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第24話 どんな世界でも子供は助けるもの
しおりを挟むさて。潮くんが寝てる間に俺もやれることをやっておかないと。
潮くんを起こさないように、静かに水を操作する。
まずは俺が守ってる土地全体に結界を張る。今までも張っていたけど、あの子には通用しなかった。もっと強固なものに変えないといけない。
村や町の方にも水を飛ばして確認してみたけど、みんなの様子に変化はない。人間には何もしていないみたいだ。
ということは、狙いは俺。神様だけってことだな。
あの子は土地を狙っている様子でもなかった。とにかく神様という存在を殺そうとしているだけっぽい。
土地が目的じゃないのに神様を殺しにかかる理由って何だ。神様の力を奪おうとしてるとかだろうか。
あの子は神様を殺して力を奪ったと言っていた。だが、そこからしておかしいんだ。
神様の力は奪うなんて出来ない。俺が潮くんに神力や龍玉を与えたように、譲渡でしか神の力は与えられない。神を殺したら、その時点で力も消える。
でもあの子は神力を使ってる。ということは、あの子に力を上げた神様は生きているはずだ。
だけどあの子が嘘をついているようにも見えなかった。
じゃあ、本当に神の力を奪ったというのか。でもどうやって普通の人間が、しかもあんなに幼い子が神様を殺せるというんだ。
あの子から感じた禍々しい力。呪いが関係しているんだろうか。
駄目だ。いくら考えても分からない。
もっと他の神様と交流しておけばよかったのかな。土地に属さず野良としてフラフラしてる神様だって一応いるし、神獣とかそういう異形の者と交流して情報交換してる神だっている。
そういうコミュニケーションを怠ったツケが今になって来るとは思わなかったな。
とりあえず俺に出来るのは、いつあの子が来ても大丈夫なように準備をしておくこと。
守りを強化して、潮くんに戦うための力を付けてもらう。
俺は眠る潮くんの顔を見る。
本当はそんなことさせたくない。でも、こうなってしまったからには、二人でこの土地を守っていかないといけない。
戦ってくれる潮くんのために、俺は彼を守る。傷一つ付かないように、全力で守ってみせる。
あの子の目的も明らかにして、こんなことを止めさせないと。
あんな力、人間が持っていていいはずがない。あのまま力に飲まれたら、邪神と化すかもしれない。禍者《まがいもの》にでもなったら、取り返しがつかない。
禍者は、人間でも神でもない。この世の者ではなくなるということ。人のような姿であって人でなく、神のような力を持っていても神ではない。あらゆるものに似ているだけの偽物。故に、まがいもの。
まさにあの子はそれになりかけてる。今はまだ人間だけど、こんなことを続けていたらいずれは。
禍者は世界の秩序を乱す。
そうなったら、俺がどうこうしなくてもあの子は他の神々に始末されるだろう。
魂のひとかけらも残さずに。
あの子は、それを知っているのだろうか。知らずにあんなことをしてるなら余計に止めなきゃいけない。
子供が危険なことになっていたら助けたくなるのは、大人として当然のことだよな。
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