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番外編
ひめごとびより 4日目
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レニたんがいない。
それだけで、薔薇色の学園生活は、クソみたいに味気ないものになる。噛み終わったガムみたいに、吐き出したくなる不快感。
レニたんに毎日会いに行きたいけど、やりたくもない生徒会の仕事が溜まってくと、後でツケを払うハメになる。
今回レニたんが体調崩したのも、俺のせいかもわかんない。マジで自己嫌悪。
俺がフラストレーション溜まりまくるから、そのためにレニたんは殆ど毎日みたいに生徒会に来てくれるようになって、しかもレニたん真面目で健気だから、ほっときゃいいのに他の連中のお世話してくれたり、部外者が触れられるギリギリのラインまで仕事を手伝ってサポートしてくれたりしてた。
最初は生意気にもレニたんの出入りを歓迎してなかった奴等も、今じゃ手のひら返したみたいにデレデレになって、王太子妃になれるのはレニオール様しかいないみたく言ってる。
元々レニたん、超天才とかではないけど、普通にスペック高いからね。突出してない分適切に人の意見を聞いたり頼ったりできる子だし、周囲に色々言われてきたせいか他人の動向にも目敏くて、気配りもできる。何より性格がいい。あとめちゃくちゃ可愛い。あ、そういうとこは俺だけがわかってればいいんだけど!
まあ、そんなだから、俺が仕事溜めると、巡り巡ってレニたんに迷惑がかかるわけ。
病明けにレニたんに負担を掛けるなんて、絶対にさせられない。かと言って、出入りを差し止めたらレニたんがまた自分を責めて気に病んじゃうし、俺の精神も死ぬ。
どうせ灰色なんだから、今更ドブ色になろうが大して変わりゃしない。レニたんのいる薔薇色の生活を余すところなく謳歌するために、今は根性いれるしかないでしょ。
あ、ちなみにお見舞いには朝行ってる。登校前の、ほんの20分ぐらいだけど。
欲を言えばもっとゆっくりしたいけど、お見舞い、お見舞い。それに、朝からレニたんの顔見ておはようのキスして、ちょっとおしゃべりしながらモーニングティーしばいて、行ってきますのキスとか、正直たまりません!新婚ぽい!新婚シチュの先取り!
心なしか公爵家一家の視線が殺されそうに痛いけど、気にしないよ俺は。
ふと、今朝のレニたんの姿を思い出す。
出かける寸前の俺を、もういっちゃうの?みたいな名残惜しい表情で見上げてきて、もう辛抱たまらなくて、色んなものが出ちゃいそうだったよね。許されるなら学校なんかブッチしてずーっとレニたんといたい。
でも、流石に出禁はまずいから、俺もめちゃくちゃ涙を飲んだ。
「レニたん、もう行かなきゃ」
「うん……そうだよな。そろそろ出なきゃ遅刻する」
「また明日来るからね、行ってきます、レニたん」
チュッ、と俺がレニたんの頬にキスすると、レニたんはちょっと驚いて、それから頬を淡く染めて眉を下げた。
俺が期待した目でじっと見つめると、おずおずと戸惑いながら俺の肩に手を伸ばす。
「い、行ってらっしゃい……。学校、がんばれ」
レニたんは、ちょっと背伸びをしながら俺の頬にキスをした。やばい。幸せ過ぎて死にそう。人は幸福でしねる。
「会長、どうかお戻りを」
3度目のトリップに、副会長が紅茶を出しながら声をかけてくる。
しけた顔ぶれだけど、仕事をしなくてはならないのは本当だから仕方ない。
「あーあ、レニたんが『ちゃんと仕事しないとダメだぞ♡』ってしてくれたらめっちゃやる気出るのになー。副会長のしけた顰め面じゃ萎えだよ、萎え。はーあ」
「会長、全て口に出ていますが」
「紅茶マズイなぁ……マリクはお茶淹れるのうまいからな。いや、まてよ?レニたんお茶淹れるの下手くそなんだよな。そう思うと飲めるわ。レニカフェって感じだわ。『しょうがないだろ、初めてなんだから……』って恥ずかしそうに睨んでくるのほんとたまらない。かわいすぎる。2億点あげれる」
俺は俄然やる気が湧いてきて、バリバリとペンを走らせて仕事を始めた。
そうだ。今度俺の俺による俺のためだけのレニたんカフェ作ろう。レニたんの幼少期から今までの肖像画と、レニたんの好きなスイーツとレニたんをイメージしたドリンクと、レニたんが作った風のフード。メイド姿の等身大パネルと、レニたんからのプレゼント飾って、思い切りレニたんを堪能する。
土下座してお願いしたら、オムライスにケチャップでハートマーク書いて萌え萌えキュン♡してくれるかな。してくれるなら一億出してもいい。
「ハートマーク書くだけで一億……」
書記がゴクリ、と喉を鳴らす。やべ、どっから口に出てたんだろ。
まあ、俺がレニたんの愛の奴隷だってことなんか、皆知ってるから今更どうだっていいか。
レニたんが善良な平和を愛する天使みたいな子なのを、皆はもっと感謝して讃えてどうぞ。
レニたんが『アーネスト、俺世界が欲しいな♡』って言ったら、俺はやるよ。
銃火器も毒ガスもダイナマイトも作るし、簡易型無線機作って本気出す。三世代ぐらいオーバーテクノロジー起こしてやるからね。
基本、ゴムと電気と石油と金属あれば何でもできるんだよ。ゴムはもうあるし、石油掘ればプラスチックもいける。この世界のDr.STONE目指すから。
まあ、実際はレニたんが悲しむからそんなこと起こらないんだけどね。
目下の研究目標は、スワンボートの製作と、馬車のタイヤだよ。居心地のいい馬車作って新婚旅行なんて行ったら、レニたんは絶対に喜ぶ。アーネストすごい!大好き♡抱いて♡なんてね、ムフフ……。
新婚旅行といえば、来年の春には卒業だから、秋には結婚式だ。そっちも待ち遠しい。
もう何回もしてるけど、やっぱり初夜は特別だし。
そんでもって、ハネムーンベイビーとか出来ちゃったりしたら最高!赤ちゃんがお腹にいる間は激しいエッチは我慢しなきゃだけど、やり方は他にも色々あるからね。
普段はレニたんがやらせてくれなさそうなあんなこととかこんなことを、ワンチャンおねだりできる。
やっぱり、その時のために早急にビデオカメラ作るべきかもじゃないか?これは。
あまりにも気が早いことを考えて、俺は今のうちにレニたんといっぱい激しいエッチしとかなきゃ、と不埒な決意を燃やしていた。
それだけで、薔薇色の学園生活は、クソみたいに味気ないものになる。噛み終わったガムみたいに、吐き出したくなる不快感。
レニたんに毎日会いに行きたいけど、やりたくもない生徒会の仕事が溜まってくと、後でツケを払うハメになる。
今回レニたんが体調崩したのも、俺のせいかもわかんない。マジで自己嫌悪。
俺がフラストレーション溜まりまくるから、そのためにレニたんは殆ど毎日みたいに生徒会に来てくれるようになって、しかもレニたん真面目で健気だから、ほっときゃいいのに他の連中のお世話してくれたり、部外者が触れられるギリギリのラインまで仕事を手伝ってサポートしてくれたりしてた。
最初は生意気にもレニたんの出入りを歓迎してなかった奴等も、今じゃ手のひら返したみたいにデレデレになって、王太子妃になれるのはレニオール様しかいないみたく言ってる。
元々レニたん、超天才とかではないけど、普通にスペック高いからね。突出してない分適切に人の意見を聞いたり頼ったりできる子だし、周囲に色々言われてきたせいか他人の動向にも目敏くて、気配りもできる。何より性格がいい。あとめちゃくちゃ可愛い。あ、そういうとこは俺だけがわかってればいいんだけど!
まあ、そんなだから、俺が仕事溜めると、巡り巡ってレニたんに迷惑がかかるわけ。
病明けにレニたんに負担を掛けるなんて、絶対にさせられない。かと言って、出入りを差し止めたらレニたんがまた自分を責めて気に病んじゃうし、俺の精神も死ぬ。
どうせ灰色なんだから、今更ドブ色になろうが大して変わりゃしない。レニたんのいる薔薇色の生活を余すところなく謳歌するために、今は根性いれるしかないでしょ。
あ、ちなみにお見舞いには朝行ってる。登校前の、ほんの20分ぐらいだけど。
欲を言えばもっとゆっくりしたいけど、お見舞い、お見舞い。それに、朝からレニたんの顔見ておはようのキスして、ちょっとおしゃべりしながらモーニングティーしばいて、行ってきますのキスとか、正直たまりません!新婚ぽい!新婚シチュの先取り!
心なしか公爵家一家の視線が殺されそうに痛いけど、気にしないよ俺は。
ふと、今朝のレニたんの姿を思い出す。
出かける寸前の俺を、もういっちゃうの?みたいな名残惜しい表情で見上げてきて、もう辛抱たまらなくて、色んなものが出ちゃいそうだったよね。許されるなら学校なんかブッチしてずーっとレニたんといたい。
でも、流石に出禁はまずいから、俺もめちゃくちゃ涙を飲んだ。
「レニたん、もう行かなきゃ」
「うん……そうだよな。そろそろ出なきゃ遅刻する」
「また明日来るからね、行ってきます、レニたん」
チュッ、と俺がレニたんの頬にキスすると、レニたんはちょっと驚いて、それから頬を淡く染めて眉を下げた。
俺が期待した目でじっと見つめると、おずおずと戸惑いながら俺の肩に手を伸ばす。
「い、行ってらっしゃい……。学校、がんばれ」
レニたんは、ちょっと背伸びをしながら俺の頬にキスをした。やばい。幸せ過ぎて死にそう。人は幸福でしねる。
「会長、どうかお戻りを」
3度目のトリップに、副会長が紅茶を出しながら声をかけてくる。
しけた顔ぶれだけど、仕事をしなくてはならないのは本当だから仕方ない。
「あーあ、レニたんが『ちゃんと仕事しないとダメだぞ♡』ってしてくれたらめっちゃやる気出るのになー。副会長のしけた顰め面じゃ萎えだよ、萎え。はーあ」
「会長、全て口に出ていますが」
「紅茶マズイなぁ……マリクはお茶淹れるのうまいからな。いや、まてよ?レニたんお茶淹れるの下手くそなんだよな。そう思うと飲めるわ。レニカフェって感じだわ。『しょうがないだろ、初めてなんだから……』って恥ずかしそうに睨んでくるのほんとたまらない。かわいすぎる。2億点あげれる」
俺は俄然やる気が湧いてきて、バリバリとペンを走らせて仕事を始めた。
そうだ。今度俺の俺による俺のためだけのレニたんカフェ作ろう。レニたんの幼少期から今までの肖像画と、レニたんの好きなスイーツとレニたんをイメージしたドリンクと、レニたんが作った風のフード。メイド姿の等身大パネルと、レニたんからのプレゼント飾って、思い切りレニたんを堪能する。
土下座してお願いしたら、オムライスにケチャップでハートマーク書いて萌え萌えキュン♡してくれるかな。してくれるなら一億出してもいい。
「ハートマーク書くだけで一億……」
書記がゴクリ、と喉を鳴らす。やべ、どっから口に出てたんだろ。
まあ、俺がレニたんの愛の奴隷だってことなんか、皆知ってるから今更どうだっていいか。
レニたんが善良な平和を愛する天使みたいな子なのを、皆はもっと感謝して讃えてどうぞ。
レニたんが『アーネスト、俺世界が欲しいな♡』って言ったら、俺はやるよ。
銃火器も毒ガスもダイナマイトも作るし、簡易型無線機作って本気出す。三世代ぐらいオーバーテクノロジー起こしてやるからね。
基本、ゴムと電気と石油と金属あれば何でもできるんだよ。ゴムはもうあるし、石油掘ればプラスチックもいける。この世界のDr.STONE目指すから。
まあ、実際はレニたんが悲しむからそんなこと起こらないんだけどね。
目下の研究目標は、スワンボートの製作と、馬車のタイヤだよ。居心地のいい馬車作って新婚旅行なんて行ったら、レニたんは絶対に喜ぶ。アーネストすごい!大好き♡抱いて♡なんてね、ムフフ……。
新婚旅行といえば、来年の春には卒業だから、秋には結婚式だ。そっちも待ち遠しい。
もう何回もしてるけど、やっぱり初夜は特別だし。
そんでもって、ハネムーンベイビーとか出来ちゃったりしたら最高!赤ちゃんがお腹にいる間は激しいエッチは我慢しなきゃだけど、やり方は他にも色々あるからね。
普段はレニたんがやらせてくれなさそうなあんなこととかこんなことを、ワンチャンおねだりできる。
やっぱり、その時のために早急にビデオカメラ作るべきかもじゃないか?これは。
あまりにも気が早いことを考えて、俺は今のうちにレニたんといっぱい激しいエッチしとかなきゃ、と不埒な決意を燃やしていた。
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