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しおりを挟む目が覚めた時には身体が動かないくらいに疲れていた。
寝ていただけなのになんでこんなにしんどいのか分からずリヴァイアル様を見上げると、綺麗な口からもっと私を味わいますか?と聞かれてしまった。
流石に状況を理解したので、準備をしようと身体を動かすも、思い通りにならず結局は全部リヴァイアル様がしてくれた。うう、ごめんなさい。
直ぐ目の前に王都程では無いがそれなりの都市があった。期待に胸を高鳴らせていると、明日の昼に入りますよ、と言われ縋り付いた。
時間感覚が曖昧になっていたので、今の時間帯が把握できていなかったのだ。
もう少しで急速に日が沈みます。
リヴァイアル様の言う通り一気に辺りが暗闇に包まれてしまった。
美味しいご飯を期待していたのに残念い思っていると、口の中に果物を入れられた。甘くて美味しい。果汁もたっぷりで喉も潤う。
何個か口の中に放り込まれ全て食べ終わると、今度は口付けをされ口の中を味わっているようだった。
段々いやらしくなってくると思いきや途中で止められてしまい残念だった。
「散策を楽しんだら沢山可愛がってあげますよ。数日我慢してくださいね、リリム」
耳元で囁かれれば頷くしかない。激しく絡み合いたい気持ちを抑え明日に備える。
穏やかなリヴァルイアル様の心音に安堵し眠りにつく。この安らぎを離したくない、と。
翌朝2人で朝食を森の中で調達し用意する。お腹いっぱいになると、今度は昼迄森の中を散策して時間を潰す。
冒険者ギルドがあれば良いが、無ければ登録できるところに行かないといけない。
森が近いのだから害獣被害や、薬草採取などの依頼はあると思っている。
そんな事を考えながら見つけた薬草をどんどん採取していく。
そして何故かリヴァイアル様は必要以上に辺りを警戒しているように思う。
人の気配はしないから、猛獣でもいるのだろうか?そんな気配はしないのに・・・・
時々リヴァイアル様の姿を確認しながら奥へ奥へと進んでいく。
森が一段と深くなり、陽の光が殆ど届かない場所で何かが光った気がした。気配は無い。
警戒しながら来た道を戻りつつ薬草採取を行う。
遠くでガサッと音がしてそちらを顧みるのと獣が己の爪を振り下ろしているのは同時だった。
避けられない
身体が即座に反応しない、そんな中で腕で顔を庇う。
目を瞑り衝撃に備えるもいつまで経っても痛みが無い。
恐る恐る獣の方を見ると、無惨に切り刻まれた残骸が其処にあるだけだった。
ギュッと抱きしめられ自分が無事であることを確認する。今までとは違う獣の動きに何も反応することが出来なかった、自分の中でそれがどうしようもなく情けなくて非力に思えて仕方がなかった。
涙が止まらず何時迄もリヴァイアル様に抱きついていた。
抱き上げられ、そのままリヴァイアル様はその場を去った。
いつもの木の上に行くのかと思えば、都市の門をくぐり中に入る。
なんの迷いもなく歩を進めるリヴァイアル様を不思議に思い顔を上げると、この都市の中の店などは大体把握しています。とに返事が返って来た。
暫くすると冒険者ギルドに到着する。何も分からず抱き抱えられたまま受付まで進む。
こちらの大陸での冒険者として登録する為の手続きをするのだろうと、腕の中から下りようとするも下ろしてもらえずそのまま対応することになった。
帝国のあった大陸で使用していた冒険者カードは使用できるらしく提示するだけで済んだ。
そんな中でリヴァイアル様はギルドマスターとの面会を申し込んでいて、相手の都合が付くまで少し待つとのことだった。
もちろんその間私はリヴァイアル様に抱かれ腕の中で小さくなっていた。
半刻ほど待った後呼び出しがかかった。再度腕の中から降りようとしてもやはり下ろしてもえなかった。
そのまま応接間に行くのかと思いきや、ギルドマスターの部屋に通された。
話たい内容は、害獣ではなく魔物が発生している事を伝える為だという。
ソファに座り事の顛末を伝える。
私が退治した獣は今迄相手にしてきたものではなく、魔物だというリヴァイアル様の話に絶句しかなかった。
ギルドマスターもその報告に驚いているようで、詳しく離しているうちに難しい顔になっていく。そして極めつけは、魔物を倒した後に手に入れることの出来る魔石の存在だった。
人間の中でも稀に魔力を持って産まれてくるものがいる。
そういった者達が力を極めると魔法を使う事ができる。
その中でも魔石は便利な物で、魔法が使えなくても発動条件を満たせば使用することが可能になる。
簡単ら例で言えば、相手に投げ付けるといった衝撃を与える方法。
体重などの負荷がかかると発動する方法。
ただ、魔石は見つかる率が少ない上に小さくてもかなり高価だから手に入れる者も限られてくる。
そんな中で魔物が出現して倒すことが出来れば魔石が手に入るとなればこぞって討伐に向かう者がいるだろう。
だが、強さを見誤れば命を落とすことになる。さっきの私が良い例なのだろう。
リヴァイアル様が居なかったら大怪我を負うか最悪の場合は死んでいたかもしれない。
そう思っただけでまた、リヴァイアル様に抱きつきその胸に顔を埋めた。
その間もリヴァイアル様は話を続け、近くの森の中で出会った魔物から取れた魔石をギルドマスターに見せる。
魔石を受け取り確認すると、他の主要な
冒険者を呼んでも良いか聞いて来た。了と答え暫く待つ。
部屋に入ってきた冒険者達は一様に膝の上で抱きしめられている私を見ると物言いたげにするが、リヴァイアル様が凄みのある笑顔で対応しているので何かを言う者はいない。
サクッと本題に入り対処法を教える。と言っても普通の獣と違い頭が働くので無闇矢鱈と攻撃しても疲れるのは自分達だけと言うのも言い忘れない。
結局口頭では伝えきれないところの方が多かったので実際に森に向かうことにした。
今日の所はもう暗くなるので、明日の朝1番で向かう約束をして。
いつもと違うのは相手が魔獣という事で装備は万全に回復薬等も自分を守れる分だけ持っていくというもの。
他の者にかまけていれば自分がやられることを忘れないようにしなければいけない。
それに伴って明確なルール、規則を作る事も忘れないように伝える。
なすりつけや巻き込まれて怪我最悪の場合は死に追いやられては溜まったものではない。死人に口無しというが理不尽なことは避けたい。
それだけ説明して宿に向かう。一向に下ろしてもらえないけど。
食堂ではご飯を頼んで部屋に届けてもらう。女性店員の視線が痛かった。
改めてリヴァイアル様が女性に人気があるのだと認識した瞬間であった。
ご飯を食べて明日の事を少し話すとそのまま抱きしめられて眠りについた。
眠れないかもしれないと思ったけど、身体は疲れていたようですんなり眠りについた。
夢の中でリヴァイアル様に昼間の事を忘れる位激しく抱かれた。呼び方もちゃんとリーと呼ぶように言われ練習までさせられ、出来なかったら触手を出され意識を失うことも出来ない中で責め立てられることになった。
朝起きたら、身体中が汗まみれでベタベタに濡れていた。
リー様に丁寧に拭かれ抱きつきたくなる衝動を抑えお礼を言った。
優しい口付けを落とされ朝ごはんを食べに食堂に向かう。
昨日会った冒険者の人も居て、かなり賑やかだった。
それでもやっぱり女性店員の視線は痛い、というより怖いくらいになっていた。
何かされるかもしれないと身構えていたら、店員が来る前にリー様が注文から受け取りまでしてくれて店員がこちらに来る間を与えなかった。
リー様が無差別に暴れる事はしないだろうと、向かい合ってご飯をいただく。
私が美味しそうに食べているのが良かったのか、リー様のご機嫌は良かった。
その表情を見てまた嬉しくなり笑顔になる。不意に頭を撫でられると、猫みたいですねと揶揄われてしまった。
ムッとすると、クスクス笑われてしまった。
食器を返しに行こうとすればリー様に取られ、外で待っていて下さいと言われる。
大人しく外で待っていると、1人の女性店員に絡まれてしまった。朝からお酒を飲んでいるわけではなさそうだけれども、何を言っているのか分からない。
なんとも思わず頷きもせずにただ聞き流しているとリー様が出てきて、行きますよとだけ声をかけてきた。
リー様の元に行こうとすれば、待ちなさいよと腕を掴まれ顔を打たれそうになったので咄嗟に足をはらったら、綺麗に一回転して地面に寝てくれた。
掴まれた腕を離しリー様に駆け寄る。お待たせしましたといえば、道で寝ている店員を睨みつけ私の腰を抱いて冒険者ギルドに向かって歩き出した。
何か悪いことをしてしまったのかと、焦ってリー様の顔を覗き込めば、ああいう女性になってはいけませんよ、と言われた。
頭にハテナを浮かべながらどうやったらなれるのか考えるが想像も付かない。なろうと思えばなれるのですかと問えば、人間の醜い部分ですと教えられ、じゃあリー様のことに関しては誰にも譲りません、と息巻き答える。
ご機嫌が直ったのかクスクス笑われ嬉しい事を言わないでくださいと言われた。
この瞬間がずっと続けば良いのにと我儘にも願ってしまった。
私からこの人を取り上げないでほしい。
※※※※※※※
リヴァイアル視点(リー様)
魔石のことを話したのは不味かったかと思いましたが、知っていることを話さないで後で疑われるのは避けたい。
リリムも初めて聞く話なので真剣に聞いています。後で可愛がりながら注意事項を教えていきましょうか。
それに私の事も呼び方を変えてもらわなければいけませんね。
魔石は私には必要無い物なのでそのまま渡すことにしました。換金出来ればと思いましたが価値をわかっているのか分からない人には疑われるでしょうし今回はおまけの無償です。
今回説明に集まった冒険者はまともな方ばかりですが、実際はそうもいかないでしょう。分かりやすく相手を嵌めようとする者はどこにでもいるでしょうし、リリムに危害を加えるなら容赦はしません。
一度ギルドお勧めの宿に向かう。受付で若い女性店員がしきりにアピールしてくるのが鬱陶しくてたまりませんでしたね。
リリムを見るとあからさまに嫌な顔をする時点で最低です。
結局食事は食堂では摂らずに部屋で採り、食器も私が返却に向かいました。
料理人に悪気はないので美味しかった旨を伝えると、リリムの事を気にかけてくださり、飲み物までいただいた。お礼を伝え足早にその場を去る。
また、醜い女に捕まっては堪らない。この場で切り裂きたくなる。
さっと身体を清めリリムと横になる。身体を疲れさせないために精神に潜り込み、明日の準備や注意事項の確認、そして私の呼び名の変更。これが1番難しかったですね。リリムは一回呼び出すと中々それが抜けませんからね。
触手を使って何度もお仕置きしながら叩き込めば何とかリーと呼んでもらえるようになりました。
かなり時間はかかりましたが良しとしましょう。
翌朝、食堂でご飯をいただくときも私が動き店員をリリムに近づけないようにしたのに、何処までも絡んでくる愚か者はいる様でリリムにちょっかいをかけて来ました。
勿論リリムは相手にするどころか何を言われているのか分からない状態でしょう。
そこがリリムのいい所なんですが、寂しいところでもありますね。
難しい顔をしていたのがいけなかったのか顔を覗き込んでくるリリム。
ああいう女性にならないよう伝えると、なろうと思えばなれるのですかと問われ、人間の醜い部分と伝えれば、私に関してのみ譲らないと可愛い事を言ってくれました。
いますぐ汚して痛めつけ泣かせたい衝動を抑え冒険者ギルドに向かう。
今回は私が鬱憤を晴らしましょうか。
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