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第三章〜日丸島防衛戦〜
第11話 日丸島緊急事態
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第九護衛艦隊の者達と合流してから、数日が経過した。
光太郎と春菜は、最初の方針会議での意見の違い以降、互いに相手を睨み合っており、その後の会議でも、ぶつかることが多く、そのため二人は犬猿の仲となっていた。
そして、本日もまたぶつかる
「ですから、新造艦は駆逐艦を優先するべきです!いくら、たいげい型潜水艦があるとはいえ、駆逐艦の方が新造、量産しやすいです!」
「いいや、潜水艦の生産を優先するべきだろう。伊四百型の潜水空母という思想を元に、新造潜水艦の設計を制作、そして、たいげい型潜水艦の最新鋭のシステムを搭載した新造潜水艦による秘匿艦隊を作るのを優先する方が良い!」
新造艦の意見の食い違いにより、光太郎と春菜は机を挟んで互いに相手を睨みつける。
「まぁまぁ光太郎、落ち着いて…」
「そうそう、春菜も落ち着いて…ね?」
信介と零は、二人を落ち着かせようとする。
ここ数日、光太郎を止めるのは、光太郎の親友の信介が、春菜を止めるのは、春菜の親友の零が、二人の口喧嘩を止めるのが日常となっている。
なお、光太郎と春菜の喧嘩を止めるのきっかけに、信介と零がちょっといい感じの仲になっているのは、まだ誰も気づいていない。
「喧嘩するほど仲がよいとは、このことなんでしょうな…」
二人の口喧嘩をお茶を飲みながら眞は見届けていた。
喧嘩が始まると、会議の進行が止まってしまうので、本人達と喧嘩を止める係の信介と零以外は、基本的にお茶を飲んだり、軽い会話をして暇を潰している。
「そうだろう…なっ…!」
パチンッ!
「う~む……参りました…」
眞の意見に耳を傾けながら、光成は将棋の駒を進めた。光成の将棋相手は剛士。
光成に王手をかけられ、剛士は頭を掻いて、しばらく考えた後、降参した。
眞や雪などがお茶を飲んで寛いでいる中、光成と剛士は二人で将棋や囲碁で時間を潰していた。
日丸島では日常の一つとなった風景。だが、そんな日常が一転する。
「た、大変です!日丸島沖合に、大規模な艦隊が!」
「何!?」
司令室に焦りながら入って来た部下からの報告を聞き、全員が騒然とする。
「…紅吉を呼んでくれ、彼に艦隊の所属国を見てもらう」
「はっ!」
光太郎は艦隊の所属国を教えてもらうために、紅吉と名付けたあの赤髪の生存者を呼ぶように伝えた。
〇
光太郎達は、すぐに来てくれた紅吉と共に、艦隊が見える浜辺まで移動していた。
「……あ、あの船は…間違いありません!シュヴァルツの海軍艦隊です!!」
双眼鏡を使い、紅吉はシュヴァルツの艦艇に掲げてある旗を見て、シュヴァルツの海軍艦隊だと断定する。
「何が目的なんでしょうか…海賊を撃破されたやり返しにしては、大規模過ぎると思います…」
「さあな、ただ…嫌な予感がするのは確かだ」
光太郎と光成は、シュヴァルツの大艦隊の目的を探っていた。
双眼鏡で艦隊の動きを見ていると、一隻の小型木船がこちらに向かっていた。
木船には、奴隷身分の者だろう人にオールを漕がせ、偉そうな服を着た者が居るのが見えた。
「…私と一文字司令長が対応しよう。山本艦長、鳴門艦長は大和と武蔵をいつでも出港できるようにしておいてくれ」
「「はっ!」」
光成の命を受け、光太郎と信介は出港準備を整えるため、大和と武蔵へ戻っていた。
「…第九護衛艦隊「つばき」、全艦出撃用意!元奴隷の者達は、あかぎへ避難を始めるように!」
「「「「はっ!!!」」」」
剛士も第九護衛艦隊に、出撃を用意と、あかぎへ元奴隷達を避難させるように伝え、それを受けた春菜たちは、それぞれの艦隊へ戻っていった。
「では私は、草むらに隠れ一部始終を見届けます。幸い通信機があるので、何かあったら、第九護衛艦隊を動かします…」
「頼みました」
木船が向かってくる中、剛士は光成達にそう伝えた後、浜辺の近くにある隠れ場所へ向かって行った。
そして、これから世界を激震させる、シュヴァルツの海軍と日丸島の会合が幕を開ける。
光太郎と春菜は、最初の方針会議での意見の違い以降、互いに相手を睨み合っており、その後の会議でも、ぶつかることが多く、そのため二人は犬猿の仲となっていた。
そして、本日もまたぶつかる
「ですから、新造艦は駆逐艦を優先するべきです!いくら、たいげい型潜水艦があるとはいえ、駆逐艦の方が新造、量産しやすいです!」
「いいや、潜水艦の生産を優先するべきだろう。伊四百型の潜水空母という思想を元に、新造潜水艦の設計を制作、そして、たいげい型潜水艦の最新鋭のシステムを搭載した新造潜水艦による秘匿艦隊を作るのを優先する方が良い!」
新造艦の意見の食い違いにより、光太郎と春菜は机を挟んで互いに相手を睨みつける。
「まぁまぁ光太郎、落ち着いて…」
「そうそう、春菜も落ち着いて…ね?」
信介と零は、二人を落ち着かせようとする。
ここ数日、光太郎を止めるのは、光太郎の親友の信介が、春菜を止めるのは、春菜の親友の零が、二人の口喧嘩を止めるのが日常となっている。
なお、光太郎と春菜の喧嘩を止めるのきっかけに、信介と零がちょっといい感じの仲になっているのは、まだ誰も気づいていない。
「喧嘩するほど仲がよいとは、このことなんでしょうな…」
二人の口喧嘩をお茶を飲みながら眞は見届けていた。
喧嘩が始まると、会議の進行が止まってしまうので、本人達と喧嘩を止める係の信介と零以外は、基本的にお茶を飲んだり、軽い会話をして暇を潰している。
「そうだろう…なっ…!」
パチンッ!
「う~む……参りました…」
眞の意見に耳を傾けながら、光成は将棋の駒を進めた。光成の将棋相手は剛士。
光成に王手をかけられ、剛士は頭を掻いて、しばらく考えた後、降参した。
眞や雪などがお茶を飲んで寛いでいる中、光成と剛士は二人で将棋や囲碁で時間を潰していた。
日丸島では日常の一つとなった風景。だが、そんな日常が一転する。
「た、大変です!日丸島沖合に、大規模な艦隊が!」
「何!?」
司令室に焦りながら入って来た部下からの報告を聞き、全員が騒然とする。
「…紅吉を呼んでくれ、彼に艦隊の所属国を見てもらう」
「はっ!」
光太郎は艦隊の所属国を教えてもらうために、紅吉と名付けたあの赤髪の生存者を呼ぶように伝えた。
〇
光太郎達は、すぐに来てくれた紅吉と共に、艦隊が見える浜辺まで移動していた。
「……あ、あの船は…間違いありません!シュヴァルツの海軍艦隊です!!」
双眼鏡を使い、紅吉はシュヴァルツの艦艇に掲げてある旗を見て、シュヴァルツの海軍艦隊だと断定する。
「何が目的なんでしょうか…海賊を撃破されたやり返しにしては、大規模過ぎると思います…」
「さあな、ただ…嫌な予感がするのは確かだ」
光太郎と光成は、シュヴァルツの大艦隊の目的を探っていた。
双眼鏡で艦隊の動きを見ていると、一隻の小型木船がこちらに向かっていた。
木船には、奴隷身分の者だろう人にオールを漕がせ、偉そうな服を着た者が居るのが見えた。
「…私と一文字司令長が対応しよう。山本艦長、鳴門艦長は大和と武蔵をいつでも出港できるようにしておいてくれ」
「「はっ!」」
光成の命を受け、光太郎と信介は出港準備を整えるため、大和と武蔵へ戻っていた。
「…第九護衛艦隊「つばき」、全艦出撃用意!元奴隷の者達は、あかぎへ避難を始めるように!」
「「「「はっ!!!」」」」
剛士も第九護衛艦隊に、出撃を用意と、あかぎへ元奴隷達を避難させるように伝え、それを受けた春菜たちは、それぞれの艦隊へ戻っていった。
「では私は、草むらに隠れ一部始終を見届けます。幸い通信機があるので、何かあったら、第九護衛艦隊を動かします…」
「頼みました」
木船が向かってくる中、剛士は光成達にそう伝えた後、浜辺の近くにある隠れ場所へ向かって行った。
そして、これから世界を激震させる、シュヴァルツの海軍と日丸島の会合が幕を開ける。
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