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38.香油
しおりを挟む「……無理。絶対無理です」
「そんなのわからないだろう。カルナだって、種族違いの両親から産まれてる」
「いや、でもさすがに五人は……ッあ、」
「そういう気持ちで、ってことだ。志は高い方がいいだろ?」
話の途中でズボンのウエスト部分を掴まれ、下着ごとずり下ろされる。
シュラトの目に促されるように腰を軽く浮かせると、足からズボンと下着がするりと引き抜かれ、すでに上半身裸だったカルナはあっという間に一糸纏わぬ姿にされてしまった。
「んっ、あっ……」
いまだ濡れたままだったカルナの性器をシュラトの手が包み込むように掴み、根本から先端までねっとりと舌を這わせた。
その柔らかな舌の感触に、先ほど射精したばかりの性器が再び芯を持つ。
「どうする? どうしてほしい?」
頭をもたげたカルナの性器をゆっくりと擦り上げながら、シュラトが悪戯っぽく尋ねてきた。
カルナの唇から熱い吐息がこぼれる。
「……シュラトさまの好きに」
「俺の好きに?」
カルナが無言で頷き返すと、シュラトは嬉しそうな顔をして上体を起こし、ベッドサイドにあるチェストから何かを取りだした。
「綺麗だろ」
シュラトが手に取ってカルナに見せてくれたのは、中にトロリとした液体の入った薄青色の瓶だった。綺麗な丸いデザインで、見た目は少し大きめな香水瓶のようである。
「それは……」
「香油だ。遠征先で見つけて、カルナと使いたいと思って買ってきた」
少し得意げな顔をしたシュラトは、蓋のされた注ぎ口の部分を持って軽く小瓶を揺らす。そのたび中の香油もたぷたぷと左右に跳ねた。
このタイミングで、しかも二人で使いたいというのだから、いつも使っている潤滑油の代わりに使うつもりなのだろう。
一度、香油の瓶を枕元に置いてから、シュラトは自身の騎士服の上着に手をかけた。よくよく見れば、裸にされたカルナとは対照的に、シュラトはまだきっちりと騎士服を纏ったままだった。
華美な装飾が施された上着と中に着ていたシャツを脱ぎ捨てると、引き締まった美しい肉体が露わになる。
いくつか傷痕は見られるが、真新しそうな傷がないことにカルナは密かに安堵した。怪我など、騎士であればさほどめずらしいことではないのだろうが、それでもカルナとしてはできるだけシュラトに息災でいてほしいのだ。
──それにしても、相変わらずかっこよすぎる……
二週間ぶりに見るシュラトの鍛えられた美しい肉体に、カルナの心臓が高鳴った。
何度見ても飽きない。
何度見ても見惚れる。
顔もそうだが、体も最高に格好いい。
カルナがうっとりとシュラトを見上げていると、同じくシュラトもうっとりとした表情でカルナに笑いかけてきた。
「やらしい顔」
「……シュラト様のほうがやらしい顔してますよ」
「まあ、そうだろうな」
あっさりと肯定して、シュラトは再び香油の瓶を手に取った。蓋を開け、中身を少し手に垂らすと、途端に甘い香りが寝室に広がる。
苺のような、フルーティーな香りだ。果物そのものというよりは、ジャムの甘い香りに近いのかもしれない。
シュラトは香油で濡れた指先でカルナの性器をなぞり、会陰部に触れ、そしてさらにその奥へと指を差し込もうとする。
「足、開いて」
「……」
請われるがまま、カルナはおずおずと膝を立て、軽く足を開いた。
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