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転生者は夢の続きを見たくない
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俺はセドリックと一緒に両親の居る客間に向かっているところだった。
この冬休みはセドリックの屋敷に滞在する予定で、荷物を取りに来たついでに、セドリックから挨拶をしておきたいと言うので、出発前に両親と顔を合わせなければならかった。
セドリックは我がデイト男爵家の寄親にあたる伯爵家の令息で、立場的には上位者であるにも関わらず、俺やその両親を立てて接してくれる。素晴らしい幼馴染で親友。未来の上司、もしくは庇護者。
彼は絵に描いたような金髪碧眼に整った目鼻立の、非常に目を引く容姿をしている。背は高く、鍛えられた引き締まった肉体に、貴重な聖属性持ち。若干十五歳にして、将来は聖騎士になることを期待される特別な男だ。
俺はと言えば、どこにでもいる茶色い髪と瞳。中肉中背で貧乏男爵家の嫡男。特筆すべきことの無い残念な腰巾着。親からも愛されてない。
「旦那様、ラウルさんはこのまま伯爵家でお仕事を頂けば良いのではないかしら。どうせ士官は難しいのでしょう?」
キンキンと頭に響く義母の声が、閉じた扉越しに廊下まで響いてくる。俺にとっては日常の風景であるが、今はセドリックが一緒なのだ。気まずい。
「跡取りはエステルが婿を取ればいいのだし、この機会にセドリックさんにはっきりお願いしましょうよ」
「バカを言うな。いくらあれが無能だからといって、男爵家の血を途絶えさせる訳にはいかん。エステルはワシの娘じゃないのだから。お前に子が出来なかったのは本当に計算外だったな」
「まあ!酷い!!エステルは貴方の子よ!私と結婚したんだから、もう貴方の娘でしょ!?」
「血は繋がってない」
扉の前で執事のセバスが気まずそうにしている。客を待つ間くらい、聞かれて困る話は控えたらどうなんだ。
てか、なんだよ。俺とエステルは異母兄妹じゃなかったのか。てっきり、クソ親父が外で産ませた娘だと思ってた。
もう十年も前。母親が亡くなった悲しみも冷めらやぬうちに屋敷にやって来た新しい母親と妹。継母は俺をゴミ扱いするばかりだが、一つ年下のエステルは俺を兄と慕ってくれたのに。
寄宿舎に身を寄せる様になって、顔を合わせることがめっきり少なくなった今も手紙のやり取りを続けている。
そうだよ、可哀想なエステル、……可哀想?……。あの子は俺の妹じゃない。俺の……、俺の………?
「———お前の妹は、」
セドリックの声が聞こえた気がしたが、それ以上は思考することができなかった。目の前が真っ暗になって、俺は意識を手放した。
——アクションRPGゲーム『brilliant strategy』——
剣と魔法の世界。権謀術数の張り巡らされた権力闘争を制し、若き英雄となるべく、少年の戦いは今始まる。——とかなんとか。そんな感じに始まるオープニングムービー。
貴族らしき少年が徐々に青年へと姿を変え、白銀の鎧を纏って群衆の頂点に立つ。主人公らしいその勇姿は、金髪碧眼に整った目鼻立の、非常に目を引く……。
セドリック?
理知的な眉。切れ長の瞳。少し尖った犬歯。少年の姿は間違いようもなく、(成長した姿は、想像で補うしかないが)このキャラクターはセドリックだ。神に愛されし男、聖騎士セドリック・アドラム。
は?……セドリックは本当に聖騎士になるのか?……この記憶はなんだ?
——分かるはずだ。
……そうだな。分かる。これは俺がラウルになる以前の記憶。セドリックとラウルの物語。
セドリック・アドラムは王国に古くから続く伯爵家に生まれた。次男だったが聖属性を扱う才能を授かったため、嫡男以上の待遇でそれはそれは大切に育てられた。
命の揺籠の外なる存在——【魔獣】に対抗する最も有効な手段が、聖属性による攻撃であるからだった。
人間のみならず、生きとし生けるものの命を脅かす【魔獣】。有史以来、人類の歩みは常に【魔獣】との戦いと共にあった。
【魔獣】を屠るには、只人よりも騎士が。騎士よりも魔術師が。魔術師よりも聖騎士が、より絶大な力を誇示する。そして、この世界ではより多く【魔獣】を斃す者が、より多くの名声を手中に収める。
セドリック・アドラムは、生まれ落ちたその時から、魔獣被害に苦しむ人々の期待の星であった。そしてその期待を裏切ることなく成長し、幾多の試練を乗り越え、最後には王女を妻に得て国王の後継者にまで上り詰めるのだ。
それが『brilliant strategy』の筋書きである。
物語の中では、セドリックの側に常に影の様に付き従う存在があった。ラウル・デイト男爵子息。セドリックの学友として育ち、従者を務める少年である。
つまり、俺だ。
ラウルには、一歳年下の妹が居た。親の愛を知らないラウルにとってかけがえのない存在であった。
彼女は名をエステルと言う。
エステルはセドリックとも幼少期から面識があり、引く手数多なセドリックの、はじめの恋人でもある。
実はラウルもエステルに対し、決して報われない想いを抱いていたが、その気持ちを胸に秘め、セドリックとの関係の橋渡し役を務めていた。自分の代わりにセドリックが妹を幸せにしてくれるのならば、それで充分だと思っていたのだ。
しかし残酷な運命は、そんなラウルのささやかな願いを打ち砕く。
セドリックの能力を高く買った国王派貴族が、セドリックと王女の婚約を取り決めようと画策。邪魔となるエステルを排除しようと企てるのである。
セドリックとラウルは必死にエステルを守ろうとするが、彼女は運悪くその命を散らしてしまう。
エステルの死後、セドリックと王女との婚約は強引に取り決められてしまうのだった。
当初反発していたセドリックだが、王女の人となりを知り、深く関わり合う内に、彼女の知らぬ所で進められた陰謀の咎を、彼女に問うことはできないと考える様になる。次第に蟠りを解消し、二人は惹かれ合って名実ともに理想のカップルとなっていく。
これに深く傷ついたのはラウルである。
希望は死んで、悼む者もいない。そればかりか、こともあろうに元凶の王女に尻尾を振るセドリック。
失望したラウルは、エステルの命を奪った者たちへの復讐を誓い、セドリックの元を去る。
復讐の時を伺うラウルは、物語終盤に隣国の兵と共に王国へ攻めて来る。そして他ならぬセドリックの手にかかって死ぬことになるのだ。何とも後味の悪い最期だ。
セドリックは、その死を乗り越え本当の平和とは何かを問い、やがて明君へと成長するのだ。
ところで、今さっき、俺とエステルに血の繋がりがないという話を聞いて、この胸を過った感情があった。「憐憫と焦燥」だ。
あの感情はどこからやって来て、どこへ行ったのだろうか。
俺は確かに、家族の中で一人だけ、俺に優しいエステルを特別に可愛く思ってはいる。でも、だからこそ血の繋がりがなかった事実に俺はがっかりもしている。
俺はエステルの家族としての権利を主張する根拠を持たないのだ。俺には初めから、兄としてエステルの側にいる資格なんて無かった。
あの両親は、エステルの兄でありたい俺の気持ちなど、いとも簡単に切り捨てるだろう。血の繋がらない兄なんかが側にいたら、嫁入り前のエステルの価値を下げるばかりだと、むしろ俺を排除しようとするに違いない。
悔しいが、一理あるとも思う。
だって俺なんかがなぁ。
エステルはなかなかの美人だし、可愛げのない兄にも優しいとてもいい子だ。平たく言ってモテるだろう。一方の俺は、モブの陰キャだ。釣り合わん。
物語の中のラウルは、エステルに道ならぬ恋(血の繋がりがない事は知らない様だった)を抱いていたらしいが。俺のエステルへの感情。これは果たして恋と言える想いだろうか。
エステルが不幸になるのを防ぎたいとは思うが、そのために自分がエステルを奪おうなどとは考えられない。そうしたいと願う情熱が無い。全然無い。
俺はそもそもが無気力な人間なのだ。感情的になった事なんて思い出す限り無い。恋のライバルなんて役目は到底向いてない。
いや、ホント向いてない。
人格を形成するのはその人の持つ記憶だと、前世で聞いたような気がする。つまり、そういうことだろうか?
俺の前世での記憶。経験と知識がラウルという登場人物を、本来とかけ離れた人格に変化してしまった。ラウルらしい思考と行動が困難なほどに。
子供が大人に成長すれば、人格も大抵は様変わりするように。ラウルは俺である同時に、ラウルから俺へとすっかり変わり果ててしまった。
だからラウルである俺は、エステルの未来に「憐憫と焦燥」を覚え、俺であるラウルは、遠い昔の記憶のよう曖昧に受け流した。
それにしても、セドリックとエステルが恋人同士とは……。
今までのところ、二人の間にそんな雰囲気を感じたことは一度もないのだが……。俺が鈍感すぎたのか?
ともかく、セドリックとエステルが俺の助けを借りて気持ちを通わすのなら、俺は二人の恋を助けなければいいし、二人が恋仲でなければ、エステルが狙われることもない。
よしよし。何もしないのは大得意だ。
俺はエステルを女として見てないし、多分セドリックもまだエステルを意識していない。エステルの気持ちは……。
うん。俺に乙女心を解する繊細さは無い。
もし恋していたとしても諦めてもらおう。貧乏男爵家の養女が結ばれるには、相手が偉大すぎる。エステルも分かってくれるだろう。
だから大丈夫だ。
エステルが可哀想なのは、ゲームの中の事で、俺が妹を愛するのも、ゲームの中の話だ。
オレが俺になる前の、ゲームの、中の……。
「……ル…………ラウル?」
「ん……」
目を覚ますと、オープニングムービーで何百回と観た顔が俺を見下ろしていた。
すげー。かっこいい。
ゲームについての記憶は鮮やかなのに、何故だか前世の自分自身についてはほとんど思い出せることがない。
ただ仕事をして、メシを食って、ゲームをして。その繰り返しで人生を浪費してたような気がする。前世においても俺は、今と変わらず無気力に生きていたのだろう。
今世ではほんの子供の頃。自分が喪った母の大きさと孤独に耐えかねて、もう何にも期待したくないと心を凍らせた。
セドリックは、その生き様で前世の俺を鼓舞し、今世では陽のあたる場所に俺を連れ出して温めてくれる。
セドリック、俺の英雄。
彼の存在がこんなにも俺を救っていてくれたのかと改めて実感する。
これはきっと前世を思い出した事による恩恵だな。以前より自身の境遇や感情について、客観的な認識が可能になったように思う。メタ認知とかいうヤツだろう。
ああそうか。
ゲームのラウルは二人を。エステルだけでなくセドリックを、本当に愛していたからこそ、裏切りを許すことができずに狂ってしまったんだな。
今なら分かる。
俺の内に巣食う喪失への絶望。光への執着。愛への憧れ。あまりに脆いアイデンティティ。
もしかして、エステルが死ななくても。二人が俺の元から去って行ったら、俺は狂ってしまうのかな。少しずつ、孤独に心を蝕まれて。
でも、ダメだなぁ。
そうだとしても。折角前世を思い出したってのに結局。俺には状況を打破する気概がない。
誰の助けもなく失敗し、打ちのめされ、誰からも顧みられない。そんな孤独に、この精神は慣れ過ぎちまってるんだろう。
勝利のために戦うよりも、少しでも長く現状を維持したい。ちっともイメージ出来ない成功を求めるより、残された猶予をちょっとでも長く傍観者でいたい。
前世知識で自己分析能力が向上したところでこれじゃな。
俺ってやつは本当に……。
「終わってる……」
「え?」
「いや、何でもない」
横たえられていた体を起こそうと身じろぐ俺を、セドリックが助けてくれる。ベッドに寝かされていた様だ。見覚えのない部屋。
「ここは……?」
「男爵邸に置いて行きたく無かったから、今日の宿泊予定地まで移動したんだ」
「そうか、う。いてて……」
辺りを見回そうと首を巡らすと酷い痛みが走って、思わず呻いてしまう。
「あ、ごめん。移動中の馬車でずっと膝枕してたんだけど、高さが合わなかったかな……」
「ひ、膝枕?」
「うん。ずっとラウルの顔を観察できて役得だったよ」
「は?」
爽やかな笑顔で、気は確かかと心配になる発言を口にするセドリック。まじまじと見てしまう。いつも通りイケメン。
「ごめんね?」
「い、いや……大した事ない。すぐ治るだろ」
そうだな。きっと大した問題じゃない。それより今後についてだ。
俺が破滅を回避する為には、エステルを口説き落とし、両親を説き伏せて、将来の約束を取り交わすべきなんだろう。
それで、男爵家は血統を守りながらエステルを女主人にできるし、俺はセドリックとエステルの二人のうちの一人だけでも、失わずに済む。
エステルは命を狙われないし、セドリックは何の障害もなく王女と婚約できる。最善策だろう。
でも。俺は、そうしたくない。
「本当に大丈夫?突然気を失うなんて、余程の事だよ。安静にしてなくちゃ」
心配そうな顔のセドリックが、重病人にするみたいに俺の体をそっと布団に沈めてくれる。ラウルには、こんな風に看病してくれる相手は一人もいなかったな。セドリックが初めてだ。
学園でもやる気の無いラウルを見捨てずに声を掛け続けて、母親みたいに世話を焼いてくれるんだ。「ラウルのお母さん」なんて呼ばれて揶揄われても。
セドリックが側にいるから、ラウルみたいな人間でも、それなりに他の生徒とも交流が図れていたんだろう。セドリックなしには、学園生活もままならなかったに違いない。
いや学園生活どころか、人生さえ……。
セドリックの温かな青い瞳に、俺が映っている。セドリックの目に映るものなら、俺さえも美しく見えるから不思議だな。
はぁ、と溜息が漏れた。
やっぱり俺は、セドリックを選ばない選択を、自分に許せない。セドリックの顔に失望が広がる様を想像するだけで、気持ちが萎える。それくらいなら、少しずつ狂っていく自分と戦った方がいい。
「俺、ちょっと……トイレ!」
たまらない気持ちになって、部屋を逃げ出そうと起き上がった。だけど逃走しようとする俺を引き止めるものがある。
布団から跳ね起きて、床に下ろそうとした足。ジャラジャラ言うそれが巻き付いて、俺はバランスを崩してしまう。
そのままセドリックの胸に飛び込んだ。
「ぷわ!ごっごめん……」
ムスクの香りが満ちる懐から、慌てて顔を起こす。顔が熱い。セドリックの視線を逃れて後ろを振り向いた。そこで俺の片足を掴んだ犯人を確かめ、絶句する
セドリックは呆然とする俺を、強く強く抱きしめた。
「ねえ、そんなに慌てないで。もう少し話そう?」
同じものを見ているはずのセドリックは、なのにちっとも驚いた様子がない。俺の脚に嵌められた異物。鋼鉄の枷と鎖を。
「へ……?」
俺は恐る恐る振り返る。輝かしい未来を約束された、神の愛し子を。
「本当、ありえないよね。僕にラウルを殺させるなんて。だから女神にやり直しを請求したんだ」
「やり、なおし……」
「そうだよ。褒めて?」
至近距離から見ても毛穴ひとつない顔。長いまつ毛。甘えた声で、得意気に頭を擦り寄せてくるセドリック。
思考停止に陥る俺は、反射的にその頭をなでなでする。
「本当に悲しかった。酷いよラウル」
「な、なん、な、何を言ってる……?」
「やだな、思い出したんでしょ?ラウルってば寝言で色々言ってたよ?」
は?寝言?俺は何を口走った?
顔を青くする俺を面白そうに見つめるセドリック。
「ラウル?よく聞いて。お前の妹は、全然お前に相応しくない。小さい頃に心の支えにしていたのは知ってるけど。お前の妹にしてみれば犬猫に接する程度の軽い気持ちで気まぐれに餌を与えていたに過ぎないし、お前を特別に思っていたわけじゃない。だから簡単に僕になびいたし、少しもお前を守ろうとしなかった。僕だってお前がよそ見しなければ、歯牙にもかけなかったし、その証拠に今回は全く関わっていないよ」
え、情報が多いんだが……。
ちょ、ちょっと待て。どういう事だ?セドリックはエステルを好きじゃなかった?だけど、エステルが死んだ時は、王女を断罪する勢いで王宮に乗り込んでいったのに……。
「妹が死んでラウルがあんまり落ち込むから、犯人を縛り上げてやれば気が済むかと思ったのに、王女が今度はラウルを狙うって言い出してさ。どうせその内誰かと結婚させられるなら、ラウルとの関係を黙認する相手がいいかと思い直した。それで王女と取引して婚約を受け入れたんだ」
ふええ。シナリオと現実のギャップ……。
「なのに肝心のラウルがいなくなるんだもん。僕ちょっと暴れちゃったよ」
「いや『もん』てお前……。もしかして。それで隣国との戦争に……?」
「うーん?なんか、僕を恐れてパニックになった【魔獣】がいっぱい隣国に逃げ込んだらしくてね。それを侵略行為と見なされたみたいだよ」
「うっかりが過ぎる!」
俺のツッコミに何故だか嬉しそうにするセドリック。
「全部ラウルの責任だよ?」
「まてまてセドリック!おかしいだろ!暴走グセか?そんなヤツだったか?」
セドリックはクスクス笑い始めた。俺をぎゅうぎゅう抱きしめて、匂いを嗅いでいる。
「前回、ラウルをこの手で殺したせいで、ちょっと壊れちゃったのかもしれない。ああ、いい匂い。落ち着く……」
セドリックの鼻先が頸動脈を掠める。
「ひぃ……」
「もしまた逃げても、何度だってやり直して捕まえにいくから、もう諦めて僕に囚われてね」
俺に巻き付いているセドリックの唇が、首元に触れる。舐めるよう発せられる声
ひあああぁ!
これは、アレだ。蛇に睨まれたカエル!もしくは、猫に追われるネズミ!いや、それじゃコメディアニメか……!?
セドリックは神に愛されし男だ。
彼にかかれば運命さえも意のままに。
だけど女神様よ、たぶん貴女はセドリックを甘やかし過ぎたのではないだろうか。
全然感謝してないし、反省の色も皆無だ。何でも思い通りになると思ってやがる。
俺は盛大に溜息をついた。
こんなヤンデレ男でも可愛く見えてしまう自分が怖い。セドリックに羽交い締めにされたまま天を仰ぐ。
神よ。願わくば、セドリックのチートが今回の世界の平和を乱しませんように。
あゝ愛の監禁生活は、まだ始まったばかり。
この冬休みはセドリックの屋敷に滞在する予定で、荷物を取りに来たついでに、セドリックから挨拶をしておきたいと言うので、出発前に両親と顔を合わせなければならかった。
セドリックは我がデイト男爵家の寄親にあたる伯爵家の令息で、立場的には上位者であるにも関わらず、俺やその両親を立てて接してくれる。素晴らしい幼馴染で親友。未来の上司、もしくは庇護者。
彼は絵に描いたような金髪碧眼に整った目鼻立の、非常に目を引く容姿をしている。背は高く、鍛えられた引き締まった肉体に、貴重な聖属性持ち。若干十五歳にして、将来は聖騎士になることを期待される特別な男だ。
俺はと言えば、どこにでもいる茶色い髪と瞳。中肉中背で貧乏男爵家の嫡男。特筆すべきことの無い残念な腰巾着。親からも愛されてない。
「旦那様、ラウルさんはこのまま伯爵家でお仕事を頂けば良いのではないかしら。どうせ士官は難しいのでしょう?」
キンキンと頭に響く義母の声が、閉じた扉越しに廊下まで響いてくる。俺にとっては日常の風景であるが、今はセドリックが一緒なのだ。気まずい。
「跡取りはエステルが婿を取ればいいのだし、この機会にセドリックさんにはっきりお願いしましょうよ」
「バカを言うな。いくらあれが無能だからといって、男爵家の血を途絶えさせる訳にはいかん。エステルはワシの娘じゃないのだから。お前に子が出来なかったのは本当に計算外だったな」
「まあ!酷い!!エステルは貴方の子よ!私と結婚したんだから、もう貴方の娘でしょ!?」
「血は繋がってない」
扉の前で執事のセバスが気まずそうにしている。客を待つ間くらい、聞かれて困る話は控えたらどうなんだ。
てか、なんだよ。俺とエステルは異母兄妹じゃなかったのか。てっきり、クソ親父が外で産ませた娘だと思ってた。
もう十年も前。母親が亡くなった悲しみも冷めらやぬうちに屋敷にやって来た新しい母親と妹。継母は俺をゴミ扱いするばかりだが、一つ年下のエステルは俺を兄と慕ってくれたのに。
寄宿舎に身を寄せる様になって、顔を合わせることがめっきり少なくなった今も手紙のやり取りを続けている。
そうだよ、可哀想なエステル、……可哀想?……。あの子は俺の妹じゃない。俺の……、俺の………?
「———お前の妹は、」
セドリックの声が聞こえた気がしたが、それ以上は思考することができなかった。目の前が真っ暗になって、俺は意識を手放した。
——アクションRPGゲーム『brilliant strategy』——
剣と魔法の世界。権謀術数の張り巡らされた権力闘争を制し、若き英雄となるべく、少年の戦いは今始まる。——とかなんとか。そんな感じに始まるオープニングムービー。
貴族らしき少年が徐々に青年へと姿を変え、白銀の鎧を纏って群衆の頂点に立つ。主人公らしいその勇姿は、金髪碧眼に整った目鼻立の、非常に目を引く……。
セドリック?
理知的な眉。切れ長の瞳。少し尖った犬歯。少年の姿は間違いようもなく、(成長した姿は、想像で補うしかないが)このキャラクターはセドリックだ。神に愛されし男、聖騎士セドリック・アドラム。
は?……セドリックは本当に聖騎士になるのか?……この記憶はなんだ?
——分かるはずだ。
……そうだな。分かる。これは俺がラウルになる以前の記憶。セドリックとラウルの物語。
セドリック・アドラムは王国に古くから続く伯爵家に生まれた。次男だったが聖属性を扱う才能を授かったため、嫡男以上の待遇でそれはそれは大切に育てられた。
命の揺籠の外なる存在——【魔獣】に対抗する最も有効な手段が、聖属性による攻撃であるからだった。
人間のみならず、生きとし生けるものの命を脅かす【魔獣】。有史以来、人類の歩みは常に【魔獣】との戦いと共にあった。
【魔獣】を屠るには、只人よりも騎士が。騎士よりも魔術師が。魔術師よりも聖騎士が、より絶大な力を誇示する。そして、この世界ではより多く【魔獣】を斃す者が、より多くの名声を手中に収める。
セドリック・アドラムは、生まれ落ちたその時から、魔獣被害に苦しむ人々の期待の星であった。そしてその期待を裏切ることなく成長し、幾多の試練を乗り越え、最後には王女を妻に得て国王の後継者にまで上り詰めるのだ。
それが『brilliant strategy』の筋書きである。
物語の中では、セドリックの側に常に影の様に付き従う存在があった。ラウル・デイト男爵子息。セドリックの学友として育ち、従者を務める少年である。
つまり、俺だ。
ラウルには、一歳年下の妹が居た。親の愛を知らないラウルにとってかけがえのない存在であった。
彼女は名をエステルと言う。
エステルはセドリックとも幼少期から面識があり、引く手数多なセドリックの、はじめの恋人でもある。
実はラウルもエステルに対し、決して報われない想いを抱いていたが、その気持ちを胸に秘め、セドリックとの関係の橋渡し役を務めていた。自分の代わりにセドリックが妹を幸せにしてくれるのならば、それで充分だと思っていたのだ。
しかし残酷な運命は、そんなラウルのささやかな願いを打ち砕く。
セドリックの能力を高く買った国王派貴族が、セドリックと王女の婚約を取り決めようと画策。邪魔となるエステルを排除しようと企てるのである。
セドリックとラウルは必死にエステルを守ろうとするが、彼女は運悪くその命を散らしてしまう。
エステルの死後、セドリックと王女との婚約は強引に取り決められてしまうのだった。
当初反発していたセドリックだが、王女の人となりを知り、深く関わり合う内に、彼女の知らぬ所で進められた陰謀の咎を、彼女に問うことはできないと考える様になる。次第に蟠りを解消し、二人は惹かれ合って名実ともに理想のカップルとなっていく。
これに深く傷ついたのはラウルである。
希望は死んで、悼む者もいない。そればかりか、こともあろうに元凶の王女に尻尾を振るセドリック。
失望したラウルは、エステルの命を奪った者たちへの復讐を誓い、セドリックの元を去る。
復讐の時を伺うラウルは、物語終盤に隣国の兵と共に王国へ攻めて来る。そして他ならぬセドリックの手にかかって死ぬことになるのだ。何とも後味の悪い最期だ。
セドリックは、その死を乗り越え本当の平和とは何かを問い、やがて明君へと成長するのだ。
ところで、今さっき、俺とエステルに血の繋がりがないという話を聞いて、この胸を過った感情があった。「憐憫と焦燥」だ。
あの感情はどこからやって来て、どこへ行ったのだろうか。
俺は確かに、家族の中で一人だけ、俺に優しいエステルを特別に可愛く思ってはいる。でも、だからこそ血の繋がりがなかった事実に俺はがっかりもしている。
俺はエステルの家族としての権利を主張する根拠を持たないのだ。俺には初めから、兄としてエステルの側にいる資格なんて無かった。
あの両親は、エステルの兄でありたい俺の気持ちなど、いとも簡単に切り捨てるだろう。血の繋がらない兄なんかが側にいたら、嫁入り前のエステルの価値を下げるばかりだと、むしろ俺を排除しようとするに違いない。
悔しいが、一理あるとも思う。
だって俺なんかがなぁ。
エステルはなかなかの美人だし、可愛げのない兄にも優しいとてもいい子だ。平たく言ってモテるだろう。一方の俺は、モブの陰キャだ。釣り合わん。
物語の中のラウルは、エステルに道ならぬ恋(血の繋がりがない事は知らない様だった)を抱いていたらしいが。俺のエステルへの感情。これは果たして恋と言える想いだろうか。
エステルが不幸になるのを防ぎたいとは思うが、そのために自分がエステルを奪おうなどとは考えられない。そうしたいと願う情熱が無い。全然無い。
俺はそもそもが無気力な人間なのだ。感情的になった事なんて思い出す限り無い。恋のライバルなんて役目は到底向いてない。
いや、ホント向いてない。
人格を形成するのはその人の持つ記憶だと、前世で聞いたような気がする。つまり、そういうことだろうか?
俺の前世での記憶。経験と知識がラウルという登場人物を、本来とかけ離れた人格に変化してしまった。ラウルらしい思考と行動が困難なほどに。
子供が大人に成長すれば、人格も大抵は様変わりするように。ラウルは俺である同時に、ラウルから俺へとすっかり変わり果ててしまった。
だからラウルである俺は、エステルの未来に「憐憫と焦燥」を覚え、俺であるラウルは、遠い昔の記憶のよう曖昧に受け流した。
それにしても、セドリックとエステルが恋人同士とは……。
今までのところ、二人の間にそんな雰囲気を感じたことは一度もないのだが……。俺が鈍感すぎたのか?
ともかく、セドリックとエステルが俺の助けを借りて気持ちを通わすのなら、俺は二人の恋を助けなければいいし、二人が恋仲でなければ、エステルが狙われることもない。
よしよし。何もしないのは大得意だ。
俺はエステルを女として見てないし、多分セドリックもまだエステルを意識していない。エステルの気持ちは……。
うん。俺に乙女心を解する繊細さは無い。
もし恋していたとしても諦めてもらおう。貧乏男爵家の養女が結ばれるには、相手が偉大すぎる。エステルも分かってくれるだろう。
だから大丈夫だ。
エステルが可哀想なのは、ゲームの中の事で、俺が妹を愛するのも、ゲームの中の話だ。
オレが俺になる前の、ゲームの、中の……。
「……ル…………ラウル?」
「ん……」
目を覚ますと、オープニングムービーで何百回と観た顔が俺を見下ろしていた。
すげー。かっこいい。
ゲームについての記憶は鮮やかなのに、何故だか前世の自分自身についてはほとんど思い出せることがない。
ただ仕事をして、メシを食って、ゲームをして。その繰り返しで人生を浪費してたような気がする。前世においても俺は、今と変わらず無気力に生きていたのだろう。
今世ではほんの子供の頃。自分が喪った母の大きさと孤独に耐えかねて、もう何にも期待したくないと心を凍らせた。
セドリックは、その生き様で前世の俺を鼓舞し、今世では陽のあたる場所に俺を連れ出して温めてくれる。
セドリック、俺の英雄。
彼の存在がこんなにも俺を救っていてくれたのかと改めて実感する。
これはきっと前世を思い出した事による恩恵だな。以前より自身の境遇や感情について、客観的な認識が可能になったように思う。メタ認知とかいうヤツだろう。
ああそうか。
ゲームのラウルは二人を。エステルだけでなくセドリックを、本当に愛していたからこそ、裏切りを許すことができずに狂ってしまったんだな。
今なら分かる。
俺の内に巣食う喪失への絶望。光への執着。愛への憧れ。あまりに脆いアイデンティティ。
もしかして、エステルが死ななくても。二人が俺の元から去って行ったら、俺は狂ってしまうのかな。少しずつ、孤独に心を蝕まれて。
でも、ダメだなぁ。
そうだとしても。折角前世を思い出したってのに結局。俺には状況を打破する気概がない。
誰の助けもなく失敗し、打ちのめされ、誰からも顧みられない。そんな孤独に、この精神は慣れ過ぎちまってるんだろう。
勝利のために戦うよりも、少しでも長く現状を維持したい。ちっともイメージ出来ない成功を求めるより、残された猶予をちょっとでも長く傍観者でいたい。
前世知識で自己分析能力が向上したところでこれじゃな。
俺ってやつは本当に……。
「終わってる……」
「え?」
「いや、何でもない」
横たえられていた体を起こそうと身じろぐ俺を、セドリックが助けてくれる。ベッドに寝かされていた様だ。見覚えのない部屋。
「ここは……?」
「男爵邸に置いて行きたく無かったから、今日の宿泊予定地まで移動したんだ」
「そうか、う。いてて……」
辺りを見回そうと首を巡らすと酷い痛みが走って、思わず呻いてしまう。
「あ、ごめん。移動中の馬車でずっと膝枕してたんだけど、高さが合わなかったかな……」
「ひ、膝枕?」
「うん。ずっとラウルの顔を観察できて役得だったよ」
「は?」
爽やかな笑顔で、気は確かかと心配になる発言を口にするセドリック。まじまじと見てしまう。いつも通りイケメン。
「ごめんね?」
「い、いや……大した事ない。すぐ治るだろ」
そうだな。きっと大した問題じゃない。それより今後についてだ。
俺が破滅を回避する為には、エステルを口説き落とし、両親を説き伏せて、将来の約束を取り交わすべきなんだろう。
それで、男爵家は血統を守りながらエステルを女主人にできるし、俺はセドリックとエステルの二人のうちの一人だけでも、失わずに済む。
エステルは命を狙われないし、セドリックは何の障害もなく王女と婚約できる。最善策だろう。
でも。俺は、そうしたくない。
「本当に大丈夫?突然気を失うなんて、余程の事だよ。安静にしてなくちゃ」
心配そうな顔のセドリックが、重病人にするみたいに俺の体をそっと布団に沈めてくれる。ラウルには、こんな風に看病してくれる相手は一人もいなかったな。セドリックが初めてだ。
学園でもやる気の無いラウルを見捨てずに声を掛け続けて、母親みたいに世話を焼いてくれるんだ。「ラウルのお母さん」なんて呼ばれて揶揄われても。
セドリックが側にいるから、ラウルみたいな人間でも、それなりに他の生徒とも交流が図れていたんだろう。セドリックなしには、学園生活もままならなかったに違いない。
いや学園生活どころか、人生さえ……。
セドリックの温かな青い瞳に、俺が映っている。セドリックの目に映るものなら、俺さえも美しく見えるから不思議だな。
はぁ、と溜息が漏れた。
やっぱり俺は、セドリックを選ばない選択を、自分に許せない。セドリックの顔に失望が広がる様を想像するだけで、気持ちが萎える。それくらいなら、少しずつ狂っていく自分と戦った方がいい。
「俺、ちょっと……トイレ!」
たまらない気持ちになって、部屋を逃げ出そうと起き上がった。だけど逃走しようとする俺を引き止めるものがある。
布団から跳ね起きて、床に下ろそうとした足。ジャラジャラ言うそれが巻き付いて、俺はバランスを崩してしまう。
そのままセドリックの胸に飛び込んだ。
「ぷわ!ごっごめん……」
ムスクの香りが満ちる懐から、慌てて顔を起こす。顔が熱い。セドリックの視線を逃れて後ろを振り向いた。そこで俺の片足を掴んだ犯人を確かめ、絶句する
セドリックは呆然とする俺を、強く強く抱きしめた。
「ねえ、そんなに慌てないで。もう少し話そう?」
同じものを見ているはずのセドリックは、なのにちっとも驚いた様子がない。俺の脚に嵌められた異物。鋼鉄の枷と鎖を。
「へ……?」
俺は恐る恐る振り返る。輝かしい未来を約束された、神の愛し子を。
「本当、ありえないよね。僕にラウルを殺させるなんて。だから女神にやり直しを請求したんだ」
「やり、なおし……」
「そうだよ。褒めて?」
至近距離から見ても毛穴ひとつない顔。長いまつ毛。甘えた声で、得意気に頭を擦り寄せてくるセドリック。
思考停止に陥る俺は、反射的にその頭をなでなでする。
「本当に悲しかった。酷いよラウル」
「な、なん、な、何を言ってる……?」
「やだな、思い出したんでしょ?ラウルってば寝言で色々言ってたよ?」
は?寝言?俺は何を口走った?
顔を青くする俺を面白そうに見つめるセドリック。
「ラウル?よく聞いて。お前の妹は、全然お前に相応しくない。小さい頃に心の支えにしていたのは知ってるけど。お前の妹にしてみれば犬猫に接する程度の軽い気持ちで気まぐれに餌を与えていたに過ぎないし、お前を特別に思っていたわけじゃない。だから簡単に僕になびいたし、少しもお前を守ろうとしなかった。僕だってお前がよそ見しなければ、歯牙にもかけなかったし、その証拠に今回は全く関わっていないよ」
え、情報が多いんだが……。
ちょ、ちょっと待て。どういう事だ?セドリックはエステルを好きじゃなかった?だけど、エステルが死んだ時は、王女を断罪する勢いで王宮に乗り込んでいったのに……。
「妹が死んでラウルがあんまり落ち込むから、犯人を縛り上げてやれば気が済むかと思ったのに、王女が今度はラウルを狙うって言い出してさ。どうせその内誰かと結婚させられるなら、ラウルとの関係を黙認する相手がいいかと思い直した。それで王女と取引して婚約を受け入れたんだ」
ふええ。シナリオと現実のギャップ……。
「なのに肝心のラウルがいなくなるんだもん。僕ちょっと暴れちゃったよ」
「いや『もん』てお前……。もしかして。それで隣国との戦争に……?」
「うーん?なんか、僕を恐れてパニックになった【魔獣】がいっぱい隣国に逃げ込んだらしくてね。それを侵略行為と見なされたみたいだよ」
「うっかりが過ぎる!」
俺のツッコミに何故だか嬉しそうにするセドリック。
「全部ラウルの責任だよ?」
「まてまてセドリック!おかしいだろ!暴走グセか?そんなヤツだったか?」
セドリックはクスクス笑い始めた。俺をぎゅうぎゅう抱きしめて、匂いを嗅いでいる。
「前回、ラウルをこの手で殺したせいで、ちょっと壊れちゃったのかもしれない。ああ、いい匂い。落ち着く……」
セドリックの鼻先が頸動脈を掠める。
「ひぃ……」
「もしまた逃げても、何度だってやり直して捕まえにいくから、もう諦めて僕に囚われてね」
俺に巻き付いているセドリックの唇が、首元に触れる。舐めるよう発せられる声
ひあああぁ!
これは、アレだ。蛇に睨まれたカエル!もしくは、猫に追われるネズミ!いや、それじゃコメディアニメか……!?
セドリックは神に愛されし男だ。
彼にかかれば運命さえも意のままに。
だけど女神様よ、たぶん貴女はセドリックを甘やかし過ぎたのではないだろうか。
全然感謝してないし、反省の色も皆無だ。何でも思い通りになると思ってやがる。
俺は盛大に溜息をついた。
こんなヤンデレ男でも可愛く見えてしまう自分が怖い。セドリックに羽交い締めにされたまま天を仰ぐ。
神よ。願わくば、セドリックのチートが今回の世界の平和を乱しませんように。
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