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17.帰還
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宴会が終わってから2日後。
エルフ族から報酬を受け取った。
ドルビドがいい笑顔をして、カタルバが泣きそうになっていたのは気にしないことにした。
鬼の素材も俺の物となった。
額にある目は宝石のようになっていた。
「マサ、これはなんだと思う?」
「えっと。魔眼らしいです。鬼族が使えるってことなんで、もしかしたらアドさんの額に近づけたら吸収するかも、なんて」
「まさかな」
笑いながら宝石を額に近づけてみると、宝石が頭の中に入っていった。
「「………はは」」
マサと見つめ合い同時に苦笑いを浮かべる。
額を撫でるように触ってみるが、特に変化はなかった。
「どうすれば使えると思う?」
「鬼人化みたいに魔眼って言ってみたらどうですか?」
「なるほど。魔眼」
マサが驚いている。額に目が現れたんだろうか?
「どうだ?」
「……」
マサが動かない。味方にも効果があるのは使えるとは言えないな。
起動が鬼人化と同じなら、解除と思うだけで大丈夫だろう。
「それ、やばいですね」
「あぁ。使いにくいが、一対一なら色々と使えそうだな」
「ですね」
エルフ族の宝物庫と呼ばれている部屋からマサと一緒に出て行く。
マサには鑑定があるので、使えそうな物がないか確認のために連れてきていた。
フィー達はドルビドと一緒に王国へ帰る準備をしている。
「そういえば、カタルバに何を教わったんだ?」
「なんと、召喚術です!
契約した魔獣を呼び出すことができます!」
「召喚術なんて聞いたことがないな」
「エルフ族の秘術らしいですよ?」
「なんでマサが使えるんだ」
宴会の時、召喚術の適性があるかどうかを調べられる水晶を酔った族長が持ってきたそうだ。
族長に気に入られていたマサが触ったところ、適性があることがわかった。
エルフ族だからと言って誰でも使えるものではないそうで、周りにいたエルフ族から驚かれたそうだ。
「1日でマスターしてやりました!」
適性があるからとすぐに使えるものではないそうだが、マサは1日で完璧に使えるようになったそうだ。
一番の規格外は俺ではなくマサだと思う。
「どんな魔獣と契約したんだ?」
「それが自分で探して契約する必要があるんですよね」
「魔獣と魔物は違うんだよな?」
「ですね。召喚術が使えるなら近くに魔獣がいればわかると言われましたけど、俺たちって迷宮攻略がメインですよね」
「時間ができたら、旅にでも出るか」
「お、いいですね!
俺、いろんな景色を見てみたいです!」
マサが違う世界から来たというのは聞いている。
今回エルフ族からの報酬で懐が暖かいので、馬車でも買って旅に出るのもいいかもしれない。
「王国に帰ってから、みんなで話し合いって考えるか」
「はい!」
旅をするということは野宿になるのだが、マサはわかっているのだろうか?
フィー達と合流した。
エルフ達が見送りに集まっていた。
俺たちはエルフ達にお礼を言われながらエルフ族の森を出た。
王国への帰り道。
御者をしているドルビドが笑みを浮かべながら声をかけて来た。
「いい仕事でしたね」
「カタルバが泣いてたぞ」
「アドさんも相当搾り取ったと聞いていますよ?」
「ルナを失いかけたんだ。当たり前だろ」
「そうですね。私もアドさんから信用を失いかけたので、当たり前です」
「そうだな」
「そういえば、鬼の素材はどうされるのですか?」
「予定としては角で短剣を二本作って、あとはドルビドに売る予定だな。
魔石は保留だ。使えるかもしれないからな」
召喚術と一緒に魔術も使えるようになったらしいマサが使えるかもしれないからだ。
鑑定があるので、覚えるのが簡単なんですと言っていた。
「では鬼の角と魔石以外はこれくらいでどうでしょう?」
「希少種だぞ? これくらいだろ」
「これでいかがですか?」
「これくらいが妥当だろ?」
「かしこまりました。では大金貨15枚で買わせていただきます」
「王国の店に着いたら渡すよ」
「はい。よろしくお願いします」
さらに懐が暖まってしまった。
奴隷を買って家の掃除や留守番を頼むか。
余裕があればパーティーメンバーになる奴隷を買うのもいいな。
「そういえば、鬼の肉ってうまいのか?」
「美味しいらしいですよ。滋養強壮が良いらしく、貴族達が子孫繁栄のために買っていたそうです。
ここ数年は、アドさんが鬼を討伐していなかったので、鬼の肉を求めている貴族がかなりの数いるそうです。
なので大金貨15枚でも、十分に利益があるんですよ。
肉も売れて骨も武器として使えるのでいい商品です」
あまりそういう話に興味はなかったから知らなかった。
鬼狩りはいい稼ぎになりそうだ。
エルフ族の森を出て3日。
やっと我が家に帰って来た。
「「おかえりなさいませ、ご主人様」」
ミコトから借りていた双子の奴隷に出迎えてもらう。
「ただいま。留守の間、何かあったか?」
「何もございません」
「奴隷とは思えない待遇で、このままご主人様に買っていただきたいほどです」
そうだな。双子を買ってこれからも家のことを頼むのもいいかもしれない。
「考えておく。ミコトのところまで送ろう。
フィー達は家で休んでいてくれていい。疲れただろ?
俺は2人を送ったあと、ドルビドのところに行ってくるから、夕食の準備を頼む」
「「かしこまりました」」
フィーとルナに夕食の準備を頼んで、双子を連れてミコトの店に向かった。
「いらっしゃい。おや、アドじゃないか。
帰って来たのかい?」
「ついさっきな。双子を買いたいんだが、いくらになる?」
「そういうと思ってたよ。そうだね、大金貨1枚だ。払えるかい?」
顔に出ていただろうか?
大金貨1枚をカウンターに置く。
「驚いた。本当に持ってるのかい。
Cのくせにどんな稼ぎ方をしてるんだい?」
「企業秘密だ」
「そうかい。そういえば、10日後に奴隷のオークションがあるんだが、参加する気はないかい?」
「貴族達が参加するあれか。
貴族でもない俺が参加できるのか?」
「金のあるやつなら誰でも参加できるよ。
ただ奴隷商人からの紹介状が必要だけどね」
「ミコトが紹介状を書いてくれるのか?」
「あぁ。あんたにならいくらでも書いてやるよ。どうする?」
「頼む」
「即答かい。どんだけ稼いできたんだい?」
「そこそこだ」
「ちょっと待ってな。これが会場の地図と紹介状だ。絶対に無くすんじゃないよ?」
「俺は子供じゃない。ありがとう」
「それはこっちの台詞さ。うちの子達を大切にしてくれて、ありがとう」
「「ありがとうございます。
これからよろしくお願いします。ご主人様」」
双子を連れてミコトの店を出る。向かう先はドルビドの店だ。
「いらっしゃいませ」
「ドルビドはいるか?」
「はい。少々お待ちください」
奥に引っ込んだ店員が数分で戻ってくる。
「お待たせいたしました。奥の部屋へどうぞ」
店員の案内で奥の部屋へ移動する。
「アドさん、もう買われたんですか?」
「家のことを任せられる奴隷が欲しいと思ったからな」
「そうですか。ではこちらが大金貨15枚です」
テーブルに置かれた袋を持ちかげて中身を確認する。
「確かに。鬼の素材はどこで出せばいい?」
「こちらの部屋でお願いします」
双子の奴隷を部屋に待たせてドルビドと移動する。
鬼の素材を取り出して、ドルビドがマジックバッグに入れたのを確認して部屋に戻った。
「そういえば、ランクAの冒険者パーティーが苦戦しているようです」
「2の迷宮か?」
「はい。情報収集している最中ですが、予想よりも大量の魔物が集まっているようです。
中には2の迷宮で現れるはずのない高ランクの魔物もいるとか」
「死者は?」
「ランクBの冒険者が何人か亡くなったそうです。厄災の前触れだという人もいて、王族や貴族達は大騒ぎしているようです」
「過去にそんなことはあったか?」
「今調査中です」
「そうか。明日にでもギルドに行ってみるか」
「その前に王族から声が掛けられるかもしれません。アドさんが鬼を討伐したことが知られているようです」
「めんどくさいな。王族とか貴族とか好きじゃないんだ」
「そこはもう諦めてください。
いいじゃないですか。報酬をたんまりともらえるようにすれば。お手伝いしますよ?」
「任せた。何かわかったら教えてくれ。
王族に呼ばれた時は頼むぞ」
「かしこまりました。お任せください」
双子の奴隷を連れてドルビドの店を出る。
疲れた。ゆっくりと家のベッドで休みたい。
「2人は昨日まで使っていた部屋を使ってくれればいいからな」
「「はい。ありがとうございます」」
双子の顔を見る。
そっくりだが前髪で右目を隠しているのがルタ。
左目を隠しているのがリタ。
「これは財布の代わりだ。無くすなよ?」
ポーチ型のマジックバッグを双子に渡す。
中には金貨が1枚と銀貨が数枚入っている。
「いいのですか?」
「あぁ。買い物を頼むこともあるだろう。
荷物を運ぶのにも便利だからな」
「「ありがとうございます!」」
マジックバッグ一つでここまで喜ばれるとは思わなかった。
「しっかり働いてくれればいい。
これからよろしくな」
「「はい! ご主人様!」」
エルフ族から報酬を受け取った。
ドルビドがいい笑顔をして、カタルバが泣きそうになっていたのは気にしないことにした。
鬼の素材も俺の物となった。
額にある目は宝石のようになっていた。
「マサ、これはなんだと思う?」
「えっと。魔眼らしいです。鬼族が使えるってことなんで、もしかしたらアドさんの額に近づけたら吸収するかも、なんて」
「まさかな」
笑いながら宝石を額に近づけてみると、宝石が頭の中に入っていった。
「「………はは」」
マサと見つめ合い同時に苦笑いを浮かべる。
額を撫でるように触ってみるが、特に変化はなかった。
「どうすれば使えると思う?」
「鬼人化みたいに魔眼って言ってみたらどうですか?」
「なるほど。魔眼」
マサが驚いている。額に目が現れたんだろうか?
「どうだ?」
「……」
マサが動かない。味方にも効果があるのは使えるとは言えないな。
起動が鬼人化と同じなら、解除と思うだけで大丈夫だろう。
「それ、やばいですね」
「あぁ。使いにくいが、一対一なら色々と使えそうだな」
「ですね」
エルフ族の宝物庫と呼ばれている部屋からマサと一緒に出て行く。
マサには鑑定があるので、使えそうな物がないか確認のために連れてきていた。
フィー達はドルビドと一緒に王国へ帰る準備をしている。
「そういえば、カタルバに何を教わったんだ?」
「なんと、召喚術です!
契約した魔獣を呼び出すことができます!」
「召喚術なんて聞いたことがないな」
「エルフ族の秘術らしいですよ?」
「なんでマサが使えるんだ」
宴会の時、召喚術の適性があるかどうかを調べられる水晶を酔った族長が持ってきたそうだ。
族長に気に入られていたマサが触ったところ、適性があることがわかった。
エルフ族だからと言って誰でも使えるものではないそうで、周りにいたエルフ族から驚かれたそうだ。
「1日でマスターしてやりました!」
適性があるからとすぐに使えるものではないそうだが、マサは1日で完璧に使えるようになったそうだ。
一番の規格外は俺ではなくマサだと思う。
「どんな魔獣と契約したんだ?」
「それが自分で探して契約する必要があるんですよね」
「魔獣と魔物は違うんだよな?」
「ですね。召喚術が使えるなら近くに魔獣がいればわかると言われましたけど、俺たちって迷宮攻略がメインですよね」
「時間ができたら、旅にでも出るか」
「お、いいですね!
俺、いろんな景色を見てみたいです!」
マサが違う世界から来たというのは聞いている。
今回エルフ族からの報酬で懐が暖かいので、馬車でも買って旅に出るのもいいかもしれない。
「王国に帰ってから、みんなで話し合いって考えるか」
「はい!」
旅をするということは野宿になるのだが、マサはわかっているのだろうか?
フィー達と合流した。
エルフ達が見送りに集まっていた。
俺たちはエルフ達にお礼を言われながらエルフ族の森を出た。
王国への帰り道。
御者をしているドルビドが笑みを浮かべながら声をかけて来た。
「いい仕事でしたね」
「カタルバが泣いてたぞ」
「アドさんも相当搾り取ったと聞いていますよ?」
「ルナを失いかけたんだ。当たり前だろ」
「そうですね。私もアドさんから信用を失いかけたので、当たり前です」
「そうだな」
「そういえば、鬼の素材はどうされるのですか?」
「予定としては角で短剣を二本作って、あとはドルビドに売る予定だな。
魔石は保留だ。使えるかもしれないからな」
召喚術と一緒に魔術も使えるようになったらしいマサが使えるかもしれないからだ。
鑑定があるので、覚えるのが簡単なんですと言っていた。
「では鬼の角と魔石以外はこれくらいでどうでしょう?」
「希少種だぞ? これくらいだろ」
「これでいかがですか?」
「これくらいが妥当だろ?」
「かしこまりました。では大金貨15枚で買わせていただきます」
「王国の店に着いたら渡すよ」
「はい。よろしくお願いします」
さらに懐が暖まってしまった。
奴隷を買って家の掃除や留守番を頼むか。
余裕があればパーティーメンバーになる奴隷を買うのもいいな。
「そういえば、鬼の肉ってうまいのか?」
「美味しいらしいですよ。滋養強壮が良いらしく、貴族達が子孫繁栄のために買っていたそうです。
ここ数年は、アドさんが鬼を討伐していなかったので、鬼の肉を求めている貴族がかなりの数いるそうです。
なので大金貨15枚でも、十分に利益があるんですよ。
肉も売れて骨も武器として使えるのでいい商品です」
あまりそういう話に興味はなかったから知らなかった。
鬼狩りはいい稼ぎになりそうだ。
エルフ族の森を出て3日。
やっと我が家に帰って来た。
「「おかえりなさいませ、ご主人様」」
ミコトから借りていた双子の奴隷に出迎えてもらう。
「ただいま。留守の間、何かあったか?」
「何もございません」
「奴隷とは思えない待遇で、このままご主人様に買っていただきたいほどです」
そうだな。双子を買ってこれからも家のことを頼むのもいいかもしれない。
「考えておく。ミコトのところまで送ろう。
フィー達は家で休んでいてくれていい。疲れただろ?
俺は2人を送ったあと、ドルビドのところに行ってくるから、夕食の準備を頼む」
「「かしこまりました」」
フィーとルナに夕食の準備を頼んで、双子を連れてミコトの店に向かった。
「いらっしゃい。おや、アドじゃないか。
帰って来たのかい?」
「ついさっきな。双子を買いたいんだが、いくらになる?」
「そういうと思ってたよ。そうだね、大金貨1枚だ。払えるかい?」
顔に出ていただろうか?
大金貨1枚をカウンターに置く。
「驚いた。本当に持ってるのかい。
Cのくせにどんな稼ぎ方をしてるんだい?」
「企業秘密だ」
「そうかい。そういえば、10日後に奴隷のオークションがあるんだが、参加する気はないかい?」
「貴族達が参加するあれか。
貴族でもない俺が参加できるのか?」
「金のあるやつなら誰でも参加できるよ。
ただ奴隷商人からの紹介状が必要だけどね」
「ミコトが紹介状を書いてくれるのか?」
「あぁ。あんたにならいくらでも書いてやるよ。どうする?」
「頼む」
「即答かい。どんだけ稼いできたんだい?」
「そこそこだ」
「ちょっと待ってな。これが会場の地図と紹介状だ。絶対に無くすんじゃないよ?」
「俺は子供じゃない。ありがとう」
「それはこっちの台詞さ。うちの子達を大切にしてくれて、ありがとう」
「「ありがとうございます。
これからよろしくお願いします。ご主人様」」
双子を連れてミコトの店を出る。向かう先はドルビドの店だ。
「いらっしゃいませ」
「ドルビドはいるか?」
「はい。少々お待ちください」
奥に引っ込んだ店員が数分で戻ってくる。
「お待たせいたしました。奥の部屋へどうぞ」
店員の案内で奥の部屋へ移動する。
「アドさん、もう買われたんですか?」
「家のことを任せられる奴隷が欲しいと思ったからな」
「そうですか。ではこちらが大金貨15枚です」
テーブルに置かれた袋を持ちかげて中身を確認する。
「確かに。鬼の素材はどこで出せばいい?」
「こちらの部屋でお願いします」
双子の奴隷を部屋に待たせてドルビドと移動する。
鬼の素材を取り出して、ドルビドがマジックバッグに入れたのを確認して部屋に戻った。
「そういえば、ランクAの冒険者パーティーが苦戦しているようです」
「2の迷宮か?」
「はい。情報収集している最中ですが、予想よりも大量の魔物が集まっているようです。
中には2の迷宮で現れるはずのない高ランクの魔物もいるとか」
「死者は?」
「ランクBの冒険者が何人か亡くなったそうです。厄災の前触れだという人もいて、王族や貴族達は大騒ぎしているようです」
「過去にそんなことはあったか?」
「今調査中です」
「そうか。明日にでもギルドに行ってみるか」
「その前に王族から声が掛けられるかもしれません。アドさんが鬼を討伐したことが知られているようです」
「めんどくさいな。王族とか貴族とか好きじゃないんだ」
「そこはもう諦めてください。
いいじゃないですか。報酬をたんまりともらえるようにすれば。お手伝いしますよ?」
「任せた。何かわかったら教えてくれ。
王族に呼ばれた時は頼むぞ」
「かしこまりました。お任せください」
双子の奴隷を連れてドルビドの店を出る。
疲れた。ゆっくりと家のベッドで休みたい。
「2人は昨日まで使っていた部屋を使ってくれればいいからな」
「「はい。ありがとうございます」」
双子の顔を見る。
そっくりだが前髪で右目を隠しているのがルタ。
左目を隠しているのがリタ。
「これは財布の代わりだ。無くすなよ?」
ポーチ型のマジックバッグを双子に渡す。
中には金貨が1枚と銀貨が数枚入っている。
「いいのですか?」
「あぁ。買い物を頼むこともあるだろう。
荷物を運ぶのにも便利だからな」
「「ありがとうございます!」」
マジックバッグ一つでここまで喜ばれるとは思わなかった。
「しっかり働いてくれればいい。
これからよろしくな」
「「はい! ご主人様!」」
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【https://www.alphapolis.co.jp/novel/598460848/814210883】
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