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35.やらかしやがった
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「すいませんでした!!」
フィー達を買って約1年の月日が経った。
1年もあれば全員がランクAとなって、2の迷宮を攻略済み。
今は3の迷宮を攻略中なのだが、ルナに神託が下った。
フィーが妊娠していると。
即座にルナがマサを捕まえて、フィーと一緒に俺のところに運んできたので、マサを床に座らせて、フィーには椅子に座ってもらって話を聞くところである。
「フィーが、妊娠か。最悪のタイミングだ」
今攻略中の3の迷宮の25階層は砂漠と呼ばれる場所になっていた。
アン達の話によると35階層まで砂漠だそうだ。36階層からは沼地になっているらしい。
フィーの魔法を頼りに攻略する予定だったのだが。
「本当に申し訳ありません!」
「俺が我慢できなかったせいです! フィーは悪くありません!」
いつかはこうなると思っていたが、今なのか。
「とりあえず、フィーは一時的にメンバーから外す。マサにはフィーの分まで働いてもらうから覚悟しておけよ?」
「はい…。申し訳ありません」
「任せてください! どんなことでもやります!」
今日の迷宮探索は休みにした。フィーの妊娠を祝うため、金に糸目をつけずに豪華な食事を双子に頼む。
「お任せください。1番いい食材を手に入れてきます」
「ご主人様。妊婦について一通りの知識は持っていますので、安心してください」
まだ先のことだがフィーのお腹が大きくなったり、出産の時はどうしようかと考えていたら、リタに考えを読まれてしまったようだ。
流石はミコトだ。いい仕事をしている。
「姉さん。ここに子供がいるの?」
オーギスがフィーのお腹を撫でている。
1年で1番成長したのはオーギスだろう。身長や体格、戦闘面でも。
1年前までマサより小さかったが、いつの間にか抜かしていた。
まだ俺より背は低いが、まだ成長している気がするので、そのうち抜かれてしまうだろう。
「マサ、ネロとドラとはやってないだろうな?」
「え、えっと…」
「お前な。これ以上戦力が落ちるのは流石に勘弁してくれよ?」
「わ、わかってますよ。ネロは元があれなので大丈夫です! ドラは出来てもすぐに卵を産めるそうなんで、安心してください!」
「お前は規格外なんだからネロが妊娠しても不思議じゃないぞ? ドラだって卵じゃないかもしれないだろ?」
「だ、大丈夫ですって。たぶん」
「少しは抑えてくれ」
「はい…」
マサが関係を持っているのは、フィーとネロとドラだけのはずだが、他にもいるのだろうか?
「一応聞いておくが、他には手を出してないだろうな?」
「それは大丈夫です。無理やりは好きじゃないんで」
「そうか」
マサの言葉を信じるしかないか。ルナ達に聞いたら確実なのだが、聞いたら怒られそうなので、聞くことはしない。
「「パパ、おはよう!」」
赤髪の女性がアルで、白髪の女性がルリだ。2人とも見た目は15歳くらい。
飛竜達は半年前くらいから人化出来るようになっていた。
ドラは予定通りマサと契約して黒い宝石に入っていて、アルとルリは家に住んでいる。
ドラに黒い宝石の中はどんなところなのか聞いてみると、眠っているような感覚らしい。
マサの視界に映るものを夢のように見るそうだ。マサが考えていることもなんとなくわかったりするらしい。
そんなわけでフィーが抜けた穴をどうするか、考えなくてはいけない。
さらに子供を産んだ後、迷宮攻略に連れて行くのか、行かせないのか。
俺としては行かせたくないと考えている。子供のことを考えれば、奴隷から解放した方がいい。
そうなると全員を解放するべきだろう。
奴隷から解放しても、信用できると思っている。解放した途端に崩れるような信頼関係は築いていない、はずだ。
人の心は読めない。断言は、できない。
「奴隷から解放しようと思う」
それでも俺は、みんなを信用したい。
「ご主人様! 私はまだ戦えます! 子供を産んでも、戦えますから!」
「子供がいる女性に、死ぬかもしれない場所へは連れていけない。今日で、双子以外を奴隷から解放する。双子には悪いがまだ家のことを頼みたい。すまない」
「「かしこまりました。ご主人様」」
「ご主人様、私は…」
「父さん、俺は残るよ」
「私も解放を望みません。お側に置いてください」
「俺は…」
「私も、ずっとご主人様の側にいたいです」
「奴隷からは解放だ。奴隷でなくなっても、俺と一緒に夢を叶えてくれるなら、よろしく頼む」
「俺とフィーを、ここに置いてください! なんでもします! だから!」
「お願いします!」
「解放するからと言っても、今すぐに出ていけとは言わない。というよりも、俺からお願いするんだ。これからも一緒にいてくれないかと。主人と奴隷でなくて、家族にならないか?」
「「はい!」」
「「私は恋人に立候補します!」」
「ちょ、待て待て! ルナとルーは少し落ち着け」
「「ダメですか?」」
「いや、ダメじゃないが…」
「「よろしくお願いします!」」
「よ、よろしく?」
「「パパ! 私も!」」
「「ご主人様、私たちもいかがですか?」」
「待て待て待て! どうしたいきなり! 俺の体は1つしかないんだぞ!?」
「順番を決めましょう」
「そうですね。話し合って決めましょう」
「「異議なし!」」
「「とうとう、ご主人様に抱いてもらえるのですね」」
「なんの順番を決めるつもりだ!?」
騒がしい1日が終わる。
この日、俺たちは家族になった。
その場の空気に流されて、6人と恋仲になった。
正直な話、嫌ではない。むしろ嬉しいに決まっている。
ただ、その先に進むのかは、まだ不明である。
フィー達を買って約1年の月日が経った。
1年もあれば全員がランクAとなって、2の迷宮を攻略済み。
今は3の迷宮を攻略中なのだが、ルナに神託が下った。
フィーが妊娠していると。
即座にルナがマサを捕まえて、フィーと一緒に俺のところに運んできたので、マサを床に座らせて、フィーには椅子に座ってもらって話を聞くところである。
「フィーが、妊娠か。最悪のタイミングだ」
今攻略中の3の迷宮の25階層は砂漠と呼ばれる場所になっていた。
アン達の話によると35階層まで砂漠だそうだ。36階層からは沼地になっているらしい。
フィーの魔法を頼りに攻略する予定だったのだが。
「本当に申し訳ありません!」
「俺が我慢できなかったせいです! フィーは悪くありません!」
いつかはこうなると思っていたが、今なのか。
「とりあえず、フィーは一時的にメンバーから外す。マサにはフィーの分まで働いてもらうから覚悟しておけよ?」
「はい…。申し訳ありません」
「任せてください! どんなことでもやります!」
今日の迷宮探索は休みにした。フィーの妊娠を祝うため、金に糸目をつけずに豪華な食事を双子に頼む。
「お任せください。1番いい食材を手に入れてきます」
「ご主人様。妊婦について一通りの知識は持っていますので、安心してください」
まだ先のことだがフィーのお腹が大きくなったり、出産の時はどうしようかと考えていたら、リタに考えを読まれてしまったようだ。
流石はミコトだ。いい仕事をしている。
「姉さん。ここに子供がいるの?」
オーギスがフィーのお腹を撫でている。
1年で1番成長したのはオーギスだろう。身長や体格、戦闘面でも。
1年前までマサより小さかったが、いつの間にか抜かしていた。
まだ俺より背は低いが、まだ成長している気がするので、そのうち抜かれてしまうだろう。
「マサ、ネロとドラとはやってないだろうな?」
「え、えっと…」
「お前な。これ以上戦力が落ちるのは流石に勘弁してくれよ?」
「わ、わかってますよ。ネロは元があれなので大丈夫です! ドラは出来てもすぐに卵を産めるそうなんで、安心してください!」
「お前は規格外なんだからネロが妊娠しても不思議じゃないぞ? ドラだって卵じゃないかもしれないだろ?」
「だ、大丈夫ですって。たぶん」
「少しは抑えてくれ」
「はい…」
マサが関係を持っているのは、フィーとネロとドラだけのはずだが、他にもいるのだろうか?
「一応聞いておくが、他には手を出してないだろうな?」
「それは大丈夫です。無理やりは好きじゃないんで」
「そうか」
マサの言葉を信じるしかないか。ルナ達に聞いたら確実なのだが、聞いたら怒られそうなので、聞くことはしない。
「「パパ、おはよう!」」
赤髪の女性がアルで、白髪の女性がルリだ。2人とも見た目は15歳くらい。
飛竜達は半年前くらいから人化出来るようになっていた。
ドラは予定通りマサと契約して黒い宝石に入っていて、アルとルリは家に住んでいる。
ドラに黒い宝石の中はどんなところなのか聞いてみると、眠っているような感覚らしい。
マサの視界に映るものを夢のように見るそうだ。マサが考えていることもなんとなくわかったりするらしい。
そんなわけでフィーが抜けた穴をどうするか、考えなくてはいけない。
さらに子供を産んだ後、迷宮攻略に連れて行くのか、行かせないのか。
俺としては行かせたくないと考えている。子供のことを考えれば、奴隷から解放した方がいい。
そうなると全員を解放するべきだろう。
奴隷から解放しても、信用できると思っている。解放した途端に崩れるような信頼関係は築いていない、はずだ。
人の心は読めない。断言は、できない。
「奴隷から解放しようと思う」
それでも俺は、みんなを信用したい。
「ご主人様! 私はまだ戦えます! 子供を産んでも、戦えますから!」
「子供がいる女性に、死ぬかもしれない場所へは連れていけない。今日で、双子以外を奴隷から解放する。双子には悪いがまだ家のことを頼みたい。すまない」
「「かしこまりました。ご主人様」」
「ご主人様、私は…」
「父さん、俺は残るよ」
「私も解放を望みません。お側に置いてください」
「俺は…」
「私も、ずっとご主人様の側にいたいです」
「奴隷からは解放だ。奴隷でなくなっても、俺と一緒に夢を叶えてくれるなら、よろしく頼む」
「俺とフィーを、ここに置いてください! なんでもします! だから!」
「お願いします!」
「解放するからと言っても、今すぐに出ていけとは言わない。というよりも、俺からお願いするんだ。これからも一緒にいてくれないかと。主人と奴隷でなくて、家族にならないか?」
「「はい!」」
「「私は恋人に立候補します!」」
「ちょ、待て待て! ルナとルーは少し落ち着け」
「「ダメですか?」」
「いや、ダメじゃないが…」
「「よろしくお願いします!」」
「よ、よろしく?」
「「パパ! 私も!」」
「「ご主人様、私たちもいかがですか?」」
「待て待て待て! どうしたいきなり! 俺の体は1つしかないんだぞ!?」
「順番を決めましょう」
「そうですね。話し合って決めましょう」
「「異議なし!」」
「「とうとう、ご主人様に抱いてもらえるのですね」」
「なんの順番を決めるつもりだ!?」
騒がしい1日が終わる。
この日、俺たちは家族になった。
その場の空気に流されて、6人と恋仲になった。
正直な話、嫌ではない。むしろ嬉しいに決まっている。
ただ、その先に進むのかは、まだ不明である。
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