大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生

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第三章〜日丸島防衛戦〜

第12話 大国艦隊との会合

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数十分の時間をかけ、木船が日丸島の浜辺に到着する。

「貴様らが責任者か?」

出会ってそうそう、木船から降りて来たシュヴァルツの海軍兵は、偉そうな態度で名乗ることもなく、光成に聞いた。

「…私は異世界の国、大日本帝國の海軍大将、竹田光成だ。こっちは、同じ海軍中将の一文字眞だ。それで、我々に何のようですかな?」

光成は、丁寧に、出来るだけ相手を刺激しないよう、自分達の自己紹介を済ませる。

(これで、自己紹介くらいしてくれればよいが…)

自分達が先に自己紹介したため、相手が礼儀良く自己紹介をしてくれるのを光成は望んだが、

「貴様らが乗っている軍艦を渡せ。そうすれば労働階級として、貴様らを取り繕ってやろう。大国のために働けるのだ、ありがたく思え」

シュヴァルツの海軍兵は、態度を改めることなく、命令口調で大和を要求した。

「断る」

「は?」

光成に要求を断られ、シュヴァルツの海軍兵は、驚いたような表情を浮かべる。

「貴様らの理不尽な要求に、我々は応じることはできん。さっさと帰った方が、身のためだぞ?」

呆気に取られているシュヴァルツの海軍兵に、眞は帰るよう勧めた。

「ば、馬鹿か貴様ら!!あの大艦隊が見えんのか!?貴様ら程度、我が海軍の敵ではないのだぞ!?」

「それならば、何故あそこまでの数を揃えたのだ?敵ではないのならば、数隻で十分ではないのかな?」

「…っ!」

激昂するシュヴァルツの海軍兵は、勢いのまま言った言葉を光成に痛い所を突かれ、顔を真っ赤に染め上げる。

「艦隊に伝えろ、このまま大人しく国に戻るならば、我々、大和と武蔵の乗組員は何もしない。だが、攻撃を受けたその瞬間、我々は防衛として、貴様らを沈めるとな!」

「……っっっ!!!」

シュヴァルツの海軍兵は、何も言うことなく、奴隷達に木船を出させ、艦隊へと戻っていた。

「貴様らぁ!絶対後悔するからな!!精々泣きわめくが良い!!!」

と、叫びながら。
浜辺に居る光成達の元に、草むらに隠れていた剛士が出て来た。

「第九護衛艦隊には連絡をしておきました。あかぎ以外の護衛艦は、沖合に出て敵の攻撃に注意せよと…」

「ふむ…未来の技術は実に便利だな…大和と武蔵の改装も急がせるか…」

剛士からの報告を聞き、光成は現代技術に関心する。

「では、我々は大和と武蔵に、出港するように伝えますか…ここから、信号弾を撃ってもいいですが…敵にバレないようにするため、入り江で発行信号を送るとしましょう」

大和と武蔵にも、出港の命令を送るため、三人は入り江へと戻り始めた。





エーデルの司令公室。そこで、シュルクはワインを優雅に飲みながら、報告を待っていた。

「これだけの数が居るのだ…乗組員も震え上がって、大人しく艦を渡すだろうな…ふはははは」

任務が楽に終わると思い、シュルクは軽く酔っていることもあり、司令公室で一人笑っていた。
すると、誰かがドアをノックした。

「おお来たか…入れ!」

任務が終わったという報告が来たと思ったシュルクは、ワイングラスを片手に、入るように伝えた。

「失礼いたします」

「ふむ。では報告を頼む」

「…はっ」

入って来た部下の端切れが悪いに、シュルクは少し違和感を持ったが、大人しく報告を聞くことにした。

「どうやら、軍艦の名は大和と武蔵と言うようです…」

「ほう?大和に武蔵か…いい名だ」

部下から目標の軍艦の名を聞き、シュルクは満足そうに頷いた。

「それで?その軍艦はいつ見れる?」

「………」

シュルクからの質問に、部下はすぐに答えることができなかった。

「どうした?早く言わないか」

部下が答えないことに、シュルクは不審に思いながら、答えるように勧める。

「……それが、異世界の国の海軍大将を名乗る者が、大和と武蔵の受け渡しを……拒否しました…!」

「何だと!?」

光成が要求を拒否したと聞き、シュルクは驚きのあまりワイングラスを床に落とした。

「漂流者共は無能か!!」

数で見ているシュルクは、光成を無能だと思い込む。

「こうなれば仕方あるまい!馬鹿どもに我が艦隊の力を思い知らせてやれ!!」

「はっ!」

命令を受け、部下は前進する様に全艦艇に、指示を出すべく退出して行った。
それに続くよう、シュルクは身だしなみを整えた後、エーデルの艦橋へ向かう。

「状況はどうだ?」

艦橋に訪れたシュルクは、エーデル艦長バエール・デルバに、状況を尋ねた。

「はっ。現在、大和と武蔵の発見は出来ておりません…発見次第、最大船速で急速接近し、白兵戦に持ち込む予定です」

「よろしい。馬鹿共は我々のことを舐め切っているからな、奴らを殺すことには躊躇うな、降伏して来たら、適当に奴隷市場にでも売り払っておけ」

「はっ!」

物騒な会話がエーデルの艦橋で行われていたその時、

「前方に未確認船です!」

「何!?」

艦橋に居る兵の一人が、新たな船の存在を報告した。
シュルクが望遠鏡で見てみると、そこには、ながと、むつ、なとりの姿があった。

『こちら、第九護衛艦隊「つばき」旗艦ながと。シュヴァルツの海軍艦隊に告ぐ、戦艦大和と戦艦武蔵の強奪は諦め、即刻引き返せ。繰り返す!我々に撃沈される前に、即刻引き返せ!!』

護衛艦ながとから、春菜がハーベスク大艦隊に向けて忠告する。

「……全艦砲撃開始!馬鹿共に我が海軍の力を見せよ!!」

ゲー・クラー承知致しました!!」

春菜の忠告を煽りと受けたシュルクは、全艦艇に攻撃命令を下した。
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