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番外編

ひめごとびより 13日目

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 結局その言葉でウィルフレッドは折れて、マリクは卒業後俺について王宮で暮らすことになった。
 正直心細かったから、物凄くホッとしてる。
 俺が不安な気持ちでいるのを、アーネストがわかっててくれたのも嬉しい。

 正直コイツ大丈夫なんかなって思ったことも忘れて、現金な俺はアーネストは最高の旦那様なんじゃないかなと思い始めていた。他の人にはどうでも、とりあえず俺とお腹の子のことを一番に考えてくれてる。
 俺はもうひとつワガママを言いたいこともあって、そろそろアーネストに、その……ご褒美をあげなきゃダメかなー、なんて思った。
 いや!別に、もっとイチャイチャしたいとか、エッチなことしたいわけじゃないんだけど!!!俺は、そーいうのは適当でいいっていうか、割と淡白な方だと思うし??だけど、アーネストはそうじゃないから、きっとめちゃくちゃ我慢してると思うし、まだ俺の体調も吐きそうとかすっごい悪くなってないから、今のうちにガス抜きさせてあげないといけないかなー、なんて、思っただけで!!!!
 勿論、挿れるのはダメ、それはNG。だけど、他にもやりようはあるって閨教育でも習ったし、やったことないけど、く……口で、とか。あわわ、恥ずかしぬ!!!!!

 でも、やらねばなのだ!だって俺にはアーネストにおねだりしたいことがあるんだから!
 きっと俺から誘って満足させてやれば、アーネストはメロメロになって『何でもお願い聞いてあげるよレニたん』なんて……はわわわ。いっいや、計算通りだから!ちょ、チョロイやつだぜ!

 俺はいそいそとマリクから受け取ったセクシーランジェリーを取り出した。
 マリクに相談したら、『そんなの、ちょっとエッチな勝負下着で爆発しそうに溜まってるマグナムよしよししてあげたら、イチコロだよ』とアドバイスしてくれて、身動きできない俺の代わりに買って来てくれたんだ。
 『僕に任せて!あいつのスケベ心どストライクなやつ用意してあげるから!』と言ってたけど、これ……これを、俺が着るのか???

 正直、めちゃくちゃ怖気づいてる。だって、だって、布地が、透けてるんだもん……!!
 パンツと短いネグリジェみたいなやつのセットなんだけど、どっちも総レースで肌が透けて見える。なにこれ、こんなのどうやって作るんだよ。
 しかも、パンツも布地の面積がものすごく少ない。こんなの、何も着ないより恥ずかしい……!!!

 危うく心が折れかけてしまったけど、俺は何とか自分を奮い立たせて、パンツに足を通そうと決心した。
 アーネストが喜んでくれる顔が見たい。アイツだって、あいつなりに俺とお腹の子のために心を砕いてくれてるんだ。ここで頑張らなきゃ男がすたる。



「よ、よし……!!!やるぞ……!!!」



 そう俺が叫んだと同時に、ガチャ、と寝室のドアが開いた。
 現在この寝室は、俺と、一応たまにならアーネストも使っていいことになっている。勿論、あくまでも添い寝するだけとアーネストは父上から厳命されているけど……。

「レニたん、一緒に寝……」

 入ってきたアーネストは、俺の姿を見て言葉を失ったようだった。
 言っておくけど、まだ着てないからな!まだ!ガウンは着てるし、肌なんか出してない。
 ちょっと、エッチな布地面積の滅茶苦茶少ない透け透けレースパンツを顔の高さまで上げて見てるのを見られただけで……。うう、めちゃくちゃ恥ずかしい!!!!!

 俺は、自分の顔がどんどん熱くなっていくのを感じた。きっと今の俺は、顔面真っ赤に違いない。



「で、出てけ―――――――――――――!!!!!!!!!!!!ムグッ」


  叫んだ俺の口を、慌ててアーネストが塞ぐ。やめろー!この覗き魔ー!!ノックなしで人の寝室に入るなんて最低!!

「落ち着いて、レニたん!今人が来たら、色々説明しなきゃいけなくなる!」

 はっ。
 俺はピタリと叫ぶのをやめた。慌ててメイドが駆けつけて、『何かございましたか』とドア越しに伺いを立てて来たけど、俺は『ちょっと虫が出ただけだから。アーネストが何とかしてくれたから平気』と誤魔化して帰ってもらった。ふう、あぶない。
 こんなエッチな下着を着ようとしたのを家族や使用人たちに知られたら、もう恥ずかしくてここにいられない。

 メイドが納得して去った後は、二人して大きく安堵の溜息を吐いた。
 最悪の事態は、なんとか避けられたぞ……。

「レニたん、ビックリさせてゴメンね。二人の寝室って思ったら、なんか嬉しくてテンション上がっちゃって」

 アーネストが見えない耳と尻尾を下げてシュンとする。
 それを見ると、何だか可哀想で、俺も悪かったなって思った。勝手にサプライズしようとして、勝手にテンパって怒鳴ってしまったもんな。反省。

「俺も悪かったよ。怒鳴ってごめんな」

 俺がアーネストの頭を撫でると、アーネストは自分からも俺の手にすりすりした。かわいい。
 そう思うと、霧散した冒険心が再びサービス精神となって現れてくるから不思議だ。

「あ、あのな。えっと……この、下着のことなんだけど」

「うん」

「これは、その。お、お前、色々俺のために考えて、頑張ってくれてるじゃん?だから、俺もなんかお前の喜ぶようなことしてあげたいなって思って、それで」

「俺のために買ってくれたの?」

「ま、マリクが選んでくれたんだ。俺、外出れないから……」

「(天才か、アイツ)」

「えっ?なんて?」
 
 めっちゃ小さい声でアーネストがなんか呟いた気がしたけど、良く聞こえなかった。
 訊きかえしたら、すっごくいい笑顔で『ううん、なんでもない』と返される。ほんとかな。

「あの、気に入らなかったなら別に」

「気に入りましたものすごく着て欲しいですお願いします」

 ビタン、と音がしそうな勢いでアーネストが床に這い蹲った。ピェッ。
 この動き、おばあさまに謝罪した時もしてたけど、なんなんだろ。こわい。
 でも、多分なんか必死さの現れ?なんだよな、多分。

 期待させるだけさせて今更ムリというのは忍びない。ここはひとつ、やるしかないか……!




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