ミルクはお好きですか?

リツカ

文字の大きさ
上 下
43 / 57

43.指輪

しおりを挟む

「んっ、あ……」

 やがて、ようやく射精を終えたらしいシュラトの性器がずるりと引き抜かれる。
 カルナは崩れ落ちるように横向きに倒れたあと、フーフーと大きく息を吐いた。

 今までで一番激しくて、一番気持ちよくて、一番疲れた。下半身の感覚が鈍く、両腿はいまだに痙攣している気がする。

「大丈夫か?」

 カルナの顔を覗き込んできたシュラトが、優しくカルナの頭を撫でた。ぼんやりしたままのカルナがこくんと小さく頷くと、安心したような表情でカルナの唇にキスを落とす。
 そして、シュラトはゆったりと体を起こしてこう言った。

「じゃあ、もう一回しよう」
「え……?」

 カルナの口から間の抜けた声が出た。そのくらい意味がわからなかった。
 前髪を掻き上げながらどこか妖艶に微笑んだシュラトは、ベッドに倒れたままのカルナを恍惚とした表情で見下ろす。

「子どもができるまで毎日しよう。できなくても毎日しよう。とりあえずもう一回しよう」
「……いや、ちょっと意味がわからないんですけど……」
「カルナ、愛してるよ。俺の奥さん」
「あの、俺の話を……っンン~~!?」

 深く口付けられると同時に、今度は正面から最奥へと一息で突き入れられた。さきほど射精したばかりであるはずのシュラトの性器はガチガチに勃起したまま、再びカルナのナカでドクドクと脈打っている。

「ふ、ぁ……き、今日は、もう……っあ、んん……」
「二週間分するって言っただろ?」
「でもっ、もう……っ、ひぅ、あ、乳首つねっちゃだめっ……アッ、やっ……」

 ミルクまみれの乳首をクニクニと弄られながら腰を打ち付けられると、頭が真っ白になって、気持ちいい以外何も考えられなくなる。

 そのあとはまた、ナカに種付けされて、ミルクを飲まれて、何度もイかされて、また突き入れられて、揺さぶられて──
 途中、夢なのか現実なのかわからない快楽の波に呑まれながら、カルナはただシュラトの名前を呼んで、好きと愛してるの言葉を繰り返した。
 それはシュラトが満足するまで続き、何度も絶頂させられたカルナは、いつしか気を失うように眠ってしまっていた。



 その後、カルナが意識を取り戻す頃にはすっかり陽も落ち、夜が深まっていた。
 全身が重くて、気だるい。特に下半身の方は未だにうまく動かせそうになかった。

 カルナが目だけで隣を見ると、穏やかな表情をしたシュラトがすやすやと眠っている。
 少し恨めしいが、それでも愛おしい。
 シュラトを見つめるカルナの顔に浮かぶ笑みは、苦笑と呼ぶには些か柔らかすぎる、愛情に満ちたものだった。

 重たい腕を持ち上げ、そっとシュラトの頬に触れる。そのとき、カルナはふとある物に気付いて、頬に触れた手が軽くビクッと跳ねた。

「んっ……」

 シュラトが眉間に皺を寄せ、身動ぐ。
 あわてて手を引っ込めたカルナは、起こしてしまったかと内心焦っていたが、その後シュラトはまた穏やかな寝息をたてはじめた。

 ホッとしたカルナは、視線をシュラトの寝顔から自身の手元に移す。そして、目の前に左手を持ってきて、じっとそれを見つめた。
 左手の薬指にはめられたプラチナリングの美しさに、ほうっと感嘆の息がもれる。
 月明かりだけが頼りの薄暗い室内の中、中央に埋め込まれていたダイヤモンドがキラキラと輝いていた。

 いつの間にはめられたのかわからないが、よく見れば眠っているシュラトの左手の薬指にもお揃いの指輪が着けられている。
 自身の左手をシュラトの左手の隣に並べて、カルナは頬を緩めて笑った。
 満足するまでそれを眺めたあと、カルナはシュラトの体にぴたりとくっついて、再び静かに目を閉じる。
 涙が出そうなほど幸せで、明日になるのが待ち遠しかった。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!? 溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。

処理中です...