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第五章〜南北大戦争〜
第36話 迫るシュヴァルツ海空特別編成艦隊
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バリアルの軍港とターミナル駅を徹底的に破壊した桜花艦隊は、他の軍港を破壊しながら南下していた。
「……そろそろだな…」
腕を組んで前方を見つめていた光太郎が、誰も聞こえない声で呟いた。
『レーダーに反応あり!敵編隊、敵艦隊がこちらに向かって来ています!物凄い数です!総数不明!!』
敵の大群が接近中と聞き、第一艦橋内に居た者達は騒然とする。
だが、光太郎は怖気づくことなく無線機を手に取った。
「全艦に告ぐ。大和、大海、海原で敵戦闘機を、ながと、むつ、雲海、荒海は敵艦隊を各艦迎撃せよ」
無線機で、光太郎は艦隊に指示を飛ばす。
軍港を破壊して回った以上シュヴァルツが、桜花艦隊に残存艦艇だけではなく、戦闘機などを差し向け、海空で集中攻撃をしてくることを読んでいた。
「主砲、三式弾装填!対空戦闘よーい!!」
艦隊に指示を飛ばした後、光太郎は大和に指示を飛ばす。
指示を受け、乗組員達は慌てながらも各自の持ち場に着き、敵の軍勢が来るのを待った。
そして、
「敵編隊、並びに敵艦隊確認!!」
敵編隊と敵艦隊が視認され、光太郎は双眼鏡で敵の大規模な軍勢を見ることにした。
空は百機以上の複葉戦闘機が空を埋め尽くしており、海は装甲艦数隻が無数の軍艦や快速帆船を引き連れ、こちらに向かっていた。
それを見た光太郎は、再び無線機を手に取った。
「桜花艦隊に告ぐ。敵の戦力は想像以上だ…だが、我々に逃げるという選択肢はない。日丸国の興廃この一戦にあり…だ。この軍勢を退ければ、日丸国の強さを他国にみせつけることができるだろう…各員、一層奮励努力せよ!!」
光太郎は東郷平八郎の言葉を借りながら、桜花艦隊全艦に発破をかける。
光太郎からの言葉により、大和乗組員は勿論、桜花艦隊の隊員達の士気は上がり、全員が気合を入れる。
「主砲、準備整いました!いつでも撃てます!!」
「よし…全門、撃ちー方ー始めーーっ!!!」
主砲の準備が整ったことを聞き、光太郎は帽子を被り直し、自身に気合を入れた後、砲撃命令を下す。
命令が下ったことで、大和の主砲から敵の編隊に向け三式弾が放たれる。
後の世まで語り継がれる海戦が幕を開けたのだ。
〇
時は少し遡り、シュヴァルツ側の視点に移り変わる。
「………」
海空特別編成艦隊旗艦べリアンの艦橋にて、べリアン艦長アルシャー・ウルフは怯えていた。
彼は日丸島沖海戦の生き残りで、大和と武蔵の強さと恐ろしさを身をもって知っている。だからこそ、こうして刻一刻と近づく大和との海戦に怯えているのだ。
(正直、東中央洋の護衛用艦艇を集めてまで、この作戦はやるべきではない…だが、総統直々の命令だ。従うしかあるまい…)
ウルフは今回の作戦に否定的だったが、総統であるザルラからの命令である以上従うしかない。
だが、ウルフにはもう一つ懸念があった。
「我々の勝利は確定してるな…」
「ですな…ハンクティル司令長官殿…戦勝祝いとして、お酒でもどうですかな?」
「いいですな!」
艦橋内で二人の男が特別に用意された椅子に座って笑っていた。
「……」
その様子を見たウルフは頭を抱える。
ウルフの懸念点、それは、艦隊司令長官ハンクティル・ハイエルと、陸軍航空参謀長メルドル・ディシュが慢心しきっているからである。
「ハンクティル司令長官、メルドル航空参謀…もう少し気を引き締めては頂けないでしょうか…?艦隊の士気にも関わりますので…」
ウルフは慢心しきっている二人に諭すように忠告したが、
「ふん。何を怯えている!数ではこっちの方が勝っているではないか!」
「そうだ!更に我が陸軍の大規模編成も居るのだ。大和やらが勝つわけがなかろう」
二人はウルフの忠告を鼻で笑い無視した。
(こんのっ!大和の恐ろしさを知らない馬鹿共が~~~っっっ!!!!)
ウルフは口に出そうになった言葉を抑えながら、シュヴァルツの軍勢の敗北を覚悟する。
(最悪の場合、セレーネ連邦国か日丸国に亡命を考えるか…)
最悪の事態になった際のことをウルフが考えていると、
「敵艦隊発見!」
艦橋に桜花艦隊の発見の一報が届く。
そして続くように、
「航空隊から報告!敵艦隊発見。攻撃を開始するとのことです!」
航空隊からの報告も届いた。
「べリアン魔導障壁展開!」
「了解!」
海戦が始まると判断したウルフは、べリアンの魔導障壁を展開させる。
魔導障壁を展開したべリアンは、予め鎖で繋げておいた装甲艦二隻に、引っ張ってもらいながら進み始める。
「大和を鹵獲できれば、我々の昇格は間違いないでしょうな」
「是非とも他の艦も鹵獲したいですな…!」
まだ戦いが始まってすらいないのに、二人の司令官は今後の話をし始める。
疲れたのか、ウルフはもう何も言うことなく、大和を見つめる。
すると、大和は不思議なことをし始めた。
「砲撃をするつもりか…?」
大和の主砲が航空隊に向けられたのだ。
「はっ、数に怯えて司令官は無能なことをし始めましたな」
「機銃ならまだしも…主砲で飛んでいる戦闘機に当たるわけないのに…」
ハイエルとディシュは大和の行動を無駄と認識していた。
だが、ウルフは違った。魔導障壁を一撃で破った光景を見たウルフは、途轍もなく嫌な予感を感じていた。
ドォーーーン!!
大和の砲撃音が鳴り響き、ウルフの嫌な予感は当たることになる。
「……そろそろだな…」
腕を組んで前方を見つめていた光太郎が、誰も聞こえない声で呟いた。
『レーダーに反応あり!敵編隊、敵艦隊がこちらに向かって来ています!物凄い数です!総数不明!!』
敵の大群が接近中と聞き、第一艦橋内に居た者達は騒然とする。
だが、光太郎は怖気づくことなく無線機を手に取った。
「全艦に告ぐ。大和、大海、海原で敵戦闘機を、ながと、むつ、雲海、荒海は敵艦隊を各艦迎撃せよ」
無線機で、光太郎は艦隊に指示を飛ばす。
軍港を破壊して回った以上シュヴァルツが、桜花艦隊に残存艦艇だけではなく、戦闘機などを差し向け、海空で集中攻撃をしてくることを読んでいた。
「主砲、三式弾装填!対空戦闘よーい!!」
艦隊に指示を飛ばした後、光太郎は大和に指示を飛ばす。
指示を受け、乗組員達は慌てながらも各自の持ち場に着き、敵の軍勢が来るのを待った。
そして、
「敵編隊、並びに敵艦隊確認!!」
敵編隊と敵艦隊が視認され、光太郎は双眼鏡で敵の大規模な軍勢を見ることにした。
空は百機以上の複葉戦闘機が空を埋め尽くしており、海は装甲艦数隻が無数の軍艦や快速帆船を引き連れ、こちらに向かっていた。
それを見た光太郎は、再び無線機を手に取った。
「桜花艦隊に告ぐ。敵の戦力は想像以上だ…だが、我々に逃げるという選択肢はない。日丸国の興廃この一戦にあり…だ。この軍勢を退ければ、日丸国の強さを他国にみせつけることができるだろう…各員、一層奮励努力せよ!!」
光太郎は東郷平八郎の言葉を借りながら、桜花艦隊全艦に発破をかける。
光太郎からの言葉により、大和乗組員は勿論、桜花艦隊の隊員達の士気は上がり、全員が気合を入れる。
「主砲、準備整いました!いつでも撃てます!!」
「よし…全門、撃ちー方ー始めーーっ!!!」
主砲の準備が整ったことを聞き、光太郎は帽子を被り直し、自身に気合を入れた後、砲撃命令を下す。
命令が下ったことで、大和の主砲から敵の編隊に向け三式弾が放たれる。
後の世まで語り継がれる海戦が幕を開けたのだ。
〇
時は少し遡り、シュヴァルツ側の視点に移り変わる。
「………」
海空特別編成艦隊旗艦べリアンの艦橋にて、べリアン艦長アルシャー・ウルフは怯えていた。
彼は日丸島沖海戦の生き残りで、大和と武蔵の強さと恐ろしさを身をもって知っている。だからこそ、こうして刻一刻と近づく大和との海戦に怯えているのだ。
(正直、東中央洋の護衛用艦艇を集めてまで、この作戦はやるべきではない…だが、総統直々の命令だ。従うしかあるまい…)
ウルフは今回の作戦に否定的だったが、総統であるザルラからの命令である以上従うしかない。
だが、ウルフにはもう一つ懸念があった。
「我々の勝利は確定してるな…」
「ですな…ハンクティル司令長官殿…戦勝祝いとして、お酒でもどうですかな?」
「いいですな!」
艦橋内で二人の男が特別に用意された椅子に座って笑っていた。
「……」
その様子を見たウルフは頭を抱える。
ウルフの懸念点、それは、艦隊司令長官ハンクティル・ハイエルと、陸軍航空参謀長メルドル・ディシュが慢心しきっているからである。
「ハンクティル司令長官、メルドル航空参謀…もう少し気を引き締めては頂けないでしょうか…?艦隊の士気にも関わりますので…」
ウルフは慢心しきっている二人に諭すように忠告したが、
「ふん。何を怯えている!数ではこっちの方が勝っているではないか!」
「そうだ!更に我が陸軍の大規模編成も居るのだ。大和やらが勝つわけがなかろう」
二人はウルフの忠告を鼻で笑い無視した。
(こんのっ!大和の恐ろしさを知らない馬鹿共が~~~っっっ!!!!)
ウルフは口に出そうになった言葉を抑えながら、シュヴァルツの軍勢の敗北を覚悟する。
(最悪の場合、セレーネ連邦国か日丸国に亡命を考えるか…)
最悪の事態になった際のことをウルフが考えていると、
「敵艦隊発見!」
艦橋に桜花艦隊の発見の一報が届く。
そして続くように、
「航空隊から報告!敵艦隊発見。攻撃を開始するとのことです!」
航空隊からの報告も届いた。
「べリアン魔導障壁展開!」
「了解!」
海戦が始まると判断したウルフは、べリアンの魔導障壁を展開させる。
魔導障壁を展開したべリアンは、予め鎖で繋げておいた装甲艦二隻に、引っ張ってもらいながら進み始める。
「大和を鹵獲できれば、我々の昇格は間違いないでしょうな」
「是非とも他の艦も鹵獲したいですな…!」
まだ戦いが始まってすらいないのに、二人の司令官は今後の話をし始める。
疲れたのか、ウルフはもう何も言うことなく、大和を見つめる。
すると、大和は不思議なことをし始めた。
「砲撃をするつもりか…?」
大和の主砲が航空隊に向けられたのだ。
「はっ、数に怯えて司令官は無能なことをし始めましたな」
「機銃ならまだしも…主砲で飛んでいる戦闘機に当たるわけないのに…」
ハイエルとディシュは大和の行動を無駄と認識していた。
だが、ウルフは違った。魔導障壁を一撃で破った光景を見たウルフは、途轍もなく嫌な予感を感じていた。
ドォーーーン!!
大和の砲撃音が鳴り響き、ウルフの嫌な予感は当たることになる。
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