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緑の指を持つ娘 温泉湯けむり編
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(はあ、はあ、くそ、亀のくせに何ていうスピードだ)
汗が出だすと非常にまずい。
体の皮膚が汗に刺激を受けて、反応して痒くなる。痒くなった所から古い魔力が漏れ出して、黄色い体液がにじんでくる。早く止まらないと、まずい。
目の前を行く亀は目的の場所があるようなのだが、一体どこに行こうとしているのかも皆目検討がつかない。
そもそも大の大人が走って追いかけるスピードで移動する亀など、聞いたこともない。
(くそ、一体どこに行こうというのだ)
フェリクスの息が上がってくる。亀はそれでも止まる様子は見えない。
フェリクスが少しでも足を止まると、亀は白い霧の中に消えて、2度とその姿をつかむことが出来ない気がする。
汗が額を走った。まずい。
フェリクスは上着も包帯もかなぐり捨てて追いかける。
(はあ、はあ、もう限界だ)
足が思うように動かなくなって、フェリクスはたまりかね、その場に膝をついた。
黒い亀はそんなフェリクスに一切構うことなく、無慈悲にも視界から消えた。
そして急に目の前の白い霧が晴れた。
(・・・ここは・・)
フェリクスは、今目にしている光景が信じられなかった。
そこには白い岩肌の美しい岩に囲まれた、真昼の空のように美しい温水が広々と広がる、天然の温泉だったのだ。
(温泉・・か)
予想すらしていなかった美しい光景に、フェリクスは度肝を抜かれてしまったが、一筋の傷もない、完璧な王太子と言わしめたその頭脳はすぐに冷静さを取り戻し、ここがどこであるのか憶測する。
ここはおそらくはアビーブの源泉だ。
そして、伝説になっている王家の奥の森の、温泉だろう。
(まさか本当に存在していたとはな)
伝説にはあったが、そんな温泉を見たことがあるという王家の歴史には記録はほとんどない。
おそらくは相当森の奥まった場所にあるのだろう。
フェリクスはゆっくりと生い茂る木々をかき分けて、温泉に近づいていった。
温泉の水面に、悠々と目の前を泳ぎ去っていく、先ほどの亀の姿が見えた。
(ここが目的地だったのか)
フェリクスは改めて、あたりを見渡してみる。
亀のほかにも、どうやらいろんな動物がこの温泉に体を預けているらしい。
フェリクスの横を、今度は二つの頭のある猪が泳いで行った。
ギョッとしたフェリクスは、猪のゆく方向に目をやると、奥の方にもっとたくさんの生き物の影が見えた。
奥には動物だけではない。
明らかに人間の世界には存在してはならない存在がいる。
羽が破れている小さな女の姿をした妖精の一種。あれは確か、時々海に出て、男を惑わす種類の妖精だ。
他にも、身体中に醜い吹き出物ができている老いた男の姿をした生き物。
その隣には、見た事もないほどの巨大な金の鯉が優雅に泳ぐ。
パチリとフェリクスは、何かの白い塊と目があった。
塊は、大きな人の顔をしており、顔から手足が生えていた。
フェリクスに害を加えるつもりも、フェリクスを気にする様子もない。ちらりとフェリクスを見ると、目をつぶって大きなため息をつきながら、湯を楽しんでいる。
どの命も、静かに、それは心地よさそうに、ただ湯を楽しんでいる。
フェリクスは、恐怖と驚きと、そしてその光景の美しさへの感動で、その場を動くことが出来ない。
しばらくすると、全身が矢傷や刀傷に覆われた、一つ目の赤鬼が倒れ込むように湯に入る所が見えた。
フェリクスは思わず叫び声をあげそうになった。
あれは人を食う魔獣の一種だ。
フェリクスは警戒し、固く拳を握ったが、赤鬼は、しばらく静かに湯に体を浸すと、何事もなかったかのように湯から上がり、大きな足音を立てて森に帰っていった。
その体から、全ての傷は夢の中の出来事のように、拭われていた。
(神々の、癒しの湯)
まちがいない。ここは人の理にあらざるもの達の、癒しの場所だ。
フェリクスは興奮と、そして恐怖で足が動かなかった。ここは人が足を踏み入れるべき場所ではない。
一刻も早く、この聖域からでなければ、未来永劫この世界から逃れる事はできなくなるはずだ。
(ここに私が存在している事を、誰にも気づかれてはならん)
フェリクスの王太子教育の中には、神学の座学も少なくない時間がとられていた。
その全てが無駄だと思ってあまり腰を入れて励んでいなかったのだが、今フェリクスは、神学の座学で学んだ知識に心から感謝をする時がきた。
フェリクスが足音を立てない様に、来た道を、神学で学んだ通りに、そっとあとずさりしてこの場を立ち去ろうとしていた時だ。
がさり、と遠くで大きな草音が聞こえた。
フェリクスは、慎重に音の立った方を見た。
そして、今度こそすんでの所で叫び声を上げそうになった。
(お・・おい!!なぜ!!!なぜあの娘がここに!!!)
フェリクスの遠い目に映ったのは、真っ白な、一糸纏わぬ姿で湯の中に吸い込まれていく、赤茶色の髪をした若い人間の娘だった。
間違いない。フェリクスがずっと会いたいと望んでいた、あの娘。
娘は何のためらいもなく、人外の生き物の間にざぶりと音をたてて滑りゆき、そしてそれは心地よさそうにその体を水色の湯に預けた。
人外の生き物達は、ちらりと娘を見ると、それだけで、後はなにも気にかけていない風に娘の存在を受け入れて、静かに温泉の湯を楽しんでいいる様子だった。
フェリクスは、娘の美しい姿に目が離せない。
(私は・・幻影を見ているのか・・)
やがて霧がゆっくりと濃くなってゆく。
一歩も足が動かないまま、フェリクスの目の前は霧でおおわれて、何も見えなくなる。
霧はどんどん濃くなって、フェリクスは自分の手すら見えなくなる。
気が付けば、フェリクスは、離宮の裏の、森の入り口に脱ぎ去ったはずの上着と、外した包帯と一緒に立ち尽くしていた。
汗が出だすと非常にまずい。
体の皮膚が汗に刺激を受けて、反応して痒くなる。痒くなった所から古い魔力が漏れ出して、黄色い体液がにじんでくる。早く止まらないと、まずい。
目の前を行く亀は目的の場所があるようなのだが、一体どこに行こうとしているのかも皆目検討がつかない。
そもそも大の大人が走って追いかけるスピードで移動する亀など、聞いたこともない。
(くそ、一体どこに行こうというのだ)
フェリクスの息が上がってくる。亀はそれでも止まる様子は見えない。
フェリクスが少しでも足を止まると、亀は白い霧の中に消えて、2度とその姿をつかむことが出来ない気がする。
汗が額を走った。まずい。
フェリクスは上着も包帯もかなぐり捨てて追いかける。
(はあ、はあ、もう限界だ)
足が思うように動かなくなって、フェリクスはたまりかね、その場に膝をついた。
黒い亀はそんなフェリクスに一切構うことなく、無慈悲にも視界から消えた。
そして急に目の前の白い霧が晴れた。
(・・・ここは・・)
フェリクスは、今目にしている光景が信じられなかった。
そこには白い岩肌の美しい岩に囲まれた、真昼の空のように美しい温水が広々と広がる、天然の温泉だったのだ。
(温泉・・か)
予想すらしていなかった美しい光景に、フェリクスは度肝を抜かれてしまったが、一筋の傷もない、完璧な王太子と言わしめたその頭脳はすぐに冷静さを取り戻し、ここがどこであるのか憶測する。
ここはおそらくはアビーブの源泉だ。
そして、伝説になっている王家の奥の森の、温泉だろう。
(まさか本当に存在していたとはな)
伝説にはあったが、そんな温泉を見たことがあるという王家の歴史には記録はほとんどない。
おそらくは相当森の奥まった場所にあるのだろう。
フェリクスはゆっくりと生い茂る木々をかき分けて、温泉に近づいていった。
温泉の水面に、悠々と目の前を泳ぎ去っていく、先ほどの亀の姿が見えた。
(ここが目的地だったのか)
フェリクスは改めて、あたりを見渡してみる。
亀のほかにも、どうやらいろんな動物がこの温泉に体を預けているらしい。
フェリクスの横を、今度は二つの頭のある猪が泳いで行った。
ギョッとしたフェリクスは、猪のゆく方向に目をやると、奥の方にもっとたくさんの生き物の影が見えた。
奥には動物だけではない。
明らかに人間の世界には存在してはならない存在がいる。
羽が破れている小さな女の姿をした妖精の一種。あれは確か、時々海に出て、男を惑わす種類の妖精だ。
他にも、身体中に醜い吹き出物ができている老いた男の姿をした生き物。
その隣には、見た事もないほどの巨大な金の鯉が優雅に泳ぐ。
パチリとフェリクスは、何かの白い塊と目があった。
塊は、大きな人の顔をしており、顔から手足が生えていた。
フェリクスに害を加えるつもりも、フェリクスを気にする様子もない。ちらりとフェリクスを見ると、目をつぶって大きなため息をつきながら、湯を楽しんでいる。
どの命も、静かに、それは心地よさそうに、ただ湯を楽しんでいる。
フェリクスは、恐怖と驚きと、そしてその光景の美しさへの感動で、その場を動くことが出来ない。
しばらくすると、全身が矢傷や刀傷に覆われた、一つ目の赤鬼が倒れ込むように湯に入る所が見えた。
フェリクスは思わず叫び声をあげそうになった。
あれは人を食う魔獣の一種だ。
フェリクスは警戒し、固く拳を握ったが、赤鬼は、しばらく静かに湯に体を浸すと、何事もなかったかのように湯から上がり、大きな足音を立てて森に帰っていった。
その体から、全ての傷は夢の中の出来事のように、拭われていた。
(神々の、癒しの湯)
まちがいない。ここは人の理にあらざるもの達の、癒しの場所だ。
フェリクスは興奮と、そして恐怖で足が動かなかった。ここは人が足を踏み入れるべき場所ではない。
一刻も早く、この聖域からでなければ、未来永劫この世界から逃れる事はできなくなるはずだ。
(ここに私が存在している事を、誰にも気づかれてはならん)
フェリクスの王太子教育の中には、神学の座学も少なくない時間がとられていた。
その全てが無駄だと思ってあまり腰を入れて励んでいなかったのだが、今フェリクスは、神学の座学で学んだ知識に心から感謝をする時がきた。
フェリクスが足音を立てない様に、来た道を、神学で学んだ通りに、そっとあとずさりしてこの場を立ち去ろうとしていた時だ。
がさり、と遠くで大きな草音が聞こえた。
フェリクスは、慎重に音の立った方を見た。
そして、今度こそすんでの所で叫び声を上げそうになった。
(お・・おい!!なぜ!!!なぜあの娘がここに!!!)
フェリクスの遠い目に映ったのは、真っ白な、一糸纏わぬ姿で湯の中に吸い込まれていく、赤茶色の髪をした若い人間の娘だった。
間違いない。フェリクスがずっと会いたいと望んでいた、あの娘。
娘は何のためらいもなく、人外の生き物の間にざぶりと音をたてて滑りゆき、そしてそれは心地よさそうにその体を水色の湯に預けた。
人外の生き物達は、ちらりと娘を見ると、それだけで、後はなにも気にかけていない風に娘の存在を受け入れて、静かに温泉の湯を楽しんでいいる様子だった。
フェリクスは、娘の美しい姿に目が離せない。
(私は・・幻影を見ているのか・・)
やがて霧がゆっくりと濃くなってゆく。
一歩も足が動かないまま、フェリクスの目の前は霧でおおわれて、何も見えなくなる。
霧はどんどん濃くなって、フェリクスは自分の手すら見えなくなる。
気が付けば、フェリクスは、離宮の裏の、森の入り口に脱ぎ去ったはずの上着と、外した包帯と一緒に立ち尽くしていた。
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