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第30話 異世界に科学文明持ってきちゃった

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 とりあえず、必要なものを社内に用意した。
 鉄とか、まぁ部品になるもの。この世界にプラスチックってものがないからちょっと苦労したけど原材料から辿っていけばどうとでもなる。
 それらを神様の便利パワーであれやこれやして、用意できたものがこちらになります。

「よし。せっかくだから俺がずっと欲しかった最新型にしてみたぞ。あ、モニターはもう一つ欲しいな」
「……これが、そのぱそこんというものですか?」
「そうだよ。これでネットっていう電子の海から色んな情報を得たりしていたんだ。あとは娯楽とかね」
「へぇ……こんな薄い板から……」

 潮くんがパソコンのモニターをまじまじと見てる。珍しいだろうね。プラスチック製品すら知らないだろうからね。このモニター台とかも俺が元々使っていたものを参考にして作ったし。
 いやぁ懐かしいな、この感じ。俺はキーボードのエンターキーをタンっと音を立てて押した。このカタカタ音、あの頃は毎日聞いていた。まるで人間だった頃に戻ったような気さえする。

「問題はこれを使って他の神様と連携を取れるようになるかどうかなんだけど、誰か協力してくれる人を見つけないとなぁ……」
「この板で何が出来るんですか?」
「えっとね、本来なら電波を使って通信やらするんだけどこの世界にそれがないから、神力を代用してみようと思うんだ。気配を探るのと似てるかな。特定の相手の力をコイツで受信したりこっちから送信したりして、会話を成立させたいんだ。コイツに神力を送受信できるように設定もしたから、あとはテストが出来ればいいんだけど」

 さっき鴉天狗を呼んだところだし、今日はやめておこうかな。なんか同じ日に二回も呼び出すのって嫌じゃん。
 それよりも、このパソコンで出来ることをもっと探そう。
 タブレットも作って、潮くんに持たせようかな。その方が勉強道具としても使えるもんね。

「よし。潮くん、訓練は一旦やめて今からお勉強の時間だよ」
「はい!」
「まずはパソコンの使い方から」
「は、はい!」

 そうだ。キーボードの打ち方はローマ字入力じゃなくて、この世界の言葉に変えないと。つい記憶通りにやっちゃったから、日本語とローマ字入力になってる。アルファベットなんかないのに、教えてどうするんだよ。
 ぺぺっと作り変えて、俺は潮くんに文字の打ち方やタブレットでの操作の仕方を教えた。
 この世界にない物だから、潮くんも最初は戸惑っていたけど一時間もしないうちに簡単な操作を覚えてしまった。
 さすが若い子は飲み込みが早い。スマホとかも若い子はすぐに使い方覚えたりするもんな。俺も初めて携帯持った時、ガラケーだったけど特に苦労することはなかったもんな。分かる分かる。
 まぁ、特にスマホはソシャゲやりまくってゲーム機と化してたけど。

「とりあえず、俺の知ってる情報はこの中にまとめてあるから、気になることは検索して調べるといいよ」
「はい。アマネ様、こっちの機能は?」
「ああ、それはカメラ」
「かめら?」

 俺は潮くんの手からタブレットを取り、カメラのアイコンをタップした。
 これで心のフォルダではなく実際のカメラに潮くんの可愛い写真を保存できる。最高じゃないですか。ちゃんと画素数もこだわってますからね。
 俺は一枚写真を撮り、潮くんに見せた。

「え!? これ、僕? 一瞬で絵が描けるんですか!?」
「アハハ! そっか、そう思うのか。これは写真と言って、カメラに写したものをそのまま保存できるんだよ。まぁ、一瞬で描いたっていうのも間違いではないのかな」
「わぁ……凄い、アマネ様の世界は本当に凄いです」

 潮くんが感動してる。
 あとで俺用のタブレットも作って、潮くんを待ち受けにしておこう。
 そうだ。念写も出来るようにしちゃおうかな。
 いやぁ、本当に神様になって良かった。マジで最高。



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