17 / 138
第三章〜日丸島防衛戦〜
第12話 大国艦隊との会合
しおりを挟む
数十分の時間をかけ、木船が日丸島の浜辺に到着する。
「貴様らが責任者か?」
出会ってそうそう、木船から降りて来たシュヴァルツの海軍兵は、偉そうな態度で名乗ることもなく、光成に聞いた。
「…私は異世界の国、大日本帝國の海軍大将、竹田光成だ。こっちは、同じ海軍中将の一文字眞だ。それで、我々に何のようですかな?」
光成は、丁寧に、出来るだけ相手を刺激しないよう、自分達の自己紹介を済ませる。
(これで、自己紹介くらいしてくれればよいが…)
自分達が先に自己紹介したため、相手が礼儀良く自己紹介をしてくれるのを光成は望んだが、
「貴様らが乗っている軍艦を渡せ。そうすれば労働階級として、貴様らを取り繕ってやろう。大国のために働けるのだ、ありがたく思え」
シュヴァルツの海軍兵は、態度を改めることなく、命令口調で大和を要求した。
「断る」
「は?」
光成に要求を断られ、シュヴァルツの海軍兵は、驚いたような表情を浮かべる。
「貴様らの理不尽な要求に、我々は応じることはできん。さっさと帰った方が、身のためだぞ?」
呆気に取られているシュヴァルツの海軍兵に、眞は帰るよう勧めた。
「ば、馬鹿か貴様ら!!あの大艦隊が見えんのか!?貴様ら程度、我が海軍の敵ではないのだぞ!?」
「それならば、何故あそこまでの数を揃えたのだ?敵ではないのならば、数隻で十分ではないのかな?」
「…っ!」
激昂するシュヴァルツの海軍兵は、勢いのまま言った言葉を光成に痛い所を突かれ、顔を真っ赤に染め上げる。
「艦隊に伝えろ、このまま大人しく国に戻るならば、我々、大和と武蔵の乗組員は何もしない。だが、攻撃を受けたその瞬間、我々は防衛として、貴様らを沈めるとな!」
「……っっっ!!!」
シュヴァルツの海軍兵は、何も言うことなく、奴隷達に木船を出させ、艦隊へと戻っていた。
「貴様らぁ!絶対後悔するからな!!精々泣きわめくが良い!!!」
と、叫びながら。
浜辺に居る光成達の元に、草むらに隠れていた剛士が出て来た。
「第九護衛艦隊には連絡をしておきました。あかぎ以外の護衛艦は、沖合に出て敵の攻撃に注意せよと…」
「ふむ…未来の技術は実に便利だな…大和と武蔵の改装も急がせるか…」
剛士からの報告を聞き、光成は現代技術に関心する。
「では、我々は大和と武蔵に、出港するように伝えますか…ここから、信号弾を撃ってもいいですが…敵にバレないようにするため、入り江で発行信号を送るとしましょう」
大和と武蔵にも、出港の命令を送るため、三人は入り江へと戻り始めた。
〇
エーデルの司令公室。そこで、シュルクはワインを優雅に飲みながら、報告を待っていた。
「これだけの数が居るのだ…乗組員も震え上がって、大人しく艦を渡すだろうな…ふはははは」
任務が楽に終わると思い、シュルクは軽く酔っていることもあり、司令公室で一人笑っていた。
すると、誰かがドアをノックした。
「おお来たか…入れ!」
任務が終わったという報告が来たと思ったシュルクは、ワイングラスを片手に、入るように伝えた。
「失礼いたします」
「ふむ。では報告を頼む」
「…はっ」
入って来た部下の端切れが悪いに、シュルクは少し違和感を持ったが、大人しく報告を聞くことにした。
「どうやら、軍艦の名は大和と武蔵と言うようです…」
「ほう?大和に武蔵か…いい名だ」
部下から目標の軍艦の名を聞き、シュルクは満足そうに頷いた。
「それで?その軍艦はいつ見れる?」
「………」
シュルクからの質問に、部下はすぐに答えることができなかった。
「どうした?早く言わないか」
部下が答えないことに、シュルクは不審に思いながら、答えるように勧める。
「……それが、異世界の国の海軍大将を名乗る者が、大和と武蔵の受け渡しを……拒否しました…!」
「何だと!?」
光成が要求を拒否したと聞き、シュルクは驚きのあまりワイングラスを床に落とした。
「漂流者共は無能か!!」
数で見ているシュルクは、光成を無能だと思い込む。
「こうなれば仕方あるまい!馬鹿どもに我が艦隊の力を思い知らせてやれ!!」
「はっ!」
命令を受け、部下は前進する様に全艦艇に、指示を出すべく退出して行った。
それに続くよう、シュルクは身だしなみを整えた後、エーデルの艦橋へ向かう。
「状況はどうだ?」
艦橋に訪れたシュルクは、エーデル艦長バエール・デルバに、状況を尋ねた。
「はっ。現在、大和と武蔵の発見は出来ておりません…発見次第、最大船速で急速接近し、白兵戦に持ち込む予定です」
「よろしい。馬鹿共は我々のことを舐め切っているからな、奴らを殺すことには躊躇うな、降伏して来たら、適当に奴隷市場にでも売り払っておけ」
「はっ!」
物騒な会話がエーデルの艦橋で行われていたその時、
「前方に未確認船です!」
「何!?」
艦橋に居る兵の一人が、新たな船の存在を報告した。
シュルクが望遠鏡で見てみると、そこには、ながと、むつ、なとりの姿があった。
『こちら、第九護衛艦隊「つばき」旗艦ながと。シュヴァルツの海軍艦隊に告ぐ、戦艦大和と戦艦武蔵の強奪は諦め、即刻引き返せ。繰り返す!我々に撃沈される前に、即刻引き返せ!!』
護衛艦ながとから、春菜がハーベスク大艦隊に向けて忠告する。
「……全艦砲撃開始!馬鹿共に我が海軍の力を見せよ!!」
「ゲー・クラー!!」
春菜の忠告を煽りと受けたシュルクは、全艦艇に攻撃命令を下した。
「貴様らが責任者か?」
出会ってそうそう、木船から降りて来たシュヴァルツの海軍兵は、偉そうな態度で名乗ることもなく、光成に聞いた。
「…私は異世界の国、大日本帝國の海軍大将、竹田光成だ。こっちは、同じ海軍中将の一文字眞だ。それで、我々に何のようですかな?」
光成は、丁寧に、出来るだけ相手を刺激しないよう、自分達の自己紹介を済ませる。
(これで、自己紹介くらいしてくれればよいが…)
自分達が先に自己紹介したため、相手が礼儀良く自己紹介をしてくれるのを光成は望んだが、
「貴様らが乗っている軍艦を渡せ。そうすれば労働階級として、貴様らを取り繕ってやろう。大国のために働けるのだ、ありがたく思え」
シュヴァルツの海軍兵は、態度を改めることなく、命令口調で大和を要求した。
「断る」
「は?」
光成に要求を断られ、シュヴァルツの海軍兵は、驚いたような表情を浮かべる。
「貴様らの理不尽な要求に、我々は応じることはできん。さっさと帰った方が、身のためだぞ?」
呆気に取られているシュヴァルツの海軍兵に、眞は帰るよう勧めた。
「ば、馬鹿か貴様ら!!あの大艦隊が見えんのか!?貴様ら程度、我が海軍の敵ではないのだぞ!?」
「それならば、何故あそこまでの数を揃えたのだ?敵ではないのならば、数隻で十分ではないのかな?」
「…っ!」
激昂するシュヴァルツの海軍兵は、勢いのまま言った言葉を光成に痛い所を突かれ、顔を真っ赤に染め上げる。
「艦隊に伝えろ、このまま大人しく国に戻るならば、我々、大和と武蔵の乗組員は何もしない。だが、攻撃を受けたその瞬間、我々は防衛として、貴様らを沈めるとな!」
「……っっっ!!!」
シュヴァルツの海軍兵は、何も言うことなく、奴隷達に木船を出させ、艦隊へと戻っていた。
「貴様らぁ!絶対後悔するからな!!精々泣きわめくが良い!!!」
と、叫びながら。
浜辺に居る光成達の元に、草むらに隠れていた剛士が出て来た。
「第九護衛艦隊には連絡をしておきました。あかぎ以外の護衛艦は、沖合に出て敵の攻撃に注意せよと…」
「ふむ…未来の技術は実に便利だな…大和と武蔵の改装も急がせるか…」
剛士からの報告を聞き、光成は現代技術に関心する。
「では、我々は大和と武蔵に、出港するように伝えますか…ここから、信号弾を撃ってもいいですが…敵にバレないようにするため、入り江で発行信号を送るとしましょう」
大和と武蔵にも、出港の命令を送るため、三人は入り江へと戻り始めた。
〇
エーデルの司令公室。そこで、シュルクはワインを優雅に飲みながら、報告を待っていた。
「これだけの数が居るのだ…乗組員も震え上がって、大人しく艦を渡すだろうな…ふはははは」
任務が楽に終わると思い、シュルクは軽く酔っていることもあり、司令公室で一人笑っていた。
すると、誰かがドアをノックした。
「おお来たか…入れ!」
任務が終わったという報告が来たと思ったシュルクは、ワイングラスを片手に、入るように伝えた。
「失礼いたします」
「ふむ。では報告を頼む」
「…はっ」
入って来た部下の端切れが悪いに、シュルクは少し違和感を持ったが、大人しく報告を聞くことにした。
「どうやら、軍艦の名は大和と武蔵と言うようです…」
「ほう?大和に武蔵か…いい名だ」
部下から目標の軍艦の名を聞き、シュルクは満足そうに頷いた。
「それで?その軍艦はいつ見れる?」
「………」
シュルクからの質問に、部下はすぐに答えることができなかった。
「どうした?早く言わないか」
部下が答えないことに、シュルクは不審に思いながら、答えるように勧める。
「……それが、異世界の国の海軍大将を名乗る者が、大和と武蔵の受け渡しを……拒否しました…!」
「何だと!?」
光成が要求を拒否したと聞き、シュルクは驚きのあまりワイングラスを床に落とした。
「漂流者共は無能か!!」
数で見ているシュルクは、光成を無能だと思い込む。
「こうなれば仕方あるまい!馬鹿どもに我が艦隊の力を思い知らせてやれ!!」
「はっ!」
命令を受け、部下は前進する様に全艦艇に、指示を出すべく退出して行った。
それに続くよう、シュルクは身だしなみを整えた後、エーデルの艦橋へ向かう。
「状況はどうだ?」
艦橋に訪れたシュルクは、エーデル艦長バエール・デルバに、状況を尋ねた。
「はっ。現在、大和と武蔵の発見は出来ておりません…発見次第、最大船速で急速接近し、白兵戦に持ち込む予定です」
「よろしい。馬鹿共は我々のことを舐め切っているからな、奴らを殺すことには躊躇うな、降伏して来たら、適当に奴隷市場にでも売り払っておけ」
「はっ!」
物騒な会話がエーデルの艦橋で行われていたその時、
「前方に未確認船です!」
「何!?」
艦橋に居る兵の一人が、新たな船の存在を報告した。
シュルクが望遠鏡で見てみると、そこには、ながと、むつ、なとりの姿があった。
『こちら、第九護衛艦隊「つばき」旗艦ながと。シュヴァルツの海軍艦隊に告ぐ、戦艦大和と戦艦武蔵の強奪は諦め、即刻引き返せ。繰り返す!我々に撃沈される前に、即刻引き返せ!!』
護衛艦ながとから、春菜がハーベスク大艦隊に向けて忠告する。
「……全艦砲撃開始!馬鹿共に我が海軍の力を見せよ!!」
「ゲー・クラー!!」
春菜の忠告を煽りと受けたシュルクは、全艦艇に攻撃命令を下した。
244
お気に入りに追加
635
あなたにおすすめの小説

平和国家異世界へ―日本の受難―
あずき
ファンタジー
平和国家、日本。 東アジアの島国であるこの国は、厳しさを増す安全保障環境に対応するため、 政府は戦闘機搭載型護衛艦、DDV-712「しなの」を開発した。 「しなの」は第八護衛隊群に配属され、領海の警備を行なうことに。
それから数年後の2035年、8月。
日本は異世界に転移した。
帝国主義のはびこるこの世界で、日本は生き残れるのか。
総勢1200億人を抱えた国家サバイバルが今、始まる――
何番煎じ蚊もわからない日本転移小説です。
質問などは感想に書いていただけると、返信します。
毎日投稿します。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。

超文明日本
点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。
そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。
異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します
あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。
異世界パルメディアは、大魔法文明時代。
だが、その時代は崩壊寸前だった。
なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。
マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。
追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。
ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。
世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。
無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。
化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。
そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。
当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。
ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる