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お水の神様がついてるのに、お水にならないのは、不幸な話だ
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「え、だって、聖女様って神様と結婚するんじゃなかった?そしたら人間の子供なんて、どうやって生むのよ?」
異世界だろうが、おそらく子供の作り方は一緒だと思う。男がいて、女がいて、という話だと思うが、異世界では、ある日、ひょっこり木の又から子供が生まれてくるような感じだったら、ちょっと引く。もしくはアリとか蜂みたいな単一生殖とか?
混乱しているミシェルに、カロンは笑う。
「ぼくは、赤ん坊の頃に聖女様の養子に選ばれたんだ。この神殿の大神官は、歴代の聖女様に引き取られた子供達なんだよ。聖女様は、人との子を為すことはできないから、その代わりにこの国では、魔力のとても高い子供が生まれると、神殿の預かりになって、神殿の子供になる。その中でも一番魔力の高い子供は聖女様のお子、という扱いとなるんだ。ぼくの他にも、あとまだ赤ん坊の子供が聖女様のお子として、この神殿にいるよ。あの子は女の子だから、多分次代の聖女様になると思うよ」
「つまり、カロンは次世代の大神官で、次代の聖女様のご兄弟だ。あまり馴れ馴れしくするんじゃない」
「ひえええ・・」
カロンは、いやそうに眉をひそめた。
「ダンテ様、止めてください。僕はそんなのではないです。ミシェル、気にしないで、偉いのは聖女様で、僕ではないんだし、他に魔力の高い子が発見されて、その子が聖女様のお子になれば、その子が大神官になる、そしたらぼくはただの神官の一人だよ」
そうカロンは言うが、この神殿に入ってきてから、カロンの後ろのさざめきが、大きくなっているのにミシェルは気が付いていた。
ここ、まちがいなくカロンのホームで、このカロンの後ろでカロンに控えている、人ならざるさざめきは、神に近い存在なのだろう。みんなカロンに傅いているあたり、カロンは次世代の大神官で間違いなさそうだ。
「しかもカロンの場合は、もともとの実家も侯爵家だ。大事な嫡男を神殿の子供として手放すのに、ずいぶん侯爵家と神殿の間で揉めたと聞いた」
こんな所でカロンのどえらい来歴を聞いてしまって、ミシェルは半眼だ。
そういえば、カロンはなんか大層立派な名前の由来だったはずだ。そんな名前が許される身分など、おそらく、かぎられてるんじゃなかろうか。なんでダンテの所で修行してるのか、意味がわからない。
「えっと・・カロン・・様?」
おもわず敬称をつけてカロンを呼んでみた。
「もう、ミシェル、やめてよ!」
真っ赤になってポカポカミシェルをたたいてくるカロンの本当にかわいい事。
だがこの可愛い坊やは、未来の大神官らしい。
大神官がどういうものかはよくわからんが、赤い服の司祭ですら、一般ピーポーからはあの扱いだ。おそらく、ものすごい扱いなのだろう。
「聖女様の子供といっても、僕たちを育てるのは、神殿の巫女や神官たちだし、普通の家族みたいに母と子として、一緒に時間を過ごしたりするわけでないから、僕たち神殿の子供にとっても、聖女様は、お母さまという感じではなく、やっぱり皆と同じ、聖女様だよ。実家の親も時々面会に来てくれるけど、一緒に住んだことはないんだ。そう思うと、ダンテ様と過ごした時間の方が、聖女様や、実の親と過ごした時間よりもよほど長いんだ」
だから、聖女様より、一緒に住んでいるダンテ様やミシェルの方が、本当の家族みたいな気がするよ、とほほ笑みを浮かべるカロンは、やっぱり間違いなく、天使だ。
だが、カロンの話を聞く限り、丁寧に育てられてはいるが、神殿の子供達にとって、神殿はどうも、扱いの良い孤児院のような場所ではないか。どうもカロンははにかみ屋なのに、人懐こいと思ったら、人とのふれあいに、飢えていたのか。
丁寧に扱ってもらったけれど、どこか空虚で、寂しかった田舎での暮らしをちょっと思い出して、ミシェルは目をしばたいて、言った。
「カロン、私があなたの家族になるわ、お姉さんって呼んでいいのよ」
「ミシェル・・」
うるうるしているカロンに、いらん突っ込みをダンテがいれる。
「こんな品のない女がカロンの姉であるわけないだろう。さあ、聖女様の部屋はこの奥だ」
異世界だろうが、おそらく子供の作り方は一緒だと思う。男がいて、女がいて、という話だと思うが、異世界では、ある日、ひょっこり木の又から子供が生まれてくるような感じだったら、ちょっと引く。もしくはアリとか蜂みたいな単一生殖とか?
混乱しているミシェルに、カロンは笑う。
「ぼくは、赤ん坊の頃に聖女様の養子に選ばれたんだ。この神殿の大神官は、歴代の聖女様に引き取られた子供達なんだよ。聖女様は、人との子を為すことはできないから、その代わりにこの国では、魔力のとても高い子供が生まれると、神殿の預かりになって、神殿の子供になる。その中でも一番魔力の高い子供は聖女様のお子、という扱いとなるんだ。ぼくの他にも、あとまだ赤ん坊の子供が聖女様のお子として、この神殿にいるよ。あの子は女の子だから、多分次代の聖女様になると思うよ」
「つまり、カロンは次世代の大神官で、次代の聖女様のご兄弟だ。あまり馴れ馴れしくするんじゃない」
「ひえええ・・」
カロンは、いやそうに眉をひそめた。
「ダンテ様、止めてください。僕はそんなのではないです。ミシェル、気にしないで、偉いのは聖女様で、僕ではないんだし、他に魔力の高い子が発見されて、その子が聖女様のお子になれば、その子が大神官になる、そしたらぼくはただの神官の一人だよ」
そうカロンは言うが、この神殿に入ってきてから、カロンの後ろのさざめきが、大きくなっているのにミシェルは気が付いていた。
ここ、まちがいなくカロンのホームで、このカロンの後ろでカロンに控えている、人ならざるさざめきは、神に近い存在なのだろう。みんなカロンに傅いているあたり、カロンは次世代の大神官で間違いなさそうだ。
「しかもカロンの場合は、もともとの実家も侯爵家だ。大事な嫡男を神殿の子供として手放すのに、ずいぶん侯爵家と神殿の間で揉めたと聞いた」
こんな所でカロンのどえらい来歴を聞いてしまって、ミシェルは半眼だ。
そういえば、カロンはなんか大層立派な名前の由来だったはずだ。そんな名前が許される身分など、おそらく、かぎられてるんじゃなかろうか。なんでダンテの所で修行してるのか、意味がわからない。
「えっと・・カロン・・様?」
おもわず敬称をつけてカロンを呼んでみた。
「もう、ミシェル、やめてよ!」
真っ赤になってポカポカミシェルをたたいてくるカロンの本当にかわいい事。
だがこの可愛い坊やは、未来の大神官らしい。
大神官がどういうものかはよくわからんが、赤い服の司祭ですら、一般ピーポーからはあの扱いだ。おそらく、ものすごい扱いなのだろう。
「聖女様の子供といっても、僕たちを育てるのは、神殿の巫女や神官たちだし、普通の家族みたいに母と子として、一緒に時間を過ごしたりするわけでないから、僕たち神殿の子供にとっても、聖女様は、お母さまという感じではなく、やっぱり皆と同じ、聖女様だよ。実家の親も時々面会に来てくれるけど、一緒に住んだことはないんだ。そう思うと、ダンテ様と過ごした時間の方が、聖女様や、実の親と過ごした時間よりもよほど長いんだ」
だから、聖女様より、一緒に住んでいるダンテ様やミシェルの方が、本当の家族みたいな気がするよ、とほほ笑みを浮かべるカロンは、やっぱり間違いなく、天使だ。
だが、カロンの話を聞く限り、丁寧に育てられてはいるが、神殿の子供達にとって、神殿はどうも、扱いの良い孤児院のような場所ではないか。どうもカロンははにかみ屋なのに、人懐こいと思ったら、人とのふれあいに、飢えていたのか。
丁寧に扱ってもらったけれど、どこか空虚で、寂しかった田舎での暮らしをちょっと思い出して、ミシェルは目をしばたいて、言った。
「カロン、私があなたの家族になるわ、お姉さんって呼んでいいのよ」
「ミシェル・・」
うるうるしているカロンに、いらん突っ込みをダンテがいれる。
「こんな品のない女がカロンの姉であるわけないだろう。さあ、聖女様の部屋はこの奥だ」
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