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第九章〜世界大戦〜
第103話 こんごう型高速巡洋艦
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光太郎と剛士が立案した山型計画は、立案から一週間後に始まったのだが、早々に壁にぶつかった。
「これはまた…複雑な主機だな…」
鋼鉄島の大型工房にて、ワルフ、三助、京介の3名は、とある図面と睨めっこしていた。
3人が見ている図面は、色々な知識を蓄えているユキが書き出した、未来のガスタービンの設計図だった。
「ながとやむつのガスタービンの2分の1の大きさで、同出力…それ故に多く搭載して速力を上げるか…流石60年後の技術だな…」
設計図を見ながら京介は驚く。
「参考までに貰ってきたが、このポンプジェット式の推進器も凄いな…相当な機関ではないと、燃費が悪過ぎて使えんぞ」
紀伊に採用されているウォータージェット推進器の設計図を見ながら、三助も驚く。
「取り敢えず、このポンプジェット式推進器を1基、スクリュープロペラを2基搭載すると考えで良いか?」
未来の技術に驚いている2人に、ワルフはこんごう型巡洋艦に搭載する推進器の種類を確認する。
「ですね…山本司令長官は、対艦戦闘ができ速力が早い艦艇を望んでいるようなので」
ワルフからの質問に、三助は光太郎の意図を汲み取りながら、そうすると伝える。
「と、なると機関はこれを採用するしかないな……」
強力な推進器を搭載するとなったことで、京介は未来のガスタービン搭載を決意する。
「これを元に作るのは骨が折れるな…」
「まぁ、難しければ難しい程、やってみる価値があるというものだ!頑張るしかない!」
未来のガスタービンの製造に三助が途方暮れる中、ワルフは励ました。
「それでは、早速製作にかかりましょうか」
そして3人は、ガスタービンの製作に取り掛かった。
未来のガスタービン製造には、1ヶ月もの時間がかかったが、三助達お陰で無事完成させることが出来た。
日丸型艦本式ガスタービンエンジン。ながと型が搭載しているガスタービンエンジンの2分の1の大きさでありながら、同出力の小型エンジンで完成した。
搭載するエンジンが決まったことで、こんごう型巡洋艦はあっという間に建造が進んだ。ガスタービン開発期間に、その他の武装を制作していたおかげで、ガスタービン開発から1ヶ月半ほどで、一番艦のこんごうが完成した。
○
「これがこんごうか…」
光太郎と信介は完成したこんごうを見るために、鋼鉄島の船渠に居た。
こんごう型巡洋艦一番艦こんごう。全長181m、魔導炉1基、主機日丸型艦本式ガスタービンエンジン3基、電動機2基、スクリュープロペラ2基、ポンプジェット式推進器1基をスクリュープロペラに挟むように搭載したことにより、推定の最高速力は、35ノット以上だと言われている。武装は剛士が提案した物が搭載しており、数としては15.5cm単装砲2基、高性能20mm機関砲2基、12式地対艦誘導弾能力向上型六連装発射筒2基、垂直噴進弾発射管64セル+32セル、四連装短魚雷発射管2基となった。
「しかし、推定最高速度は35ノット以上となると、もはや高速巡洋艦だな…」
こんごう型の性能が書かれてある紙を見ながら、信介はそう話す。
「なら、こんごう型高速巡洋艦に改めるか…」
信介の高速巡洋艦という言葉が気に入った光太郎は、艦種を改めることにした。
「それで、どれだけの数を作る予定だ?」
首を傾げながら、信介は光太郎にこんごう型の予定建造数を聞く。
「最低でもこちらは2隻は欲しい…桜守艦隊にも配属するとなれば……3隻から6隻ぐらいか?まぁ、竹田首相と話し合ってからだがな」
光太郎は少し考えてから、建造予定の数を答える。
「と、なると…ながとやむつの技術を共有する予定なのか?」
こんごう型を量産していくと聞いた信介は、セレーネ連邦国とシュヴァルツにながと型の技術を共有するのかと聞く。
「まぁ1部技術だけだがな…」
信介からの質問に、光太郎は一部だけ技術共有すると話した。
「それもそうだな…一気に共有したら、向こうの戦力が上回ることになるからなぁ…少しづつ出していくのがいいんだろう」
光太郎の答えを聞いた信介は、両腕を頭の後ろにやりながら、一部だけ技術共有をやることに納得した。
「そういえば、こんごうの艦長には誰が就任する予定なんだ?」
「お前、資料読んでないのか…ほらこれ見ろ」
資料を読んでいない信介に呆れつつ、光太郎は1枚の紙を渡した。
「へ~、春菜ちゃんが初代艦長になるのか…」
その紙にはこんごうの初代艦長に、春菜が就任すると書かれてあった。
「ああ…ながと艦長を副長に任せ、こんごう艦長に就任することになった…こんごう型は最新鋭艦故に練度が高い者が艦長になる必要があった。練度が高くこういった艦艇の扱いになれている者となったら、山稜が候補にあがり、選ばれることになったんだ」
光太郎は春菜がこんごうの初代艦長に選ばれた理由を述べた。
「ふ~ん……もしかして、彼女に好かれたいからって理由もあったり?」
「海の中に沈めるぞ」
理由を聞いた信介は、ニヤリと笑みを浮かべながら光太郎をからかい、からかわれた光太郎は、怖い顔をしながら脅した。
「おー怖い怖い…それじゃあ、俺は艦内を見てくる」
「変なことするなよ?」
「わかっているって!」
光太郎から釘を刺されつつ、信介は艦内見学をするためにこんごうの元へと向かった。
「私と山稜の関係でからかって、何が楽しいのやら…」
信介率いるくっつかせ隊の者達に、呆れつつ光太郎は煙草に火をつけて吸い始めた。
「……まぁ、悪くはないかもしれないがな…」
煙を吐いた後、光太郎は1人そう呟いた。
「これはまた…複雑な主機だな…」
鋼鉄島の大型工房にて、ワルフ、三助、京介の3名は、とある図面と睨めっこしていた。
3人が見ている図面は、色々な知識を蓄えているユキが書き出した、未来のガスタービンの設計図だった。
「ながとやむつのガスタービンの2分の1の大きさで、同出力…それ故に多く搭載して速力を上げるか…流石60年後の技術だな…」
設計図を見ながら京介は驚く。
「参考までに貰ってきたが、このポンプジェット式の推進器も凄いな…相当な機関ではないと、燃費が悪過ぎて使えんぞ」
紀伊に採用されているウォータージェット推進器の設計図を見ながら、三助も驚く。
「取り敢えず、このポンプジェット式推進器を1基、スクリュープロペラを2基搭載すると考えで良いか?」
未来の技術に驚いている2人に、ワルフはこんごう型巡洋艦に搭載する推進器の種類を確認する。
「ですね…山本司令長官は、対艦戦闘ができ速力が早い艦艇を望んでいるようなので」
ワルフからの質問に、三助は光太郎の意図を汲み取りながら、そうすると伝える。
「と、なると機関はこれを採用するしかないな……」
強力な推進器を搭載するとなったことで、京介は未来のガスタービン搭載を決意する。
「これを元に作るのは骨が折れるな…」
「まぁ、難しければ難しい程、やってみる価値があるというものだ!頑張るしかない!」
未来のガスタービンの製造に三助が途方暮れる中、ワルフは励ました。
「それでは、早速製作にかかりましょうか」
そして3人は、ガスタービンの製作に取り掛かった。
未来のガスタービン製造には、1ヶ月もの時間がかかったが、三助達お陰で無事完成させることが出来た。
日丸型艦本式ガスタービンエンジン。ながと型が搭載しているガスタービンエンジンの2分の1の大きさでありながら、同出力の小型エンジンで完成した。
搭載するエンジンが決まったことで、こんごう型巡洋艦はあっという間に建造が進んだ。ガスタービン開発期間に、その他の武装を制作していたおかげで、ガスタービン開発から1ヶ月半ほどで、一番艦のこんごうが完成した。
○
「これがこんごうか…」
光太郎と信介は完成したこんごうを見るために、鋼鉄島の船渠に居た。
こんごう型巡洋艦一番艦こんごう。全長181m、魔導炉1基、主機日丸型艦本式ガスタービンエンジン3基、電動機2基、スクリュープロペラ2基、ポンプジェット式推進器1基をスクリュープロペラに挟むように搭載したことにより、推定の最高速力は、35ノット以上だと言われている。武装は剛士が提案した物が搭載しており、数としては15.5cm単装砲2基、高性能20mm機関砲2基、12式地対艦誘導弾能力向上型六連装発射筒2基、垂直噴進弾発射管64セル+32セル、四連装短魚雷発射管2基となった。
「しかし、推定最高速度は35ノット以上となると、もはや高速巡洋艦だな…」
こんごう型の性能が書かれてある紙を見ながら、信介はそう話す。
「なら、こんごう型高速巡洋艦に改めるか…」
信介の高速巡洋艦という言葉が気に入った光太郎は、艦種を改めることにした。
「それで、どれだけの数を作る予定だ?」
首を傾げながら、信介は光太郎にこんごう型の予定建造数を聞く。
「最低でもこちらは2隻は欲しい…桜守艦隊にも配属するとなれば……3隻から6隻ぐらいか?まぁ、竹田首相と話し合ってからだがな」
光太郎は少し考えてから、建造予定の数を答える。
「と、なると…ながとやむつの技術を共有する予定なのか?」
こんごう型を量産していくと聞いた信介は、セレーネ連邦国とシュヴァルツにながと型の技術を共有するのかと聞く。
「まぁ1部技術だけだがな…」
信介からの質問に、光太郎は一部だけ技術共有すると話した。
「それもそうだな…一気に共有したら、向こうの戦力が上回ることになるからなぁ…少しづつ出していくのがいいんだろう」
光太郎の答えを聞いた信介は、両腕を頭の後ろにやりながら、一部だけ技術共有をやることに納得した。
「そういえば、こんごうの艦長には誰が就任する予定なんだ?」
「お前、資料読んでないのか…ほらこれ見ろ」
資料を読んでいない信介に呆れつつ、光太郎は1枚の紙を渡した。
「へ~、春菜ちゃんが初代艦長になるのか…」
その紙にはこんごうの初代艦長に、春菜が就任すると書かれてあった。
「ああ…ながと艦長を副長に任せ、こんごう艦長に就任することになった…こんごう型は最新鋭艦故に練度が高い者が艦長になる必要があった。練度が高くこういった艦艇の扱いになれている者となったら、山稜が候補にあがり、選ばれることになったんだ」
光太郎は春菜がこんごうの初代艦長に選ばれた理由を述べた。
「ふ~ん……もしかして、彼女に好かれたいからって理由もあったり?」
「海の中に沈めるぞ」
理由を聞いた信介は、ニヤリと笑みを浮かべながら光太郎をからかい、からかわれた光太郎は、怖い顔をしながら脅した。
「おー怖い怖い…それじゃあ、俺は艦内を見てくる」
「変なことするなよ?」
「わかっているって!」
光太郎から釘を刺されつつ、信介は艦内見学をするためにこんごうの元へと向かった。
「私と山稜の関係でからかって、何が楽しいのやら…」
信介率いるくっつかせ隊の者達に、呆れつつ光太郎は煙草に火をつけて吸い始めた。
「……まぁ、悪くはないかもしれないがな…」
煙を吐いた後、光太郎は1人そう呟いた。
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