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第一部

30話 「熱に魘される」※

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 エルに組み敷かれ、俺は抵抗しようにも出来ずにされるがままだった。
 手段を選ばなければエルを退けることは出来る。だけど、そうなったら魔王の魔力に気付かれてしまうかもしれない。
 俺の魔力を感じ取ったリドや他の魔族たちがこの状況に気付いたら、この村なんて簡単に消してしまうかもしれない。
 ズルい。俺が何も出来ないと分かってて、お前は無理やり俺を襲うというのか。そんな奴だったなんて、最低だ。

「や、めろ……っ!」
「やめない……」

 エルの唇が、俺の首筋に這う。
 舌の生温かい感触に体が震える。
 インナーの裾を捲り上げられ、露にされる胸元。腰を撫でていたエルの手が、ゆっくりと上へと動く。
 膨らみもない幼い少年の胸なんか触って何が楽しいんだ。
 小さな胸の突起を、エルの指先が弾くように弄んでくる。

「っ、ん!」
「魔物でも、体は人間と変わらないんだね。安心した」
「も、やめ……」
「ダメ。俺は、君を離したくない」

 意味が分からない。
 俺の小さな抵抗も空しく、首筋に会ったエルの顔は下へ下へと下がっていき、剝き出しにされた胸へと唇を重ねていく。
 当たり前だけど、誰かに触れられたこともない場所。男の胸なんてぺったこんこで何もないのに、なんでコイツは自然にそういうことが出来るんだ。

「う、ううっ……」
「可愛い……イオリ……」

 可愛いもんかよ。くすぐったいのに、それだけじゃない変な感覚で頭がおかしくなりそうになる。
 エルは俺の脇腹や腰、腹を舐めていく。マーキングでもしたいのかってくらい、執拗に。隙間を埋めるように舌を這わせていく。

「う、ぅん! も、やだっ……くすぐったい、から!」
「イオリの体は、そう言ってないよ」
「ひぅっ!」

 エルの指先が、俺の胸の突起をキュッと摘んだ。痛い、痛いけど、背中がぞわっとした。このゾクゾクが俺の下腹部を刺激していく。自分でも分かるくらい勃ってる。
 なんで。嫌なはずなのに。こんなの、最低なのに。俺の体は反応してる。

「気持ちいい?」
「……っちく、ない!!」
「強情だね……」

 エルはクスクス笑って、胸の突起に舌を這わせた。
 くるくると円を描くように動く舌先に、俺の体はビクビク小刻みに震えてる。全身の神経がそこに集まっているようだ。

「やっ、あっ、あ!」
「反応、変わった。ここ、良いんだ?」

 俺の反応を楽しむように、エルはそこばかりしつこく愛撫してくる。
 体が。頭の中が、変になりそう。
 胸に与えられる小さな刺激がどんどん体の奥に溜まって、爆発しそうになる。

「や、ぁあ……える、もう、やだぁ」
「その顔で嫌って言われても、説得力ないね」
「ひぅ、んッ! や、あ、あっ! え、える……やだ、こわい!」
「大丈夫だよ。怖がらないで……そのまま、俺に身を預けて」

 無理言うな。もう頭ん中がメチャクチャで何も考えられない。
 俺、前世でも性欲そんななかったから自分でシたりすることもあんまりなかったし。てゆうか自分でするのとは全然違うし、これが気持ちいいってことなのかも分からない。次から次へと刺激が与えられて、自分の体じゃないみたいにずっとビクビクしてる。

「あまり声出すと、他の部屋に聞こえちゃうかもしれないよ」
「じゃ、あ、やめろ、よ!」
「無理」

 胸への愛撫を続けたまま、エルの手が俺のズボンの中に侵入してきた。
 そういえば、この体になってから尿意とか全くなくなったから気にしたことなかったけど、俺のそこはどうなってるんだ。
 ズボンが下ろされ、俺の下腹部が露出された。
 俺のあそこは、少年のように小さいそれになっていた。体が小さいから、そこも小さくなってしまったみたい。
 エルは勃ち上がった俺のモノを緩く握り、軽く上下にしごいた。

「ひっ、あ、ああ、あ!」

 さっきまでと比べ物にならない刺激に、俺の体はビクンと腰を反らした。
 なに、これ。全身に電気を流されたみたいな感覚。
 なにこれ、なにこれ、なにこれ。
 声を抑えたくても勝手に出てきて、制御できない。

「や、あ、ああ、あ! 声、出ちゃ、う! むり、やだ、やだっ!」
「仕方ないな」

 エルは俺への愛撫を止めないで、キスで俺の口を塞いだ。
 俺の体はもう、抵抗する意思を失ってた。絡められた舌に応え、エルの腕にしがみついてる。
 もう、理性なんてない。まともな感情なんてない。この状況で冷静になんてなれるわけない。
 俺の体が、もう快楽に逆らうのを止めてしまっている。

「ん、ふ、んっ、んぅ!」
「は、ぁ……かわいい、可愛いよ、イオリ」
「ふ、あぁ、あ! や、い、っちゃ、う! イ、く!」

 大きく体を仰け反り、俺は白濁の熱を吐き出して達した。
 息が苦しい。心臓バクバクして、呼吸が全然整わない。
 俺が荒い呼吸を繰り返していると、エルが俺の出したやつを指に絡めて後孔あなに触れてきた。

「え、なに!?」
「これで終わりだと思ってたの?」
「や、やだ、やだ!」
「大丈夫、落ち着いて」

 落ち着けるわけないだろ。何言ってんだよコイツ。
 でも達した後で力の入らない俺の抵抗なんて意味をなさなくて、ただただされるがまま。
 ぬるりとした感触が、肌を伝う。固く閉ざされたそこを解すように、俺の出したものを潤滑油にして広げようとしてる。
 ゆっくり、ゆっくり、傷付けないように指が中に入ってくる。

「う、あ、あぁ!」
「ゆっくり息をして……イオリ、息を止めないで」
「は、ぁ、あ!」

 痛くはない。俺の体を気遣いながら指を動かしてるおかげでツラくはないけど、変な異物感がある。
 感じたことのない恐怖から、俺はエルにしがみついた腕に力を入れた。

「え、える、えるっ!」
「大丈夫だよ、イオリ……」
「ふ、ぁあ!」

 ナカを広げるように動いていた指が、何かを引っ搔いた。そこに当たった瞬間、俺の体が大きく跳ねた。
 なに、これ。そこに指が触れるたびに体がおかしいくらい反応する。
 エルもそれに気づき、そこを重点的に刺激してくる。

「ここが、いいんだ?」
「や、やぁ! あぁ、あ!」

 達した俺のモノが、また勃ってる。先走りの透明な液体が後ろに流れて、さらに滑りをよくしてる。
 耳を塞ぎたくなるような水音が響いて、俺の羞恥心を煽る。
 こんなのもう、やだ。耐えられない。恥ずかしい。俺ばかりこんなことさせられて、みっともない声上げて、死にたくなる。

「もう、いい、から! おわらせて……!」
「ダメだよ。ちゃんと慣らさないと……俺はイオリを傷付けたいわけじゃない」
「む、むりやり襲っておいて、何言ってんだよ……!」
「そうだね。それでも、優しくしたいんだよ」

 無理やり犯すなら、それらしくすればいいのに変に優しくするな。アホかよ。
 もう体が熱くて骨まで溶けたんじゃないかってくらい力が入らない。
 俺の体、ちゃんとあるよな。もう何も分からない。

「あ、あぁあ……あ」
「……もう、平気かな」

 気付けば指2本入ってたみたいで、抜けた時のぽっかりした感じがまた違和感だ。
 そこに、エルの熱いそれが当たる。マジで、入れるの。入るの、そんなの。指なんかよりずっと大きいそれ、俺のナカに入るのか。

「挿れるよ……」
「っ、ん! ふ、う、あぁ、あ!」
「っ……!」

 後孔を押し広げるように、エルのモノがナカに入っていく。
 熱い。痛みよりも圧迫感が凄い。
 息。息の仕方、分からなくなる。

「……っ、イオリ。息、忘れないで……」
「ふ、ふっ、あ、あ!」
「入ったよ。分かる?」
「んっ、ん……」

 ゆっくり息を吸いながら、俺は頷く。
 エルの熱をこんなに感じるなんて、思わなかった。
 ゆっくりとエルが腰を動かす。抜き差しを繰り返していくうちに、慣れてきたのか動きが早くなっていく。俺の体も、違和感が薄れて快楽が押し寄せてきた。
 素直に、体が気持ちいいという感覚を受け入れてる。
 もっと欲しいと強請るようになってくる。
 エルが欲しい。

「え、る。える、エル……!」
「っ、は……イオリのナカ、気持ちいい……」
「あ、あぁ、ん! あ、あァ!」

 激しく腰を打ち付けてくる。
 俺の体を貫くような動きに、全身が痺れる。
 もう、無理。ダメ。俺は自分からエルの唇にキスをした。自分の声が抑えられなくて、塞いでほしくて、とにかくエルが欲しくて。

「ふ、んっ、ぅん! んん!」
「っ、ん……! は、ッイオリ……もう、イきそ……」
「俺、も、また、イっちゃ、う……!」

 俺がイくのと同時に、ナカでエルのモノが膨れ上がって熱いものを吐き出した。
 ドクドク脈打ってるのが凄く分かる。
 お互いに力が抜け、俺の上にエルが倒れ込む。
 
「……イオリ、平気?」
「ん、なわけ、あるか……」
「ごめんね。でも、俺は後悔してないよ」
「……そう、かよ」
「もう女の子に声掛けないでね」

 やっぱりそれかよ。
 別にナンパしたわけでもないのに、俺コイツに襲われたのかよ。
 勇者の嫉妬、マジ怖い。

「……次の依頼を終えたら、本当に最後だ」
「そうか……」
「約束、だからね」
「ああ。お前がそう言ったんだ。守れよ」

 それから暫く、エルは動かなかった。
 俺たちは互いの顔も見えないまま抱き合った。

 互いの熱だけを感じながら、いつか来る別れを惜しむ。



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