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-Your Song-
あっ傘返さなきゃ。
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歩「僕のための歌…」
霧谷は未來の歌を聴き糸が切れたように溢れ出す涙に自分でも驚いた様子。
何度も何度も目をこする。
そして、未來のほうを見て少し笑う。
学級委員長「これで3年A組のお別れ会を終わりたいと思います」
「ご協力して頂いた皆さんとても楽しい会になりました。本当に、ありがとうございました」
生徒たち「パチッパチッパチッパチッ」
担任「明日はいよいよ卒業式ですね 皆さんは今とっても素敵な顔をしています。くれぐれも風邪をひかず明日も元気な笑顔で登校してきて下さいね」
生徒たち「はーいっ」
未來「アユム 帰ろうぜ」
歩「帰る前にさ 一緒に行きたい所があるんだけど」
未來「どこだよ?」
歩「未來の一番好きな所…」
「…屋上」
未來「あそこは立ち入り禁止だろ」
歩「あれ?未來 いつからそんな真面目君になったの」ニヤリ
未來「いつからだろう… いやいやそんなことねーけど… じゃあ行こうぜ」
霧谷は屋上へのぼる階段で、未來の背中を見ながら話しかける。
歩「母さんの心臓が悪くなるにつれて いろんな人たちがいろんな言葉をかけてくれたんだ いっぱい甘えさせてもくれた」
未來「へー良かったじゃん」
歩「だけど そんな自分が情けなくて悔しくて 素直に甘えられなくて」
未來「そんな時ぐらい素直に甘えろよ」
歩「なんかさ…お前はひとりじゃなんにもできない奴なんだって思われてるみたいで…ずっと強がって見せてた」
未來「ふーん」
歩「だからって…ひとりじゃなんにもできなくて」
未來「アユムもずっと戦ってたんだな」
歩「自分がイヤでイヤでしかたなかった」
未來「そっか」
歩「けど…未來だけは慰めてくれなかった」
未來「あはは…そうだったっけ?」
歩「未來は僕のこと ずっと信じてくれてたんでしょ」
未來「…まーね」
歩「僕は乗り越えてみせるよ」
「どんな悲しみも ひとり でね」
未來「だなっ」
屋上に着いたふたりは空を見上げる。
未來「誰かと一緒に、ここへ来るの、はじめてだな」
歩「へぇ そうなんだ」
未來「風の強い日はメッチャクチャ気持ちいいんだぜ」
歩「授業出てない時はいつも 屋上にいたんでしょ?」
未來はコクリ「うん」と頷く。
歩「ひとりでなにしてたの?」
未來「ずーっと 空 眺めてた」
歩「未來ってロマンチストなんだね」
未來「うるせーよ」
歩「あはは」
未來「なーアユム 前にお前お母さんのこと〝まだ物心がついてない頃にいなくなってくれてれば〟って言ってたけど…」
歩「うん」
未來「やっぱりそれ、間違ってるよ」
歩「えっ」
未來「俺はお前が羨ましい」
「きっとアユムは母さんの手のあたたかさや優しい香りを今も憶えてるだろ」
歩「うん」
未來「俺なんて なにひとつ憶えてない」
歩「…そうだったんだ…ごめん」
未來「別に、謝らなくていいよ」
霧谷はひと呼吸おいて、『よしっ』と胸を張り言う。
歩「じゃああの言葉は撤回します」
「ごめんね」
未來「だから 謝るなっつーの」
歩「僕はこの15年間も母さんと一緒にいられて」
「幸せ者でした」
未來「だなっ」
歩「そして…今日また新たに出違った幸せを知りました」
未來「どんな幸せだよ?」
歩「未來という友達がいてくれる 幸せを知りました」
「って帰ったら母さんに報告するね」
未來は空を見上げる
歩「始業式の日…未來から話しかけられた時 どうしようかと思ったけど 無視しなかった自分を褒めてあげたいと思います」笑
未來「俺もすげぇ勇気出してお前に話しかけてほんと良かった」
歩「それにその日さ 下駄箱で待ち伏せして帰り道、未來といっぱい話せて良かった」
未來「なんだ!たまたまじゃなかったのか」
歩「実はね」
未來「あっ傘返さなきゃ」
歩「いつでもいいよ」
霧谷は未來の歌を聴き糸が切れたように溢れ出す涙に自分でも驚いた様子。
何度も何度も目をこする。
そして、未來のほうを見て少し笑う。
学級委員長「これで3年A組のお別れ会を終わりたいと思います」
「ご協力して頂いた皆さんとても楽しい会になりました。本当に、ありがとうございました」
生徒たち「パチッパチッパチッパチッ」
担任「明日はいよいよ卒業式ですね 皆さんは今とっても素敵な顔をしています。くれぐれも風邪をひかず明日も元気な笑顔で登校してきて下さいね」
生徒たち「はーいっ」
未來「アユム 帰ろうぜ」
歩「帰る前にさ 一緒に行きたい所があるんだけど」
未來「どこだよ?」
歩「未來の一番好きな所…」
「…屋上」
未來「あそこは立ち入り禁止だろ」
歩「あれ?未來 いつからそんな真面目君になったの」ニヤリ
未來「いつからだろう… いやいやそんなことねーけど… じゃあ行こうぜ」
霧谷は屋上へのぼる階段で、未來の背中を見ながら話しかける。
歩「母さんの心臓が悪くなるにつれて いろんな人たちがいろんな言葉をかけてくれたんだ いっぱい甘えさせてもくれた」
未來「へー良かったじゃん」
歩「だけど そんな自分が情けなくて悔しくて 素直に甘えられなくて」
未來「そんな時ぐらい素直に甘えろよ」
歩「なんかさ…お前はひとりじゃなんにもできない奴なんだって思われてるみたいで…ずっと強がって見せてた」
未來「ふーん」
歩「だからって…ひとりじゃなんにもできなくて」
未來「アユムもずっと戦ってたんだな」
歩「自分がイヤでイヤでしかたなかった」
未來「そっか」
歩「けど…未來だけは慰めてくれなかった」
未來「あはは…そうだったっけ?」
歩「未來は僕のこと ずっと信じてくれてたんでしょ」
未來「…まーね」
歩「僕は乗り越えてみせるよ」
「どんな悲しみも ひとり でね」
未來「だなっ」
屋上に着いたふたりは空を見上げる。
未來「誰かと一緒に、ここへ来るの、はじめてだな」
歩「へぇ そうなんだ」
未來「風の強い日はメッチャクチャ気持ちいいんだぜ」
歩「授業出てない時はいつも 屋上にいたんでしょ?」
未來はコクリ「うん」と頷く。
歩「ひとりでなにしてたの?」
未來「ずーっと 空 眺めてた」
歩「未來ってロマンチストなんだね」
未來「うるせーよ」
歩「あはは」
未來「なーアユム 前にお前お母さんのこと〝まだ物心がついてない頃にいなくなってくれてれば〟って言ってたけど…」
歩「うん」
未來「やっぱりそれ、間違ってるよ」
歩「えっ」
未來「俺はお前が羨ましい」
「きっとアユムは母さんの手のあたたかさや優しい香りを今も憶えてるだろ」
歩「うん」
未來「俺なんて なにひとつ憶えてない」
歩「…そうだったんだ…ごめん」
未來「別に、謝らなくていいよ」
霧谷はひと呼吸おいて、『よしっ』と胸を張り言う。
歩「じゃああの言葉は撤回します」
「ごめんね」
未來「だから 謝るなっつーの」
歩「僕はこの15年間も母さんと一緒にいられて」
「幸せ者でした」
未來「だなっ」
歩「そして…今日また新たに出違った幸せを知りました」
未來「どんな幸せだよ?」
歩「未來という友達がいてくれる 幸せを知りました」
「って帰ったら母さんに報告するね」
未來は空を見上げる
歩「始業式の日…未來から話しかけられた時 どうしようかと思ったけど 無視しなかった自分を褒めてあげたいと思います」笑
未來「俺もすげぇ勇気出してお前に話しかけてほんと良かった」
歩「それにその日さ 下駄箱で待ち伏せして帰り道、未來といっぱい話せて良かった」
未來「なんだ!たまたまじゃなかったのか」
歩「実はね」
未來「あっ傘返さなきゃ」
歩「いつでもいいよ」
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