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第五章〜南北大戦争〜

第40話 蛮族の艦隊

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数刻前。ソラリス大帝国海軍第七艦隊旗艦、ヴァイパーの会議室にて、チャルスは煙草を吸いながら作戦を説明しようとしていた。

「今回我々が狙うのはこの島々だ!」

チャルスが出した海図には、日丸国の島々が大体の大きさと位置で書かれていた。
日丸国の島々のことは、エルラが第七艦隊に、美女や財宝が多くある島々という嘘と共に与えた情報で、それを聞いた第七艦隊は日丸国へ攻撃を仕掛けようとしているのだ。

「今回我々は、打撃艦隊と機動艦隊の2つに別れ、この島々を挟撃する。まず、打撃艦隊が陽動として目標に突入、敵がそっちに集中している間に、機動艦隊から発艦した攻撃機で攻撃を行い、混乱している間に白兵戦を仕掛け、制圧する…どうだ?良い作戦だと思わんか?」

チャルスは自身が考えた作戦を得意気に説明し、皆に賞賛を求める。

「素晴らしい!流石はケレット司令長官!」

「海軍内でも、ケレット司令長官のような頭が切れる者は居ません!!」

各艦長達は、次々とチャルスを褒め称える。
それに良い気になったチャルスは、更に皆に情報を与えることにした。

「ふはははは、連中には複葉戦闘機はあるようだが、我々のような単葉戦闘機はないとことだ!制空権はもう既に此方の物だよ!!」

チャルスが各艦長に与えたのは、戦闘機についての情報だ。
この情報もまた、エルラから与えられた情報なのだが、エルラはチャルスに、日丸国は自分の戦闘機以上の航空機を保有しているかもしれないと伝えていたのだが、チャルスはぽっと出の国が、我々以上の戦闘機は保有していないと判断し、日丸国の戦闘機は我々より劣っていると皆に伝えたのだ。

「これで作戦内容はわかったな?分かったならば、全員船に戻れ、我々の手で楽園を手に入れようぞ!!」
ウォーーーーー!!!!!!

軍人ではなく蛮族と呼ぶ方が相応しいチャルス達は、各艦長がそれぞれの艦艇に戻った後、それぞれに別れて作戦を開始する。





二手に別れ、チャルスは打撃艦隊を率いて南から北上していた。

「司令長官!」

北上していると、通信長の一人がチャルスを呼んだ。

「なんだ?」

「先程、プロペラ音のような音が聞こえたという乗組員が多々居るのですが…」

「魔力感知機に反応はあったか?」

「いえ…」

プロペラ音が聞こえたという報告に、チャルスは不機嫌そうに魔力感知機と呼ばれる物に反応があったか尋ねる。
大帝国では艦艇や航空機などの機械に、必ず魔力を使うので、レーダーはその魔力に感知する仕様になっている。だが、今回乗組員達が聞こえたというプロペラ音は、日丸国が哨戒機として飛ばしていSH-60Kのプロペラ音で、現代技術で出来たSH-60Kに、魔力感知機が反応することは無い。

「つまらん事で私を呼ぶでは無い!!」

「申し訳ございません!!」

魔力感知機に反応がないのに、プロペラ音がすると報告してきた乗組員に、チャルスは一喝して、仕事に戻らせる。

「全く……」

腹立ちながら、チャルスが落ち着くために、葉巻を吸い始めた。
不思議なことが起きてから、数十分程経過した。

「おい、そろそろ頃合だろう。ファルコンから航空機を発艦させろ」

「はっ!」

チャルスからの指示で、イーグル級航空母艦ファルコンから、戦闘機が次々と発艦する。
そして最後の戦闘機が発艦したその時、

「レーダーに艦あり!巨大艦が迫ってきます!!」

「何?」

艦艇の報告が上がり、チャルスは双眼鏡でその艦艇があるという報告を見た。
するとそこには、ヴァイパー以上の大きさがあるだろう巨大戦艦が、こちらに向かってきていたのだ。
そう、日丸国から出撃した戦艦武蔵だ。

「ふん…我々に気づき、慌てて出てきたか…全員戦闘準備!!」

武蔵を確認したチャルスは鼻で笑った後、全艦に戦闘の準備をさせる。

『こちら日丸国海軍桜守艦隊司令長官、鳴門信介である。ここは日丸国の領海だ、即刻引き返せ!繰り返す、ここは日丸国の領海だ、即刻引き返せ!』

そんな中、信介が武蔵からチャルス達打撃艦隊に、注意喚起を行う。
だが、

「ほう?大帝国が認めていない国が偉そうに…おい!あの猿真似共に、大帝国の鉄槌を食らわしてやれ!!」

チャルスは信介の注意喚起を猿真似と馬鹿にし、砲撃の準備を行う。

「宜しいのですか?相手はシュヴァルツ阿呆な猿真似共と違い、まだ話が通じる方だと思われますが…」

「ふんっ、どうで良いわ!我らの数脅えて、あのようなことをしたのだろう…どうせ、あの船も図体がデカイだけの鉄クズだ」

ピタトが問答無用に砲撃しても良いのかと、チャルスに聞くと、チャルスは鼻で笑った後、日丸国の戦力を見下す。

『砲弾装填完了致しました!』

砲術長からチャルスに、準備完了の報告が入る。

「よぉーし…全艦、主砲をあの戦艦を狙え!砲撃を合図に、航空隊は全機突入!」

首を音を出しながら首を回した後、チャルスは全戦艦の主砲を武蔵に向けさせ、空で待機している航空隊にも命令を下す。

「砲撃開始!!」

チャルスの合図により、三隻の戦艦から砲弾が放たれ、それが武蔵目掛けて飛んでいく。
それと同時に上空で待機していた航空隊が、武蔵に爆弾を投下するべく、急降下を始める。
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