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第一章 静かな目覚め
39. 礼節
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バカンスを終え、屋敷に戻るとあっという間に秋の節が近づいてきた。秋の節に入るとレヴィルは王都で議会が始まる。
屋敷は休暇ムードから一気に、主の出立の準備をする慌ただしいムードに変わっていた。
「ティト、今日はこちらの服でいいですか?」
「うん、ありがとう。自分で着るよ。」
僕がスーツを受け取ろうとすると、リノは緩く首を振った。今日は彼が支度をしてくれるようだ。リノの後ろでは最近よく僕の支度を手伝ってくれる従僕がサポートをしてくれている。僕はリノに従ってシャツに袖を通した。
最近の僕はリノやレヴィル以外の人が身近にいても、見知った人であれば緊張してしまう事が少なくなっていた。自然とリノに従者の仕事をしてもらう事は少なくなっていたので、今日は珍しい。
彼はそっと僕の前に膝をついてボタンに手を掛けた。彼の支度はとてもスムーズだが、第3ボタンまでくると、ふと手が止まる。
「ティト…少しフェロモンを抑えましょうか。」
「え…ごめんっ」
どうやら無意識にフェロモンが出てしまっていたようだ。慌てて深呼吸すると、彼はまた支度を再開した。
「今は構わないですが…出先でフェロモンを多量に出すのは、そういう状況でない限りは失礼にあたりますから、よくよく気を付けましょうね。自分の身を守るためでもあります。」
「うん、分かった。」
バカンス以降、僕はかなりフェロモンが出るようになっていた。けれど、まだフェロモンを意識する習慣が身についていなくて、時々こうやって油断してしまう。
僕が真剣に頷くと、リノは僕の頬をそっと撫で、額にキスを落とした。従僕がいるのに珍しい。従僕は僕たちに気を遣ってか、後ろを向いて別の用事をし始めた。
「そんな風にフェロモンを出してたら、今日の見学を中止にしかねないですから、レヴィルの前では集中して気持ちを統一してくださいね。」
「あーうん、そうだね。」
思わず心配そうなレヴィルを想像して、可笑しくなってしまう。僕たちはちょっとした悪巧みの算段に顔を見合わせて笑い合った。
支度を終えると従僕が礼をして退室した。リノは僕の方を振り返る。
「ティト…緊張してる?」
「いや…うーーん…どうだろう…正直、検討がついていない…かな。」
「そっか…。」
リノは優しく僕を抱きしめた。僕は身を寄せ、ゆっくりと彼の背を撫でる。
今日はジェイデンの加護を見学させてもらう約束の日だ。
ジェイデンに失礼に当たらないように、そしてレヴィルやリノが心配しないように、バカンスから帰ってきた後から慎重に準備を進め、今日を迎えた。けれどやはり、レヴィルはもちろんだが、どこかリノも落ち着かないように見えた。
「見学に着いていけたら良いんだけど…。」
「それはジェイデンに悪いから……大丈夫、無理はしないよ。」
「うん…。」
リノは僕を不安にさせないようにか、微笑んでくれる。僕はそっと彼の髪をかき分け、唇にキスを落とした。何度か角度を変えて口づけをした後、そっと額を合わせる。
「…行こうか。」
「…うん。」
もう一度軽く口づけを交わし、リノの手を緩く繋いで部屋を出た。
階段を降りてホールに出ると、すでに術師のセレダが来ていた。隣にはレヴィルがいる。
「セレダ、もう来てくれていたんだ。遅くなってごめん。」
「すみません、気が付かなくて…お待たせいたしました。」
「いえ、ちょうど今来たところです。」
セレダは綺麗な礼をして、挨拶をしてくれた。僕たちはそれに応える。
「ご心配かな、と思いまして…少し早めに来てしまいました。ご無礼をお許しください。」
「いいえ、お心遣いありがとう。」
リノがそう答えると、セレダはゆっくりと瞳を細めた。
外出の際にはジェイデンが迎えに来てくれる事が定番だが、今日は彼に送り迎えをお願いする訳には行かない。そのため、セレダが迎えに来てくれたのだ。
セレダは僕の方に歩み寄ると、少し微笑んだ。
「ティト様、早速で恐縮ですが……ご出立前に少し体調を見させていただいてもよろしいですか。」
「あ…うん。お願い。」
僕がそっと右手を差し出すと、セレダがその手を取った。彼は魔力を操ることが出来る術師だ。その魔力を使い、他者の魔力の巡りを見る事が出来るらしい。具合が悪いとその部分で魔力が滞る事が多いそうだ。
彼の指が触れている部分からじんわりと温かくなる。彼は僕を見ている様で、見ていない様な、まるで僕の中を見通している様な瞳で僕を見ていた。青緑色の虹彩に黄色が差したような不思議な瞳の色がますます鮮明になっているような気がした。
ふと、レヴィルの方を見ると、彼はなんとも言えない硬い表情をしている。きっとなるべく不安を顔に出さないように気をつけてくれているんだろう。僕は安心させるように彼に微笑んだ。
「……うん、魔力に滞りはないですね。体調はどうですか?」
「とても良いよ。」
「そうですか、安心しました。」
セレダはゆっくりと微笑み、目を細めた。瞳が見えなくなると、先ほどの不思議な雰囲気がなくなり、普段の親しみやすい雰囲気に戻る。
僕はゆっくりとレヴィルを見た。彼は硬い表情のまま、自分を納得させるかのように小さく頷いた。
「…セレダ」
「はい」
レヴィルは胸に手を当て、ゆっくりとセレダに頭を下げた。リノと僕も続くようにゆっくりと礼をする。
「我々のわがままを受け入れてくれて、ありがとう。どうか、よろしく頼む。」
「今日はジェイデンに直接ご挨拶ができずに申し訳ありません。どうかくれぐれも感謝をお伝えください。」
レヴィルとリノは美しい礼と共にそう挨拶をしてくれた。
「……っお辞めください、全てジェイデンの厚意です。僕は何も…どうか顔をお上げください。」
セレダは珍しく少し慌てたような声を上げた。僕たちがゆっくりと顔を上げると、彼はどこか安心した様な顔をしていた。
「……お気持ちありがとうございます。………僕は…お話を頂いた時から、ずっとジェイデンが軽んじられてしまうのではないかと心配でした。…でも今日を迎えるまで、沢山の誠意を頂戴しました。お陰で僕は彼に申し訳ない気持ちを抱かずに今日を迎える事ができました。僕自身、今日は必ず誠意を尽くします。」
彼は折り目正しく、美しい礼をしてくれた。
「今日いただきましたお気持ちも、必ずジェイデンに伝えさせていただきます。」
顔を上げた彼は普段の飄々とした雰囲気は消え、とても真剣な眼差しをしていた。
僕は自然と頭が下がり、もう一度深く礼をした。レヴィルやリノと一緒にではなく、ちゃんと自分の気持ちで表したかった。
「本当にありがとう、今日はよろしくお願いします。」
セレダは淡く微笑み、ゆっくりと礼を返してくれた。
挨拶を終え、レヴィルとリノに見送られて教会に向かう。セレダは1頭立ての小型の馬車で来てくれていた。セレダは手綱を取ろうとするが、何故かするりと手綱を落としてしまう。僕の太ももにぱたりと手綱が当たる。
「あ、…すみません。」
「ううん、大丈夫だよ。」
僕は手綱を手に取って顔を上げる。よく見ると彼の手は震えていた。
「あー、…僕がやるよ、得意なんだ。」
「…え?」
僕はそのまま彼の返事を待たずに手綱を握った。僕たちはレヴィルとリノに見送られて屋敷を出た。
「ティト様、僕がやりますよ。」
「んーん、やらせて。」
「はぁ…」
セレダはしばらく居心地が悪そうにしていたが、僕が手綱を譲る気がないのが分かると諦めた様だった。彼はふぅと小さく息を吐く。
「………すみません…実は手が震えてたので…助かりました。」
「…大丈夫?」
「ええ…丁寧にご挨拶いただいて…とても驚いてしまいました、すみません。」
「ううん。」
小さな声でそう言った彼は、震えを誤魔化す様に指を組んだ。
「…昨日オーウェン公爵からも直接お手紙を頂戴しました。」
「え、…そうなの?」
「はい、ジェイデンと僕にそれぞれ直筆で、見学への丁寧なお礼とお願いの言葉をいただきました。」
「そうだったんだ…」
ジェイデンの加護の見学をお願いしたいと決めた事を、僕はオーウェン公爵に報告をしていた。その際に、必ずジェイデンやセレダにどうして見学をしたいと思ったのかしっかりと伝える事や、誠実にお願いするようにアドバイスをもらっていた。けれど、まさか、公爵が直々に手紙を書いてくれていたとは。
「びっくりしました…まさか直接お手紙をいただけるとは…腰が抜けそうでした。」
「突然来たら…そうだよね。」
オーウェン公爵は僕の血縁上の父であり、今でこそ僕の相談に乗ってくれている人だが、少し前の僕にとっても気安く接する事はできない雲の上の存在だった。そんな人から前触れもなく手紙が来たらそれは驚くだろう。
セレダは困った様に眉を下げて笑った。
「………僕は術師になってから…1度も"おこぼれ"を貰ったことがない術師です。」
「…お…こぼれ?」
聞き覚えのないフレーズに思わず首を傾げると、彼は困ったように笑った。
「寄付を担当する際に、術師とアデルが性行為に及ぶ事を、術師の間ではそう言います。すみません、俗物的な言葉なので覚えなくて大丈夫です。」
なるほど、と僕は頷く。寄付の説明を彼にしてもらった際、ごくあっさりとそう言う事もあると教えてもらっていた。
「もちろんこの国の将来の為に必要な大切な職業ではありますが……保護区に通わなくてもアデルの情けを得られる可能性がある。運が良ければ誰よりも高貴な方と共に過ごす事ができる。そう言ったところに多くの人が価値を見出して…憧れる。術師はそういう側面がある仕事です。」
セレダの語りはさっぱりとしていたが、どこか皮肉めいた雰囲気を孕んでいた。なんと返答をすればいいか分からず、ただぽつぽつと喋る彼の言葉に耳を傾ける。
「…与えられた仕事は真面目にこなしているつもりですが、…どうにも性に合わなくて…毎回そういう場面は避けていました。できるだけ寄付に関わらなくても良いように死ぬほど勉強をして研究職にもなりました。ティト様の術師に選ばれたのは、おそらくその経緯からです。術師選定の時の貴方は…色目を使うような術師が担当になるのは難しかったでしょうから。」
彼の言葉には邪気はなく、あっさりとそう語った。僕は初めて知った彼の選定理由に驚きを隠せなかった。
寄付に関わりたくなくて努力をして研究職についたのに、そのせいで僕の担当術師にされてしまっていたのだ。僕が成人をしたら、彼は何よりも寄付を優先しなくてはいけない。あまりにも皮肉すぎる。
彼はゆっくりと組んでいた手を解き、座席に手を置いた。
「僕は低い身分の生まれです。侯爵家に生まれた貴方に相応しい術師として選ばれたわけではありません。貴方に害を為さない術師だと判断されただけだ。」
その言葉はとても悲しい響きを持っていた。きっと僕は顔に出てしまっていたのだろう。セレダは困った様に笑い、控えめに言葉を続けた。
「いつか担当を外されるだろうと思っていました。貴方が慣習に慣れるまでの繋ぎの術師だろうと、だから……まさか…こんな風に…貴方方のような高貴な方から…まるで同じ人間のように扱っていただけるとは…思ってもいなかった。」
彼の声は少し震えていた。
僕は自分がしたことが、こんなに彼にとって重い意味を持つことなのだと思ってもいなかった。人として当たり前の事だと、僕が簡単に思っていたことは、きっと彼にとっては途方もなく高い壁なのだ。
「…正直、すごく怖くなってしまいました。僕は…貴方が向き合ってくれていたように、誠実にこの役目に向き合っていたのかと振り返ると……いつでも担当を外されていいと…心のどこかで思っていました。いや…それは今でも思っていますが…、……すみません、とにかく僕はとても不誠実でした。繋ぎとしての役割をすればいいと思っていた。申し訳ありません。」
セレダは僕に頭を下げた。僕は思わずやめてくれと叫び出したい気持ちになる。彼にそんな事をしてもらいたい訳ではなかった。
「…何のお詫びにもなりませんが、今日の役目だけはジェイデンの為にも精一杯務めさせていただきます。そして…いつ交代になっても甘んじて受け入れます。けれど、その時が来るまで、真剣に…誠心誠意、お仕えさせてください。」
僕が認識していた世界と彼の認識している世界は余りにも違う。僕がどんなに身分なんて関係がないと思っていても、超えられない溝がある。彼の言葉は、まざまざとその現実を突きつけてくるようだった。
「…………僕は…誠実、なんかじゃない……そんなに…頑張らないで…」
やっと絞り出せた言葉はそれだった。
ちゃんと言葉に出さなくては、きっと彼に伝わらない。こんなにもセレダが心の内を吐露してくれたのに、なぜか心の距離はぐっと引き離されたような感覚に陥る。
「……セレダと…上下関係を気付きたい訳じゃないんだ…」
僕は言葉を続けられず、緩く首を振る。
「ごめん…ちょっと待って…」
「はい…」
村を通り過ぎて、もう丘を登れば教会まですぐのところまで来ていたが、僕は道端にゆっくりと馬車を止めた。とてもじゃないが集中力が散漫になっていて、喋りながら手綱を握れそうもなかった。
僕は思わず馬車の縁に手をかけて下を向く。セレダは心配そうに僕の様子を伺っていた。
「…すみません、矢継ぎ早に話しすぎましたね。」
「違う…そうじゃない…ごめん、言葉が追いつかなくて…。」
僕はふう、と息を吐いた。大事な時に中々言葉が出て来ないのがもどかしかった。
僕はしばしの間黙り込み、しばらくしてようやく口を開いた。
「………セレダがどんな思いでここに来てくれていたのか……初めて会った時に研究職を辞めてここに来てくれたと話してくれたのに…その後の話でいっぱいいっぱいで詳しく話を聞く事すらしていなかった…本当にごめんなさい。」
「…そんな…やめてください、そんな事はティト様が気にされる事ではないですから…」
「気にするよ」
僕がはっきりとそう答えると、セレダは少し不思議そうな顔をした。
「…僕はセレダのさっぱりとした話し方や態度が好きだ。いつでも客観的に接してくれるから……僕は寄付について怖さよりも、ちゃんと知りたいと思う事が多かった。僕はセレダの事を不誠実だとか、不真面目だと思った事はないよ。」
僕はゆっくりとセレダを見据えた。万華鏡のような不思議な色の瞳と目が合う。
「僕はセレダが術師で良かったと思ってるし、セレダが嫌ではないのなら続けて欲しいと思ってる。家柄に相応しいとかそんな事は関係ない。……でもセレダが研究職に戻りたいと思っているのなら…引き止めはしないと思う。」
彼の瞳が軽く見開かれた。
「ただ……どちらにせよ…申し訳ないけど…僕はまだ成人前で寄付に慣れたとは言えないから、今すぐに僕が決められる事じゃないんだ……できれば時間をかけて相談をしたい……ごめんね。」
「………そんな……とんでもないです…すみません…ありがたい言葉を…ありがとうございます。」
「……ごめん…、セレダの力になりたいのに、何も出来なくて…これから僕も頑張るから…」
「いえ…お気持ちだけでありがたいです。」
「お願い…そんな風に言わないで…」
彼はどうすればいいか分からない様な、少し泣きそうな顔をしていた。切なげな表情に申し訳なさが込み上げて、きゅうと、締め付けられる様な気持ちになる。
僕はそっと彼の手に触れた。彼の手はもう震えてはいなかったが、指先は冷えていた。
「…ごめん……教会に行かないとだよね。」
「あ……はい…。」
「あと…少しだけ…ここで休んでもいいかな。少し落ち着いてから望みたいんだ。」
「もちろんです。…すみません、変な話をしてしまいました。」
「変な話なんかじゃないよ、話してくれてありがとう。」
僕は彼の言葉を否定するように首ゆるくを振り、そっと彼の手を離した。
もっとセレダの事を知りたいだとか、セレダじゃないと怖いだとか、彼を引き止めるための未練がましい言葉がいくつも浮かんだが、僕はぐっと飲み込んだ。今は言うべき言葉ではない。
今の僕はきっと情けない表情をしているだろう。あまりセレダには見られたくなかった。
僕は汗を掻いてもいないのに、ぐっと顔を腕で拭った。行儀だとかそんなものを気にする余裕もなかった。
屋敷は休暇ムードから一気に、主の出立の準備をする慌ただしいムードに変わっていた。
「ティト、今日はこちらの服でいいですか?」
「うん、ありがとう。自分で着るよ。」
僕がスーツを受け取ろうとすると、リノは緩く首を振った。今日は彼が支度をしてくれるようだ。リノの後ろでは最近よく僕の支度を手伝ってくれる従僕がサポートをしてくれている。僕はリノに従ってシャツに袖を通した。
最近の僕はリノやレヴィル以外の人が身近にいても、見知った人であれば緊張してしまう事が少なくなっていた。自然とリノに従者の仕事をしてもらう事は少なくなっていたので、今日は珍しい。
彼はそっと僕の前に膝をついてボタンに手を掛けた。彼の支度はとてもスムーズだが、第3ボタンまでくると、ふと手が止まる。
「ティト…少しフェロモンを抑えましょうか。」
「え…ごめんっ」
どうやら無意識にフェロモンが出てしまっていたようだ。慌てて深呼吸すると、彼はまた支度を再開した。
「今は構わないですが…出先でフェロモンを多量に出すのは、そういう状況でない限りは失礼にあたりますから、よくよく気を付けましょうね。自分の身を守るためでもあります。」
「うん、分かった。」
バカンス以降、僕はかなりフェロモンが出るようになっていた。けれど、まだフェロモンを意識する習慣が身についていなくて、時々こうやって油断してしまう。
僕が真剣に頷くと、リノは僕の頬をそっと撫で、額にキスを落とした。従僕がいるのに珍しい。従僕は僕たちに気を遣ってか、後ろを向いて別の用事をし始めた。
「そんな風にフェロモンを出してたら、今日の見学を中止にしかねないですから、レヴィルの前では集中して気持ちを統一してくださいね。」
「あーうん、そうだね。」
思わず心配そうなレヴィルを想像して、可笑しくなってしまう。僕たちはちょっとした悪巧みの算段に顔を見合わせて笑い合った。
支度を終えると従僕が礼をして退室した。リノは僕の方を振り返る。
「ティト…緊張してる?」
「いや…うーーん…どうだろう…正直、検討がついていない…かな。」
「そっか…。」
リノは優しく僕を抱きしめた。僕は身を寄せ、ゆっくりと彼の背を撫でる。
今日はジェイデンの加護を見学させてもらう約束の日だ。
ジェイデンに失礼に当たらないように、そしてレヴィルやリノが心配しないように、バカンスから帰ってきた後から慎重に準備を進め、今日を迎えた。けれどやはり、レヴィルはもちろんだが、どこかリノも落ち着かないように見えた。
「見学に着いていけたら良いんだけど…。」
「それはジェイデンに悪いから……大丈夫、無理はしないよ。」
「うん…。」
リノは僕を不安にさせないようにか、微笑んでくれる。僕はそっと彼の髪をかき分け、唇にキスを落とした。何度か角度を変えて口づけをした後、そっと額を合わせる。
「…行こうか。」
「…うん。」
もう一度軽く口づけを交わし、リノの手を緩く繋いで部屋を出た。
階段を降りてホールに出ると、すでに術師のセレダが来ていた。隣にはレヴィルがいる。
「セレダ、もう来てくれていたんだ。遅くなってごめん。」
「すみません、気が付かなくて…お待たせいたしました。」
「いえ、ちょうど今来たところです。」
セレダは綺麗な礼をして、挨拶をしてくれた。僕たちはそれに応える。
「ご心配かな、と思いまして…少し早めに来てしまいました。ご無礼をお許しください。」
「いいえ、お心遣いありがとう。」
リノがそう答えると、セレダはゆっくりと瞳を細めた。
外出の際にはジェイデンが迎えに来てくれる事が定番だが、今日は彼に送り迎えをお願いする訳には行かない。そのため、セレダが迎えに来てくれたのだ。
セレダは僕の方に歩み寄ると、少し微笑んだ。
「ティト様、早速で恐縮ですが……ご出立前に少し体調を見させていただいてもよろしいですか。」
「あ…うん。お願い。」
僕がそっと右手を差し出すと、セレダがその手を取った。彼は魔力を操ることが出来る術師だ。その魔力を使い、他者の魔力の巡りを見る事が出来るらしい。具合が悪いとその部分で魔力が滞る事が多いそうだ。
彼の指が触れている部分からじんわりと温かくなる。彼は僕を見ている様で、見ていない様な、まるで僕の中を見通している様な瞳で僕を見ていた。青緑色の虹彩に黄色が差したような不思議な瞳の色がますます鮮明になっているような気がした。
ふと、レヴィルの方を見ると、彼はなんとも言えない硬い表情をしている。きっとなるべく不安を顔に出さないように気をつけてくれているんだろう。僕は安心させるように彼に微笑んだ。
「……うん、魔力に滞りはないですね。体調はどうですか?」
「とても良いよ。」
「そうですか、安心しました。」
セレダはゆっくりと微笑み、目を細めた。瞳が見えなくなると、先ほどの不思議な雰囲気がなくなり、普段の親しみやすい雰囲気に戻る。
僕はゆっくりとレヴィルを見た。彼は硬い表情のまま、自分を納得させるかのように小さく頷いた。
「…セレダ」
「はい」
レヴィルは胸に手を当て、ゆっくりとセレダに頭を下げた。リノと僕も続くようにゆっくりと礼をする。
「我々のわがままを受け入れてくれて、ありがとう。どうか、よろしく頼む。」
「今日はジェイデンに直接ご挨拶ができずに申し訳ありません。どうかくれぐれも感謝をお伝えください。」
レヴィルとリノは美しい礼と共にそう挨拶をしてくれた。
「……っお辞めください、全てジェイデンの厚意です。僕は何も…どうか顔をお上げください。」
セレダは珍しく少し慌てたような声を上げた。僕たちがゆっくりと顔を上げると、彼はどこか安心した様な顔をしていた。
「……お気持ちありがとうございます。………僕は…お話を頂いた時から、ずっとジェイデンが軽んじられてしまうのではないかと心配でした。…でも今日を迎えるまで、沢山の誠意を頂戴しました。お陰で僕は彼に申し訳ない気持ちを抱かずに今日を迎える事ができました。僕自身、今日は必ず誠意を尽くします。」
彼は折り目正しく、美しい礼をしてくれた。
「今日いただきましたお気持ちも、必ずジェイデンに伝えさせていただきます。」
顔を上げた彼は普段の飄々とした雰囲気は消え、とても真剣な眼差しをしていた。
僕は自然と頭が下がり、もう一度深く礼をした。レヴィルやリノと一緒にではなく、ちゃんと自分の気持ちで表したかった。
「本当にありがとう、今日はよろしくお願いします。」
セレダは淡く微笑み、ゆっくりと礼を返してくれた。
挨拶を終え、レヴィルとリノに見送られて教会に向かう。セレダは1頭立ての小型の馬車で来てくれていた。セレダは手綱を取ろうとするが、何故かするりと手綱を落としてしまう。僕の太ももにぱたりと手綱が当たる。
「あ、…すみません。」
「ううん、大丈夫だよ。」
僕は手綱を手に取って顔を上げる。よく見ると彼の手は震えていた。
「あー、…僕がやるよ、得意なんだ。」
「…え?」
僕はそのまま彼の返事を待たずに手綱を握った。僕たちはレヴィルとリノに見送られて屋敷を出た。
「ティト様、僕がやりますよ。」
「んーん、やらせて。」
「はぁ…」
セレダはしばらく居心地が悪そうにしていたが、僕が手綱を譲る気がないのが分かると諦めた様だった。彼はふぅと小さく息を吐く。
「………すみません…実は手が震えてたので…助かりました。」
「…大丈夫?」
「ええ…丁寧にご挨拶いただいて…とても驚いてしまいました、すみません。」
「ううん。」
小さな声でそう言った彼は、震えを誤魔化す様に指を組んだ。
「…昨日オーウェン公爵からも直接お手紙を頂戴しました。」
「え、…そうなの?」
「はい、ジェイデンと僕にそれぞれ直筆で、見学への丁寧なお礼とお願いの言葉をいただきました。」
「そうだったんだ…」
ジェイデンの加護の見学をお願いしたいと決めた事を、僕はオーウェン公爵に報告をしていた。その際に、必ずジェイデンやセレダにどうして見学をしたいと思ったのかしっかりと伝える事や、誠実にお願いするようにアドバイスをもらっていた。けれど、まさか、公爵が直々に手紙を書いてくれていたとは。
「びっくりしました…まさか直接お手紙をいただけるとは…腰が抜けそうでした。」
「突然来たら…そうだよね。」
オーウェン公爵は僕の血縁上の父であり、今でこそ僕の相談に乗ってくれている人だが、少し前の僕にとっても気安く接する事はできない雲の上の存在だった。そんな人から前触れもなく手紙が来たらそれは驚くだろう。
セレダは困った様に眉を下げて笑った。
「………僕は術師になってから…1度も"おこぼれ"を貰ったことがない術師です。」
「…お…こぼれ?」
聞き覚えのないフレーズに思わず首を傾げると、彼は困ったように笑った。
「寄付を担当する際に、術師とアデルが性行為に及ぶ事を、術師の間ではそう言います。すみません、俗物的な言葉なので覚えなくて大丈夫です。」
なるほど、と僕は頷く。寄付の説明を彼にしてもらった際、ごくあっさりとそう言う事もあると教えてもらっていた。
「もちろんこの国の将来の為に必要な大切な職業ではありますが……保護区に通わなくてもアデルの情けを得られる可能性がある。運が良ければ誰よりも高貴な方と共に過ごす事ができる。そう言ったところに多くの人が価値を見出して…憧れる。術師はそういう側面がある仕事です。」
セレダの語りはさっぱりとしていたが、どこか皮肉めいた雰囲気を孕んでいた。なんと返答をすればいいか分からず、ただぽつぽつと喋る彼の言葉に耳を傾ける。
「…与えられた仕事は真面目にこなしているつもりですが、…どうにも性に合わなくて…毎回そういう場面は避けていました。できるだけ寄付に関わらなくても良いように死ぬほど勉強をして研究職にもなりました。ティト様の術師に選ばれたのは、おそらくその経緯からです。術師選定の時の貴方は…色目を使うような術師が担当になるのは難しかったでしょうから。」
彼の言葉には邪気はなく、あっさりとそう語った。僕は初めて知った彼の選定理由に驚きを隠せなかった。
寄付に関わりたくなくて努力をして研究職についたのに、そのせいで僕の担当術師にされてしまっていたのだ。僕が成人をしたら、彼は何よりも寄付を優先しなくてはいけない。あまりにも皮肉すぎる。
彼はゆっくりと組んでいた手を解き、座席に手を置いた。
「僕は低い身分の生まれです。侯爵家に生まれた貴方に相応しい術師として選ばれたわけではありません。貴方に害を為さない術師だと判断されただけだ。」
その言葉はとても悲しい響きを持っていた。きっと僕は顔に出てしまっていたのだろう。セレダは困った様に笑い、控えめに言葉を続けた。
「いつか担当を外されるだろうと思っていました。貴方が慣習に慣れるまでの繋ぎの術師だろうと、だから……まさか…こんな風に…貴方方のような高貴な方から…まるで同じ人間のように扱っていただけるとは…思ってもいなかった。」
彼の声は少し震えていた。
僕は自分がしたことが、こんなに彼にとって重い意味を持つことなのだと思ってもいなかった。人として当たり前の事だと、僕が簡単に思っていたことは、きっと彼にとっては途方もなく高い壁なのだ。
「…正直、すごく怖くなってしまいました。僕は…貴方が向き合ってくれていたように、誠実にこの役目に向き合っていたのかと振り返ると……いつでも担当を外されていいと…心のどこかで思っていました。いや…それは今でも思っていますが…、……すみません、とにかく僕はとても不誠実でした。繋ぎとしての役割をすればいいと思っていた。申し訳ありません。」
セレダは僕に頭を下げた。僕は思わずやめてくれと叫び出したい気持ちになる。彼にそんな事をしてもらいたい訳ではなかった。
「…何のお詫びにもなりませんが、今日の役目だけはジェイデンの為にも精一杯務めさせていただきます。そして…いつ交代になっても甘んじて受け入れます。けれど、その時が来るまで、真剣に…誠心誠意、お仕えさせてください。」
僕が認識していた世界と彼の認識している世界は余りにも違う。僕がどんなに身分なんて関係がないと思っていても、超えられない溝がある。彼の言葉は、まざまざとその現実を突きつけてくるようだった。
「…………僕は…誠実、なんかじゃない……そんなに…頑張らないで…」
やっと絞り出せた言葉はそれだった。
ちゃんと言葉に出さなくては、きっと彼に伝わらない。こんなにもセレダが心の内を吐露してくれたのに、なぜか心の距離はぐっと引き離されたような感覚に陥る。
「……セレダと…上下関係を気付きたい訳じゃないんだ…」
僕は言葉を続けられず、緩く首を振る。
「ごめん…ちょっと待って…」
「はい…」
村を通り過ぎて、もう丘を登れば教会まですぐのところまで来ていたが、僕は道端にゆっくりと馬車を止めた。とてもじゃないが集中力が散漫になっていて、喋りながら手綱を握れそうもなかった。
僕は思わず馬車の縁に手をかけて下を向く。セレダは心配そうに僕の様子を伺っていた。
「…すみません、矢継ぎ早に話しすぎましたね。」
「違う…そうじゃない…ごめん、言葉が追いつかなくて…。」
僕はふう、と息を吐いた。大事な時に中々言葉が出て来ないのがもどかしかった。
僕はしばしの間黙り込み、しばらくしてようやく口を開いた。
「………セレダがどんな思いでここに来てくれていたのか……初めて会った時に研究職を辞めてここに来てくれたと話してくれたのに…その後の話でいっぱいいっぱいで詳しく話を聞く事すらしていなかった…本当にごめんなさい。」
「…そんな…やめてください、そんな事はティト様が気にされる事ではないですから…」
「気にするよ」
僕がはっきりとそう答えると、セレダは少し不思議そうな顔をした。
「…僕はセレダのさっぱりとした話し方や態度が好きだ。いつでも客観的に接してくれるから……僕は寄付について怖さよりも、ちゃんと知りたいと思う事が多かった。僕はセレダの事を不誠実だとか、不真面目だと思った事はないよ。」
僕はゆっくりとセレダを見据えた。万華鏡のような不思議な色の瞳と目が合う。
「僕はセレダが術師で良かったと思ってるし、セレダが嫌ではないのなら続けて欲しいと思ってる。家柄に相応しいとかそんな事は関係ない。……でもセレダが研究職に戻りたいと思っているのなら…引き止めはしないと思う。」
彼の瞳が軽く見開かれた。
「ただ……どちらにせよ…申し訳ないけど…僕はまだ成人前で寄付に慣れたとは言えないから、今すぐに僕が決められる事じゃないんだ……できれば時間をかけて相談をしたい……ごめんね。」
「………そんな……とんでもないです…すみません…ありがたい言葉を…ありがとうございます。」
「……ごめん…、セレダの力になりたいのに、何も出来なくて…これから僕も頑張るから…」
「いえ…お気持ちだけでありがたいです。」
「お願い…そんな風に言わないで…」
彼はどうすればいいか分からない様な、少し泣きそうな顔をしていた。切なげな表情に申し訳なさが込み上げて、きゅうと、締め付けられる様な気持ちになる。
僕はそっと彼の手に触れた。彼の手はもう震えてはいなかったが、指先は冷えていた。
「…ごめん……教会に行かないとだよね。」
「あ……はい…。」
「あと…少しだけ…ここで休んでもいいかな。少し落ち着いてから望みたいんだ。」
「もちろんです。…すみません、変な話をしてしまいました。」
「変な話なんかじゃないよ、話してくれてありがとう。」
僕は彼の言葉を否定するように首ゆるくを振り、そっと彼の手を離した。
もっとセレダの事を知りたいだとか、セレダじゃないと怖いだとか、彼を引き止めるための未練がましい言葉がいくつも浮かんだが、僕はぐっと飲み込んだ。今は言うべき言葉ではない。
今の僕はきっと情けない表情をしているだろう。あまりセレダには見られたくなかった。
僕は汗を掻いてもいないのに、ぐっと顔を腕で拭った。行儀だとかそんなものを気にする余裕もなかった。
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長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
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といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
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