ニューヨークの物乞い

Moonshine

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やはり、若い女性が物乞いと話をしているところはあまり見ない。

ある日、綺麗な若い女性が、陽気そうな物乞いのおじさんの前で、財布を開けているところを見た。

(珍しいな。。)

そう思った私は、少し観察をすることにした。

お姉さんは、おじさんの前で立ち止まると、ちょっと考えて、ありったけの紙幣なのだろう、7ドルくらいのお金をおじさんにす、と渡した。

びっくりしたおじさんは、

「お嬢ちゃん、いいのかい?」

と、驚いていた。大抵の物乞いのおじさんは、気がいいのだ。
若いお姉ちゃんが、物乞いのおじさんに、おじさんにとっての大金を差し出しているのだ。

(本当にいいの、どうしたの?)

私も耳をそば立てていた。

お姉さんは、声を震わせながら、

「いいの、今日ね、私彼氏にふられたの。あなたに、お金をもらってもらって、感謝してもらって、せめて、ちょっといい気分になりたいの。」

おじさんは、

「こんなにいい娘さんを振るなんざ、男の方は見る目がないね、きっとすぐに君にふさわしいいい人が現れるよ。」

そう、優しく笑っていた。

お姉さんは、

「そう言ってくれてありがとう、ねえ、ちょっと横に座っていていい?」

そう言って、おじさんの肩にもたれかけて、泣き出していた。

おじさんは、大丈夫だ、いいことあるさ、と歌う様に慰めていた。
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