2 / 12
2
しおりを挟む
「お姉ちゃんの目、緑色で宝石みたい」
「お姉ちゃんね。エルフとのハーフなの」
罪悪感で胸がチクリとした気がした。
エルフとのハーフ――。まあ嘘はついてない。
「そうなんだ! だから髪の毛も金色できれいなんだ!」
「でもあなたの栗毛色の髪の毛も綺麗で羨ましいわよ」
「えーそうかなぁ……。あたしもお姉ちゃんみたい髪のほうがよかったなあ……。あれ?」
頭を二、三回降ると結っていた、ヘアピンが床に落ちてしまい髪がほどけてしまった。
「もうあなたは……結ってあげるから後ろを向きなさい」
母親らしき女性が女の子に後ろに向かせるように促すと、女の子は「はーい」と言って素直に後ろを向いた。女の子の顔はどこか楽しそうにみえる。
母親と列車に乗って出かけることへの高揚感なのか、それとも構ってもらえているという嬉しさなのか――はたまたそれ以外なのか、私には分からなかった。
女の子の母親はバックから、くしを出し、栗毛色の女の子の髪の毛を上から下へゆっくりととかしている。
髪を結ってくれる――髪の毛と髪の毛の間に母親の細い手が入り込んでくる感覚がとても好きで、よく母親にせがんだのを覚えている。
「どちらまで行かれるのですか」
私は女の子の髪を結っている女性に声をかけた。
「この子の祖父母に会いにハインツブルグまで行くんです」女性はバックからゴムを取り出し、後ろ髪を一つにまとめた。
「終わったわよ」
女の子は前に身体を振り向かせ、何かを思い出したかのようにスカートのポケットから取り出し、母親らしき女性に手渡した。
「これもつけて」
女の子の手のひらに載っていたのは、アヒルのヘアピンだった。
「どこにつければいいの?」
「じゃあ、前につけて」
アヒルのヘアピンを女性は手に取り、右の眉毛よりも少し上の前髪の部分に前髪につけた。
「お姉ちゃんどう?」
「可愛い。よく似合っているよ」
「えへへ。ありがと。ねえ、お姉ちゃんはどこにいくの」
「ミッドランドシティよ」
「ミッドランドシティってどこ」
女の子が母親らしき女性に尋ねる。
「ハインツブルグからずっと下にいったところにある大きな町よ。お仕事で行かれるんですか」女性が私に問いかける。
「取材がてら行かないといけないんです」
「失礼ですがお仕事は何をしているんですか」
「お姉ちゃんね。エルフとのハーフなの」
罪悪感で胸がチクリとした気がした。
エルフとのハーフ――。まあ嘘はついてない。
「そうなんだ! だから髪の毛も金色できれいなんだ!」
「でもあなたの栗毛色の髪の毛も綺麗で羨ましいわよ」
「えーそうかなぁ……。あたしもお姉ちゃんみたい髪のほうがよかったなあ……。あれ?」
頭を二、三回降ると結っていた、ヘアピンが床に落ちてしまい髪がほどけてしまった。
「もうあなたは……結ってあげるから後ろを向きなさい」
母親らしき女性が女の子に後ろに向かせるように促すと、女の子は「はーい」と言って素直に後ろを向いた。女の子の顔はどこか楽しそうにみえる。
母親と列車に乗って出かけることへの高揚感なのか、それとも構ってもらえているという嬉しさなのか――はたまたそれ以外なのか、私には分からなかった。
女の子の母親はバックから、くしを出し、栗毛色の女の子の髪の毛を上から下へゆっくりととかしている。
髪を結ってくれる――髪の毛と髪の毛の間に母親の細い手が入り込んでくる感覚がとても好きで、よく母親にせがんだのを覚えている。
「どちらまで行かれるのですか」
私は女の子の髪を結っている女性に声をかけた。
「この子の祖父母に会いにハインツブルグまで行くんです」女性はバックからゴムを取り出し、後ろ髪を一つにまとめた。
「終わったわよ」
女の子は前に身体を振り向かせ、何かを思い出したかのようにスカートのポケットから取り出し、母親らしき女性に手渡した。
「これもつけて」
女の子の手のひらに載っていたのは、アヒルのヘアピンだった。
「どこにつければいいの?」
「じゃあ、前につけて」
アヒルのヘアピンを女性は手に取り、右の眉毛よりも少し上の前髪の部分に前髪につけた。
「お姉ちゃんどう?」
「可愛い。よく似合っているよ」
「えへへ。ありがと。ねえ、お姉ちゃんはどこにいくの」
「ミッドランドシティよ」
「ミッドランドシティってどこ」
女の子が母親らしき女性に尋ねる。
「ハインツブルグからずっと下にいったところにある大きな町よ。お仕事で行かれるんですか」女性が私に問いかける。
「取材がてら行かないといけないんです」
「失礼ですがお仕事は何をしているんですか」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
アサの旅。竜の母親をさがして〜
アッシュ
ファンタジー
辺境の村エルモに住む至って普通の17歳の少女アサ。
村には古くから伝わる伝承により、幻の存在と言われる竜(ドラゴン)が実在すると信じられてきた。
そしてアサと一匹の子供の竜との出会いが、彼女の旅を決意させる。
※この物語は60話前後で終わると思います。完結まで完成してるため、未完のまま終わることはありませんので安心して下さい。1日2回投稿します。時間は色々試してから決めます。
※表紙提供者kiroさん
4層世界の最下層、魔物の森で生き残る~生存率0.1%未満の試練~
TOYA
ファンタジー
~完結済み~
「この世界のルールはとても残酷だ。10歳の洗礼の試練は避ける事が出来ないんだ」
この世界で大人になるには、10歳で必ず発生する洗礼の試練で生き残らなければならない。
その試練はこの世界の最下層、魔物の巣窟にたった一人で放り出される残酷な内容だった。
生存率は1%未満。大勢の子供たちは成す術も無く魔物に食い殺されて行く中、
生き延び、帰還する為の魔法を覚えなければならない。
だが……魔法には帰還する為の魔法の更に先が存在した。
それに気がついた主人公、ロフルはその先の魔法を習得すべく
帰還せず魔物の巣窟に残り、奮闘する。
いずれ同じこの地獄へと落ちてくる、妹弟を救うために。
※あらすじは第一章の内容です。
―――
本作品は小説家になろう様 カクヨム様でも連載しております。
終焉のヴァルハラ 〜英雄はなぜ英雄となったのか〜
真希ひろい
ファンタジー
とある森の中、一風変わった平屋がひっそりと建っていた。
その名は「ヴァルハラの家」。
それは、かつて世界を救い、国を守り、多くの伝説を残した英雄たちが余生を過ごすための場所。
そして今、その家には、数人の老いた英雄と一人の少年が暮らしていた。
少年は、英雄たちの死を看取る中で知る――彼らがどのような思いで英雄となったのか、その背景に隠された苦悩と決断の瞬間を。
これは、英雄たちの「過去」と少年イヴァンの「未来」を繋ぐ、切なくも温かい物語。
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
まじぼらっ! ~魔法奉仕同好会騒動記
ちありや
ファンタジー
芹沢(せりざわ)つばめは恋に恋する普通の女子高生。入学初日に出会った不思議な魔法熟… 少女に脅され… 強く勧誘されて「魔法奉仕(マジックボランティア)同好会」に入る事になる。
これはそんな彼女の恋と青春と冒険とサバイバルのタペストリーである。
1話あたり平均2000〜2500文字なので、サクサク読めますよ!
いわゆるラブコメではなく「ラブ&コメディ」です。いえむしろ「ラブギャグ」です! たまにシリアス展開もあります!
【注意】作中、『部』では無く『同好会』が登場しますが、分かりやすさ重視のために敢えて『部員』『部室』等と表記しています。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話
嵐華子
ファンタジー
【旧題】秘密の多い魔力0令嬢の自由ライフ。
【あらすじ】
イケメン魔術師一家の超虚弱体質養女は史上3人目の魔力0人間。
しかし本人はもちろん、通称、魔王と悪魔兄弟(義理家族達)は気にしない。
ついでに魔王と悪魔兄弟は王子達への雷撃も、国王と宰相の頭を燃やしても、凍らせても気にしない。
そんな一家はむしろ互いに愛情過多。
あてられた周りだけ食傷気味。
「でも魔力0だから魔法が使えないって誰が決めたの?」
なんて養女は言う。
今の所、魔法を使った事ないんですけどね。
ただし時々白い獣になって何かしらやらかしている模様。
僕呼びも含めて養女には色々秘密があるけど、令嬢の成長と共に少しずつ明らかになっていく。
一家の望みは表舞台に出る事なく家族でスローライフ……無理じゃないだろうか。
生活にも困らず、むしろ養女はやりたい事をやりたいように、自由に生きているだけで懐が潤いまくり、慰謝料も魔王達がガッポリ回収しては手渡すからか、懐は潤っている。
でもスローなライフは無理っぽい。
__そんなお話。
※お気に入り登録、コメント、その他色々ありがとうございます。
※他サイトでも掲載中。
※1話1600〜2000文字くらいの、下スクロールでサクサク読めるように句読点改行しています。
※主人公は溺愛されまくりですが、一部を除いて恋愛要素は今のところ無い模様。
※サブも含めてタイトルのセンスは壊滅的にありません(自分的にしっくりくるまでちょくちょく変更すると思います)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる