58 / 96
悪役を演じて見せよ!
お休みの過ごし方
しおりを挟む
藤組の課外授業も終わって、3日お休みを挟んで、通常授業が始まる。担任の先生は引き続き、他のクラスの課外授業のお手伝いをするそうなので、しばらく見かけることはないそうだ。
お休み3日間、どう過ごそう。
ソラは『今日空いてる?』とか『遊びに行こう!』とかのやり取りを夢見ている、いや、夢見ていたちょっぴりシャイなうり坊だ。この度、そんなソラの夢が叶い、生まれて初めての人間のお友達からのお誘いがきた。そりゃ、何があってもでかける、二つ返事でOKを出した。家族全員でお祝いするくらい喜んでしまった。
いやジュリアン室井だけは『ソラはニャーにだけ構っていればいいのに』と言っていた。粘着質な猫は召喚主に友達がいない方が嬉しいらしい、なんて猫だ。プレゼントしたネシ小屋なんて殊の外喜んでくれていたと思っていたら、『鯉太郎ちゃんもニャーにだけかまってくれたらよかったのに、なんでホームに帰っちゃうかにゃー』とぼやいていた、ちょっぴりネシ小屋プレゼントしたことを後悔した。
お休み3日間は、最初の1日目こそ、疲れでぼーっとお休みしてリフレッシュしていた、2日目は漫画でも読むかと考えいていたそんな日の午後14時アイラン少年からお出かけのお誘いが来たのだ。
ソラはメールが来た瞬間、謎のハイテンションで家をかけ回り、ゼロ翔けるソラになった。そんなわけで、家族にも初めてお友達とお出かけすることが知れ渡り、万歳胴上げまでしてもらった。なかなかノリのいい家族である。わっしょいわっしょい、おめでとう!
そして、お休み2日目、お友達アイランと盆栽美術館に出かけることになった。盆栽とは【植物の鉢に小さな樹木などを植えて、それを整えて、その鉢と植物の様を観賞するもの】で、アイランの趣味でもある。今回は、彼の祖父の育てた紅葉が展示会に出品されるので、それを見に行かないかと誘われたのだった。いぶし銀な趣味だ。
「僕、盆栽をじっくりみるの初めてだよ」
「詰まらなかったらごめん」
少し緊張気味だ、アイランはうつむいた。キタ、これキタ、また来ちゃったよ、今度は友達風吹かす瞬間きたー。アイランもまた趣味がジジ臭いなどと言われて友達が多くない、彼もまた友達の距離感をとるのが難しい、今回のお誘いも結構、勇気がいった。
「うんや、あんまり盆栽見たことなかったから、すごい勉強になって面白いよ、こっ、こういう時はありがとうって言ってくれるとうれしい」
どもったけど、問題ない、親友にもなれちゃうかも!
「ああ、今日は付き合ってくれてありがとう」
ミニチュア植物園みたいで楽しい。
ぼんやりと色んな盆栽を眺めながら歩いていると、一際大きな鉢の松が展示されているエリアにたどり着いた。
「この五葉松は美術館の中では最年長で、推定樹齢500年なんだ。不思議な松で、冬頃は樹齢400年くらいと思われていたのに、春になったら急に歳を取ったんだって。盆栽では一部、枯れてしまった部分もそのまま残して、緑と枯れてしまった白い部分すら趣として楽しむんだけど、その白い部分が一晩で増えていたんだって。枝ぶりも根張りも冬の時とは全然違うんだ、不思議だよね」
妖怪が闊歩するこの不思議ワールドでも、急に植物が年をとることは不思議なことらしい。何とも荘厳な松である。きっと、タマキによる乙女ゲームが始まっても変わらず、年月を重ねてしまったに違いない。
ゲームの理を外れた松は枯れてしまった白い部分さえ何とも美しかった。
お休み3日間、どう過ごそう。
ソラは『今日空いてる?』とか『遊びに行こう!』とかのやり取りを夢見ている、いや、夢見ていたちょっぴりシャイなうり坊だ。この度、そんなソラの夢が叶い、生まれて初めての人間のお友達からのお誘いがきた。そりゃ、何があってもでかける、二つ返事でOKを出した。家族全員でお祝いするくらい喜んでしまった。
いやジュリアン室井だけは『ソラはニャーにだけ構っていればいいのに』と言っていた。粘着質な猫は召喚主に友達がいない方が嬉しいらしい、なんて猫だ。プレゼントしたネシ小屋なんて殊の外喜んでくれていたと思っていたら、『鯉太郎ちゃんもニャーにだけかまってくれたらよかったのに、なんでホームに帰っちゃうかにゃー』とぼやいていた、ちょっぴりネシ小屋プレゼントしたことを後悔した。
お休み3日間は、最初の1日目こそ、疲れでぼーっとお休みしてリフレッシュしていた、2日目は漫画でも読むかと考えいていたそんな日の午後14時アイラン少年からお出かけのお誘いが来たのだ。
ソラはメールが来た瞬間、謎のハイテンションで家をかけ回り、ゼロ翔けるソラになった。そんなわけで、家族にも初めてお友達とお出かけすることが知れ渡り、万歳胴上げまでしてもらった。なかなかノリのいい家族である。わっしょいわっしょい、おめでとう!
そして、お休み2日目、お友達アイランと盆栽美術館に出かけることになった。盆栽とは【植物の鉢に小さな樹木などを植えて、それを整えて、その鉢と植物の様を観賞するもの】で、アイランの趣味でもある。今回は、彼の祖父の育てた紅葉が展示会に出品されるので、それを見に行かないかと誘われたのだった。いぶし銀な趣味だ。
「僕、盆栽をじっくりみるの初めてだよ」
「詰まらなかったらごめん」
少し緊張気味だ、アイランはうつむいた。キタ、これキタ、また来ちゃったよ、今度は友達風吹かす瞬間きたー。アイランもまた趣味がジジ臭いなどと言われて友達が多くない、彼もまた友達の距離感をとるのが難しい、今回のお誘いも結構、勇気がいった。
「うんや、あんまり盆栽見たことなかったから、すごい勉強になって面白いよ、こっ、こういう時はありがとうって言ってくれるとうれしい」
どもったけど、問題ない、親友にもなれちゃうかも!
「ああ、今日は付き合ってくれてありがとう」
ミニチュア植物園みたいで楽しい。
ぼんやりと色んな盆栽を眺めながら歩いていると、一際大きな鉢の松が展示されているエリアにたどり着いた。
「この五葉松は美術館の中では最年長で、推定樹齢500年なんだ。不思議な松で、冬頃は樹齢400年くらいと思われていたのに、春になったら急に歳を取ったんだって。盆栽では一部、枯れてしまった部分もそのまま残して、緑と枯れてしまった白い部分すら趣として楽しむんだけど、その白い部分が一晩で増えていたんだって。枝ぶりも根張りも冬の時とは全然違うんだ、不思議だよね」
妖怪が闊歩するこの不思議ワールドでも、急に植物が年をとることは不思議なことらしい。何とも荘厳な松である。きっと、タマキによる乙女ゲームが始まっても変わらず、年月を重ねてしまったに違いない。
ゲームの理を外れた松は枯れてしまった白い部分さえ何とも美しかった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる