上 下
5 / 6
Change @ Viewpoint 3 ★視点を変えてッ!

SUN

しおりを挟む
登場人物

・キョースケ(ドラム)
24歳 イケメン・黒髪・長髪

・シュン(ギター)
23歳 あっさり顔・黒髪・短髪・ユウジとキョースケの小・中の後輩。
・ユウジ(ボーカル)
24歳 イケメン・金髪・短髪
・アキト(ベース)
24歳 濃い顔・赤髪・短髪・ユウジの高校の同級生。

・ユウジとキョースケは幼馴染。

・ジュリ(ユウジの彼女)
24歳 クールタイプ・茶髪・ロングヘアー
・エミリ(ジュリの会社の友達)
24歳 お嬢様タイプ・金髪・ロングヘアー



T SUN



○キョースケのマンション・ベットルーム (朝)
目覚まし時計がAM8時を知らせる音を部屋中、響かせる。
キョースケ「ううん……眠ッ……#$%※+★Zzz(寝ぼけまなこ)」
目覚まし時計を止めるキョースケ(24)

○同・キッチン
キョースケ「俺なんで今日こんな早く起きてんだっけ……ハァ(あくび)」
ペットボトルの水を飲むキョースケ。
キョースケ「あっ……、アイツの命日か……墓行くんだった、……よしッ」

○墓地・キョースケの弟の墓の前
色花を供え線香を立てるキョースケ。
キョースケ「元気だったか? ……って死んでるっつーーの、な」

○(回想)ユウジのマンション・エレベーターの中(夜)
キョースケのマンションで鍋パを終えて帰るユウジ(24)とジョリ(24)
ユウジ「いやーーエミリちゃん可愛かったな、家まで送んなくて良かったの?」
ジュリ「いいよ、いいよ、これからまた別の男性と会うんじゃない……」
ユウジ「そーーなの!?」
ジュリ「いっぱい居るからね、エミリのお世話したい男なんて」
ユウジ「え、AV流れた時、キャーーーー!!って叫んでなかった?手で顔隠してなかった?ウブな子だなと思ってたのに……」


×   ×   ×
エミリ「キャーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」
両手で顔を隠すエミリ。
×   ×   ×


ジュリ「まーーね、ほんとのところどうなんだろうね。女って怖いよーー(ニヤリ)」
ユウジ「演技ならアカデミー賞で最優秀主演女優賞あげなきゃ」
ジュリ「今回はエキストラって言ってたでしょ」
ユウジ「そうだった!……って、ノっかってくんな」
ジュリ「エへッ。そぉそぉ、そういえばさ、キョースケ君が怒ったとこユウ君、見た事ある?」
ユウジ「どーーして、そんな事聞くの?」
エレベーターが3Fに停まり降りるユウジとジュリ。

○(回想)同・リビング (同)
ユウジ「なんか飲む?」
ジュリ「私はいい、いらない。ありがと」
ソファに座るジュリ。
ユウジ「じゃあ俺はコーヒー淹れよっと」
ジュリ「っでね、さっきの続きなんだけど、ユウ君がアキト君たちに連絡するってベランダ行った後、皆で食器とか片付けてたの」
ユウジ「うん、」
ジュリ「その時ね、シュン君と出逢ってずっと気になってた事があって、」
ユウジ「何を気になってたの?」
ジュリ「礼儀とかちゃんとしてる人なのに、キョースケ君を呼ぶ時だけ呼び捨てじゃない?」
ユウジ「そうだね」
コーヒーを持ってジュリの横に座るユウジ。
ジュリ「年下に呼び捨てされてキョースケ君、イラつかないのかなって思って、シュン君に聞いてみたんだ。なんでキョースケ君にだけ呼び捨てするの?って」
ユウジ「シュン、なんて答えてた?」
ジュリ「なんでだろうって言ってた……」
ユウジ「アハハハハ なんだその答え、アハハハハ」
ジュリ「キョースケ君が昔っからだからって教えてくれたけど……」
ユウジ「……そーーだな。ジュリさ、キョースケに弟いたこと知ってる?」
ジュリ「え、知らない。いた?ってどういう事?」
ユウジ「死んだんだ。弟」
ジュリ「そうなの? 事故かなんか?」
ユウジのコーヒーをひと口飲むジュリ。
ユウジ「まだ7才か8才の時、道に飛び出してトラックに轢かれて」
ジュリ「そーーだったんだ」
ユウジ「だけど、その事故では死ななかった」
ジュリ「え?どういう事?」
ユウジ「何箇所か骨折したぐらいで命に別状はなかったって」
ジュリ「じゃーーなんで、亡くなったの」
ユウジ「数ヵ月間、入院して体力も回復してきた頃に、弟が退屈だから外へ連れてけってわがまま言いだして、次の日検査があるからダメだってキョースケは渋ったらしんだけど言う事聞かなくて、親や医者に内緒で屋上へ連れ出して遊んでたら……突然、ブッ倒れてそのまま……」
ジュリ「原因はなんだったの?」
ユウジ「トラックに轢かれた時、後頭部打ってたみたいでさ。入院中、何度かMRIで頭や身体を撮って調べたとは言ってたけど詰まってた場所が悪くて、映らなかったって。それで身体を急に動かした反動もあってか、詰まってた血管が破裂しちゃったって……」
ジュリ「そうだったんだ……」
ユウジ「それからキョースケは自分を責めては何度も自殺を考えてた……。何回、学校の2階から飛び降りてたか……」
ジュリ「2階から?!」
ユウジ「そう、2階から。でも2階から飛び降りたって死なないってアイツはわかってて、自分の体を痛めつけて、その痛みで弟に償っていたんじゃないかな」
ジュリ「そんな事しなくても……全部が全部、キョースケ君のせいじゃないのに」
ユウジ「そりゃ、めちゃくちゃ可愛がってた弟を、自分が連れ出したせいで……」
ジュリ「まぁ」
ユウジ「そんな事ばっかやってたから、どんどん変な奴と周りから思われちゃってさ……学校は週2。来ても誰とも話さない。俺以外とは……。それに太陽を見れば毎回泣き出すし……号泣だよ、号泣ッ」
ジュリ「なんで太陽見たら泣き出すの?」
ユウジ「弟の名前が……太陽だったんだ。……あぁ、すげぇ可愛いクソガキだったな」
ジュリ「そっか」
ユウジ「それから何年かそんな状態が続いて……」
ジュリ「キョースケ君も大変だったんだ」
ユウジ「いつのタイミングかは忘れたけど、俺の後ろばっかついてくるシュンに出逢って、少しづつ変わってったんだ」
ジュリ「ふぅーーん」
ユウジ「キョースケは、きっとシュンに弟を重ねてるんだ」
ジュリ「だから……シュン君がどんな呼び方でキョースケ君を呼んでも受け入れちゃうんだ」
ユウジ「アハハハハ、まっあの2人、ほんとの兄弟かってぐらいめちゃ似てるからな」
ジュリ「私もあの2人、似てる気がする」
ユウジ「だろ!!シュンも一人っ子だから今は兄貴みたいに思ってんじゃない」
ジュリ「ユウ君は恋人だけどね アハハハ」
ユウジ「やめろッ」

○(現在)墓地・キョースケの弟の墓の前(夕)
手を合わせたまま動かないキョースケ。
キョースケ(N)「どんなに願っても戻っては来ないよな……」

○空・晴天
空を見あげるキョースケ。
キョースケ「まだ見あげた空に太陽がいても、はっきり見えないんだ……」

○キョースケのマンション・ピアノの部屋 (夕)
オーディションのチラシを読むキョースケ。
キョースケ「このオーディション変わってんな……」

○同・玄関 (同)
ピアノのレッスンに来るタクト。
ピーン・ポーン ピーン・ポーン ×4

○同・ピアノの部屋 (同)
キョースケ「受けてみるか……」
気づかないキョースケ。

○同・玄関 (同)
タクト「あれ居ないのかな……、じゃあ、もう1回だけ鳴らして出なかったら、帰ろ……」
インターホンを鳴らすタクト。
ピーン・ポーン。
タクト(N)「出てよ…… 練習したいのに……」
インターホンに気づくキョースケ。
キョースケ「ごめん、ごめん、タクト今開けるよ」
タクト「居た!!……ホッ」

×   ×   ×

キョースケ「タクト、もう終わりの時間だよ」
タクト「あっほんとだ じゃあもうちょっとだけ」
キョースケ「わかった、続けてろ。 オレンジジュース持ってきてやるよ」
タクト「ありがとう」
ピアノを弾き続けるタクト。

×   ×   ×

オレンジジュースを持ってくるキョースケ。
キョースケ「タクト、次のコンクール出るでしょ? エントリーしとくよ」
タクト「えーー、出たくないよ」
キョースケ「出たくないの?最近、頑張ってんじゃん!!」
タンク「うん、出たくない」
キョースケ「どうして?」
タクト「去年出て、最後まで演奏できなかった…」
キョースケ「だから、今年リベンジすんじゃん」
タクト「リベンジって?」
キョースケ「もう1度、立ち向かうってことかな」
タクト「ええーー、やだなーー」
キョースケ「今のタクトなら大丈夫だと思うけどな」
タクト「うーーん……やだ……」
突然、現れるシュン(23)
シュン「よっ!」
タクト「あっシュン兄ちゃんだ!」
キョースケ「お前なにしてんの?」
シュン「バンド練習の前に寄ってみた」
タクト「ひさしぶりだね」
シュン「ひさしぶり!!きょうタクト君のレッスン日だったんだ」
タクト「うん」
シュン「キョースケ先生にいじめられてない?大丈夫?」
タクト「いじめられてるーー……コンクール出ろって……」
シュン「えーー良いじゃん!!コンクール出なよ」
タクト「でも……」
シュン「また、去年のように失敗するのが怖い?」
タクト「シュン兄ちゃんも観てたでしょ」
シュン「観てた、観てた!タクト君からチケット貰ったからね」
タクト「恥ずかしいよ……笑ってる人もいたし……」
シュン「カッコ良かったけどな……」

×   ×   ×
○(回想)ステージ
タクトがピアノ演奏を失敗するが一生懸命、演奏し続ける姿
×   ×   ×

キョースケ「今年は良い所まで行けると思うんだけどな……」
シュン「タクト君、あのね、完璧にピアノ演奏することだけがすべてじゃないんだよ」
タクト「そうなの、キョウスケ先生?」
キョースケ「そーーだな……」
シュン「あの時、タクト君マジでカッコ良かったよ。 間違っても一生懸命、演奏し続けてる姿やステージの上から逃げ出さなかった姿はほんとカッコ良かった!!」
キョースケ「そうそう、俺も感動した」
シュン「俺もライブで演奏、間違ってばっかでさ 落ち込んでたけどタクト君見てたら元気もらえたもん!!!!」
タクト「……イッショウケンメイな僕を見せるだけでもお母さんやキョウスケ先生は喜ぶの?」
キョースケ「もちろん、大喜びだ」
シュン「俺も嬉しいなぁ」
タクト「じゃあ、また出てみようかな……」
キョースケ「よしッ、じゃあ失敗しないように今月からレッスンの回数増やして頑張るか!!タクトのお母さんに頼んどくよ」
タクト「……うん、がんばる!」
シュン「今年も観に行くからね!!」
タクト「ほんとに!やったーー」

×   ×   ×

◯リビング(夜)
キョースケ「さっきはありがとな」
シュン「なにが?」
キョースケ「タクトのやる気を起こしてくれて」
シュン「タクト君、ほんとは最初っから出たかったんだよ」
キョースケ「そうなの?」
シュン「なんとなくね、あの時の悔しさを晴らしたいって顔に書いてあったもん」
キョースケ「さすが中身小学生のお前にはなんでもわかっちゃうんだな」
シュン「うるせーー」
キョースケ「アハハ そうだ、質の良いDVD入ったけど、貸してやろうか?」
シュン「お願いします・オネガイシマス」
キョースケ「しょーーがねぇな」

○同日・スタジオ(夜)
楽器の音合わせをしているユウジ・キョースケ・アキト(24)・シュン。
キョースケ「ちょっとこれ、見てくれよ」
オーディションのチラシを3人へ見せるキョースケ。
ユウジ「なにこのオーディション……」
アキト「バンドのオーディションなのに各楽器ごとで1次、2次があって……」
シュン「最終審査が各楽器ごとの勝ち抜いた者が集い、観客のデビューさせたいという投票数80%以上獲得でデビューが決定?!」
キョースケ「だからそれぞれでエントリーして勝ち抜いて」
ユウジ「おもしれぇーーーーーじゃん!!!」
アキト「良いじゃん!!良いじゃん!! 俺は勝ち抜く自信あるぜ」
シュン「俺はそんな自信ないよ」
キョースケ「なにビビってんだよ」
アキト「これ、勝ち抜いた者同士が気が合わなかったらどうすんだろうな?」
キョースケ「辞退、OKだってさ」
アキト「ふぅーーん」
ユウジ「よし、エントリーしようぜ」
アキト「やってやろーーぜ!!」
シュン「う、うん」
キョースケ「じゃあ、お前ら最終審査で会おう!!」
アキト「マジ、負けんじゃねーーぞ」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

Stay Gold ーここはどこ、私はだれー

Ymsktksh i.jp
ライト文芸
主人公:柳 ジュンイチと朝倉 大輔 2人の物語。 約束もせずにたまたま駅で偶然2人が出会い、流れでファミレスへ行き、たわいも無い会話から始まる物語。

病気呼ばわりされて田舎に引っ越したら不良達と仲良くなった昔話

ライト文芸
弁護士の三国英凜は、一本の電話をきっかけに古びた週刊誌の記事に目を通す。その記事には、群青という不良チームのこと、そしてそのリーダーであった桜井昴夜が人を殺したことについて書かれていた。仕事へ向かいながら、英凜はその過去に思いを馳せる。 2006年当時、英凜は、ある障害を疑われ“療養”のために祖母の家に暮らしていた。そんな英凜は、ひょんなことから問題児2人組・桜井昴夜と雲雀侑生と仲良くなってしまい、不良の抗争に巻き込まれ、トラブルに首を突っ込まされ──”群青(ブルー・フロック)”の仲間入りをした。病気呼ばわりされて田舎に引っ越したら不良達と仲良くなった、今はもうない群青の昔話。

現代的神話入門

ライト文芸
青春は、甘くない。 それでも今日を生きてゆく。

もう一人の自分隠し

Snow wolf
ライト文芸
主人公牧田ソラは裏の顔を持っている高校生1年生で世界一とも言われていたが高校になったらそれの存在ごと消していく学園&少しの恋愛物語です。

国境の島でよみがえる

ふら(鳥羽風来)
ライト文芸
九州の片田舎で生まれ育った牛山大斗(うしやまだいと)は、大都会にあこがれ、東京の大学に進学した。 就職活動の際には、特に進みたい道は定まらず、様々な業種に応募した。苦戦したのち、一社のみ、採用内定を貰うことが出来たのは、キリンソフトという会社の、システムエンジニアの仕事だった。 就職後、次第に他の会社と比較して、給料や労働条件が劣悪なことに気づいてくる。休日出勤や徹夜残業を繰り返す中、牛山は無意識に職場を抜け出していた。そのまま、しばらく逃げて身を隠すことにしたが、キリンソフトの追っ手が逃亡先にやってくる。逃亡先の異なる価値観に触れる中での牛山の気持ちの変化や、追っ手とどのように決着をつけていくのか? という物語。

超強運

コサキサク
ライト文芸
超強運って本当に幸せ!? もともと運のいい主人公があっさり宝くじで一億円手にした後・・・

手紙

サワヤ
ライト文芸
大人で子供な人達の、精一杯の物語。 群馬の実家からの仕送りで生活している大学2年生の春雄は、パチンコで盛大にスってしまい、重い足取りで帰途に着いていた。 毎日をぼんやりと過ごしている春雄は、ふと何年も前に見た藍原葵の目を思い出す。 謎めいたヒロインを中心に登場人物の心が揺れ動く、恋愛青春群像劇。 凄惨な電磁波事故をきっかけに、彼らの日常が動き出す。 それぞれが抱える欠落と葛藤の先に。 一部、性的表現があります。 この作品は小説家になろう、エブリスタにも投稿しております。 表紙はフリー素材サイト「ぱくたそ」様より。

【今宵、バー・シトラスにて】

一ノ瀬 瞬
恋愛
夜の灯りが灯り 街が宝石のように彩られる 今日もまた1人……

処理中です...