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第七章~日丸国建国祭~

第70話 建国祭開幕

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朝、藤月はバタバタしていた。
何せ、主要人物達が朝まで宴会を行っていたからだ。幸い、開会式にはまだ時間があるのだが、着替えやら風呂やらで、全員が慌てていた。

「はーい皆さん、順番に並んでくださーい」

大桜にて、数十人が列を成して、アーミヤから回復魔法をかけてもらっていた。
アーミヤが覚えている魔法の中には、アルコールをある程度分解し、二日酔いを改善する物があるので、頭痛が酷いものから順番に受けている。

「どうして、この人達より酒を飲んだ光太郎さんは、平然としているのでしょう…」

「考えるだけで無駄だぞ、あいつは酒自身と言われた人と対等に渡り合える化け物だ…」

信介の二日酔いを癒しているアーミヤは光太郎の酒の強さに疑問を持ち、信介は光太郎を化け物と評する。

「というか、貴方が呑み勝負なんて始めるから、被害が甚大になってるのですよ?」

「酔った勢いおいで提案しました。大変申し訳ございません…」

光太郎との呑み勝負を全員に勧めた信介をアーミヤは叱り、叱られた信介は頭を下げて謝る。

「それで、貴方は脆すぎません?」

「はい…」

アーミヤは、自身の部下に回復魔法で怪我を骨折を治して貰っているファルトの方を見る。
ファルトは酔った勢いで、八連勝中の春菜に挑み、一撃で撃沈された上に、そのせいで骨折したのだ。

「はい、終わりました…では次の人」

「ありがとう」

治療が終わり、信介は準備をするために大桜から出ていく。
信介の次にアーミヤの前に出てきたのは、トムヤードだった。

「…ローベルト首相、何故あんな無謀な戦いに挑んだのですか?」

「ぐうの音も出ない……」

治療を始めながら、アーミヤはトムヤードに光太郎に挑んだ理由を聞く。
呑み勝負の時、酒に強くないのに、トムヤードは何故か参加し、11人の中で最初にリタイアしたのだ。

「建国祭中は、お酒が飲めないようにした方がいいですかね~」

「それは本当に困るからやめてくれ」

酒が飲めなくなる呪術を使おうとするアーミヤを、日丸国の酒を沢山飲みたいトムヤードは必死に止める。

「冗談です」

「は、はっはっはっ…」

アーミヤの言葉を冗談に受け取れきれないトムヤードは苦笑いし、内心では

(可能な限り、酒を飲む量を控えるとしよう…)

と、一人誓った。
そんなことがありつつも、主要人物達の準備は開会式までに間に合った。





午前10時前の千尋島観覧会場。
そこには、日丸国から招待を受けたセレーネ連邦国に所属する国々のお偉いさんや、限定抽選に当たった一般人達が開幕を今か今かと待っていた。
時計が10時を指す数分前に、観覧席の前の方にあるステージに、楽器を持って人が並び始める。
そして、時計が10時を指し、それと同時に時計台から鐘が鳴り始める。
鐘が鳴り終えるのと同時に、マイクを持ってステージに立っていた海軍女性の一人が、某宇宙戦艦の無限に〇がる大〇宙を歌い始める。
観客はそれを無言で聞き続ける。曲が進むにつれ、その心地よい声とリズムに、安心して眠気が襲われる者が増え始めたその時、航空戦艦信濃艦長、光佑が前に出てくる。
出てきた光佑が、マイクを握った瞬間、演奏していた曲が一瞬にして変わり、某宇宙戦艦のOPの曲が流れ始め、それと同時に大和と武蔵が観覧会場の目の前に、姿を現す。
眠気に襲われていた者達は、一瞬にして眠気が吹き飛び、大和に注目する。

「あれが大和か!」

「なんというデカさ!」

大和のデカさに全員が席を立ち、少しでも前に出て、その姿を見ようとする。
光佑がノリノリで歌う中、大和と武蔵は観覧会場の目の前に、大和と武蔵の順に横に並んだ。

「や~っま~っと~~っ!」

光佑が歌い切って曲が終わるのと同時に、会場は拍手に包まれた。
曲が終わると、光成が前に出てきて、光佑からマイクを受け取った。

「本日はお集まり頂きありがとうございます。私が日丸国首相、竹田光成であります。昨日はアルシャー大統領の生存報告、世界共栄連盟の設立など、様々なことがありましたが、今日は是非、我が国をゆっくりと楽しんで貰えばと思っております。それでは、竹田光成の名のもとに、日丸国建国祭の開幕をここに宣言致します!!」

光成の挨拶が終わるのと同時に、大和と武蔵の全砲門が観覧会場とは反対方向を向き、そのまま最大になるまで角度を上げ、

「「てぇーーーー!!!!」」

ドォォォン!!!!

それぞれ大和と武蔵の第一艦橋にいる光太郎と信介の合図と共に、大和と武蔵は海に向けて祝砲を放った。

ウオォーーーー!!!!!

大和と武蔵の主砲副砲合わせて計24門による盛大な祝砲に、観客達は声を出してその迫力に興奮する。
こうして、大和と武蔵による盛大な建国祭の開会式は、大成功に収めた。
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