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第三章〜日丸島防衛戦〜
第19話 激震する北部の大国
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シュヴァルツの大和型戦艦鹵獲作戦が失敗に終わってから数日後、セレーネ連邦国では、連邦国に所属している国々の代表が、セレーネ公国に一同に集まる連邦国会議が行われていた。
「それでは、これから第87回連邦会議を行います。今回の最初の議題は、シュヴァルツの大艦隊が、漂流物……大和と武蔵と呼ばれる二隻の戦艦に、壊滅状態に追いやられたことについてです…」
議長として会議の進行を進めるトムヤードは、諜報機関DNが集めた資料を連邦国の国々のお偉いさんに配る。
資料には、DNの諜報員が集めた大和と武蔵の情報と、日丸島沖海戦でシュヴァルツが被った被害などが書かれてあった。
「馬鹿な!たった二隻で、シュヴァルツの大艦隊の七割以上を葬っただと!?」
資料を見たとある国の代表が、大声を出して驚いた。それに続くよう、他の代表達も驚いたような表情を浮かべる。
「私も最初は驚きました…ですが、これは紛れもない事実なのです。そこで、私としては彼らと接触を試みるため、使節団を送るはどうかと…」
トムヤードの提案に、他国の代表達は更に驚いたような表情を浮かべ、
「危険過ぎる!!」
「そうだ!シュヴァルツの大艦隊を蹴散らす者達だ、我々が接触を試みようとすれば、最悪新たな脅威になるかもしれないのだぞ!!」
次々とその提案を非難する。
セレーネ連邦国の全艦艇をかき集めても、勝てる自信が無いシュヴァルツの大艦隊に勝つ大和と武蔵は、セレーネ連邦国の所属国から見たら、脅威でしかないだろう。
「無論、その可能性があるのは否めません。ですが、彼らは少なくとも、シュヴァルツと敵対することになる!大和と武蔵の乗組員は、二隻の受け渡しを拒否して、大艦隊と戦闘になったのだ。彼らのシュヴァルツに対するイメージは悪いだろう。一方、シュヴァルツは、大艦隊を壊滅状態にさせられている。このことから、大和とシュヴァルツが和平を結び、仲良くなることはないと考えます…だからこそ!シュヴァルツと敵対している我々が接触し、彼らの後ろ盾になれば、大和と武蔵が力を知っているシュヴァルツへの牽制になるのではないでしょうか!?」
提案に批判をし続ける他国の代表達に、トムヤードは声を大にして、自身の提案の重要性を力説する。
「なるほど…それならば、使節団の派遣も良いのか…?」
「シュヴァルツの大艦隊を蹴散らした彼らを、脅威としてみるのではなく、仲間にする…か……良いかもしれませんな」
トムヤードからの力説を聞き、各国の代表は内容に納得し始める。
「よろしいですかな?」
そんな中、葉巻を吸っている金髪の男が手を挙げた。
「なんでしょう、アルカーヤ王国のメルバル王…」
トムヤードは、手を挙げた男メルバル・アルカーヤの方を見た。
メルバルは立ち上がり、口を開いた。
「私の国から、セレーネ連邦国を代表して、使節団を送ってもよろしいですかな?この資料を見ると、奴らが拠点としている未確認の島は、私の国が1番近いようですからな…」
メルバルは使節団を送らせて欲しいと、トムヤードに頼み込んだ。
傍から見ると、危険な使節団派遣をやらして欲しいと頼む良い者に見えるだろうが、トムヤードは違った。
(メルバルのヤツめ、彼らの島々を植民地にするつもりだな…)
トムヤードはメルバルが、自国の植民地を拡大させ、その土地の者達に重い税を課せていることを知っていた。そのため、光太郎達と平等な関係を結ぼうと考えていたトムヤードは、メルバルの提案を断ろうと思ったが、
「………分かりました。アルカーヤ王国から、彼らの元に使節団を送る…ということでよろしいですな?」
ふと、良い考えが思いついたため、メルバルの提案を承諾した。
「では、大和と武蔵への対応は、セレーネ連邦国を代表し、アルカーヤ王国から使節団を送るということでいいですな?」
イギナシ!!!
大和と武蔵への、セレーネ連邦国としての対応が決まり、会議は他の話題に以降して行った。
〇
連邦会議が終わり、メルバルは帰国するために汽車に乗車していた。
「宜しかったのでしょうか?使節団を送るとなると、それなりの金が掛かりますが…」
向かいの席に座っている、メルバルの腹心、アニバト・パールが、使節団派遣の件について、メルバルに尋ねた。
「ふっ、分かってないやつだな…いいか?相手は漂流者だ…この世界の言葉は分かるが、文字は分からないはずだ…だから、同盟締結の署名書と同時に、契約書を結ばせるのだよ。植民地になるという契約をな!」
「なるほど…いやはや、流石は賢王メルバル様…!このパール、そのような考えは、一切ありませんでした…!!」
「ふむ。払えないレベルの税を払う代わりに、大和やらを、アルカーヤ王国に明け渡すことも追加しておくのもよいかもな…!」
機嫌が良くなったメルバルは、更に傲慢になる。
「分かりました。では、そのように契約書を書かせておきます」
「頼むぞ?パール……」
「ははーっ、お任せ下さい」
汽車が進む中、2人は気味の悪い笑みを浮かべ、笑いあっていた。
「それでは、これから第87回連邦会議を行います。今回の最初の議題は、シュヴァルツの大艦隊が、漂流物……大和と武蔵と呼ばれる二隻の戦艦に、壊滅状態に追いやられたことについてです…」
議長として会議の進行を進めるトムヤードは、諜報機関DNが集めた資料を連邦国の国々のお偉いさんに配る。
資料には、DNの諜報員が集めた大和と武蔵の情報と、日丸島沖海戦でシュヴァルツが被った被害などが書かれてあった。
「馬鹿な!たった二隻で、シュヴァルツの大艦隊の七割以上を葬っただと!?」
資料を見たとある国の代表が、大声を出して驚いた。それに続くよう、他の代表達も驚いたような表情を浮かべる。
「私も最初は驚きました…ですが、これは紛れもない事実なのです。そこで、私としては彼らと接触を試みるため、使節団を送るはどうかと…」
トムヤードの提案に、他国の代表達は更に驚いたような表情を浮かべ、
「危険過ぎる!!」
「そうだ!シュヴァルツの大艦隊を蹴散らす者達だ、我々が接触を試みようとすれば、最悪新たな脅威になるかもしれないのだぞ!!」
次々とその提案を非難する。
セレーネ連邦国の全艦艇をかき集めても、勝てる自信が無いシュヴァルツの大艦隊に勝つ大和と武蔵は、セレーネ連邦国の所属国から見たら、脅威でしかないだろう。
「無論、その可能性があるのは否めません。ですが、彼らは少なくとも、シュヴァルツと敵対することになる!大和と武蔵の乗組員は、二隻の受け渡しを拒否して、大艦隊と戦闘になったのだ。彼らのシュヴァルツに対するイメージは悪いだろう。一方、シュヴァルツは、大艦隊を壊滅状態にさせられている。このことから、大和とシュヴァルツが和平を結び、仲良くなることはないと考えます…だからこそ!シュヴァルツと敵対している我々が接触し、彼らの後ろ盾になれば、大和と武蔵が力を知っているシュヴァルツへの牽制になるのではないでしょうか!?」
提案に批判をし続ける他国の代表達に、トムヤードは声を大にして、自身の提案の重要性を力説する。
「なるほど…それならば、使節団の派遣も良いのか…?」
「シュヴァルツの大艦隊を蹴散らした彼らを、脅威としてみるのではなく、仲間にする…か……良いかもしれませんな」
トムヤードからの力説を聞き、各国の代表は内容に納得し始める。
「よろしいですかな?」
そんな中、葉巻を吸っている金髪の男が手を挙げた。
「なんでしょう、アルカーヤ王国のメルバル王…」
トムヤードは、手を挙げた男メルバル・アルカーヤの方を見た。
メルバルは立ち上がり、口を開いた。
「私の国から、セレーネ連邦国を代表して、使節団を送ってもよろしいですかな?この資料を見ると、奴らが拠点としている未確認の島は、私の国が1番近いようですからな…」
メルバルは使節団を送らせて欲しいと、トムヤードに頼み込んだ。
傍から見ると、危険な使節団派遣をやらして欲しいと頼む良い者に見えるだろうが、トムヤードは違った。
(メルバルのヤツめ、彼らの島々を植民地にするつもりだな…)
トムヤードはメルバルが、自国の植民地を拡大させ、その土地の者達に重い税を課せていることを知っていた。そのため、光太郎達と平等な関係を結ぼうと考えていたトムヤードは、メルバルの提案を断ろうと思ったが、
「………分かりました。アルカーヤ王国から、彼らの元に使節団を送る…ということでよろしいですな?」
ふと、良い考えが思いついたため、メルバルの提案を承諾した。
「では、大和と武蔵への対応は、セレーネ連邦国を代表し、アルカーヤ王国から使節団を送るということでいいですな?」
イギナシ!!!
大和と武蔵への、セレーネ連邦国としての対応が決まり、会議は他の話題に以降して行った。
〇
連邦会議が終わり、メルバルは帰国するために汽車に乗車していた。
「宜しかったのでしょうか?使節団を送るとなると、それなりの金が掛かりますが…」
向かいの席に座っている、メルバルの腹心、アニバト・パールが、使節団派遣の件について、メルバルに尋ねた。
「ふっ、分かってないやつだな…いいか?相手は漂流者だ…この世界の言葉は分かるが、文字は分からないはずだ…だから、同盟締結の署名書と同時に、契約書を結ばせるのだよ。植民地になるという契約をな!」
「なるほど…いやはや、流石は賢王メルバル様…!このパール、そのような考えは、一切ありませんでした…!!」
「ふむ。払えないレベルの税を払う代わりに、大和やらを、アルカーヤ王国に明け渡すことも追加しておくのもよいかもな…!」
機嫌が良くなったメルバルは、更に傲慢になる。
「分かりました。では、そのように契約書を書かせておきます」
「頼むぞ?パール……」
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