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第8話 騎士様の婚活事情と新たな推理(2)
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「それが原因なのか?いや、今の彼女は俺の話で笑ってくれたぞ」
「あれは作り笑いですよ」
「は?」
「自然な笑いというのは、まず口が先に動き、次に目が動きます。しかし先ほどの女性は目と口が同時でした。つまり意識して笑顔を作っているのです」
「そうなのか」
表情が曇った。
「でも、でも、中隊長様のことを好きなことは間違いないですよ」
急いでフォローする。
「小首をかしげたり、自分を可愛らしく見せようとするしぐさが多く見受けられました。好かれたいと思っての行動です」
「そうか」
嬉しそうに笑う。
ちょっとは立ち直ってくれたようだ。
もう、世話がやける。
「中隊長様の家柄でしたら、結婚相手は親が決めるのではないのですか?家同士の釣り合いもあるでしょうし」
「伯爵家の息子と言っても、俺は5人兄弟の4男だからな。家督を継ぐこともない。結婚相手は自由に選べる立場なんだ。生涯を共にする相手なのだから、できたら恋愛結婚したい」
あ、そうですか。
恋愛談義をしに来たわけではないので、本題に入ってもいいでしょうか。
狙われたのは第一側妃ではなく、毒見役の侍女本人ではないかと伝えた。
「グレース様の懐妊が分かったのは毒殺事件の翌日です。あの時点では側妃様本人ですら懐妊を知らなかったのです」
中隊長は半信半疑の様子だ。
「君たちを軽視するつもりはないが、わざわざ侍女を殺害する必要があるか?」
「理由はわかりません。ただ、我々使用人は高貴な方々の秘密を知れる立場にあります。もしかしたら、彼女は誰かにとって不都合な事実を知ってしまったのかもしれません」
「口封じの可能性か」
「中隊長様、彼女の遺品を見たいのですが、許可していただけませんか」
「ああ、構わない。まだ両親が来られないので、部屋はそのままにしてある」
中隊長が部屋のカギを持っているというので、一緒に行き、鍵を開けてもらうことになった。
リンダの部屋は簡素なベッドと書き物机、クローゼットがあり、壁にはドライフラワーが飾られていた。
中隊長はクローゼットや机の引き出しをいくつか開けて中をみている。
「おかしいな、この前来た時と様子が変わっている」
「え?」
「雑然としているというか、本の並び方も違うし、引き出しの中が散らかっている。服はきちんと畳んでしまわれていたのに、いまは丸めて突っ込まれている」
誰かが家探ししたのだろうか。
鍵はかけられていたが、簡単なつくりなので解錠は難しくない。
誰かがリンダの持ち物を探している?
使用人用の部屋はどれも似たり寄ったりだが、皆、それぞれ秘密の隠し場所を作っているものだ。
ベッドを動かし、壁の板を外す。
予想通り、中には巾着袋があった。
開けてみると、少しのアクセサリーと一通の封筒があった。
「それはなんだ」
封筒に宛名や差出人はない。
中の紙を開いてみると、人の名前と職業や役職がずらずらと書かれていた。
「何かの名簿でしょうか?」
その時、コツコツと廊下で足音が聞こえた。
「あれは作り笑いですよ」
「は?」
「自然な笑いというのは、まず口が先に動き、次に目が動きます。しかし先ほどの女性は目と口が同時でした。つまり意識して笑顔を作っているのです」
「そうなのか」
表情が曇った。
「でも、でも、中隊長様のことを好きなことは間違いないですよ」
急いでフォローする。
「小首をかしげたり、自分を可愛らしく見せようとするしぐさが多く見受けられました。好かれたいと思っての行動です」
「そうか」
嬉しそうに笑う。
ちょっとは立ち直ってくれたようだ。
もう、世話がやける。
「中隊長様の家柄でしたら、結婚相手は親が決めるのではないのですか?家同士の釣り合いもあるでしょうし」
「伯爵家の息子と言っても、俺は5人兄弟の4男だからな。家督を継ぐこともない。結婚相手は自由に選べる立場なんだ。生涯を共にする相手なのだから、できたら恋愛結婚したい」
あ、そうですか。
恋愛談義をしに来たわけではないので、本題に入ってもいいでしょうか。
狙われたのは第一側妃ではなく、毒見役の侍女本人ではないかと伝えた。
「グレース様の懐妊が分かったのは毒殺事件の翌日です。あの時点では側妃様本人ですら懐妊を知らなかったのです」
中隊長は半信半疑の様子だ。
「君たちを軽視するつもりはないが、わざわざ侍女を殺害する必要があるか?」
「理由はわかりません。ただ、我々使用人は高貴な方々の秘密を知れる立場にあります。もしかしたら、彼女は誰かにとって不都合な事実を知ってしまったのかもしれません」
「口封じの可能性か」
「中隊長様、彼女の遺品を見たいのですが、許可していただけませんか」
「ああ、構わない。まだ両親が来られないので、部屋はそのままにしてある」
中隊長が部屋のカギを持っているというので、一緒に行き、鍵を開けてもらうことになった。
リンダの部屋は簡素なベッドと書き物机、クローゼットがあり、壁にはドライフラワーが飾られていた。
中隊長はクローゼットや机の引き出しをいくつか開けて中をみている。
「おかしいな、この前来た時と様子が変わっている」
「え?」
「雑然としているというか、本の並び方も違うし、引き出しの中が散らかっている。服はきちんと畳んでしまわれていたのに、いまは丸めて突っ込まれている」
誰かが家探ししたのだろうか。
鍵はかけられていたが、簡単なつくりなので解錠は難しくない。
誰かがリンダの持ち物を探している?
使用人用の部屋はどれも似たり寄ったりだが、皆、それぞれ秘密の隠し場所を作っているものだ。
ベッドを動かし、壁の板を外す。
予想通り、中には巾着袋があった。
開けてみると、少しのアクセサリーと一通の封筒があった。
「それはなんだ」
封筒に宛名や差出人はない。
中の紙を開いてみると、人の名前と職業や役職がずらずらと書かれていた。
「何かの名簿でしょうか?」
その時、コツコツと廊下で足音が聞こえた。
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