャ動きが激しくなるから好きだ。いつも優しい蓮が少しだけ乱暴に俺を求めてくるのが好き。
そんなこと、本人には言えないけど。
「あ、あっあ、あぁあ、あっ!!」
「伊織、伊織……すげぇ、気持ちいい」
「んっ、んぅ、ぁあ! おれ、も、きもちい、いいっ!」
魔力が流れ込んでくるせいで余計に感情が昂る。
ぐちゃぐちゃに混ざりあって、俺の中に溶け込んでいくような感じだ。
気持ちいい。全身で蓮を感じられるのが最高に気持ちいい。
俺はシーツをキツく握りしめ、奥底から湧き上がってくる絶頂感に身を震わせる。
「あぁぁぁあっ、あぁっ! イク、イク……も……い、っちゃ、ぁあ、あ!」
「いいよ。何回でもイかせてあげる」
壊れるんじゃないかってくらい激しく奥を貫かれ、俺はビクッと体を大きく震わせて達した。
その瞬間、少しだけ蓮の動きが止まったけど、すぐにまた腰を突き動かした。
「あ、や、ぁあっ! ま、って」
「待たない……」
甘い疼きが止まらない。
俺はみっともない声を抑えられなくて、口を閉じることが出来ず、シーツを涎を零してる。
「は、ぁ! あっ、あ、ぁあっ! れん、れ、ん、れん!」
「もっと名前、呼んで……伊織」
「ぁあ、れん、れ、ん、れんっ! あっ、あっ!」
蓮の名前を呼ぶ度に頭が痺れるような感覚がする。
好きが溢れ出てくるみたいだ。
その名前を一つ呼ぶだけで、心が満たされる。魔法みたいだな。
特別な呪文だ。俺だけの、大切な魔法。
「れん、れん……」
「伊織……」
「すき、すきっ、れん、れ、んっ!」
「俺も。伊織、愛してる……!」
俺達は同時に果てた。
ナカに熱いものが吐き出される。
荒い呼吸を繰り返しながら、俺は魔力が落ち着いていくのを感じた。
俺と蓮の魔力が同調していく。
荒療治だけど、この方法で魔力制御が可能になったってことか。これでもう蓮の魔力で感情が乱されることはないと思う。
「伊織、大丈夫?」
「ん……平気」
「今日はもう休んで、明日から本格的に動こうか」
「ああ」
蓮に頭を撫でられ、俺はそのまま睡魔に身を委ねた。
勇者の魔力に満たされてる魔王。
なんて言うか、言葉にすると変だな。
でも、これほど力強いものはない。負ける気がしない。
俺に自信をくれるのは、いつだって勇者なんだ。
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