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社会的不公正
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刑務所からの帰り、電車に揺られながら僕は龍治さんにメッセージを送ってみた。
しかし返事は来なかった。
どうせ駅を通るんだから、駄目元で龍治さんのマンションに行ってみようということになった。
夕暮れ時で帰宅途中の学生とすれ違いながら目的地へ向かう。
マンションのエントランスに着き、インターホンを鳴らす。
出たのは龍治さんではなく、聞いたことのない男の人の声だった。
「こんにちは。龍治さんはいますか?」
「まだ帰っていない。何時に戻るかは分からない」
低くて艶がある、しかし少し厳しそうな声だった。
「そうですか。また来ます」
僕は知らない人と話すのが苦手なのでインターホンを切って足早に去ろうとしたが、男性は僕を引き止めた。
「上がって待つか?」
「はい!」
奨君が傍から元気良く返事をする。
相変わらずの図々しさだ。
知らない人とのコミュニケーションが苦手な僕は、余計なことをしたなと奨君を恨めしく思った。
エントランスを通り過ぎ、エレベーターに乗る。
対応してくれた男性は誰なのだろう。
お父さんだろうか。
玄関で出迎えてくれたのは、龍治さんより歳上だが、お父さんには若すぎる男の人だった。
二十代前半か半ばくらいの年頃だろうか。
緩やかなウェーブの髪は龍治さんより青い色で、鼻が高くかっこいい。
ガッチリとした体躯、チノパンにシャツというラフな恰好だが、どこか品がある。
「せっかく来てくれたのにすまない。 主は学校の用事で遅くなるらしい」
「あ、はい、大丈夫です。待ってます」
振舞い一つひとつが美しく、役者でも見ているようだった。
顔はどことなく龍治さんと似ている気がする。
お兄さんかな? それとも親戚の人だろうか?
っていうか主って誰のこと? 龍治さん?
僕達はリビングに通され、ソファに腰掛けた。
龍治さんがいないのに龍治さんの部屋にいるというのはどことなく居心地が悪く、僕は心ここに在らずといった感じだった。
「茶でいいか? それとも甘いものがいいか?」
男の人が僕達に問う。
僕が恐縮して答え 倦ねていると、隣の奨君が「甘いもので!」と無遠慮に言った。
男の人は冷蔵庫からりんごジュースを出して湯呑みに注ぎ、僕達に出してくれた。
湯呑みでジュースを飲むというチグハグな状況が不思議だったが、そんな事を口にできるような雰囲気ではなかった。
男の人は怒っている訳ではないのだが、終始無口で重苦しい時間が流れた。
奨君に、いつものように空気の読まない発言でこの場の雰囲気を和らげて欲しかったが、僕の願いは届いていないようだ。
こういう時に限って奨君は何も言わず、ジュースをちびちびと口に運んでいた。
気まずい沈黙はどれくらい続いただろうか。
体感では三十分程経過したと思われる頃、玄関から物音がした。
廊下を歩いてくる音がどんどん近づいてくる。
龍治さんが帰ってきたのかと安堵したが、入ってきたのは別の人だった。
「あれ? 麗璃、いたんだ。ごめん、いないかと思って合鍵で入ってきちゃった。お客さん? いらっしゃい」
日焼けした肌と色素の薄い茶色がかった髪、たしか龍治さんの弟さんだ。
学校帰りのようで制服を着ている。
こんにちはーと奨君が挨拶をする。
遅れて僕も頭を下げながら挨拶をした。
「ああ、すまない。来ると言っていたな」
麗璃と呼ばれた男の人が応える。
弟さんはブレザーを脱いでキッチンに向かい、コップに水を汲んで一気に飲み干した。
あー生き返ったと呟くその表情は朗らかだった。
「ちょっと遊びに来ただけだから別に急いではないんだけどさ、 龍兄何時に帰ってくる?」
「時間は分からないが、もうすぐ帰ってくるのではないかな」
皆の視線が壁掛け時計に集まる。
もうすぐ五時半になろうとしていた。
そろそろ帰ったほうがいいかもしれない。
「ところで君達は龍兄に何か用事?」
弟さんは僕達を見た。
その目には怒りなどの負の感情は見られなかったが、僕は少し萎縮してしまった。
弟さんと会うのは 絡新婦事件以来だった。
初めて会った時──当時のペットであるわたげを取り上げられた時の記憶があるせいか、僕はこの人に対して恐怖を感じる。
僕達を助けるためだったと頭では分かっているのだけれど、それでも感情は変えられない。
「はい、実は……」
奨君が話し出そうとしたので僕は奨君を肘で小突いた。
「ちょっと、何するんだよ」
奨君の発言を無視して、僕は早く帰ろうと小声で言って立ちあがろうとした。
奨君は反抗するように僕の腕を抑えた。
「龍兄に依頼するならそれでもいいけど、最近忙しいからいつ時間がとれるか分からないよ。そんな余裕はあるの?」
弟さんは、口調こそ優しかったがキッパリと言った。
確かに、わっくんのお姉さんはすでに自殺を図っており、この先どうなるかわからない。
一刻を争う状況であることは間違いない。
僕個人の感情で後回しにしていいのだろうか。
「とりあえず話してみなよ。俺から龍兄に伝言してもいいし」
何も言えなくなっている僕を見て弟さんは微笑んだ。
その笑顔は龍治さんと同じで優しく、僕の心の 強張りを解きほぐしてくれた。
「ありがとうございます、弟さん」
僕達は声を揃えてお礼を言った。
「 遊馬でいいよ」
「遊馬君、ありがとう!」
歳が近いからか、奨君はいきなり君付けタメ口と馴れ馴れしくなった。
僕はもう一度奨君を小突いた。
そんな僕達のやりとりを見て弟さんは笑っていたので、僕も親しみを込めて遊馬君と呼ぶことにした。
僕達は学校で聞いた話を全部遊馬君に説明した。
翔生君が路上販売のおじさんからデバイスを買って幽体離脱をしたこと。
幽体離脱中に暴力受けたこと。
おじさんの正体は乱雲ダイタロス光聖という名前の教祖だということ。
わっくんのお姉さんのこと。
ダイタロス光聖が刑務所で教誨師をしていること。
一通り話し終えると、遊馬君は難しい顔をして考え込んでいた。
「幽体離脱……暴行……刑務所」
ぶつぶつと何かを呟いてはまた考え込んだ。
「ちょっと嫌な感じがする」
「できれば早く解決したくて」
僕がそう言うと、奨君が余計な事を言ってきた。
「煌君は水鈴ちゃんが巻き込まれないか心配なんでしょ?」
僕は飲みかけたりんごジュースを思わず噴き出してしまった。
鼻に方に逆流してしまいかなり痛い。
「そんなんじゃないよ!」
僕はムキになって言う。
遊馬君がティッシュを差し出してくれたので一枚取って鼻をかむ。
「素直じゃないなー」
これ以上余計なこと言うと本当に怒るぞと奨君を睨む。
僕達のくだらないやり取りを聞き、反応したのは意外にも麗璃さんだった。
麗璃さんは鼻を鳴らし、腕を組みながら言った。
「友情でも愛情でも、素直になることは何も恥ずかしいことではない。素直になることができないと、我が主のように苦しむことになる」
「「主?」」
「素直になれなくて苦しんでいる」
僕達の疑問に答える事なく、麗璃さんはお茶を啜った。
素直になるのは恥ずかしいことではない、か。
麗璃さんの助言を噛み締めていると、遊馬君のスマートホンが鳴った。
「ごめん、ちょっと」
遊馬君は廊下に出て通話を始めた。
声を潜めているようだが聞こえてきてしまい、無意識に聞き耳を立ててしまう。
「はいはい……龍兄はまだ学校だよ……妖怪がいる? ……はいはい、退治ね。分かった、場所の地図送って。行ってみるよ」
リビングに戻ってきた遊馬君は脱ぎ捨てていたブレザーに袖を通した。
「ごめん、用事を頼まれたから俺は行くね。あ、連絡先書いておくから後で連絡ちょうだい」
遊馬君はメモに連絡先を走り書きしテーブルに置いた。
そして慌てた様子で駆け足で廊下を通り、外へ出て行った。
僕達は遊馬君の背中に視線を縫い付けられたように、彼が去った後の空間を名残惜しく見つめていた。
「奨君」
僕は奨君に小声で呼びかけた。
奨君は僕の言いたいことが分かったようで、こくりと頷いた。
「僕も同じこと考えてた」
僕達は立ち上がり、急いで帰る準備をした。
残っていたジュースを飲み干し、麗璃さんにお礼を言った。
「ありがとうございます! また来ます!」
麗璃さんの返事を待たずに僕たちは龍治さん宅を後にした。
しかし返事は来なかった。
どうせ駅を通るんだから、駄目元で龍治さんのマンションに行ってみようということになった。
夕暮れ時で帰宅途中の学生とすれ違いながら目的地へ向かう。
マンションのエントランスに着き、インターホンを鳴らす。
出たのは龍治さんではなく、聞いたことのない男の人の声だった。
「こんにちは。龍治さんはいますか?」
「まだ帰っていない。何時に戻るかは分からない」
低くて艶がある、しかし少し厳しそうな声だった。
「そうですか。また来ます」
僕は知らない人と話すのが苦手なのでインターホンを切って足早に去ろうとしたが、男性は僕を引き止めた。
「上がって待つか?」
「はい!」
奨君が傍から元気良く返事をする。
相変わらずの図々しさだ。
知らない人とのコミュニケーションが苦手な僕は、余計なことをしたなと奨君を恨めしく思った。
エントランスを通り過ぎ、エレベーターに乗る。
対応してくれた男性は誰なのだろう。
お父さんだろうか。
玄関で出迎えてくれたのは、龍治さんより歳上だが、お父さんには若すぎる男の人だった。
二十代前半か半ばくらいの年頃だろうか。
緩やかなウェーブの髪は龍治さんより青い色で、鼻が高くかっこいい。
ガッチリとした体躯、チノパンにシャツというラフな恰好だが、どこか品がある。
「せっかく来てくれたのにすまない。 主は学校の用事で遅くなるらしい」
「あ、はい、大丈夫です。待ってます」
振舞い一つひとつが美しく、役者でも見ているようだった。
顔はどことなく龍治さんと似ている気がする。
お兄さんかな? それとも親戚の人だろうか?
っていうか主って誰のこと? 龍治さん?
僕達はリビングに通され、ソファに腰掛けた。
龍治さんがいないのに龍治さんの部屋にいるというのはどことなく居心地が悪く、僕は心ここに在らずといった感じだった。
「茶でいいか? それとも甘いものがいいか?」
男の人が僕達に問う。
僕が恐縮して答え 倦ねていると、隣の奨君が「甘いもので!」と無遠慮に言った。
男の人は冷蔵庫からりんごジュースを出して湯呑みに注ぎ、僕達に出してくれた。
湯呑みでジュースを飲むというチグハグな状況が不思議だったが、そんな事を口にできるような雰囲気ではなかった。
男の人は怒っている訳ではないのだが、終始無口で重苦しい時間が流れた。
奨君に、いつものように空気の読まない発言でこの場の雰囲気を和らげて欲しかったが、僕の願いは届いていないようだ。
こういう時に限って奨君は何も言わず、ジュースをちびちびと口に運んでいた。
気まずい沈黙はどれくらい続いただろうか。
体感では三十分程経過したと思われる頃、玄関から物音がした。
廊下を歩いてくる音がどんどん近づいてくる。
龍治さんが帰ってきたのかと安堵したが、入ってきたのは別の人だった。
「あれ? 麗璃、いたんだ。ごめん、いないかと思って合鍵で入ってきちゃった。お客さん? いらっしゃい」
日焼けした肌と色素の薄い茶色がかった髪、たしか龍治さんの弟さんだ。
学校帰りのようで制服を着ている。
こんにちはーと奨君が挨拶をする。
遅れて僕も頭を下げながら挨拶をした。
「ああ、すまない。来ると言っていたな」
麗璃と呼ばれた男の人が応える。
弟さんはブレザーを脱いでキッチンに向かい、コップに水を汲んで一気に飲み干した。
あー生き返ったと呟くその表情は朗らかだった。
「ちょっと遊びに来ただけだから別に急いではないんだけどさ、 龍兄何時に帰ってくる?」
「時間は分からないが、もうすぐ帰ってくるのではないかな」
皆の視線が壁掛け時計に集まる。
もうすぐ五時半になろうとしていた。
そろそろ帰ったほうがいいかもしれない。
「ところで君達は龍兄に何か用事?」
弟さんは僕達を見た。
その目には怒りなどの負の感情は見られなかったが、僕は少し萎縮してしまった。
弟さんと会うのは 絡新婦事件以来だった。
初めて会った時──当時のペットであるわたげを取り上げられた時の記憶があるせいか、僕はこの人に対して恐怖を感じる。
僕達を助けるためだったと頭では分かっているのだけれど、それでも感情は変えられない。
「はい、実は……」
奨君が話し出そうとしたので僕は奨君を肘で小突いた。
「ちょっと、何するんだよ」
奨君の発言を無視して、僕は早く帰ろうと小声で言って立ちあがろうとした。
奨君は反抗するように僕の腕を抑えた。
「龍兄に依頼するならそれでもいいけど、最近忙しいからいつ時間がとれるか分からないよ。そんな余裕はあるの?」
弟さんは、口調こそ優しかったがキッパリと言った。
確かに、わっくんのお姉さんはすでに自殺を図っており、この先どうなるかわからない。
一刻を争う状況であることは間違いない。
僕個人の感情で後回しにしていいのだろうか。
「とりあえず話してみなよ。俺から龍兄に伝言してもいいし」
何も言えなくなっている僕を見て弟さんは微笑んだ。
その笑顔は龍治さんと同じで優しく、僕の心の 強張りを解きほぐしてくれた。
「ありがとうございます、弟さん」
僕達は声を揃えてお礼を言った。
「 遊馬でいいよ」
「遊馬君、ありがとう!」
歳が近いからか、奨君はいきなり君付けタメ口と馴れ馴れしくなった。
僕はもう一度奨君を小突いた。
そんな僕達のやりとりを見て弟さんは笑っていたので、僕も親しみを込めて遊馬君と呼ぶことにした。
僕達は学校で聞いた話を全部遊馬君に説明した。
翔生君が路上販売のおじさんからデバイスを買って幽体離脱をしたこと。
幽体離脱中に暴力受けたこと。
おじさんの正体は乱雲ダイタロス光聖という名前の教祖だということ。
わっくんのお姉さんのこと。
ダイタロス光聖が刑務所で教誨師をしていること。
一通り話し終えると、遊馬君は難しい顔をして考え込んでいた。
「幽体離脱……暴行……刑務所」
ぶつぶつと何かを呟いてはまた考え込んだ。
「ちょっと嫌な感じがする」
「できれば早く解決したくて」
僕がそう言うと、奨君が余計な事を言ってきた。
「煌君は水鈴ちゃんが巻き込まれないか心配なんでしょ?」
僕は飲みかけたりんごジュースを思わず噴き出してしまった。
鼻に方に逆流してしまいかなり痛い。
「そんなんじゃないよ!」
僕はムキになって言う。
遊馬君がティッシュを差し出してくれたので一枚取って鼻をかむ。
「素直じゃないなー」
これ以上余計なこと言うと本当に怒るぞと奨君を睨む。
僕達のくだらないやり取りを聞き、反応したのは意外にも麗璃さんだった。
麗璃さんは鼻を鳴らし、腕を組みながら言った。
「友情でも愛情でも、素直になることは何も恥ずかしいことではない。素直になることができないと、我が主のように苦しむことになる」
「「主?」」
「素直になれなくて苦しんでいる」
僕達の疑問に答える事なく、麗璃さんはお茶を啜った。
素直になるのは恥ずかしいことではない、か。
麗璃さんの助言を噛み締めていると、遊馬君のスマートホンが鳴った。
「ごめん、ちょっと」
遊馬君は廊下に出て通話を始めた。
声を潜めているようだが聞こえてきてしまい、無意識に聞き耳を立ててしまう。
「はいはい……龍兄はまだ学校だよ……妖怪がいる? ……はいはい、退治ね。分かった、場所の地図送って。行ってみるよ」
リビングに戻ってきた遊馬君は脱ぎ捨てていたブレザーに袖を通した。
「ごめん、用事を頼まれたから俺は行くね。あ、連絡先書いておくから後で連絡ちょうだい」
遊馬君はメモに連絡先を走り書きしテーブルに置いた。
そして慌てた様子で駆け足で廊下を通り、外へ出て行った。
僕達は遊馬君の背中に視線を縫い付けられたように、彼が去った後の空間を名残惜しく見つめていた。
「奨君」
僕は奨君に小声で呼びかけた。
奨君は僕の言いたいことが分かったようで、こくりと頷いた。
「僕も同じこと考えてた」
僕達は立ち上がり、急いで帰る準備をした。
残っていたジュースを飲み干し、麗璃さんにお礼を言った。
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