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33.金の宝箱
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いつまでも怖がっているわけにはいかない。ちょうどレノルがいるわけだし、ここで宝箱を開けることにした。
一応、レノルに確認を取る。
「別に構わない。私がいることで安心できるなら付き合おう」
「助かる」
3つの宝箱をマジックバッグから取り出す。目の前に金の宝箱が3つもあるという光景は、昔では考えられなかったなと苦笑いを浮かべながらも声に出したくなるほどの達成感が湧き上がる。
まず1つ目。特に問題なし。
宝箱に入っているものは基本的に宝石、鉱石、魔石、武器、防具、アクセサリーだ。
稀にオーブと呼ばれる力を封じ込めた宝石が入っていることがある。
オーブを砕いた人間に、封じられていた力が宿るらしいが、実物を見たことはない。
宝石はギルドに売る。気に入ったものは鍛冶屋で加工してもらってアクセサリーや武器に装飾したりする。
鉱石は鍛冶屋に持って行って武器を強化したり、自分だけの武器を作ってもらうため、売らずに集めてたり、いらなければ鉱石もギルドで買取を行なっているので売る。
今回入っていたのは宝石がいくつかと、鉱石はなく、鞘と柄に宝石が装飾された剣、真ん中に宝石が埋め込まれて細やかな絵が描かれている大盾、金色の所々に宝石が埋められたプレートアーマー、小さな宝石が埋め込まれた指輪と金色のネックレス。
高値で買い取ってもらえそうなものばかりだ。指輪とネックレスにはこれといった能力はない。稀にマジックアイテムと呼ばれるアクセサリーが入っている。
俺にはマサがいるので詳しいことまで分かるが、普通の冒険者は片手に調べたいものを持って、反対の手に冒険者カードを持って確認を行うと、どのようなものか大体のことが分かる。
2つ目は、オーブだけが入っていた。
マサに鑑定してもらったところ、闘気という力を得ることができるそうだ。
これはオーギスに渡すことにした。怪力に闘気が加われば最強だとマサに言われたからである。
最後。金の宝箱を開けると、視界が光に覆われた。目を開けていられない。
煙は出ていないようだが、身に覚えのある感覚に襲われる。
まさかーーー
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!! みんなの~アイドル! 女神様だよ!! ノッてるかーい!? イェーイ!!」
宝箱の中から派手な服装の女性が現れた。
「呼んどらんわ!」
「レーちゃんいたぁ~い。久しぶりの再会なのにひどいよ~」
俺たちはあまりの出来事に動くことができなかったが、レノルは宝箱から出てきた女性に飛び蹴りを食らわせた。
飛び蹴りを食らって吹き飛ぶ女性を目で追うが、あまり痛そうにみえない。
服に汚れはなく、ゆっくりと起き上がって近づいてくる。
「何しに出てきた? ダメ神」
「ちょっと挨拶にだよ~。せっかく迷宮で宝箱を開けてもらったし、会っておこうかと思ってさ。やあやあ、アドくん。未来を変えた者よ。初めまして、私は女神です。名前はないので、女神様って呼んでね? 創造主でもいいんだけど、女神様の方が可愛いでしょ?」
「ど、どうも?」
なんとか声を出せたが、なんといったらいいのかわからないほど、ショックが大きい。
これが女神? 創造主?
「そっちが勇者くんだね。やっぱりまだまだ弱いね。予想外なことにあの子を手に入れちゃってるし、大丈夫でしょ。頑張ってね。
こっちがオーギスくんだよね。さっき出てきた大盾は君が使いなさい。それでみんなを守ることができますよ。君なら大剣と大盾、両方を扱える力があるからね。
次は、ルナちゃん。私の力をちょっとだけ貸してあげる。好きな人をちゃんと守れるようにね。時々神託あげちゃうから、楽しみに待っててね。
それから、フィーちゃんにはこれね。この杖は貴女の力を最大限引き出してくれるよ。最初は扱いに困るかもしれないけど、ちゃんと練習すれば使いこなせるからね。
双子ちゃんにはこれね。お揃いのネックレスだよ。攻撃をなんでも跳ね返しちゃうマジックアイテムだから、無くしちゃダメだよ?
そんで、ルーちゃんには、悪魔と言ったら槍でしょ! この槍は突いてもよし、殴ってもよしで、杖としても使える万能武器だよ。まだ魔法はうまく扱えないかもだけど、練習すれば大丈夫だから。
最後に飛竜達ね。やっぱりお約束はやっておかないとね。大きくなったら人化出来るようにしてあげるね。パパ達をしっかり守れるようにいっぱい食べて大きくなるんだよ?
いやぁ~何十年ぶりかに喋ったから疲れちゃった~。じゃあ今日はこの辺で。バイビ~!!」
こちらが声を出す余裕を与えることなく、女神様は宝箱の中に帰っていた。
「あ、1つ言い忘れてたよ! この宝箱売らないでね? 約束だよ?」
宝箱から顔だけ出して、言い終わると顔が引っ込む。
なんだろう。話を聞いていただけなのに、すごく疲れた。
「やりたいことだけやって帰ったか。昔から変わらない奴だ」
「今のが、レノルが言っていた神なのか?」
「そうだ。認めたくはないが、私たちの親と呼ぶべき存在だ。この世界を作った創造主。それがあのダメ神だ」
ダメ神。ぴったりだと思ったのは、俺だけじゃないだろう。
「テンションの高い女神様でしたね」
「昔はもっとおとなしかったのだが、前の勇者に影響されてか、自分をアイドルと言い出してな。異世界の文化を詰め込んだ迷宮に引きこもっているそうだ。テレビやネットと呼ばれるもので異世界の知識を得ていると言っていたな」
「迷宮のどこかにあるんですか!?」
マサの食いつきがすごい。テレビやネットというのは、どんなものなのだろうか?
「どこかにあると思うぞ?」
「俄然やる気が出てきましたよ! さっさと2の迷宮と3の迷宮を攻略して、この迷宮を完全攻略してやります!」
「うむ。よろしく頼むぞ」
マサの力を使って、妖精の国から家の庭へ転移する。
空を見上げると夕日が綺麗だ。
明日から、迷宮の攻略をすることにしよう。
なんか、疲れた。
『『『はぁ~』』』
ため息が出るのは、仕方ないよな。
一応、レノルに確認を取る。
「別に構わない。私がいることで安心できるなら付き合おう」
「助かる」
3つの宝箱をマジックバッグから取り出す。目の前に金の宝箱が3つもあるという光景は、昔では考えられなかったなと苦笑いを浮かべながらも声に出したくなるほどの達成感が湧き上がる。
まず1つ目。特に問題なし。
宝箱に入っているものは基本的に宝石、鉱石、魔石、武器、防具、アクセサリーだ。
稀にオーブと呼ばれる力を封じ込めた宝石が入っていることがある。
オーブを砕いた人間に、封じられていた力が宿るらしいが、実物を見たことはない。
宝石はギルドに売る。気に入ったものは鍛冶屋で加工してもらってアクセサリーや武器に装飾したりする。
鉱石は鍛冶屋に持って行って武器を強化したり、自分だけの武器を作ってもらうため、売らずに集めてたり、いらなければ鉱石もギルドで買取を行なっているので売る。
今回入っていたのは宝石がいくつかと、鉱石はなく、鞘と柄に宝石が装飾された剣、真ん中に宝石が埋め込まれて細やかな絵が描かれている大盾、金色の所々に宝石が埋められたプレートアーマー、小さな宝石が埋め込まれた指輪と金色のネックレス。
高値で買い取ってもらえそうなものばかりだ。指輪とネックレスにはこれといった能力はない。稀にマジックアイテムと呼ばれるアクセサリーが入っている。
俺にはマサがいるので詳しいことまで分かるが、普通の冒険者は片手に調べたいものを持って、反対の手に冒険者カードを持って確認を行うと、どのようなものか大体のことが分かる。
2つ目は、オーブだけが入っていた。
マサに鑑定してもらったところ、闘気という力を得ることができるそうだ。
これはオーギスに渡すことにした。怪力に闘気が加われば最強だとマサに言われたからである。
最後。金の宝箱を開けると、視界が光に覆われた。目を開けていられない。
煙は出ていないようだが、身に覚えのある感覚に襲われる。
まさかーーー
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!! みんなの~アイドル! 女神様だよ!! ノッてるかーい!? イェーイ!!」
宝箱の中から派手な服装の女性が現れた。
「呼んどらんわ!」
「レーちゃんいたぁ~い。久しぶりの再会なのにひどいよ~」
俺たちはあまりの出来事に動くことができなかったが、レノルは宝箱から出てきた女性に飛び蹴りを食らわせた。
飛び蹴りを食らって吹き飛ぶ女性を目で追うが、あまり痛そうにみえない。
服に汚れはなく、ゆっくりと起き上がって近づいてくる。
「何しに出てきた? ダメ神」
「ちょっと挨拶にだよ~。せっかく迷宮で宝箱を開けてもらったし、会っておこうかと思ってさ。やあやあ、アドくん。未来を変えた者よ。初めまして、私は女神です。名前はないので、女神様って呼んでね? 創造主でもいいんだけど、女神様の方が可愛いでしょ?」
「ど、どうも?」
なんとか声を出せたが、なんといったらいいのかわからないほど、ショックが大きい。
これが女神? 創造主?
「そっちが勇者くんだね。やっぱりまだまだ弱いね。予想外なことにあの子を手に入れちゃってるし、大丈夫でしょ。頑張ってね。
こっちがオーギスくんだよね。さっき出てきた大盾は君が使いなさい。それでみんなを守ることができますよ。君なら大剣と大盾、両方を扱える力があるからね。
次は、ルナちゃん。私の力をちょっとだけ貸してあげる。好きな人をちゃんと守れるようにね。時々神託あげちゃうから、楽しみに待っててね。
それから、フィーちゃんにはこれね。この杖は貴女の力を最大限引き出してくれるよ。最初は扱いに困るかもしれないけど、ちゃんと練習すれば使いこなせるからね。
双子ちゃんにはこれね。お揃いのネックレスだよ。攻撃をなんでも跳ね返しちゃうマジックアイテムだから、無くしちゃダメだよ?
そんで、ルーちゃんには、悪魔と言ったら槍でしょ! この槍は突いてもよし、殴ってもよしで、杖としても使える万能武器だよ。まだ魔法はうまく扱えないかもだけど、練習すれば大丈夫だから。
最後に飛竜達ね。やっぱりお約束はやっておかないとね。大きくなったら人化出来るようにしてあげるね。パパ達をしっかり守れるようにいっぱい食べて大きくなるんだよ?
いやぁ~何十年ぶりかに喋ったから疲れちゃった~。じゃあ今日はこの辺で。バイビ~!!」
こちらが声を出す余裕を与えることなく、女神様は宝箱の中に帰っていた。
「あ、1つ言い忘れてたよ! この宝箱売らないでね? 約束だよ?」
宝箱から顔だけ出して、言い終わると顔が引っ込む。
なんだろう。話を聞いていただけなのに、すごく疲れた。
「やりたいことだけやって帰ったか。昔から変わらない奴だ」
「今のが、レノルが言っていた神なのか?」
「そうだ。認めたくはないが、私たちの親と呼ぶべき存在だ。この世界を作った創造主。それがあのダメ神だ」
ダメ神。ぴったりだと思ったのは、俺だけじゃないだろう。
「テンションの高い女神様でしたね」
「昔はもっとおとなしかったのだが、前の勇者に影響されてか、自分をアイドルと言い出してな。異世界の文化を詰め込んだ迷宮に引きこもっているそうだ。テレビやネットと呼ばれるもので異世界の知識を得ていると言っていたな」
「迷宮のどこかにあるんですか!?」
マサの食いつきがすごい。テレビやネットというのは、どんなものなのだろうか?
「どこかにあると思うぞ?」
「俄然やる気が出てきましたよ! さっさと2の迷宮と3の迷宮を攻略して、この迷宮を完全攻略してやります!」
「うむ。よろしく頼むぞ」
マサの力を使って、妖精の国から家の庭へ転移する。
空を見上げると夕日が綺麗だ。
明日から、迷宮の攻略をすることにしよう。
なんか、疲れた。
『『『はぁ~』』』
ため息が出るのは、仕方ないよな。
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