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しおりを挟む「これは……」
「父さんたちがくれたんだ。セックスするとき使えって」
「潤滑油か。……いや、ほんとに潤滑油か……?」
訝しげな顔をして、ロウが瓶の中身を眺めている。
ノアも中身がなんなのかはっきりとわかっているわけではないが、おそらく穴に挿れるときに使うものなのだろうことはなんとなく察していた。
それに、両親が息子におかしな物を持たせるわけがない、と思う……思いたい。
ロウはしばらくの間、胡乱な目でその瓶を眺めていたが、やがてその中身を少量自分の手のひらに落とした。
そして、指の腹を擦り合わせたあと、匂いを確認する。
「……甘い匂いがするが、危険な物ではなさそうだ。性交時に使う用の香油かなにかだろう」
「うん、父さんがくれたから危険な物ではないと思うよ……たぶん」
「ふうん……」
短い沈黙の後、ロウが再びノアを見る。
「じゃあ、やるぞ」
「……うん」
ノアがおずおずと頷くと、ロウの手がノアの片足を掴み、無遠慮にノアの股を大きく開かせた。
「わっ、ちょ……!」
「解すから、開いたままでいといてくれ」
「っ!!」
──そんな簡単に言われても!
抗議したい気持ちと足を閉じたい気持ちをグッと堪え、ノアはそのままの体勢を維持した。
ロウはノアの片足を押さえ、もう片方の手をノアの股の間に持っていく。
「勃起してるな。先走りもすごい」
「っ、言わなくていいから!」
ノアが叫ぶと、ロウはいっそう口角を上げて笑みを深めた。
大きな手がノアの性器に触れ、包み込むように濡れた手で掴む。
「っ、ああッ!」
「セックスして精気を渡すって、具体的にはどういうことなんだろうな? こういう愛撫でも精気を渡せてるのか、それとも俺側の体液が重要なのか」
「わ、かんな、っ、あ、ンンッ……!」
ゆっくりと性器を上下に扱かれ、ノアは快感に眉を寄せる。
香油を塗した手が動くたび、ぐちゅぐちゅといやらしい水音が響く。ノアの性器の先端からとろりと先走りが漏れていた。
心臓がばくばくと音を立てている。
全身を駆け巡る血液が下腹部に集まって、苦しいくらいの快感にノアは眩暈を覚えた。
「ッ……ひ、あ、ンァ、あッ!!」
嬌声とともに、勢いよく射精する。
ビュクッと腹に精液が飛び、その後も小刻みに溢れた白濁がだらだらと零れていく。
「は、あ……」
「……キスのときも思ったが、やたら甘いな。淫魔の特性なのか?」
「……しらない……」
手に滴るノアの精液を美味そうに舐めとるロウを見ていられず、ノアは目を逸らす。
恥ずかしいが、そんなことどうでもよく思えるくらい気持ちよくて、心地よくて、頭がぼうっとしていた。
「ノア、大丈夫か?」
「……うん」
ノアが頷くと、ロウは安堵したような顔をしてノアの太腿を撫でる。
その手に再び香油が垂らされ、とうとうノアの後孔へと指先が伸びてきた。
「んっ」
ロウの太い指がつぷりと挿入され、さほど抵抗もなく根元まで収まる。
途端にナカがきゅうっと収縮して、ロウの指に絡み付いた。
「……痛くないか?」
「っ、いたくは、ないけど……っ」
腹の底が熱くて、ぞくぞくする。
感じたことのない感覚に、ノアは目を白黒させた。
ノアの顔を見ながら、ロウはゆっくりと指を動かしはじめる。
「んっ、あっ……」
「……すごいな、指にしゃぶりついてくる」
ロウは興奮を隠しきれない目をしてノアを見下ろす。弧を描いた口元からは、鋭い牙が覗いていた。
「ん、あっ……ん」
「気持ちいいか?」
「……きもちいい……あッ!!」
ずるり、ともう一本指が入ってきた。ナカで二本の指が緩慢な動きで前後して、時折ぐるりと回転する。ぐちゅり、と耳に届くいやらしい水音が、いっそうノアをたかぶらせた。
「う、あっ……んぅ……」
「……ノア、つらくないか……?」
「ん……大丈夫、大丈夫だから……っ」
──はやく、欲しい。
ノアのとろけた瞳は、ロウの股ぐらで反り返る雄々しい怒張に向けられていた。
血管を浮き上がらせたその長大な性器から、ノアは目が離せない。
──おいしそう……。
しゃぶりつきたい。飲み込みたい。飲み干したい。
ロウの精液を注がれたい。
「ノア?」
「…………もう、いいから……だから……早く……」
自身の足を開かせていたロウの手の甲に、自身の手を重ねる。
ロウはなにも言わなかった。代わりに、ゆっくりと指を引き抜く。
「んっ……! あ……」
膝裏に手を入れられ、がばりと大きく足を開かれる。
そして、先ほどまで指を咥え込んでいたそこに、熱く硬いものが押し当てられた。
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