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13.黒いローブ
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「見つけた」
15年くらい前から、鬼を狩る冒険者が王国にいると噂が流れて来た。
しかし鬼を狩る冒険者は死んだとされていた。
鬼の素材がギルドに売られることが無くなったからだ。
ところが偶然見つけてしまった。
鬼の魔石を売る冒険者を。
見られないようにしていたようだが、隠れている私を見つけることができなかったのが運の尽きだ。
どうやらあの冒険者は護衛の依頼を受けるようだ。
ドル商会にはちょうど顔見知りがいる。
彼に頼んでみよう。
あの冒険者が本当に鬼を狩れる者なのか、確かめる必要がある。
「アドさんを、試したい?」
「あぁ。協力してくれないだろうか?
こちらから渡せるものはなんでも渡す」
「なんでも、ですか。
そこまでアドさんを試したい理由をお聞きしても?」
「本当に鬼を狩る者なのか知りたい。
貴様も知っているだろ?
10年以上前に私たちの森に現れた鬼のことを」
「えぇ。存じてますよ。
エルフ族が鬼に喰われていると王国は大騒ぎでしたからね。
ですが鬼は封印されたと聞きましたが?」
「1ヶ月前だ。鬼の封印が解けた。
鬼の魔石が無くなったのだ」
「なるほど。封印には鬼の魔石が必要だったのですね」
「あぁ。色々と試したが、鬼の魔石でしかうまくいかなかった」
「わかりました。協力させていただきます。
ただし、貴女に協力をするということは、私の仕事が出来なくなったり、アドさんを裏切るような行為となります。
私はアドさんを裏切ることはしたくありません。それなりの対価を要求します。よろしいですね?」
「…あぁ。私たちにできることであればなんでもするし、なんでも差し上げよう」
ドルビドとの契約書を作成する。
これを破れば、私は永久奴隷だ。
しかしあの冒険者に賭けるしか。
森を捨てるのは最後の手段だ。
冒険者の実力を知るため、私は盗賊の住処に1人で乗り込む。
魔法で全員を眠らせているので襲われることはない。
一番奥の安全な場所に女と寝ている男を叩き起こす。
「貴様がここの長か?」
「てめぇ、なにもんだ?」
「質問に答えろ。殺すぞ」
「…わかった。俺が頭首だ」
「明日、王国からこの商会の紋章が書かれた馬車が出る。護衛はランクCらしいぞ?」
「へぇ~ランクCね。カモだな」
「そういうわけだ」
「俺たちが襲わねえかもしれねえぞ?」
「それでもいい。他にもこの情報を流すだけだ。取り分が減るが、いいのか?」
「カモがネギと鍋を背負ってくるのに、他の奴らに与えてやることはねぇな」
「それが答えだと受け取った」
これで冒険者の実力を知ることができるだろう。
私の見立てでは盗賊の男はBくらいの実力があると予想される。
さて、鬼狩りの冒険者はどの程度の実力を持っているのか。
予想外だ。一瞬で片付けてしまった。本当にCなのか?
それにあの角や体から放たれる気は、鬼そのものだった。
あれが鬼狩りの冒険者か。
やれる。奴なら鬼を狩れる。
「アドさんに会わせて欲しい?」
盗賊たちの死体を処理してから彼らを追いかけたが、追いつくことができずに街へ到着した。
彼らはもう街に到着しているはずなので、ドル商会の店に向かった。
私を待っていたのだろうドルビドと部屋に移動してからあの冒険者に会わせて欲しいことを伝える。
「あぁ。鬼退治を頼みたい。報酬は私たちに用意できるものならなんでも用意すると伝えて欲しい。
盗賊を差し向けたことも、謝罪として報酬に上乗せさせてもらう。謝罪もする」
「まあいいでしょう。明日にこちらの者をアドさんが泊まっている宿に向かわせます。
貴女は明日の昼頃に店へ来てください」
「わかった。感謝する」
鬼狩りの冒険者と会える。
仲間たちに知らせなくてはならない。
街から出て人気のない場所を目指す。
近くに森があったので中に入って誰もいないことを確認してから地面に魔法陣を描いていく。
「こい、コーシュ」
魔法陣に魔力を注いで魔獣の鳥型であるコーシュを呼び出す。
魔法陣が輝いて光が収まると地面にコーシュが立っていた。
事前に書いていた紙をコーシュの足に括りつけて私たちの住む森に向かってもらう。
「いけ」
コーシュが飛んで行ったのを確認してから街に戻った。
ドルビドに紹介された小鳥の止まり木という宿に向かう。
ここにあの冒険者が泊まっているようだが、私から会いに行かないように釘を刺されている。
大人しく部屋で眠ることにした。
明日はどうやって鬼狩りの冒険者に協力してもらうかを、考えながら。
「ドルビド君から話があるって?」
「はい。今から大丈夫でしょうか?」
護衛の打ち合わせだろうか?
それならあの子達も連れて行く方がいいな。
「奴隷達を呼んでくる。少し待っていてくれ」
「わかりました」
彼には一階で待っていてもらい、まずはフィーとルナの部屋に向かう。
まだ眠っているだろうか?
「フィー、ルナ、起きているか?」
「ご主人様? 今出ます!
おはようございます」
「おはようございます、ご主人様」
「おはよう。ドルビド君から話があるということで、彼の店に行く。
何か予定があるなら俺だけで行くが」
「いえ! 特に予定はありませんので、ルナさんと一緒にオーギス達を起こしてきます。
ご主人様は一階でお待ちください」
「そうか。よろしくな」
「はい! ルナさん、行きますよ」
「寝ていたら、叩き起こせばいいんだな?」
「はい。やっちゃってください」
「承知した」
オーギスは起きていそうだが、マサは寝てるだろうな。強く生きろ、マサ。
一階に向かう階段を降りている時、マサの悲鳴が聞こえた気がした。
たぶん気のせいだ。
「お待たせいたしました」
「おはようございます」
「おは~す。いって! お、おはようございます!」
「あぁ、おはよう」
マサの気の抜けた挨拶にルナが足を踏み、フィーに笑みを向けられたマサはしっかりとした挨拶に言い直した。
「アドさん、準備はよろしいですか?」
「あぁ。案内を頼む」
ぐぅ~とマサの腹が鳴る。
あははと笑うマサと、恥ずかしそうにしているフィーとルナ。
「はい。朝食は店の方で用意していますのでご安心ください」
彼は笑いをこらえながら朝食を用意しているといってくれる。
「すまない。助かる」
6人でドルビド君の店に向かった。
増築したと聞いていたが、ここまで大きいとは思っていなかった。
「こちらに」
店の中に入って奥の部屋へ案内される。
部屋に入るといい香りが漂ってきた。
テーブルには料理が並んでいる。
ドルビド君の姿はない。
「オーナーを呼んできます。お好きなところにお座りください」
数分もしないうちにドルビド君が部屋に入ってきた。
「お待たせいたしました。いきなりお呼びして申し訳ございません」
「気にするな。雇い主の要望に答えるのも冒険者の仕事だ」
「ありがとうございます。
では話の前に、食事にしましょうか?」
ドルビド君はオーギスとマサの方をちらりと見て笑みを向けてくる。
「すまない。ではいただくとしよう」
「はい、どうぞ」
ドルビド君が用意してくれた朝食を食べ終える。
食器などの片付けをフィー達に手伝わせて、俺はドルビド君の話を聞く。
「申し訳ございませんでした」
いきなり謝れてしまった。
何かされた記憶はないのだが、昨日の盗賊のことを気にしているのだろうか?
「ドルビド君に謝られることは何もなかったと思うんだが」
「昨日の盗賊は、私の知り合いが呼び込んだものです」
「ドルビド君は知っていた、ということか」
「はい。本当に、申し訳ございません」
「…騙されるのは嫌いだ。
裏切られるのも、嫌いだ。
君は知っているだろ?」
「はい」
「…はぁ。許す。こんなことでドルビドを嫌ったりしない。今まで世話になってきたからな。
ちゃんと謝ってくれたんだ。許すよ」
「ありがとうございます!」
「話はそれだけじゃないんだろ?」
俺のことを知り尽くしているといっても過言ではないドルビドが、知り合いだからと盗賊をけしかける事を簡単に了承したとは考えにくい。
何かあるのだろう。
「はい。その知り合いというのが、エルフ族なのです」
「エルフ族? なんで、そんな事を?」
「アドさんも知っているかもしれませんが、エルフ族の森に鬼が現れたのを覚えておられますか?」
「悪い。知らない話だ」
なんせ1人で迷宮にばかりいっていたからな。
ギルドでされていた噂話なら少しは知っているが、鬼の話は聞いたことはない。
俺が持ち込んだ魔石や鬼の素材の話以外は。
「そうですか。簡単に説明するとエルフ族が住む森に鬼が現れました。
鬼はエルフ族を喰らって力をつけました。
しかし王国の騎士団と協力したエルフ族は鬼の封印に成功しました。
その封印が1ヶ月ほど前に解けてしまったそうなんです」
「その話と俺に、どんな関係があるんだ?」
「鬼の封印に必要だったものが、鬼の魔石です」
なるほど。それで価値が上がっていたのか。
ということは、鬼を討伐していたのが俺だけだったということになるが。
あの部屋は一体なんなんだ?
「それで鬼の魔石が欲しいから、在りかを教えろと?」
「いえ。鬼を討伐して欲しいと頼まれるでしょう」
「鬼の討伐か。無理だと思うぞ?
俺のランクを知らないのか?」
「アドさんの実力はB以上であると、私とエルフ族との意見が一致しています」
「買いかぶりすぎだ。自分の力は、自分がよく知っている」
「そうですか。ではどうされますか?」
「…ドルビドの護衛もある。
申し訳ないが、断るだろうな」
「だと思いました。そういえば、報酬があるそうなのです。
報酬内容の話を聞いてから答えるのも、遅くありません。
少し考えてみてください。よろしくお願いします」
15年くらい前から、鬼を狩る冒険者が王国にいると噂が流れて来た。
しかし鬼を狩る冒険者は死んだとされていた。
鬼の素材がギルドに売られることが無くなったからだ。
ところが偶然見つけてしまった。
鬼の魔石を売る冒険者を。
見られないようにしていたようだが、隠れている私を見つけることができなかったのが運の尽きだ。
どうやらあの冒険者は護衛の依頼を受けるようだ。
ドル商会にはちょうど顔見知りがいる。
彼に頼んでみよう。
あの冒険者が本当に鬼を狩れる者なのか、確かめる必要がある。
「アドさんを、試したい?」
「あぁ。協力してくれないだろうか?
こちらから渡せるものはなんでも渡す」
「なんでも、ですか。
そこまでアドさんを試したい理由をお聞きしても?」
「本当に鬼を狩る者なのか知りたい。
貴様も知っているだろ?
10年以上前に私たちの森に現れた鬼のことを」
「えぇ。存じてますよ。
エルフ族が鬼に喰われていると王国は大騒ぎでしたからね。
ですが鬼は封印されたと聞きましたが?」
「1ヶ月前だ。鬼の封印が解けた。
鬼の魔石が無くなったのだ」
「なるほど。封印には鬼の魔石が必要だったのですね」
「あぁ。色々と試したが、鬼の魔石でしかうまくいかなかった」
「わかりました。協力させていただきます。
ただし、貴女に協力をするということは、私の仕事が出来なくなったり、アドさんを裏切るような行為となります。
私はアドさんを裏切ることはしたくありません。それなりの対価を要求します。よろしいですね?」
「…あぁ。私たちにできることであればなんでもするし、なんでも差し上げよう」
ドルビドとの契約書を作成する。
これを破れば、私は永久奴隷だ。
しかしあの冒険者に賭けるしか。
森を捨てるのは最後の手段だ。
冒険者の実力を知るため、私は盗賊の住処に1人で乗り込む。
魔法で全員を眠らせているので襲われることはない。
一番奥の安全な場所に女と寝ている男を叩き起こす。
「貴様がここの長か?」
「てめぇ、なにもんだ?」
「質問に答えろ。殺すぞ」
「…わかった。俺が頭首だ」
「明日、王国からこの商会の紋章が書かれた馬車が出る。護衛はランクCらしいぞ?」
「へぇ~ランクCね。カモだな」
「そういうわけだ」
「俺たちが襲わねえかもしれねえぞ?」
「それでもいい。他にもこの情報を流すだけだ。取り分が減るが、いいのか?」
「カモがネギと鍋を背負ってくるのに、他の奴らに与えてやることはねぇな」
「それが答えだと受け取った」
これで冒険者の実力を知ることができるだろう。
私の見立てでは盗賊の男はBくらいの実力があると予想される。
さて、鬼狩りの冒険者はどの程度の実力を持っているのか。
予想外だ。一瞬で片付けてしまった。本当にCなのか?
それにあの角や体から放たれる気は、鬼そのものだった。
あれが鬼狩りの冒険者か。
やれる。奴なら鬼を狩れる。
「アドさんに会わせて欲しい?」
盗賊たちの死体を処理してから彼らを追いかけたが、追いつくことができずに街へ到着した。
彼らはもう街に到着しているはずなので、ドル商会の店に向かった。
私を待っていたのだろうドルビドと部屋に移動してからあの冒険者に会わせて欲しいことを伝える。
「あぁ。鬼退治を頼みたい。報酬は私たちに用意できるものならなんでも用意すると伝えて欲しい。
盗賊を差し向けたことも、謝罪として報酬に上乗せさせてもらう。謝罪もする」
「まあいいでしょう。明日にこちらの者をアドさんが泊まっている宿に向かわせます。
貴女は明日の昼頃に店へ来てください」
「わかった。感謝する」
鬼狩りの冒険者と会える。
仲間たちに知らせなくてはならない。
街から出て人気のない場所を目指す。
近くに森があったので中に入って誰もいないことを確認してから地面に魔法陣を描いていく。
「こい、コーシュ」
魔法陣に魔力を注いで魔獣の鳥型であるコーシュを呼び出す。
魔法陣が輝いて光が収まると地面にコーシュが立っていた。
事前に書いていた紙をコーシュの足に括りつけて私たちの住む森に向かってもらう。
「いけ」
コーシュが飛んで行ったのを確認してから街に戻った。
ドルビドに紹介された小鳥の止まり木という宿に向かう。
ここにあの冒険者が泊まっているようだが、私から会いに行かないように釘を刺されている。
大人しく部屋で眠ることにした。
明日はどうやって鬼狩りの冒険者に協力してもらうかを、考えながら。
「ドルビド君から話があるって?」
「はい。今から大丈夫でしょうか?」
護衛の打ち合わせだろうか?
それならあの子達も連れて行く方がいいな。
「奴隷達を呼んでくる。少し待っていてくれ」
「わかりました」
彼には一階で待っていてもらい、まずはフィーとルナの部屋に向かう。
まだ眠っているだろうか?
「フィー、ルナ、起きているか?」
「ご主人様? 今出ます!
おはようございます」
「おはようございます、ご主人様」
「おはよう。ドルビド君から話があるということで、彼の店に行く。
何か予定があるなら俺だけで行くが」
「いえ! 特に予定はありませんので、ルナさんと一緒にオーギス達を起こしてきます。
ご主人様は一階でお待ちください」
「そうか。よろしくな」
「はい! ルナさん、行きますよ」
「寝ていたら、叩き起こせばいいんだな?」
「はい。やっちゃってください」
「承知した」
オーギスは起きていそうだが、マサは寝てるだろうな。強く生きろ、マサ。
一階に向かう階段を降りている時、マサの悲鳴が聞こえた気がした。
たぶん気のせいだ。
「お待たせいたしました」
「おはようございます」
「おは~す。いって! お、おはようございます!」
「あぁ、おはよう」
マサの気の抜けた挨拶にルナが足を踏み、フィーに笑みを向けられたマサはしっかりとした挨拶に言い直した。
「アドさん、準備はよろしいですか?」
「あぁ。案内を頼む」
ぐぅ~とマサの腹が鳴る。
あははと笑うマサと、恥ずかしそうにしているフィーとルナ。
「はい。朝食は店の方で用意していますのでご安心ください」
彼は笑いをこらえながら朝食を用意しているといってくれる。
「すまない。助かる」
6人でドルビド君の店に向かった。
増築したと聞いていたが、ここまで大きいとは思っていなかった。
「こちらに」
店の中に入って奥の部屋へ案内される。
部屋に入るといい香りが漂ってきた。
テーブルには料理が並んでいる。
ドルビド君の姿はない。
「オーナーを呼んできます。お好きなところにお座りください」
数分もしないうちにドルビド君が部屋に入ってきた。
「お待たせいたしました。いきなりお呼びして申し訳ございません」
「気にするな。雇い主の要望に答えるのも冒険者の仕事だ」
「ありがとうございます。
では話の前に、食事にしましょうか?」
ドルビド君はオーギスとマサの方をちらりと見て笑みを向けてくる。
「すまない。ではいただくとしよう」
「はい、どうぞ」
ドルビド君が用意してくれた朝食を食べ終える。
食器などの片付けをフィー達に手伝わせて、俺はドルビド君の話を聞く。
「申し訳ございませんでした」
いきなり謝れてしまった。
何かされた記憶はないのだが、昨日の盗賊のことを気にしているのだろうか?
「ドルビド君に謝られることは何もなかったと思うんだが」
「昨日の盗賊は、私の知り合いが呼び込んだものです」
「ドルビド君は知っていた、ということか」
「はい。本当に、申し訳ございません」
「…騙されるのは嫌いだ。
裏切られるのも、嫌いだ。
君は知っているだろ?」
「はい」
「…はぁ。許す。こんなことでドルビドを嫌ったりしない。今まで世話になってきたからな。
ちゃんと謝ってくれたんだ。許すよ」
「ありがとうございます!」
「話はそれだけじゃないんだろ?」
俺のことを知り尽くしているといっても過言ではないドルビドが、知り合いだからと盗賊をけしかける事を簡単に了承したとは考えにくい。
何かあるのだろう。
「はい。その知り合いというのが、エルフ族なのです」
「エルフ族? なんで、そんな事を?」
「アドさんも知っているかもしれませんが、エルフ族の森に鬼が現れたのを覚えておられますか?」
「悪い。知らない話だ」
なんせ1人で迷宮にばかりいっていたからな。
ギルドでされていた噂話なら少しは知っているが、鬼の話は聞いたことはない。
俺が持ち込んだ魔石や鬼の素材の話以外は。
「そうですか。簡単に説明するとエルフ族が住む森に鬼が現れました。
鬼はエルフ族を喰らって力をつけました。
しかし王国の騎士団と協力したエルフ族は鬼の封印に成功しました。
その封印が1ヶ月ほど前に解けてしまったそうなんです」
「その話と俺に、どんな関係があるんだ?」
「鬼の封印に必要だったものが、鬼の魔石です」
なるほど。それで価値が上がっていたのか。
ということは、鬼を討伐していたのが俺だけだったということになるが。
あの部屋は一体なんなんだ?
「それで鬼の魔石が欲しいから、在りかを教えろと?」
「いえ。鬼を討伐して欲しいと頼まれるでしょう」
「鬼の討伐か。無理だと思うぞ?
俺のランクを知らないのか?」
「アドさんの実力はB以上であると、私とエルフ族との意見が一致しています」
「買いかぶりすぎだ。自分の力は、自分がよく知っている」
「そうですか。ではどうされますか?」
「…ドルビドの護衛もある。
申し訳ないが、断るだろうな」
「だと思いました。そういえば、報酬があるそうなのです。
報酬内容の話を聞いてから答えるのも、遅くありません。
少し考えてみてください。よろしくお願いします」
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