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リヴァル視点

 地下倉庫に着くとレイが既に1人息の根を止めてしまっていた。残骸からするに余程我慢の限界だったのだと推測される。まあ分からなくもありませんが。

 「お待たせしてしまいましたね」

 私が顔を見せるとレイと影が微笑った(影は殆ど表情が動きませんでしたが、間違いなく微笑いましたね。)。
 そして徐に彼等から距離を取っている。どの様な目でみられていたのでしょう?僕で耐えられますかね?

 レイ達に代わり私が彼等に近づく。すると男爵の方が私に向かい君の悪い笑みを浮かべた。
「お前は綺麗だから特別に私の男娼にしてやろう」
 彼が言い終えた瞬間、風で奴を壁に叩きつけ目を潰していた。勿論顔は笑っていますよ。笑顔は大事ですからね。

「説明してもらえますか?」

 レイ達いわく、かの男爵はリリムを犯して自分好みに調教しようとしていたそうだ。私がリリムを連れ帰ったことで計画が狂ったのだとか。僕の知る事ではありませんね。リリムの身体に触れて良いのは僕だけです。
 で、例の職員いえ元職員でしたね、は金目当てにレストランを利用して汚い事をしようとしていた様ですね。
 実際うまくいきかけたのはリリムの件だけだそうですが。
 あー、やはり許せませんね。リリムの身体に触れるなど。私の用意した衣装をズタズタにするなど、到底許されるはずがありません。
 どの様に料理いいえ、手を下すのはこの者達を恨んでいる者にさせましょう。
 僕の身体がこの様な者の血で汚れるなど考えられません。
 ああ、ですがレイが1人殺してしまっていますね。仕方ありません。

 僕は遺体に手を向け魔法を放つ。
風で遺体を細かく切り裂き、炎で焼き尽くす。チリくらいなら誰も気に留めないでしょう。
 そう思い残りの3人と向かい合います。目を失った男爵は頭に疑問符が浮かんでそうですが、元職員ともう1人の護衛は怯えていますね。

「あなた方に罰を与えるのは、他の方に任せる事にしましょう」

 そう伝えただけで、安堵するなどまだまだですね。此方としても此処で時間を取られたくありませんので、さっさと事を運びましょう。
 まず足の腱を切る。逃げ出さない様にですね。腕も折っておきましょう。切り落とすと出血多量で死んでしまいますからね。
 ああ、先程から耳障りですね。やはり防音はしておいた方が良かったですかね?

 後は、予定の場所に転移させましょうか。レイと影の方を振り返ると頷かれた。では、と魔法を発動させる。


 残った血液を片付け、痕跡を消す。やれやれ、これはレイ達の仕事では?とジト目でみれば、1番丁寧な方がするに限りますね、との返答。
 ため息一つ、3人で地下倉庫を去りリリムと最初に住んでいたボロ家に戻る。

 あの者が居るかと思えば、此処にいた痕跡すら無かった。
 仕方なしに各部屋を確認すると、僕がリリムと過ごしていた寝室が破壊されていた。リリムが寝てると思っての行動でしょうか?いくらあの状態のリリムでも反応すると思いますが。
 レイの部屋は何もされていないと思いましたが、リリムが集めて精査された情報が無くなっていたそうです。
 僕たちにしてみれば何とも思わないものでも、相手にしたら知られたくない事なのかもしれませんね。

 どの情報が無くなっているのかレイが調べている間、もう一度僕の寝室に戻る。

 怨み、怒り、嫉妬。負の感情を詰め込んだ攻撃。リリムには対峙させたくありませんね。それに・・・・いかにも僕に執着していますと感じさせる、この香り。
 いただけませんね。リリムに執着されるなら構いませんが、どうでも良いと思っている女の執着など、気持ち悪いの一言ですね。
 帰ったらリリムにマーキングでもしてもらいましょうか。ですが、今日のリリムの状態では無理かもしれませんね。目が覚めるのも数日かかるでしょうし。
 
 ああ、またリリムの身体を堪能したくなりましたね。堪え性が無い男は嫌われるそうですが、この半年で成長した肢体、夜だけ身体を可愛がっていましたが、もうそろそろ意識のある時に調教し始めようか。あの女への牽制も兼ねて、ね。

 盗まれた情報がアーバインの物ならバーナードに処理を任せましょうか。リリムが関しているなら、祖父の方が動いてくれそうですし、女の方は影の1人なので身元は分かりきっていますから、処理は幾らでも出来ますし。
 他の国なら圧力掛けて潰しますか。手っ取り早いですしね。ええ、そうしましょう。自ら手を下すなど馬鹿らしいですからね。レイに丸投げしても文句は言われないでしょう。そう、絶対にね。

 考えが纏まると、部屋の臭いがまとわりついてきたので足速に部屋を出る。
 レイとぶつかりそうになるのを避け、簡単に報告を聞く。曰く、アーバイン国内の黒い噂の有る者のだと。
 バーナードに連絡と取るように言い、処分はモーリス前公爵に任せるように伝える。リリムが毒されると判れば早く行動してもらえるだろう。

 女の方は、信頼している影に任せたいのだが、目を向ければ首を横に振られた。主人の命には首は縦に振る物では無かったか?首を傾げれば更に首を横に振られた。
 仕方なしにレイを見れば、レイにも首を横に振られた。聞けばこの女、皇族の血が少し入っているらしく、魔法が少し使えるのだとか。対処は出来るが女で仕掛けられれば此方に不利に進むため関わりたく無いのだとか。
 僕も嫌だなそんな女。

 仕方ない、リリムに直接手を出してきたらの慰み者にでもするか。

 2人も頷き、ボロ家を後にする。家に戻り、臭いの付いた身体を清めリリムの横に寝そべる。
 薬が効いて穏やかに眠るリリムを抱きしめなあがら、その温もりを堪能し眠りについた。

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