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第7話 女が押して押して押しまくればたいていの男はモノにできる
しおりを挟む 2日前に王都では、ルシータの悲痛な願いを聞き届けてくれたような大雨が降ったけれど、本日はそれが嘘だったのかのようにすこぶる晴天だった。
窓から見える薬草園には本日も白衣を着た研究員たちが、調薬のための薬草を選別している。時折「ギャー」と女性の悲鳴が聞こえるのは、最近植えた新種のマンドラゴラだろう。
じゃんけんをしながら、それを引っこ抜く研究員たちの目は皆真剣だ。多分それは、製薬に対する熱意ではなく、絶対に自分は抜き役に廻りたくないという人間らしい感情からくるもの。
そんな様子を窓から見下ろすルシータの表情は10回マンドラゴラの抜き役を担当したそれより沈鬱なものだった。
「ねえミラン、今日、これから雨が降る確立はどれくらいかな?」
「そうですね……祈祷師の力を持ってしても、今日中は無理でしょう」
「……そうよね」
カーテンを握りしめながら、恨めしげに空を見つめるルシータは、その表情とは裏腹にとてもめかし込んでいた。
初夏の季節に合わせたシルクと麻を混ぜ合わせた若草色のドレスは、レースもリボンもないシンプルなデザインのもの。
だけれど、陽に当たった部分だけ萌木色に変化する不思議な生地のせいで、とても華やかな印象になる。
ほんの少し動けば、生地の色の変化でレオナードの瞳の色にもなるのが憎らしい。
そして、ドレスに合わせた靴はヒールは高いけれど、足首にリボンを通すデザインのものなので、まだ辛うじて歩けるもの。これも憎らしい。
そんなふうに素直に喜べないのは、これがすべてレオナードからの贈り物だからだ。
きっと......いや、絶対に高価だったのだろう。触れただけでトロリと指先から滑り落ちる生地は、この部屋には相応しくないけれど、お茶会にはきっと相応しいもの。
ルシータは敢えてドレスの裾を乱暴に叩いて皺を落とす素振りをしてみる。
上質な生地はちょっとやそっとじゃ皺にはならないことは知っているけれど、八つ当たりのためにしているので、別に構わない。
レオナードは今日のお茶会をとても楽しみにしているのは、本気のようだった。わざわざこんなものを送り付けてくるくらいに。
それともルシータが、そういったよそ行きの服を一着も持っていないことを危惧してのことだったのだろうか。
もしそうなら、悔しいが正解だ。
現在ルシータのクローゼットは、本棚と化していて服の方が申し訳なさそうにぶら下がっている状態。そして、その服らも、清潔さと丈夫さ重視で、貴族令嬢の普段着とは言えない代物だった。
レオナードは侯爵家だ。上位の貴族だ。
そんな彼の婚約者が、みすぼらしい格好をしてお茶会に出席するのが耐えられないのだろう。
───なら、誘わなきゃ良いのに。
思わずルシータは心の中で悪態を付いてみる。
でもそれを口に出すことはせず、別のことをミランに向かって言った。
「ズーボルテルテ、役に立たなかったわね」
「まぁ迷信ですから」
そっけなく答えたミランは、もと研究者。とびきりの現実主義者だ。だから、おまじないなど端から信じていない。
ちなみに「ズーボルテルテ」とは、東洋の晴天を願うおまじないの「てるてる坊主」を逆さ読みしたもの。
そしてそれを逆さ吊りにすれば、雨が降ると言われている。
もちろんそれは眉唾モノ。ルシータとてわかっている。でも藁にもすがりたい気持ちだったのだ。
そしてルシータは、この非の打ち所がない晴天を目にしても諦めることができない。奇跡が起こることを信じている。
「あー……誰でも良いから、そこら辺の貯水塔を爆破してくれないかしら。そうすれば物理的には雨っぽくなるでしょ?」
「ですが王都は大騒ぎになります。そして真っ先に疑われるのは、ここ研究所です」
「そ、そうね。また何か不可思議な薬品を作ったのかと警護団が詰めかけてき───……あ、嫌だ。レオナード様が……」
到着してしまった。しかも、予定より20分も早いご到着だ。
これはきっとお茶会当日になってもルシータが往生際悪くゴネることを予期してのことなのだろう。
悔しいけれども、これもまた正解だ。
でも、行きたくないものは行きたくない。例え、大人気ないと言われても。
「部屋の鍵でもかけておこうかしら」
8割本気でそう言えば、ミランは困ったように眉を下げる。
「でも、合いカギはカイルドが持っております」
「……ああ、そうだった」
たくさんの侍女にかしずかれる高位の貴族令嬢には、プライバシーは無い。
ルシータにかしずいてくれる侍女は居ないし、そんなもの不要だと思っているけれど、プライベートが無い共通点だけ同じなのは少々腑に落ちない。
けれど約束は約束。
ルシータは恨みがましく空を見つめてから、廊下へと出ようとする。だが、なぜかここでちょっと待ったとミランに呼び止められてしまった。
「ルシータさま、お守り代わりに、これをどうぞ」
そう言って差し出されたのは、手のひらに乗る小さな小瓶が二つ。
「試作品ではありますが、お持ちください。どちらも無味無臭です。数滴、飲み物に含ませてお使いください。ちなみに茶色のほうは即効性があります。そして薄紫色のほうは2、3日してから効果が出ます。状況に応じて使い分けてください」
「……ミラン、ところでこれ、何?」
肝心なところを端折った侍女に対して、ルシータは恐る恐る問いかける。
「下剤でございます。副作用はございません」
「ありがとう。ミラン。是非とも、持っていかせてくださいっ」
奪うように二つの小瓶を侍女の手からかっさらったルシータは、素早くポケットにそれをしまう。
さすがミラン。もと研究者で、現実主義者。
おまじないなんかより、こっちの方が確実に頼りになる。
あらゆる感謝の言葉と共に、そんなことをミランに向かって言いながら、ルシータはさっきよりも足取り軽く、玄関ホールへと向かった。
窓から見える薬草園には本日も白衣を着た研究員たちが、調薬のための薬草を選別している。時折「ギャー」と女性の悲鳴が聞こえるのは、最近植えた新種のマンドラゴラだろう。
じゃんけんをしながら、それを引っこ抜く研究員たちの目は皆真剣だ。多分それは、製薬に対する熱意ではなく、絶対に自分は抜き役に廻りたくないという人間らしい感情からくるもの。
そんな様子を窓から見下ろすルシータの表情は10回マンドラゴラの抜き役を担当したそれより沈鬱なものだった。
「ねえミラン、今日、これから雨が降る確立はどれくらいかな?」
「そうですね……祈祷師の力を持ってしても、今日中は無理でしょう」
「……そうよね」
カーテンを握りしめながら、恨めしげに空を見つめるルシータは、その表情とは裏腹にとてもめかし込んでいた。
初夏の季節に合わせたシルクと麻を混ぜ合わせた若草色のドレスは、レースもリボンもないシンプルなデザインのもの。
だけれど、陽に当たった部分だけ萌木色に変化する不思議な生地のせいで、とても華やかな印象になる。
ほんの少し動けば、生地の色の変化でレオナードの瞳の色にもなるのが憎らしい。
そして、ドレスに合わせた靴はヒールは高いけれど、足首にリボンを通すデザインのものなので、まだ辛うじて歩けるもの。これも憎らしい。
そんなふうに素直に喜べないのは、これがすべてレオナードからの贈り物だからだ。
きっと......いや、絶対に高価だったのだろう。触れただけでトロリと指先から滑り落ちる生地は、この部屋には相応しくないけれど、お茶会にはきっと相応しいもの。
ルシータは敢えてドレスの裾を乱暴に叩いて皺を落とす素振りをしてみる。
上質な生地はちょっとやそっとじゃ皺にはならないことは知っているけれど、八つ当たりのためにしているので、別に構わない。
レオナードは今日のお茶会をとても楽しみにしているのは、本気のようだった。わざわざこんなものを送り付けてくるくらいに。
それともルシータが、そういったよそ行きの服を一着も持っていないことを危惧してのことだったのだろうか。
もしそうなら、悔しいが正解だ。
現在ルシータのクローゼットは、本棚と化していて服の方が申し訳なさそうにぶら下がっている状態。そして、その服らも、清潔さと丈夫さ重視で、貴族令嬢の普段着とは言えない代物だった。
レオナードは侯爵家だ。上位の貴族だ。
そんな彼の婚約者が、みすぼらしい格好をしてお茶会に出席するのが耐えられないのだろう。
───なら、誘わなきゃ良いのに。
思わずルシータは心の中で悪態を付いてみる。
でもそれを口に出すことはせず、別のことをミランに向かって言った。
「ズーボルテルテ、役に立たなかったわね」
「まぁ迷信ですから」
そっけなく答えたミランは、もと研究者。とびきりの現実主義者だ。だから、おまじないなど端から信じていない。
ちなみに「ズーボルテルテ」とは、東洋の晴天を願うおまじないの「てるてる坊主」を逆さ読みしたもの。
そしてそれを逆さ吊りにすれば、雨が降ると言われている。
もちろんそれは眉唾モノ。ルシータとてわかっている。でも藁にもすがりたい気持ちだったのだ。
そしてルシータは、この非の打ち所がない晴天を目にしても諦めることができない。奇跡が起こることを信じている。
「あー……誰でも良いから、そこら辺の貯水塔を爆破してくれないかしら。そうすれば物理的には雨っぽくなるでしょ?」
「ですが王都は大騒ぎになります。そして真っ先に疑われるのは、ここ研究所です」
「そ、そうね。また何か不可思議な薬品を作ったのかと警護団が詰めかけてき───……あ、嫌だ。レオナード様が……」
到着してしまった。しかも、予定より20分も早いご到着だ。
これはきっとお茶会当日になってもルシータが往生際悪くゴネることを予期してのことなのだろう。
悔しいけれども、これもまた正解だ。
でも、行きたくないものは行きたくない。例え、大人気ないと言われても。
「部屋の鍵でもかけておこうかしら」
8割本気でそう言えば、ミランは困ったように眉を下げる。
「でも、合いカギはカイルドが持っております」
「……ああ、そうだった」
たくさんの侍女にかしずかれる高位の貴族令嬢には、プライバシーは無い。
ルシータにかしずいてくれる侍女は居ないし、そんなもの不要だと思っているけれど、プライベートが無い共通点だけ同じなのは少々腑に落ちない。
けれど約束は約束。
ルシータは恨みがましく空を見つめてから、廊下へと出ようとする。だが、なぜかここでちょっと待ったとミランに呼び止められてしまった。
「ルシータさま、お守り代わりに、これをどうぞ」
そう言って差し出されたのは、手のひらに乗る小さな小瓶が二つ。
「試作品ではありますが、お持ちください。どちらも無味無臭です。数滴、飲み物に含ませてお使いください。ちなみに茶色のほうは即効性があります。そして薄紫色のほうは2、3日してから効果が出ます。状況に応じて使い分けてください」
「……ミラン、ところでこれ、何?」
肝心なところを端折った侍女に対して、ルシータは恐る恐る問いかける。
「下剤でございます。副作用はございません」
「ありがとう。ミラン。是非とも、持っていかせてくださいっ」
奪うように二つの小瓶を侍女の手からかっさらったルシータは、素早くポケットにそれをしまう。
さすがミラン。もと研究者で、現実主義者。
おまじないなんかより、こっちの方が確実に頼りになる。
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