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第12話 可愛い君のおねがい
しおりを挟む「冷えてきたね。そろそろ戻ろうか」
「はい、アマネ様」
この雰囲気をもう少し味わっていたい気もするけど、誰かに見られても困る。
今度はゆっくりと地上に降りた。
「たまには夜の散歩もいいかもね」
「はい。とても綺麗でした」
潮くんの方が綺麗だよ、なんて言うのは少し臭いかな。
てゆうか恥ずかしい。俺、そんなキザなこと言うキャラじゃないし。
でも、月明かりに照らされた潮くんは本当に綺麗だった。
「素敵なものを見せてくださって、ありがとうございました」
潮くんはそう言って、俺の額にコツンと頭を寄せた。
今は龍の姿だから抱きしめられないけど、これはこれで悪くない。
小さい潮くん可愛い。この姿だとより小さく感じられる。
「…………あの、アマネ様」
「うん?」
「一個だけ、お願いしてもいいですか?」
「なに?」
潮くんが顔を赤らめながら、モジモジしてる。
照れてる顔も可愛いなぁ。
でもお願いってなんだろ。モジモジして言いづらそうだけど。
もしかして、トイレかな。
神の眷属になったからそういうの必要なくなったはずだけど、違ったかな。俺も眷属なんて初めてだからなぁ。
潮くんの体がどういう状態なのか、ちゃんと把握しないとだよね。
「……さっ、さっきは何も望むことはないと言ってしまった手前、こんなお願いするのは恐縮なのですが……」
「うん?」
そんな遠慮しなくていいのに。
むしろ潮くんの我儘ならなんでも聞いてあげるのに。
さすがに世界征服とかそういう物騒なのは無理だけどさ。
「……き、昨日みたいに……また、口付けをしてくださいますか?」
顔を真っ赤にしながら口元に手を添える潮くんはマジ天使。
カメラがないから心のアルバムにしっかり焼き付けておかないと一生後悔しちゃう。
俺の心の容量は全て潮くんフォルダで埋め尽くすから。
「あの、アマネ様……?」
俺がボーッとしてるせいで潮くんが不安そうな顔になっちゃった。
その顔も可愛いけど、悲しませるのは不本意だ。
てゆうか、そんなの俺からすればお願いされなくてもしたいです。
朝昼晩、いつだってしたいよ。
俺は潮くんの気持ちに応えるために、人間の姿になって彼のことをキュッと抱きしめた。
「そんなの、俺の方からお願いしたいくらいだよ」
「アマネ様……」
「大好きだよ、潮くん……」
そっと潮くんの頬を撫でて、唇を重ねた。
触れるだけのキス。唇の柔らかさを確かめるように、彼の唇を啄みながら口付ける。
何度も、何度も。
「……ん、アマネ、様……」
「口、開けて?」
「……ぁ」
薄らと開いた唇の隙間から、舌を割り入れた。
駄目。我慢出来ない。月明かりを浴びすぎたせいか、体が興奮状態になってる気がする。
「……潮くん、俺もお願いしていい?」
「ん、なん、ですか?」
「また、抱いていいかな?」
「っ、はい……僕も、アマネ様と一つになりたいと、思ってました……」
俺は潮くんを横抱きして、社の中へと移動した。
またこの体を抱きたいと、思ってた。
メチャクチャに、ドロドロに蕩けるほどに、快楽に溺れる君の顔が見たいと、君のいない間、ずっと思っていたんだ。
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