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第8話 素晴らしき哉、見習いライフ④
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最西端の洞窟へ行くと、地下3階では雌のポイズンモウルのグループと雄のアングリーマウスたちが大喧嘩していた。
空調の温度設定でもめているようだ。
地下なのでただでさえ涼しいという雌たちと、27℃では暑すぎるという雄たちで喧々諤々の論争だ。
「どうも、クエストの腕輪のお届けに参りました」
「あら、ボスなら地下5階よ。新人さん?」
「はい、今度ともよろしくお願いします」
リュックからストールを取り出し、ポイズンモウルたちに差し出す。
「あの、よかったらこれを使ってみてください」
「これはなにかしら?」
「冷房が効きすぎているときに、これを羽織ると風が直接当たらなくなるんですよ」
ポイズンモウルたちの体にストールをまきつけてあげた。
「あら、あったかくていいじゃない!あなた、気が利くわねえ」
「お役に立てて良かったです。では、ボスに届けてきますんで、失礼します」
地下5階には中ボスのグリーンドラゴンがいた。
挨拶して、洞窟奥の宝箱に真珠の腕輪をいれる。
グリーンドラゴンに呼び止められる。
「上の階が急に静かになったけど、何かしてくれた?」
かくかくしかじか。
「毎日うるさくて困っていたからホント助かったわ。もし、昇級試験を受けるなら推薦状を書いてやってもいいよ」
「ありがとうございます」
洞窟の外に出ると、ラヴィが頬を膨らませていた。
「羨ましいですぅ!」
「さっきはついお礼を言っちゃったけど、推薦状があるといいの?」
「中ボスをやっているモンスターの推薦があると面接試験がパスできるですよ」
「覚えておくよ」
この後はルーチン業務に戻り、ドロップアイテムの配達をする。
洞窟の近くはモンスターがかたまっているので配りやすい。
「おーーーーーい!」
森の中でバッドフォックスが手を振っている。
ラヴィは急に駆けだすと、バッドフォックスに突撃し、そのスピードのまま二人で地面を転がっていった。
慌てて追いかける。
「おい!大丈夫か?」
ラヴィとバッドフォックスは葉っぱまみれになってケラケラ笑っていた。
「紹介するです!ラヴィの前の相棒です」
「どうも、キッドです」
よっと勢いをつけて立ち上がった。
「あ、今の相棒のダイです」
キッドは俺が来るほんの少し前に昇級試験に合格し、Gランクになったそうだ。
「魔王城ではお会いしないですね?」
「オレ、普段は出張所で寝泊まりしてるんすよ。魔王城にも部屋はあるけど、戻るのが面倒くさくて」
このへんには出張所呼ばれる隠し洞窟があり、周辺のモンスターに開放しているらしい。
へえ、今度のぞいてみようかな。
「ダイさん、こいつの面倒みるの、大変でしょ?」
「面倒見ているのはラヴィですよ!!」
「冒険者の会話を聞いて、すぐ変な言葉を覚えちゃうし」
どこから情報を仕入れているのかと思ったらそこだったか。
「ラヴィ、ニンジンばかり食わないで、ほかのもんもちゃんと食ってるか?」
「あたりまえです!」
「いや、ニンジンばかり食ってますよ、この子」
「なんでバラすですかああああああ!」
ポカスカとラヴィが殴ってきた。
「いててて、暴力反対!」
森の外から人間の会話が聞こえた。
「冒険者が来たみたいだ、じゃあ」
「うん、頑張って」
「おきばりやすーです!」
「そうだ、ダイさん、オレ、来週は魔王城に戻るから、一緒に飲みましょうよ」
「いいね、楽しみにしてる」
そうして冒険者に襲いかかるキッドを見送った。
空調の温度設定でもめているようだ。
地下なのでただでさえ涼しいという雌たちと、27℃では暑すぎるという雄たちで喧々諤々の論争だ。
「どうも、クエストの腕輪のお届けに参りました」
「あら、ボスなら地下5階よ。新人さん?」
「はい、今度ともよろしくお願いします」
リュックからストールを取り出し、ポイズンモウルたちに差し出す。
「あの、よかったらこれを使ってみてください」
「これはなにかしら?」
「冷房が効きすぎているときに、これを羽織ると風が直接当たらなくなるんですよ」
ポイズンモウルたちの体にストールをまきつけてあげた。
「あら、あったかくていいじゃない!あなた、気が利くわねえ」
「お役に立てて良かったです。では、ボスに届けてきますんで、失礼します」
地下5階には中ボスのグリーンドラゴンがいた。
挨拶して、洞窟奥の宝箱に真珠の腕輪をいれる。
グリーンドラゴンに呼び止められる。
「上の階が急に静かになったけど、何かしてくれた?」
かくかくしかじか。
「毎日うるさくて困っていたからホント助かったわ。もし、昇級試験を受けるなら推薦状を書いてやってもいいよ」
「ありがとうございます」
洞窟の外に出ると、ラヴィが頬を膨らませていた。
「羨ましいですぅ!」
「さっきはついお礼を言っちゃったけど、推薦状があるといいの?」
「中ボスをやっているモンスターの推薦があると面接試験がパスできるですよ」
「覚えておくよ」
この後はルーチン業務に戻り、ドロップアイテムの配達をする。
洞窟の近くはモンスターがかたまっているので配りやすい。
「おーーーーーい!」
森の中でバッドフォックスが手を振っている。
ラヴィは急に駆けだすと、バッドフォックスに突撃し、そのスピードのまま二人で地面を転がっていった。
慌てて追いかける。
「おい!大丈夫か?」
ラヴィとバッドフォックスは葉っぱまみれになってケラケラ笑っていた。
「紹介するです!ラヴィの前の相棒です」
「どうも、キッドです」
よっと勢いをつけて立ち上がった。
「あ、今の相棒のダイです」
キッドは俺が来るほんの少し前に昇級試験に合格し、Gランクになったそうだ。
「魔王城ではお会いしないですね?」
「オレ、普段は出張所で寝泊まりしてるんすよ。魔王城にも部屋はあるけど、戻るのが面倒くさくて」
このへんには出張所呼ばれる隠し洞窟があり、周辺のモンスターに開放しているらしい。
へえ、今度のぞいてみようかな。
「ダイさん、こいつの面倒みるの、大変でしょ?」
「面倒見ているのはラヴィですよ!!」
「冒険者の会話を聞いて、すぐ変な言葉を覚えちゃうし」
どこから情報を仕入れているのかと思ったらそこだったか。
「ラヴィ、ニンジンばかり食わないで、ほかのもんもちゃんと食ってるか?」
「あたりまえです!」
「いや、ニンジンばかり食ってますよ、この子」
「なんでバラすですかああああああ!」
ポカスカとラヴィが殴ってきた。
「いててて、暴力反対!」
森の外から人間の会話が聞こえた。
「冒険者が来たみたいだ、じゃあ」
「うん、頑張って」
「おきばりやすーです!」
「そうだ、ダイさん、オレ、来週は魔王城に戻るから、一緒に飲みましょうよ」
「いいね、楽しみにしてる」
そうして冒険者に襲いかかるキッドを見送った。
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