ミルクはお好きですか?

リツカ

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35.甘い

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 無言でシャツの裾から差し込まれたシュラトの手が、包帯の上を滑るようにカルナの胸をするりと撫でる。

「んッ……」

 カルナはぎゅっと目をつぶり、唇から甘い吐息がこぼれそうになるのをなんとか堪えた。
 包帯越しとはいえ、二週間ぶりの直接的な刺激に、カルナの体が徐々に熱を持っていく。

 探るようにカルナの胸に触れていたシュラトの指先が、包帯の結び目を見つけた途端にそこでぴたりと止まった。そして、何度かそこを爪先で引っ掻くような動きをしたかと思うと、きつく巻いていたはずの包帯が突如はらりと解けた。
 あっという間に包帯を抜き取られ、抑えがなくなったカルナの胸元は、ボタンがはち切れそうな程にシャツの前を盛り上げる。

「シュ、シュラトさま……」
「かわいそうに。こんなに腫らして……」

 うっとりとした声音は、ちっともかわいそうだと思っているようには聞こえなかった。
 包帯を投げ捨てたシュラトの指先が、性急にカルナのシャツのボタンを外していく。
 カルナは羞恥に唇を噛んだが、もうシュラトを止めようとはしなかった。二週間お預けを食らっていたのは、カルナだって同じだ。

 カルナのシャツを脱がせたシュラトは、眼前のカルナの胸を見つめて、ほうと感嘆の息を吐く。

「すごくいやらしくて綺麗だ。それにミルクの甘い匂いもする……」

 いっそう恥ずかしくなったカルナは僅かに身動ぎ、シュラトから顔を背けた。

 女性のような丸い膨らみがあるわけではないが、体を鍛えている筋肉質な男性のパツンとした胸筋くらいには、今のカルナの胸は膨らんでいる。
 しかも、ツンと尖った乳首にはすでにミルクが滲んでいて、辺りに誘うような甘い香りを漂わせていた。

 牙を見せて笑ったシュラトが、やんわりとカルナの胸に触れる。

「んあっ」
「少し触っただけであふれてくる」
「い、いちいち言わなくていいですっ!」

 カルナが赤い顔で抗議すると、シュラトは楽しそうに笑いながら、カルナの肌を伝い落ちていくミルクをぺろりと舐め取る。そのままミルクの跡をなぞるように舌を這わせて、行き着いた先にあったカルナの乳首を躊躇なく口に含んだ。

「あっ……んッ……」

 絶妙な力加減で優しく乳を吸われ、カルナの口から媚びるような甘い声が漏れた。
 まだ単純に乳を吸われているだけなのだが、ここ数ヶ月の間に散々シュラトに弄ばれたそこは、もう立派な性感帯になっている。
 シュラトに軽く乳を吸われるだけで腹の底に熱が溜まっていくのを、カルナは蕩けそうな頭で感じていた。

 シュラトの喉から、ごくり、ごくりとミルクを飲み下す音が聞こえる。
 カルナは経験したことがないので比べようもないが、もしかすると赤ん坊よりも乳を吸うのが上手いかもしれない。
 重く張っていた胸が、徐々に楽になっていく。

「あっ! んん……っ」

 突如、乳輪に甘く歯を立てられた。
 痛みよりも遥かに強い快感に、カルナは目をとろんとさせる。

 シュラトはミルクを吸いながら、舌で擦るようにカルナの乳首を刺激しはじめた。乳頭を舌先で優しくスリスリと撫でられるたび、カルナの腰がびくびくと震える。

「やっ、あ、っあ……」
「ん……いつもより甘いな。それに、いつもより感度も良い」

 乳首から口を離したシュラトが満足げに笑う。そして、さっきまで口に含んでいた乳首を指先で摘み、クニクニと優しく弄った。

「あっ……やっ、だめっ」
「ダメじゃないだろう? こんなに硬くして……触ってない方からもミルクがあふれてる」

 揶揄うような声で告げられた言葉にカルナが視線を落とすと、確かに触れられていない方の胸からもミルクが零れていた。というか、シュラトが指で片方の乳首を擦るたび、触れられていない方の乳首からもピュッとミルクが噴きでている。

「可愛いな。早く触ってほしくておねだりしてるみたいだ」
「ち、ちがっ、違いますっ」
「違うのか? じゃあこっちは触らなくてもいいんだな?」
「っ、それは……」

 咄嗟に否定したが、この状況では何の意味もないことは明らかだった。
 触れられてもいないのにミルクをあふれさせるそこは、ピンと立って、痺れるような疼きに支配されている。
 少し泣きそうになったカルナを見て、苦笑したシュラトが「冗談だよ」とカルナの首筋にキスをした。
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