上 下
14 / 28
-Your Song-

また明日な。

しおりを挟む

○別れ道。10秒ほど沈黙。
霧谷「じゃあ 僕こっちだから」
未來「おうっ じゃあな」
  「あっケータイ番号 交換しようぜ」
霧谷「うん」
ふたりは3歩進み 未來は振り向く。
未來「また明日な」
霧谷はかるく頷く。
霧谷「うん。また明日」
美月は学校の帰り道、晩メシのおかずを買いにスーパーへ寄る。考え込んだ顔。
美月『未來の奴 どうして相談してくれなかったんだ そんなに俺と一緒に住むのが嫌になったのか…』
  美月は険しい顔で考え込む。
美月『まさかまた遠慮して… そうじゃないよな けど そうだとしたら…』
  美月はカゴいっぱいの惣菜物を抱えレジへと向かう。
美月『そうじゃないよな…そうじゃない。アイツの事だ なにか考えがあっての事だろう』
  『信じてやるか』
  美月はレジの会計の金額にびっくりする。
レジ係員「合計で8440円でございます」
美月「はっ…」
  美月は我に返り、お金を払う。
美月「使イスギタ…」

○マンション。家に帰った未來。
鞄を廊下に置きピアノの椅子に座る。
未來「なにか俺が霧谷くんに教えてあげられること、伝えてあげられること…」
美月が帰ってくる。
美月ただいま「もう帰ってんのか」
未來「さっき帰ったとこ」おかえり
  「美月も今日は早いじゃん」
美月「今日はご馳走たくさん買ってきたぞ」
未來「なんで?」
美月「お前の決意を祝うんだ」
未來「もしかして…進路希望のこと 担任の先生から聞いたのか?」
美月「あぁ」
未來「俺てっきり 叱られるかと思ってた勝手に決めやがって」
  「コノヤロー!って」
美月「そうだな…そりゃお前の担任からお前より先に聞かされた時は どうして相談してくれなかったんだ!!と思ったよ」
  「正直な」
未來「…」
美月「けどなお前の事だ ない頭使って自分なりに考えて出した選択なんだろ」
  「なにも言えないよ」
  「それとも 止めて欲しかったか?」
未來「やっぱり 美月だな…」
美月「全寮制の高校に行くって事は俺と離れて暮らすことになる 少しでも俺の負担をなくしたくてとか… そんなんじゃないだろから」
未來「よくわかってるね」
美月「試してみればいいさ お前のやりたいように」
未來「おう やってみるさ」
  「じゃあ 許してくれんだ」
美月「許すも何もないだろ。」
未來「ありがと」
美月「あの学校にはお前みたいな手強い奴らがいっぱいいるぞ」
  「大丈夫なのか?」
未來 おぉ「天下取ってきてやるよ」
美月「あはは お前なら大丈夫そうだな」
未來「ニヤリ」
美月「ところで ピアノの椅子なんかに座ってなにしてんだ?」
未來うーん「俺が(霧谷くんに)してあげられること、できることといったら、歌で励ますことぐらいしかできないしな…」
美月「もしかして俺のために歌作ってくれてんのか?」
未來「うんっ それだけはない」
美月「コノヤロー!」

 ○教室 卒業式まであと20日
未來「そういえばさ 霧谷くん高校決まってんの」
霧谷「僕は指定校推薦もらえたから 皆よりはやく決まってるよ」
未來「そうなの 頭が良いって得だよな」
霧谷「そんなことないよ」
  「それより蒼葉くんはどうなの」
未來「俺が選んだ高校は願書出せば誰でも受かるとこだから」
  「もちろん合格さ」
霧谷「そっか それは良かったね」
未來「ところでどうなんだ? 母さんの具合は大丈夫なのか?」
  「最近、元気ないみたいだけど」
霧谷「それが卒業式まで…は…」
未來「そっか…」
しおりを挟む

処理中です...