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第三章 明日へ
101. 交代
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胎児が持つ両親の魔力の比率についての研究は、加護の研究から遅れて、徐々にではあるが、明らかになってきていた。
僕が提示した妊娠後の性行為について検証が行われ、性行為後に胎児の魔力比率が変化した事が確認された。これにより、胎児の魔力比率に妊娠後の性行為が有効である事が実証された。
ただ、これがアデルの出生率に関係しているかどうかは検証段階だ。こればかりは子が生まれると言う事だから研究自体に時間がかかる。
「――と言う訳で、もう少し時間をかける必要がありそうですね」
セレダは研究の進捗を報告すると、そうまとめた。
「そうか、長い目で見ていかないといけないね」
「ええ、ですが、この研究は間違いなく有効だと思います。今年は無理でも来年にはなにかしら結果が出るといいのですが……」
「うん、そうだね。ありがとうセレダ」
僕は感謝の言葉をセレダに伝えた。彼は笑顔で答えると、僕の隣に座る。
僕が領地に帰らず、王都に滞在している事もあって、最近のセレダの研究チームでの活躍は目覚ましい。彼の優秀さはやはり際立っていて、手伝いと言ってはいるものの研究チームの中でも大きな役割を担っている様だった。そして、そんな優秀な彼を僕も高く評価していた。
「……セレダはやっぱり研究者だね」
「ふふ、どうしたんです急に?」
「セレダはすごく優秀だから、やっぱり僕の術師じゃなくて研究者でいるべきだなって、研究協力をする様になってすごく感じるよ」
最近ずっと考えていた事を彼に話す。
セレダの能力なら研究チームの手伝いなどではなく、本格的に研究者としてやっていく方が良いに決まっている。それは分かっていても僕自身が未練があって中々切り出せずにいた。それに、僕としては彼と一緒に研究が出来るという事で満足していた部分もあった。
けれど、彼が望むのであれば、やはり研究者の道へと戻すべきだ。
僕は勇気を出して顔をあげ、言葉を続けた。
「……僕も寄付に慣れてきたし、専属の術師を交代してもらっても……きっとやっていけると思う。だからセレダは研究者に戻るべきだよ」
「…………」
「ずっと分かっていた事なのに、セレダと離れがたくて、こんなに時間をかけてしまった。ごめん」
セレダは黙って考え込んでしまった。きっと悩んでいるんだろう。僕はセレダの答えを待つことにした。
「僕は……」
セレダは意を決したように口を開く。
「僕は……嫌です」
彼は絞り出すような声で言った。
「貴方が他の術師と触れ合うなんて……絶対に……嫌だ」
「え……?」
「僕は……貴方の傍にいたい。お願いします、術師でいさせてください」
懇願するようにセレダは言う。その美しい瞳からは涙が流れ落ちていた。
僕が提示した妊娠後の性行為について検証が行われ、性行為後に胎児の魔力比率が変化した事が確認された。これにより、胎児の魔力比率に妊娠後の性行為が有効である事が実証された。
ただ、これがアデルの出生率に関係しているかどうかは検証段階だ。こればかりは子が生まれると言う事だから研究自体に時間がかかる。
「――と言う訳で、もう少し時間をかける必要がありそうですね」
セレダは研究の進捗を報告すると、そうまとめた。
「そうか、長い目で見ていかないといけないね」
「ええ、ですが、この研究は間違いなく有効だと思います。今年は無理でも来年にはなにかしら結果が出るといいのですが……」
「うん、そうだね。ありがとうセレダ」
僕は感謝の言葉をセレダに伝えた。彼は笑顔で答えると、僕の隣に座る。
僕が領地に帰らず、王都に滞在している事もあって、最近のセレダの研究チームでの活躍は目覚ましい。彼の優秀さはやはり際立っていて、手伝いと言ってはいるものの研究チームの中でも大きな役割を担っている様だった。そして、そんな優秀な彼を僕も高く評価していた。
「……セレダはやっぱり研究者だね」
「ふふ、どうしたんです急に?」
「セレダはすごく優秀だから、やっぱり僕の術師じゃなくて研究者でいるべきだなって、研究協力をする様になってすごく感じるよ」
最近ずっと考えていた事を彼に話す。
セレダの能力なら研究チームの手伝いなどではなく、本格的に研究者としてやっていく方が良いに決まっている。それは分かっていても僕自身が未練があって中々切り出せずにいた。それに、僕としては彼と一緒に研究が出来るという事で満足していた部分もあった。
けれど、彼が望むのであれば、やはり研究者の道へと戻すべきだ。
僕は勇気を出して顔をあげ、言葉を続けた。
「……僕も寄付に慣れてきたし、専属の術師を交代してもらっても……きっとやっていけると思う。だからセレダは研究者に戻るべきだよ」
「…………」
「ずっと分かっていた事なのに、セレダと離れがたくて、こんなに時間をかけてしまった。ごめん」
セレダは黙って考え込んでしまった。きっと悩んでいるんだろう。僕はセレダの答えを待つことにした。
「僕は……」
セレダは意を決したように口を開く。
「僕は……嫌です」
彼は絞り出すような声で言った。
「貴方が他の術師と触れ合うなんて……絶対に……嫌だ」
「え……?」
「僕は……貴方の傍にいたい。お願いします、術師でいさせてください」
懇願するようにセレダは言う。その美しい瞳からは涙が流れ落ちていた。
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