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第四章〜日丸国建国〜
第24話 同盟締結の危機
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大和はカルデアシップを引率し、日丸島の入り江に入っていく。
「なんと…」
カルデアシップの上に残って居たパールは、そこで停泊していた武蔵を見て声を漏らす。
それと同時にパールは、もうすぐで大和と武蔵が手に入ることに心を躍らす。
大和とカルデアシップは停泊し、それぞれ錨を下した。
「セレーネ連邦国の皆様、申し訳ないのですが、大和に乗り換えて貰えないでしょうか?現在、ご来賓を持てなす施設がこの島にはないので…」
「わ、分かった」
光太郎に大和に移るように言われ、パール達は浅橋を経由して大和へと乗り換える。
そして大和に乗艦したパール達は、
「こここ、これが軍艦の中というのか!?」
まるでホテルのように綺麗で、冷房が効いている艦内に絶句する。
この世界にも冷暖房という概念はあるのだが、セレーネ公国の執務室や超高級ホテルなどの大国の一部施設にしかついていない。アルカーヤ王国では、冷暖房は王宮にしかついていないというレベルの代物だ。
そんな高級な物が戦艦についていると聞けば、驚くのも無理がないだろう。
「ええ…お陰で大和は、大和ホテル言われる始末ですよ…」
苦笑いをしながら、光太郎はパール達を会議室まで案内する。
「こちらで少しお待ちください…」
光太郎はパール達を会議室の中に入るよう促した後、会議室の扉を閉めて甲板の方へ戻っていた。
会議室の椅子に座り、パールは両腕を組んでにやけた。
「君達は大和をどう思う?」
にやけながらパールは部下達に聞いた。
「はい。とても素晴らしい船だと思います。それを我々が手に入れれば…」
「大国に対等に渡り合える…いや、我々が優位に立つことができるレベルだな…」
「はい」
質問された部下達は、パール同様気味が悪いにやけ顔を浮かべていた。
大和の性能の良さに彼らは完全に慢心し、調子に乗っている。
「遅くなって申し訳ない」
一言をかけながら、光成が会議室に入ってくる。
声が聞こえたため慌てて、パール達は姿勢を改めた。
光成に続いて、光太郎と金髪碧眼の少年が入ってくる。
(子供…?…考え過ぎか)
子供が入って来たのを見て、パールは少し疑問に思うが、あまり深く考えなかった。
「では、同盟の件なのですが…是非結ばせてほしいです」
「おお!本当ですか!」
「ええ」
同盟を結べると聞き、パールは喜び、部下が持っていた二種類の書類を目の前に出した。
「では、これとこの書類にサインを…」
「…」
パールは先に、アルカーヤ王国の属国になることを認めるという書類を光成に渡した。
それを受け取った光成は、
「デルタ、頼めるか?」
「はい!」
デルタと呼んだ金髪碧眼の少年に書類を渡し、書類を渡されたデルタは、マジマジと書かれてある文字を読み始める。
「な、何をなさっているのですか…」
嫌な予感を感じながら、パールは何をやっているか尋ねた。
「どうやら我々が知っている文字と、この世界の文字は違うようなのでね…文字を読めるこの世界の者を読んだまでだ。問題はないだろう?」
パールの質問に、光太郎が答えた。
光太郎はカルデアシップに舷側に描かれてある文字が読めなったことから、文字が違うことに気付いており、そのために文字が読めるデルタを連れて来たのだ。
「無いとは思いたいですが、我々の先祖は昔、無暗に同盟を結び理不尽な同盟条件を結ばれましてね…それに警戒しているのですよ」
光太郎は続くように、江戸時代の終わり頃、日本が外国からやられたことを軽く話す。
それを聞き、パールの冷や汗が止まらなくなる。
文字が読める者が居るだけで想定外なのに、自分達がやろうとしていることを異世界では既に行われていたからだ。
「……酷い…これ、実質的に植民地になれという書類…いや、契約書ですよ!」
書類内容を読み終えたデルタは、酷いと呟いた後、光成と光太郎に書類の内容を大まかに伝える。
「ほう」
「ふむ…」
それを聞き、光太郎と光成はパール達を鋭い眼光で睨みつける。
二人の軍人に睨みつけられたパール達は、汗をダラダラと流しながら、顔を下に向けて黙り込むしかできなかった。
「なんと…」
カルデアシップの上に残って居たパールは、そこで停泊していた武蔵を見て声を漏らす。
それと同時にパールは、もうすぐで大和と武蔵が手に入ることに心を躍らす。
大和とカルデアシップは停泊し、それぞれ錨を下した。
「セレーネ連邦国の皆様、申し訳ないのですが、大和に乗り換えて貰えないでしょうか?現在、ご来賓を持てなす施設がこの島にはないので…」
「わ、分かった」
光太郎に大和に移るように言われ、パール達は浅橋を経由して大和へと乗り換える。
そして大和に乗艦したパール達は、
「こここ、これが軍艦の中というのか!?」
まるでホテルのように綺麗で、冷房が効いている艦内に絶句する。
この世界にも冷暖房という概念はあるのだが、セレーネ公国の執務室や超高級ホテルなどの大国の一部施設にしかついていない。アルカーヤ王国では、冷暖房は王宮にしかついていないというレベルの代物だ。
そんな高級な物が戦艦についていると聞けば、驚くのも無理がないだろう。
「ええ…お陰で大和は、大和ホテル言われる始末ですよ…」
苦笑いをしながら、光太郎はパール達を会議室まで案内する。
「こちらで少しお待ちください…」
光太郎はパール達を会議室の中に入るよう促した後、会議室の扉を閉めて甲板の方へ戻っていた。
会議室の椅子に座り、パールは両腕を組んでにやけた。
「君達は大和をどう思う?」
にやけながらパールは部下達に聞いた。
「はい。とても素晴らしい船だと思います。それを我々が手に入れれば…」
「大国に対等に渡り合える…いや、我々が優位に立つことができるレベルだな…」
「はい」
質問された部下達は、パール同様気味が悪いにやけ顔を浮かべていた。
大和の性能の良さに彼らは完全に慢心し、調子に乗っている。
「遅くなって申し訳ない」
一言をかけながら、光成が会議室に入ってくる。
声が聞こえたため慌てて、パール達は姿勢を改めた。
光成に続いて、光太郎と金髪碧眼の少年が入ってくる。
(子供…?…考え過ぎか)
子供が入って来たのを見て、パールは少し疑問に思うが、あまり深く考えなかった。
「では、同盟の件なのですが…是非結ばせてほしいです」
「おお!本当ですか!」
「ええ」
同盟を結べると聞き、パールは喜び、部下が持っていた二種類の書類を目の前に出した。
「では、これとこの書類にサインを…」
「…」
パールは先に、アルカーヤ王国の属国になることを認めるという書類を光成に渡した。
それを受け取った光成は、
「デルタ、頼めるか?」
「はい!」
デルタと呼んだ金髪碧眼の少年に書類を渡し、書類を渡されたデルタは、マジマジと書かれてある文字を読み始める。
「な、何をなさっているのですか…」
嫌な予感を感じながら、パールは何をやっているか尋ねた。
「どうやら我々が知っている文字と、この世界の文字は違うようなのでね…文字を読めるこの世界の者を読んだまでだ。問題はないだろう?」
パールの質問に、光太郎が答えた。
光太郎はカルデアシップに舷側に描かれてある文字が読めなったことから、文字が違うことに気付いており、そのために文字が読めるデルタを連れて来たのだ。
「無いとは思いたいですが、我々の先祖は昔、無暗に同盟を結び理不尽な同盟条件を結ばれましてね…それに警戒しているのですよ」
光太郎は続くように、江戸時代の終わり頃、日本が外国からやられたことを軽く話す。
それを聞き、パールの冷や汗が止まらなくなる。
文字が読める者が居るだけで想定外なのに、自分達がやろうとしていることを異世界では既に行われていたからだ。
「……酷い…これ、実質的に植民地になれという書類…いや、契約書ですよ!」
書類内容を読み終えたデルタは、酷いと呟いた後、光成と光太郎に書類の内容を大まかに伝える。
「ほう」
「ふむ…」
それを聞き、光太郎と光成はパール達を鋭い眼光で睨みつける。
二人の軍人に睨みつけられたパール達は、汗をダラダラと流しながら、顔を下に向けて黙り込むしかできなかった。
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