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第15話 秘書の救出
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クリートヴィレッジに着いた。
ここら一帯は貴族の避暑地になっているが、ネヴィル副議長の別荘は中心地から離れたところにあり、さらに森で囲まれていた。これなら、少々騒ぎがあっても誰にも気づかれないだろう。
御前会議の最中だから副議長が戻ってくることはまずない。
明かりもついていないし、見張りがいる気配もない。
門扉を乗り越え、裏の勝手口の鍵を壊し、中に入る。
部屋をひとつずつ調べていくと、地下室の入り口を発見した。
階段を降りていくと、奥に男性が横たわっているのが見える。
「トーマス・ハーフナーか?」
縛られている縄をほどく。
顔は殴られたのかあざだらけで、歯も折れているようだ。服にもたくさん血がついている。
痛みに顔をゆがめながら、かすれた声を絞り出すように答えた。
「はい、あなたは……確か、軍人の……」
「ああ、ハワードだ。救出にきたぞ、もう大丈夫だ。安心してくれ」
「あり…がとう…ござ…います」
衰弱しているが、意識はしっかりしているし、言葉も話せる。
追いついたラウルと中隊長でハーフナーを地下室から運び出した。
「二階の……書斎の金庫にクーデター計画の書類が……あります」
「私がとってきます!」
階段を駆け上がり、書斎を探す。
大きな金庫があった。
鍵がかかっていたけれど、壁に飾ってあった斧で錠前を叩き壊した。
中には現金や宝石のほかにたくさんの書類があった。
とりあえず、全て抱え持って部屋を出る。
秘書は馬車の椅子に寝かせた。持ち出した書類も一緒に乗せる。
ハーフナーに付き添うため、私も馬車に乗った。
またネヴィル副議長に狙われる危険があるので、中隊長の実家、ハワード伯爵家に運ぶことになった。
ハワード家の主治医によると、ハーフナーの暴行されたことによる怪我は全治三か月、また脱水と栄養失調が酷いので、しばらく静養が必要とのことだった。
「ここなら誰にも危害を加えられる心配はない。快復するまでしっかり養生してくれ」
「ハワード様、あなたは命の恩人です。なんとお礼を言ったらいいのか、言葉もありません」
「監禁したのはネヴィル副議長とフィッシャー政務官で間違いないか?」
「はい、私は偶然ふたりの会話を聞いてしまったのです。カナナラに対して厳しい姿勢の政治家には証拠をでっち上げて汚職の汚名を着せて失脚させ、かわりに親カナナラ派の人物をその地位につかせていました。いずれは国王陛下を暗殺し、カナナラ王家の主導で国家を統一する計画だったようです。私は隙を見てスパイリストを盗み出したのですが、すぐにバレてしまい、逃げようとしましたが失敗しました」
「もし、裁判で証言が必要になったら頼めるだろうか?」
「もちろんです」
「それと……、君の恋人のことは本当に残念だ」
「リンダを巻き込んでしまったこと、後悔しています」
秘書は静かに涙を流した。
ここら一帯は貴族の避暑地になっているが、ネヴィル副議長の別荘は中心地から離れたところにあり、さらに森で囲まれていた。これなら、少々騒ぎがあっても誰にも気づかれないだろう。
御前会議の最中だから副議長が戻ってくることはまずない。
明かりもついていないし、見張りがいる気配もない。
門扉を乗り越え、裏の勝手口の鍵を壊し、中に入る。
部屋をひとつずつ調べていくと、地下室の入り口を発見した。
階段を降りていくと、奥に男性が横たわっているのが見える。
「トーマス・ハーフナーか?」
縛られている縄をほどく。
顔は殴られたのかあざだらけで、歯も折れているようだ。服にもたくさん血がついている。
痛みに顔をゆがめながら、かすれた声を絞り出すように答えた。
「はい、あなたは……確か、軍人の……」
「ああ、ハワードだ。救出にきたぞ、もう大丈夫だ。安心してくれ」
「あり…がとう…ござ…います」
衰弱しているが、意識はしっかりしているし、言葉も話せる。
追いついたラウルと中隊長でハーフナーを地下室から運び出した。
「二階の……書斎の金庫にクーデター計画の書類が……あります」
「私がとってきます!」
階段を駆け上がり、書斎を探す。
大きな金庫があった。
鍵がかかっていたけれど、壁に飾ってあった斧で錠前を叩き壊した。
中には現金や宝石のほかにたくさんの書類があった。
とりあえず、全て抱え持って部屋を出る。
秘書は馬車の椅子に寝かせた。持ち出した書類も一緒に乗せる。
ハーフナーに付き添うため、私も馬車に乗った。
またネヴィル副議長に狙われる危険があるので、中隊長の実家、ハワード伯爵家に運ぶことになった。
ハワード家の主治医によると、ハーフナーの暴行されたことによる怪我は全治三か月、また脱水と栄養失調が酷いので、しばらく静養が必要とのことだった。
「ここなら誰にも危害を加えられる心配はない。快復するまでしっかり養生してくれ」
「ハワード様、あなたは命の恩人です。なんとお礼を言ったらいいのか、言葉もありません」
「監禁したのはネヴィル副議長とフィッシャー政務官で間違いないか?」
「はい、私は偶然ふたりの会話を聞いてしまったのです。カナナラに対して厳しい姿勢の政治家には証拠をでっち上げて汚職の汚名を着せて失脚させ、かわりに親カナナラ派の人物をその地位につかせていました。いずれは国王陛下を暗殺し、カナナラ王家の主導で国家を統一する計画だったようです。私は隙を見てスパイリストを盗み出したのですが、すぐにバレてしまい、逃げようとしましたが失敗しました」
「もし、裁判で証言が必要になったら頼めるだろうか?」
「もちろんです」
「それと……、君の恋人のことは本当に残念だ」
「リンダを巻き込んでしまったこと、後悔しています」
秘書は静かに涙を流した。
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