22 / 37
第22話 二人で戦おう
しおりを挟む「……ん」
目を覚ますと、俺は潮くんの膝に頭を乗せて寝ていた。
気を失っていたのか。それから、あの少年の気配もない。倒したのか、退いたのか。
「潮くん……」
「アマネ様! 大丈夫ですか!?」
どれほど泣いていたんだろうか。潮くんの目は真っ赤になっていて、顔も涙でびしょ濡れだ。
「ごめんね……大丈夫、とは言い難いけど……あの子は?」
「アマネ様が倒れたのを見て退いていきました。理由は分かりませんが、フラフラしていたので力を使いすぎたのかもしれませんね」
そりゃそうだろうな。俺の腕が吹っ飛ぶほどの強い力を放ったんだから。相当精神力も削られているはず。回復には時間がかかると思うけど、あの子がどういう経由で神の力を手にしたのか分からないから油断は出来ない。
早くこの腕を治さないと。
「……っ、ぐ」
「アマネ様、僕に出来ることはありますか?」
「とりあえず……水の中に……戻ろう……」
この湖ならこの腕も清められる。
潮くんは俺の体を引きずり、湖の中に落としてくれた。
傷口はまるで焼き焦げたみたいに黒くなってる。水に触れた瞬間、呪いが蒸発するように音を立てて溶けていくけど、呪いが消えることを拒むように俺に痛みを与えてくる。
メチャクチャ痛いけど、少しずつ呪いが薄れていってる。
この湖の水でも完全に解けない呪いとか、ちょっとヤバいかもしれないな。まともに食らっていたらマジで俺消えてたかもしれない。
「っぐ、う、うぅ……」
「アマネ様……」
「呪いのせいで、元の姿にも戻れないや……龍の姿の方が回復早いのに……」
「ごめんなさい、僕を守るために……」
「良いんだよ……俺一人じゃ、あの子を立ち退かせることも出来なかったし……潮くんだって、俺を守ってくれたでしょ。ありがとう」
またあの子が来るなら、潮くんの力が必要になる。眷属である潮くんなら人間であるあの少年と戦える。出来れば話し合いで解決したいところだけど、あの子がそれに応じるとは思わないしな。
「……アマネ様。僕、あの時は無我夢中で自分がどうやってあの子に向かって攻撃してるのか理解もせずに戦ってしまいました……もしかしたら殺してしまったかもしれないと、今になって怖くなって……」
「……うん。確かに、潮くんは暴走しちゃってたね。でもあの力を制御できるようになれば、あの子を止められるかもしれない……俺もサポートするから、一緒に頑張ってくれるかな?」
「はい! もうアマネ様をこんな目に遭わせたりしません!」
とりあえず、俺の回復を急がないと。
呪いの解呪に時間を使いすぎてる。このままじゃマズいな。
仕方ない。これは緊急事態だ。
「潮くん、お願いがあるんだけど……」
「はい! 僕に出来ることなら何でもします!」
「うん。俺と交わってほしい」
「はい! …………え!?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
41
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる