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第三章〜日丸島防衛戦〜
第20話 暗躍する大帝国
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ソラリス大帝国。東のセレーネ大陸と、西のアーガス大陸の二つに挟まれている、ソラズム大陸全域を、数千年征服している大帝国である。
十数年前に、跡継ぎ問題で本国が揉めている最中、他の大陸の植民地が次々と独立するということがあり、現在はその植民地を取り戻すために、力を貯めている最中である。
ソラリス大帝国首都ロンギス、そこにある帝国宮殿の玉座の間にて、金髪碧眼の青年、皇帝ローレンス・ヴィズダムは、とある報告を受けていた。
「極東に異世界の戦艦が出現した…?」
「はっ…!セレーネやシュヴァルツに送り込ませていた帝国の影からの報告です」
玉座に座っているローレンスの前に、金髪で長髪の美女、皇帝近衛師団の近衛師団長ミカエル・アークエルは、ソラリス大帝国の諜報機関の帝国の影からの報告を、跪きながら伝えていた。
「お手元の報告書をご覧下さい…」
「ふむ…」
ミカエルに言われ、ローレンスは、小さな机の上に丁寧に置かれてある報告書を手に取った。
「なるほど…異世界の戦艦は、大和と武蔵というのか…大きな艦体に巨大な主砲か…我が帝国海軍が計画しているD計画の戦艦と似ているな…」
「はい。そのこともあり、ご報告をしようと思いまして…」
報告書を見たローレンスは、D計画と呼ばれる計画のことを呟く。
D計画。ソラリス大帝国の帝国海軍が計画している超弩級魔導戦艦建造計画のことだ。
「……ほう?シュヴァルツの大艦隊を蹴散らしたか…」
報告書を読み進めていたローレンスは、日丸島の沖合で起きた海戦が気になった。
「大和と武蔵の性能は高いようだな…」
「はい。ですが、個人的には大和と武蔵の性能より、シュヴァルツのエーデル級が気になります」
「シュヴァルツは、我々の猿真似しかできない連中だ。どうせ、魔導戦艦の技術をパクったのだろう…」
「そうでしょうね…」
ローレンスはシュヴァルツを、猿真似しかできない連中と、評価する。
魔導炉を積んだ戦艦、魔導戦艦というアイデアは、元々帝国の科学者が発案したアイデアだ。
そのため魔導戦艦は、シュヴァルツでは最新鋭艦だったが、帝国ではそう珍しい代物ではない上に、巡洋艦や駆逐艦にも、搭載されている標準装備となっている。
「何年か前に、魔導戦艦が一隻、海賊に奪われた事件がありましたね…恐らく、それがシュヴァルツの手に渡ったのでしょう」
「だろうな…まあ廃棄予定の戦艦だったから、処分する手間が省けた上に、技術が流失しても、帝国では旧式化してたから、問題はないな…」
「ですね」
シュヴァルツの最新鋭艦のエーデル級の技術は、帝国では既に旧式化している。そのため、ローレンスやミカエルは、シュヴァルツに魔導戦艦の技術が流出したことを、大事とは思っていないようだ。
「…そう言えばミカエル、不祥事が多い艦隊が居たな?」
「はっ。チャルス・ケレット率いる第七艦隊です。暴行、窃盗、禁止薬物の乱用など、上げたらきりがありません…即解散命令を出したいのですが、優秀な面があるため、解散させれないという状況です…」
ローレンスの質問を答えたミカエルは、嫌な顔をしながら、第七艦隊の悪行を上げていく。
「では、その第七艦隊に、大東洋への出撃を命じろ。」
「まさか、大和と武蔵を手に入れるおつもりですか?」
「いや、奴らの強さを見定める…第七艦隊が勝てば、それまでの者達…だが、連中が勝てば、帝国の脅威となる可能性があるということだ」
「なるほど。仮に第七艦隊が負けたとしても、不祥事を起こす不届き者達を始末する手間が省けるということですね…流石です」
「その通りだ…出撃は理由は…そうだな……」
第七艦隊の大東洋への出撃を命じたローレンスは、出撃理由を少し考えた後口を開く。
「帝国の影に、セレーネとシュヴァルツの戦争の火種を付けてもらい、その際、大東洋の安全を守るというていで、出撃させるか…ついでに、大東洋の島々には、金銀財宝や美女が大勢居るというデマでも吹き込ませるか…そうすれば、第七艦隊の者達は、本土から離れているという理由で、身勝手な行為に出るだろう…」
「では、そのように…」
「頼んだぞ」
「ははっ!」
ローレンスから、新たな命を受けたミカエルは、その命を実行するために、玉座の間から退出して行った。
一人玉座の間に残ったローレンスは、もう一度報告書を眺めた後、報告書を机の上に置いた。
「………………彼らはこの、神無き世界に、どう影響を与えるのか……」
ローレンスは、東側の窓の方を見ながら、独り言を呟いた。
十数年前に、跡継ぎ問題で本国が揉めている最中、他の大陸の植民地が次々と独立するということがあり、現在はその植民地を取り戻すために、力を貯めている最中である。
ソラリス大帝国首都ロンギス、そこにある帝国宮殿の玉座の間にて、金髪碧眼の青年、皇帝ローレンス・ヴィズダムは、とある報告を受けていた。
「極東に異世界の戦艦が出現した…?」
「はっ…!セレーネやシュヴァルツに送り込ませていた帝国の影からの報告です」
玉座に座っているローレンスの前に、金髪で長髪の美女、皇帝近衛師団の近衛師団長ミカエル・アークエルは、ソラリス大帝国の諜報機関の帝国の影からの報告を、跪きながら伝えていた。
「お手元の報告書をご覧下さい…」
「ふむ…」
ミカエルに言われ、ローレンスは、小さな机の上に丁寧に置かれてある報告書を手に取った。
「なるほど…異世界の戦艦は、大和と武蔵というのか…大きな艦体に巨大な主砲か…我が帝国海軍が計画しているD計画の戦艦と似ているな…」
「はい。そのこともあり、ご報告をしようと思いまして…」
報告書を見たローレンスは、D計画と呼ばれる計画のことを呟く。
D計画。ソラリス大帝国の帝国海軍が計画している超弩級魔導戦艦建造計画のことだ。
「……ほう?シュヴァルツの大艦隊を蹴散らしたか…」
報告書を読み進めていたローレンスは、日丸島の沖合で起きた海戦が気になった。
「大和と武蔵の性能は高いようだな…」
「はい。ですが、個人的には大和と武蔵の性能より、シュヴァルツのエーデル級が気になります」
「シュヴァルツは、我々の猿真似しかできない連中だ。どうせ、魔導戦艦の技術をパクったのだろう…」
「そうでしょうね…」
ローレンスはシュヴァルツを、猿真似しかできない連中と、評価する。
魔導炉を積んだ戦艦、魔導戦艦というアイデアは、元々帝国の科学者が発案したアイデアだ。
そのため魔導戦艦は、シュヴァルツでは最新鋭艦だったが、帝国ではそう珍しい代物ではない上に、巡洋艦や駆逐艦にも、搭載されている標準装備となっている。
「何年か前に、魔導戦艦が一隻、海賊に奪われた事件がありましたね…恐らく、それがシュヴァルツの手に渡ったのでしょう」
「だろうな…まあ廃棄予定の戦艦だったから、処分する手間が省けた上に、技術が流失しても、帝国では旧式化してたから、問題はないな…」
「ですね」
シュヴァルツの最新鋭艦のエーデル級の技術は、帝国では既に旧式化している。そのため、ローレンスやミカエルは、シュヴァルツに魔導戦艦の技術が流出したことを、大事とは思っていないようだ。
「…そう言えばミカエル、不祥事が多い艦隊が居たな?」
「はっ。チャルス・ケレット率いる第七艦隊です。暴行、窃盗、禁止薬物の乱用など、上げたらきりがありません…即解散命令を出したいのですが、優秀な面があるため、解散させれないという状況です…」
ローレンスの質問を答えたミカエルは、嫌な顔をしながら、第七艦隊の悪行を上げていく。
「では、その第七艦隊に、大東洋への出撃を命じろ。」
「まさか、大和と武蔵を手に入れるおつもりですか?」
「いや、奴らの強さを見定める…第七艦隊が勝てば、それまでの者達…だが、連中が勝てば、帝国の脅威となる可能性があるということだ」
「なるほど。仮に第七艦隊が負けたとしても、不祥事を起こす不届き者達を始末する手間が省けるということですね…流石です」
「その通りだ…出撃は理由は…そうだな……」
第七艦隊の大東洋への出撃を命じたローレンスは、出撃理由を少し考えた後口を開く。
「帝国の影に、セレーネとシュヴァルツの戦争の火種を付けてもらい、その際、大東洋の安全を守るというていで、出撃させるか…ついでに、大東洋の島々には、金銀財宝や美女が大勢居るというデマでも吹き込ませるか…そうすれば、第七艦隊の者達は、本土から離れているという理由で、身勝手な行為に出るだろう…」
「では、そのように…」
「頼んだぞ」
「ははっ!」
ローレンスから、新たな命を受けたミカエルは、その命を実行するために、玉座の間から退出して行った。
一人玉座の間に残ったローレンスは、もう一度報告書を眺めた後、報告書を机の上に置いた。
「………………彼らはこの、神無き世界に、どう影響を与えるのか……」
ローレンスは、東側の窓の方を見ながら、独り言を呟いた。
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