【完結】俺を散々冷遇してた婚約者の王太子が断罪寸前で溺愛してきた話、聞く?

ゴルゴンゾーラ安井

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17.薄情なロミオ※ちょいエロ

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「んっ、ふ……んんん」

 俺はアホだ。悠長に登って来てるのを眺めてる場合じゃなかった。
 お陰で俺は今こうしてアーネストに抱き締められ、本日二度目の唇を奪われている。
 舌を入れられ、慌てて抵抗しようとしたけど、驚いたのなんかほんの数秒で、すぐにへにゃへにゃになってしまった。どういうことなんだよ、まじで。

 本格的に息が苦しくなってきた頃に、ようやっと唇が離れた。息は楽になったけど、かわりに物足りなさが襲ってくる。

「ふふっ、物足りそうな顔してる」

 アーネストが笑いながら、親指の腹で俺の唇を拭った。
 どちらの物かもわからない唾液で滑る、ぬるぬるとした感触は、俺の劣情を強烈に煽る。
 もっとしたい。あの整った唇で暴かれ、強く抱きしめられたい。
 俺の意志を越えたところで、俺の本能が叫んだ。

「もっとする?」

 悪魔のささやきに、俺は勝てなかった。その言葉を待ってた気さえする。
 俺は小さく頷き、無意識に自分から強請るように唇を差し出した。
 再び唇が重ねられ、アーネストの舌が咥内を蹂躙する。与えられる快感は麻薬のようで、どれほど重ねても満足することがない。

 だんだんと力が入らなくなってきた俺の体をアーネストが抱え上げ、ベッドまで連れて行かれる。
 ぼんやりと、ああ、俺はこのまま食べられちゃうのかな、と思った。
 恐怖は全くなくて、むしろそうなるのが自然みたいに思える。あるのは、持て余した熱とほんの少しの好奇心だけだった。
 
「だめだよ、レニ。そんな顔されると我慢できなくなる」

 今更我慢なんて笑わせる。俺の都合なんて今まで全部無視して、やりたい放題だったくせに。
 そう俺が目で訴えても、アーネストはベッドに乗って来なかった。それどころか、俺の服を整えて、ご丁寧に寝具を掛けてくる。

「今日のところは帰るね。おやすみ、レニたん」

 ちゅっ、と額に小さなキスを落とし、アーネストは俺が止める間もなく、再び窓から去って行った。
 突然放り出された俺は、何が起こったのかわからなかったほどだ。


(えっ、マジ?帰った?この状況で?????マジで???)




「はああああああああああああああああああ!!!!!?????」

  俺は叫びながらガバッと身を起こすと、布団を体から跳ね上げた。
 
(なんだそれ!?ここは押すとこだろ!?テメーは不能かよ!!)

 一方的に盛り上げられた体は、全然おさまらない。俺だって男なんだから、このままハイおやすみと寝られるわけないだろ!
 ものすごく迷ったけど、俺はおずおずと下に手を伸ばし、自身のモノをゆるゆると扱き上げる。躊躇いはすぐに消え、俺は夢中になって自慰に溺れた。きもちいい。
 考えてみれば、ずっとアイツがくっついてきたおかげで、移動中はずっとご無沙汰だった。俺はそんなに溜まるタイプではないから、欲求には火が点きにくいタイプなんだけど、そのかわり一度火が付いちゃうと大変なんだ。

「あっ、あ、あ、ああっ」

 抑えなきゃいけないと思うのに、声が出てしまう。感じやすい体が恨めしい。
 快感を貪りながら、俺は無意識に自分の手をアーネストの者と重ねていた。大きな手のひらと、節くれ立った指。唇を拭ったあの感触が思い出されて、俺の体は熱くなる。
 レニたん、と耳元で囁く幻聴に促されて、俺は手の中に遂情した。
 アーネストで抜いてしまうなんて最悪だったけど、一度では我慢できず、二度三度と同じような、もっとすごいことも想像しながら吐精する。
 あらかた出して後始末を済ませ、頭から熱が引くと同時に、急に虚しさが襲ってきた。

(なんで?なんで帰っちゃったんだ?俺としたくなかった?)

 そう思うと、すごく悲しかった。悲しくて、虚しくて、泣きたくなる。
 実際ちょっと涙が出てきて、俺はそのままベッドに潜りこんで眠った。



  
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