ミルクはお好きですか?

リツカ

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後日談

憎めないひと

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 服越しの肌の弾力を楽しむように、シュラトの手のひらがカルナの上半身を這っていく。
 自然と呼吸が荒くなって、カルナの唇からは熱い吐息がこぼれた。

「ふっ……、あ……」
「カルナ、立てるか?」
「……や、やだ……」
「やだじゃないだろ」

 有無を言わさず抱き上げられ、そのまま体を反転させられる。
 シュラトは揶揄うような笑みを浮かべながら、するりと目を細めた。

「まだ直接触ってもないのに、こんなに硬くして……」
「っ、ん……!」

 シュラトの指先が、服の下でツンと尖っていたカルナの乳首を軽く弾いた。
 その痺れるような刺激に、カルナの体はひくりと小さく震える。ジンとした痛みがすぐに快楽へとすり替わり、腰から下の力が抜けていく。
 崩れそうになる体をシュラトの腕に支えられ、カルナはなんとかその場に立っていた。

「ふ、ぁ……っ、んあッ、あ……っ!」
「気持ちいいか?」
「ひ、ゃ、あぁ、あ……!」

 服の上から擦るように乳首を責められた。前後に動く指に押し潰されるたび布が擦れて、いっそうそこが熱を持つ。

「う、あっ……服、やだ……っ」
「直接触ってほしい?」
「っ……」

 顔を赤くして、カルナはこくこくと頷く。
 シュラトは牙を見せて満足げに笑った。そして、カルナの上半身をテーブルの上にゆっくりと横たえ、シャツのボタンを器用な手つきで外していく。

「カノンと俺たちの部屋を分けたら、もうこうやってテーブルやソファでしなくてもよくなるな。……いや、俺はベッド以外であなたを抱くのももちろん好きだが」
「…………」

 気恥ずかしさを覚えたカルナは軽く身じろぎをした。

 寝室にはカノンがいるので、ふたりがセックスするのは自ずと夜のリビングになる。
 カルナも家の中であればどこで抱かれようとさほど嫌ではないが、広々とした柔らかなベッドでの情交が多少恋しくはあった。
 ──そこでふと、カルナはあることに思い至る。

「……まさか、そのために家を増築しようって言い出したんですか?」
「それもある。大切なことだろ?」

 悪びれた様子もなく言い、シュラトはカルナのシャツを脱がしていく。

「カノンも自分の部屋が持ててうれしいだろうし、俺たちはベッドの上でのびのび愛しあえる。良いこと尽くしで最高だ」
「は、はあ……」

 ため息と相槌の中間のような、なんともいえない声がカルナの口から漏れた。
 しかし、シュラトの言う通り、悪くはない。ベッド以外でするのは体がしんどいこともあるし、寝ていたカノンが最中にリビングにやってきたらと思うといつもヒヤヒヤしていた。

「ん、ぅ……」
「もうミルクがあふれてる」

 直に乳首の先を摘まれると、カルナの下腹部のあたりがぞくりとする。まだ触れられてもいない腹の奥がきゅうと収縮して、乳首からたらりとミルクがあふれた。

「ふっ……、あっ……!」

 零れたミルクをシュラトの舌が舐め、そのまましゃぶりつくように乳首に吸い付かれる。ジュッと強く吸われると、カルナの胸が大きく反った。

「ひッ、や……ああッ、あ……っ」

 身じろぎかけた体をテーブルに押さえ付けられ、そのまま執拗に乳を吸われる。
 舌先で擦られ、押し潰され、弾かれ、そこに甘く歯を立てられると、どうしようもないくらい気持ちよかった。
 とろんと溶けた目をしたカルナの唇から、上擦った喘ぎ声がこぼれる。

「はっ、あ……だめ……イク、イッちゃう……」
「胸弄られただけでイクのか?」
「ッ……だって、シュラトさまが……!」
「そうだな、俺のせいだ」

 揶揄うように笑って、シュラトが再びカルナの乳首を舐り、もう片方の乳首も指先で扱くように弄りだす。

「ん、うっ、ああッ、あッ……!」
「ほら、イッていいよ」
「っ……ああっ、やっ、んあっ……ああッ!」

 ビクッとカルナの体が大きく跳ねた。
 その後も小刻みに下半身が震え、下着の中にじんわりと温かなものが広がる。下着が肌に張り付く不快感と、どうしようもない羞恥心に、カルナは手のひらで顔を隠しながら身を捩った。

「う……」
「カルナ、やらしくてすごく可愛い」

 シュラトが濡れた声で囁き、溢れたミルクを美味そうに舐め取っていく。

 胸で達するのは、いつまで経っても慣れない。
 ほかの獣人たちがどうなのか詳しく知っているわけではないが、なんとなく自分が胸で感じやすい自覚はカルナにもあった。

 ──シュラト様がたくさん触るからだ……。

 カルナは恨めしげな目でシュラトを見上げる。
 しかし、カルナを見下ろすシュラトがやけに幸せそうな顔で微笑み返してくるものだから、本当の意味では憎めない。顔がかっこいいのもずるいと思う。

「カルナ?」
「……なんでもないです」
「また照れてるのか?」
「……照れてないです」

 カルナがふいっとそっぽを向くと、シュラトがくつくつと喉で笑った。
 頬に優しくキスを落とされ、同時にシュラトの手がゆっくりとカルナの下腹部へ伸びてくる。
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