114 / 119
後日談など
初恋と罪と愛と 11
しおりを挟むクロードは「はっ……」と短く息を吐く。
後孔の締め付けが良すぎて、少しでも気を抜くと早々に達してしまいそうだった。
「っ……あ、あっ、んっ……や」
ヴィンセントの腿がヒクつくように震え、そのたびクロードの性器が奥深くへと侵入していく。念入りに解された穴はその侵入を拒むどころか、奥へ奥へとうれしそうにクロードを誘うのだ。
「あっ、ああッ……ひっ、う、あッ!」
クロードの亀頭が最奥にたどりついた瞬間、ヴィンセントの体が軽く仰け反った。びくり、びくりと震える体をクロードが抱き締め、なだめるようにその広い背中を傷痕ごと撫でる……無論、いっそうヴィンセントが乱れてしまうことはわかっていたが。
「ッ~~、は、あ、あっ、イク……ッ」
「もうイッてるだろう」
「あっ、く……う、あっ、ああっ……!!」
クロードの揶揄いなど聞こえていないらしい。ヴィンセントは天を仰ぎ、性器に触れないまま吐精を続けた。
眼前に晒された喉元に、クロードは吸い付くようにキスをする。そのまま長いこと、物欲しげにきゅうきゅうと性器に絡みついてくる甘い締め付けを楽しんだ。
「は、ぁ……クロード様、クロード様……」
「ヴィンセント」
少し落ち着いたのか、甘えるように頬を寄せてきたヴィンセントと口付けを交わす。薄く開かれた唇に舌を忍び込ませ、ヴィンセントの舌を絡め取り、優しく吸う。すると、興奮したようにヴィンセントも舌を絡めてきた。
「んっ、は、ぁ……クロード様、好きです……愛してます……」
とろんとした紫色の瞳がクロードだけを見て、クロードにだけ愛を囁く。
胸に湧き上がる悦びに息が詰まりそうになるのを感じながら、クロードは再びヴィンセントの唇を奪った。
死んでもいいから愛されたかった。欲しかった。手放せなかった。
これは夢なのではないかとたまに思う。そうだったらいいとも思う。
愛していると告げられるたびうれしくて、でも少し怖い。
いや、本当は愛していなかったと告げられる日が来るのが怖いのだろうか。
「……ヴィンセント、愛してる……本当に……」
「……はい、存じ上げております」
クロードの言葉に、ヴィンセントが目を細めて微笑む。
昔は常に無表情に見えていたが、傍にいる時間が長くなった今はヴィンセントの喜怒哀楽が多少はわかるようになった。どうやら表情の変化がわかりにくいだけで、感情の変化がないわけではないらしい。
フー……と息を吐いたヴィンセントが汗ばんだ黒髪を掻き上げ、欲を孕んだ瞳でクロードを見下ろす。
「動いていいですか?」
「……ああ、もちろん」
「ん……、あっ、あ……っ」
ヴィンセントの腰が微かに浮いた。
ぴったりとハマっていた性器がずるりと肉壁を抉る。抜かれるのを嫌がるようにナカがクロードの雄に吸い付いて、その快感にクロードの眉が寄った。
「ああっ……クロードさま、クロードさまっ……」
ヴィンセントはクロードにしがみ付いて、ゆっくりと腰を上下させる。腰を下ろすたびに大きく息を吐いて、クロードの亀頭を自身の最奥に押し付けた。泣きそうな甘い声で喘いで、どうしようもないほどクロードの劣情を誘ってくる。
「んぁ、っあ、あ……奥、あっ、ん……」
「ここだろ?」
「っ……あ、あっ!」
ヴィンセントの腰を掴んだクロードがグッと最奥に自身の先端を押し付けてやると、ぎゅうっとナカが締まってクロードの性器にしゃぶりついてくる。
思わずクロードは歯を噛み締めた。
「ッ……ヴィンセント、もう……」
「ん、あっ……クロードさま、だしてください、俺の中で……っ、ん、あっ!」
ねだられるままヴィンセントの腰を掴んで、下から何度も突き上げた。ヴィンセントの気持ちのいいところを重点的に擦り上げながら、クロードは駆け上がってきた射精感に唇を歪める。
「っく……、ヴィンセント……ッ」
「ひ、あっ……あ、ああっ、ああぁッ!」
クロードが精を吐き出すのと、ヴィンセントが絶頂を迎えるのはほぼ同時だった。後孔の奥の奥に熱を吐き出す雄を、快感に戦慄くナカが愛おしそうに咥え込んでいる。
「はっ……あ、あぁ……」
恍惚とした表情を浮かべたヴィンセントの胸が大きく上下した。クロードの体にしがみついていた手をそろりと自身の腹に伸ばし、そこを愛おしそうに撫でる。
「は、ぁ………熱い……」
とろけた目で微笑むヴィンセントを見て、また腹の底にずくりと熱が集まるのを感じた。それを誤魔化すよう、クロードは再びヴィンセントの唇に啄むようなキスをする。
……しかし、一度火のついた欲望がそう易々と収まるはずもなく、結局は体位を変えて再度体を繋げた。ヴィンセントがクロードを甘やかして「もう一度いいですよ」と、笑いかけてくれたのだから我慢する理由もない。
クロードが二度目の精をヴィンセントのナカに吐き出したときには、もうすっかり夜は深まっていた。どちらかというとすでに朝に近いのかもしれない。
クロードとヴィンセントは抱き合ったままその身をベッドの上に投げ出し、そうしてようやく二度目の眠りについた。
70
お気に入りに追加
1,957
あなたにおすすめの小説

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
大好きなあなたが「嫌い」と言うから「私もです」と微笑みました。
桗梛葉 (たなは)
恋愛
私はずっと、貴方のことが好きなのです。
でも貴方は私を嫌っています。
だから、私は命を懸けて今日も嘘を吐くのです。
貴方が心置きなく私を嫌っていられるように。
貴方を「嫌い」なのだと告げるのです。

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる