World Express 〜様々な平行世界を渡る列車の記録〜

焼飯学生

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蒸機世界編

第24話 街に入る条件

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野原の上に一時停車したアースノアだったが、ここでは危険だと判断したのか、ゆっくりとアースノアは移動を始めた。

「んじゃあ、俺らは行くメンバーを決めるか」

アースノアが移動する中、俺らは街に向かうメンバーを決めることにした。

「取り敢えず、ランは留守番かな~」
「っ!」

留守番と言われたランは驚いた後、涙目になり始める。

「本当にごめんラン。でもね、今回の世界は君の姿がバレたら不味いんだよ…誰か一人残るからいいかな…?」

ランが涙目になってすぐ、俺は説得を試みる。

「………」

ランは少し黙り込み続けた後、こくりと小さく頷いて了承してくれた。

「…ねぇ、誰か残るの?」

一人ランと共に留守番させると言った点をノアが着いてきた。

「私は行きたいよ」

ノアがじっとこちらを見ながら、自分は行きたいと懇願してくる。
ノアが行くとなると、俺かマリナ姐さんが着いていくしかない。

「どうすっかな~…」

頭を搔いて悩みながら、俺はマリナ姐さんの方を見た。

「…分かったわ、今回は私がランちゃんと留守番しておくわ」
「ありがとうございます」

俺と目が合って、察してくれたマリナ姐さんが、留守番すると名乗り出てくれた。
マリナ姐さんに深々と頭を下げて礼を述べた。

「それじゃあノア、さっさと準備するぞ」
「はーい!」

アースノアが進む中、俺とノアはそれぞれの部屋に戻り、出発の準備を整えることにした。





暫くしてアースノアは、細長い洞窟を発見してそこに後進して入っていく。

「お待たせ!」

アースノアが洞窟に入ってから数分後、ようやくノアが部屋から出てきた。
女子の支度は時間が掛かると聞くため、俺は何も言わずにノアを待っていた。

「行く前に、これをつけてくれ」
「…マスク?」
「フェイスマスクな」

俺はノアに口と鼻を覆える特殊なフェイスマスクを渡した。

「実はな。さっきこの世界の大気圏がかなり汚染されているのが分かってな…それから身体を守るためのマスクだ」

フェイスマスクを付ける理由を述べながら、俺は自分の分のフェイスマスクを付けた。

「もしかしてさ、あの曇って…」

冷や汗を垂らしながら、ノアは空を覆っている曇のことを訪ねてきた。

「ご名答。有害物質マシマシの曇だ」
「…」

有害物質の曇と聞き、ノアは言葉を失った。

「だ、大丈夫なの!?思いっきり曇の中に突入してたけど!?」

有害物質がアースノアに入ってきてないか、ノアは必死に聞いてくる。

「アースノアは次元障壁ともう1つ、超高圧電磁障壁というのが、膜のようにアースノアを覆っているんだよ。それがある限り、アースノアの空気が抜けたり、変なのが入ってくることは無い」
「それなら良かった~…」

アースノアを覆っている超高圧電磁障壁について説明すると、ノアは納得して安心してくれた。

「まぁ、という訳だ…早くそのフェイスマスクをつけて、街に向かおうか」
「うん!」

ノアがフェイスマスクをしっかりと着けたを確認した後、街に向かうことにした。
余談だが、街の位置はルナに粗方の地図を書いてもらったお陰で把握出来ている。
コンパスとルナの地図を使い、俺とノアは街に向かった。





無事に上空から発見した街がある位置に辿り着くことが出来たのだが、

「うわー…大きな壁~……」

街は何百mにも及ぶ壁で囲われていた。
検問所のような場所がないか辺りを見渡してみると、列に並んでいる人を見つけることが出来た。

「並ぶか」
「うん!」

街の中に入るため、俺らは長蛇の列に並ぶことにした。
待ち時間、俺は列に並んでいる人たちの様子を見てみる。
大きな荷物を背負った者、俺らのような鞄を持っている者、荷台を引いている者など、様々な人が居るが、全員が共通してマスクのような物をつけていた。
有害物質垂れ流しか…世界終わるぞ
有害物質の垂れ流しの酷さに呆れながら、1時間程待っていると、

「次の者入れ!」
「はーい!」

俺らの出番になった。ノアが元気よく返事をしながら、俺らは甲冑で全身を覆っている兵士に部屋の中へと案内された。

「手荷物を全て出せ!」

兵士にそう言われたため、俺は空の財布、交換用のインゴット2本、ハンカチ、銃、刀を、ノアは空の財布、香水をそれぞれ出した。

「この武具を何故持っている?」

兵士は俺が持ってきた銃と刀を指差しながら、聞いてくる。

「俺達は旅人でね。強盗とかそこら辺の対策だよ…この街に寄ったのも、金の確保が目的だ」

兵士からの質問に、俺は旅人ということを装い、インゴットを指さしながら、この街に来た目的も伝えた。

「なるほど…だが、銃を旅人が手に入れることは出来ないと思うか?」

ペンで紙に記録を書きながら、兵士は銃を保有している理由を述べてくる。
銃持ってくるんじゃなかったなー
そんなことを思いつつ、俺は戸惑うことなく質問に答えることにした。

「俺らを襲った強盗が持っていて、戦利品として頂いてきたのですよ」
「…ふむ、なるほど」

答えを受けた兵士は、少し俺を見つめた後、紙に記録を描き進める。

「武器が使えないよう拘束器具を使用を許可するならば、街に入ることを許そう」
「なら、そうしてくれ。俺も疑われ続けるのは気分が良くないのでね」
「了解した」

俺からの許可を得て、兵士は武器が使えないように器具を付け始める。
刀は鞘から抜けないよう鎖と錠を付けられ、銃は銃口に栓を居られ、刀と同じようにされた。

「街を出る際、言ってくれたら外そう…では通行を許可する」
「はーい。ありがとう」

武器が使えないようにされたが、無事俺らは街の中に入る許可を手に入れることができた。
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