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第14話 侍女は嘘を見抜く
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「中隊長様、私にやらせてください」
私を見た途端、政務官の表情が緩んだ。
小娘だと思って舐めているんだろう。むしろやりやすくてありがたい。
政務官の正面に立ち、目をのぞき込む。
一人の成人男性を誰にも見られずに連れ出し、監視下に置きつつ一か月近く監禁できる場所となるとそう多くない。
ネヴィル副議長の屋敷では家族もいるし、使用人も多いから不向きだ。
かといって空き家などでは、明かりをつけたり人が出入りしたりするところを近所の住人に見られたらすぐに怪しまれてしまう。
普段は人が住んでおらず、でも出入りしても不自然ではないところ。
「教えてください。秘書はどこにいるのですか?」
小馬鹿にしたように鼻で笑う。
「副議長はクリートヴィレッジに素敵な別荘をお持ちだとか」
政務官の目の瞳孔が開いた。
人間の瞳孔は感情によって大きさが変わる。驚いたときには、散瞳が生じ、瞳孔径は大きくなるのだ。
「わかりました、中隊長様。別荘に監禁されています」
政務官は椅子を蹴って立ち上がり、私につかみかかろうとした。
さっと身をかわす。
「あなたがカララナのスパイだということはわかっているんですよ」
「いいかげんなことを言うな!どこにそんな証拠がある!」
政務官は怒りながら喚いたが、ほんの一瞬視線が泳ぎ、自身の腕を見た。
「失礼します」
政務官の左腕に触れようとしたとき
「止めろぉぉ!!」
私の手を跳ねのけた。
ラウルが押さえつけ、ジャケットの袖をまくり上げる。
小さな青い刺青があった。
1センチほどの円形で、遠目にはあざにしか見えないが、それはカナナラ王国へ忠誠を誓っている反乱軍の紋章だ。メンバーはみな、体の一部にこの刺青を入れている。
政務官を拘束し、憲兵に預けた。
これから秘書の救出に向かう。
「ラウル、俺たちは先に馬で別荘に向かう、お前は馬車であとからついてこい」
俺 たち?
私の意思を確認することもなく、中隊長は私を軽々と抱き上げると、馬に乗せた。
「飛ばすから、しっかりつかまっていろ」
駈歩発進する。
軍馬だから、通常の馬よりも体が大きく、スピードも速い。しかも、めちゃくちゃ揺れる。
「中隊長様、落ちそうです!!絶対落ちます!」
「だから、しっかり俺につかまれと言っているだろう!」
「はいぃぃ!!」
中隊長にぎゅっとしがみついた。
逞しい胸に体を預けていると、心拍数がどんどんあがってくる。きっと顔も赤くなっているんだろう。
これは馬のせい、恐怖のせいだと自分に言い聞かせるが、そんなわけがないのはわかっている。
心理学者ってつくづく恋愛には向いていない。
私を見た途端、政務官の表情が緩んだ。
小娘だと思って舐めているんだろう。むしろやりやすくてありがたい。
政務官の正面に立ち、目をのぞき込む。
一人の成人男性を誰にも見られずに連れ出し、監視下に置きつつ一か月近く監禁できる場所となるとそう多くない。
ネヴィル副議長の屋敷では家族もいるし、使用人も多いから不向きだ。
かといって空き家などでは、明かりをつけたり人が出入りしたりするところを近所の住人に見られたらすぐに怪しまれてしまう。
普段は人が住んでおらず、でも出入りしても不自然ではないところ。
「教えてください。秘書はどこにいるのですか?」
小馬鹿にしたように鼻で笑う。
「副議長はクリートヴィレッジに素敵な別荘をお持ちだとか」
政務官の目の瞳孔が開いた。
人間の瞳孔は感情によって大きさが変わる。驚いたときには、散瞳が生じ、瞳孔径は大きくなるのだ。
「わかりました、中隊長様。別荘に監禁されています」
政務官は椅子を蹴って立ち上がり、私につかみかかろうとした。
さっと身をかわす。
「あなたがカララナのスパイだということはわかっているんですよ」
「いいかげんなことを言うな!どこにそんな証拠がある!」
政務官は怒りながら喚いたが、ほんの一瞬視線が泳ぎ、自身の腕を見た。
「失礼します」
政務官の左腕に触れようとしたとき
「止めろぉぉ!!」
私の手を跳ねのけた。
ラウルが押さえつけ、ジャケットの袖をまくり上げる。
小さな青い刺青があった。
1センチほどの円形で、遠目にはあざにしか見えないが、それはカナナラ王国へ忠誠を誓っている反乱軍の紋章だ。メンバーはみな、体の一部にこの刺青を入れている。
政務官を拘束し、憲兵に預けた。
これから秘書の救出に向かう。
「ラウル、俺たちは先に馬で別荘に向かう、お前は馬車であとからついてこい」
俺 たち?
私の意思を確認することもなく、中隊長は私を軽々と抱き上げると、馬に乗せた。
「飛ばすから、しっかりつかまっていろ」
駈歩発進する。
軍馬だから、通常の馬よりも体が大きく、スピードも速い。しかも、めちゃくちゃ揺れる。
「中隊長様、落ちそうです!!絶対落ちます!」
「だから、しっかり俺につかまれと言っているだろう!」
「はいぃぃ!!」
中隊長にぎゅっとしがみついた。
逞しい胸に体を預けていると、心拍数がどんどんあがってくる。きっと顔も赤くなっているんだろう。
これは馬のせい、恐怖のせいだと自分に言い聞かせるが、そんなわけがないのはわかっている。
心理学者ってつくづく恋愛には向いていない。
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